大阪の高校生:ムシ触れない6割 25年で倍増
毎日新聞 2014年06月14日 15時00分(最終更新 06月14日 18時27分)
昆虫を素手で触れる高校生が激減−−大阪府内の高校の生物教諭でつくる府高等学校生物教育研究会が、府内の高校生に「昆虫に素手で触れることができるか」を聞いたところ、「できる」と回答した生徒が4割にとどまり、約25年前の7割から大幅に減ったことが分かった。都市化で幼少期に昆虫に触れる機会が減ったことを背景に、虫に嫌悪感を抱く子どもが多くなったと研究会は分析。「生き物に触れることは科学的興味や生命への慈しみを高めることにつながる。重要性を認識してほしい」と呼びかけている。
研究会は1989年からほぼ5年間隔で府内の高校の生徒に対し、身近な生き物についての認識などをテーマにアンケートしている。今回は昨年6〜7月、協力を得られた23校に通う1〜3年生5564人に実施。昆虫(チョウやトンボなど)、カエル、ヘビを素手で触れることができるか質問し、9割以上の5173人から有効回答を得た。
「昆虫に触れることができる」と回答したのは、42%の2158人。89年の調査では、回答を寄せた51校の高校生1万2474人のうち70%の8671人だった。
カエルに触れることができる生徒も38%で、89年の調査の50%から減っている。一方、ヘビは23%で、89年の24%とあまり変わっていない。
実際、幼少期に昆虫を素手で触れた経験は減っており、幼稚園児から小学生までの間に素手で昆虫を触ったことがあるのは89年が93%だったのに対し、今回は81%だった。
調査結果は、府内の全高校に配布。調査を担当した府立泉北高校の木村進教諭(61)は「虫嫌いの生徒が増えているのは全国的な傾向とみられる。親の世代も虫嫌いが増え、子どもに昆虫採集などをさせる人が減っているのではないか」と指摘した上で、「このままでは、害虫を退治することもできなくなってしまう」と危惧している。【畠山哲郎】