憲法改正へ環境整う=政治課題化にはなお時間−改正国民投票法成立

 改正国民投票法が13日に成立し、手続き面で憲法改正に向けた環境が整った。改憲は首相の「悲願」とされ、今後、現実の政治課題として現実味を帯びてくる。ただ、首相が目下、精力を傾けているのは集団的自衛権行使を容認するための憲法解釈変更。今年後半には消費税率再引き上げ問題などを抱えており、実際に改憲が政治課題に上るかは不透明だ。
 「環境権や緊急事態(の創設)が最初に取り上げられるだろう。おおむね2年後に第1回目(の国民投票)ができればありがたい」。自民党の・憲法改正推進本部長は改正法成立後、記者団に、野党の理解を得やすいテーマで2年後の実施を目指す考えを示した。幹事長も同日の総務会で、「来年は立党60年の節目。改憲に向け精力的に努力したい」と意欲を見せた。
 第1次安倍政権時の2007年に成立した国民投票法は、付則で選挙権年齢の引き下げなどを求めたが、法整備が間に合わず、投票年齢の扱いは宙に浮いたままだった。今回の改正法で、投票年齢を施行後4年間は20歳以上、その後は18歳以上と定めたことで、投票年齢に関する課題は一応クリアされた。
 ただ、最近の首相は改憲に向けた意欲を封印せざるを得なくなっている。集団的自衛権の行使容認を、時間がかかる憲法改正ではなく、解釈変更での対応を選択したことで、「『行使容認も改憲でやれ』と言われてしまう」(ベテラン)事情があるからだ。
 首相周辺の一人は「安倍政権はまずは経済成長。改憲の優先順位は高くない。次期衆院選の後でいい」と改憲先送りを進言している。自民党以上に積極的だった日本維新の会が分裂したこともマイナス材料で、改憲機運が盛り上がる雰囲気は今のところない。(2014/06/13-21:49)

時事ドットコム
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