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 原爆や反戦などをテーマにした作品を描いた漫画家あすなひろしさん(1941~2001、本名・矢野高行)の原画展が26日、広島市中区袋町の被爆建物、旧日本銀行広島支店で始まる。原爆投下後の広島の苦しみや悲しみなどを繊細な描画で表現した約200点を並べる。5月5日まで。無料。

 あすなさんは東京で生まれ、1947年に父の転勤で呉市に移り住んだ。広島市内の高校を卒業後、映画配給会社などで働き、61年に少女漫画「まぼろしの騎士」でデビュー。60歳で亡くなるまで、広島を拠点に約400作を発表した。

 「兄弟で育てた大事なトマトを、通りすがりの少女に奪われてなるものか」。72年の作品「赤いトマト」の主人公の少年は原爆投下直後、こんな思いで庭を見張っていたが、翌日、その少女は放射線の影響などで亡くなっていた――。