寄付:歳入確保→PR目的転換で金額100倍 山形・天童

毎日新聞 2014年06月14日 10時09分(最終更新 06月14日 12時00分)

ふるさと応援寄付をした人に贈られる天童市の特産品=市のカタログから
ふるさと応援寄付をした人に贈られる天童市の特産品=市のカタログから

 4月1日から、1万円以上の寄付をした人に地元産サクランボなどの特産品を贈っている山形県天童市の「ふるさと応援寄付」の申込件数と申込額が、12日時点で5600件、6521万円に達した。2013年度は5件、わずか66万5000円。目的を「歳入確保」から「市と特産品のPR」に転換した結果、申し込みが一気に増えたようだ。

 ふるさと応援寄付は、居住地以外の好きな自治体に寄付をすると、確定申告をした後に住民税と所得税の控除を受けられる制度。故郷などゆかりの土地に貢献したいという気持ちを税制で後押しするもので、08年に国が創設した。

 天童市も同年から寄付を受け付けていたが、寄付額は08年度151万円(15件)▽09年度218万円(6件)▽10年度141万円(14件)▽11年度56万円(14件)▽12年度220万円(6件)▽13年度66万円(5件)−−と、必ずしも好調とは言えなかった。

 そこで今年度から、1万円以上の寄付をしてくれた人に、サクランボの佐藤錦やラ・フランス、天童牛、将棋の飾り駒など地元の農産物、特産品5000円相当を贈る方式に改めた。市が作った贈答品カタログには現在、43種類の特産品が掲載されている。また、この特産品をふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」にも掲載し、寄付者が選びやすいようにした。

 市によると、これまでに最も申し込みが多かったのが天童産佐藤錦の1734件。川中島白桃1332件、スーパーラ・フランス335件と続く。申し込みを受けた市が寄付者に納付書を送り、納付を確認して特産品と寄付証明書を贈る。特産品は市が農協や生産者とタイアップして確保する。寄付額の約2割が市の収入になり、生産者も潤う仕組みだ。

 天童市市長公室の松浦和人さんは「市と特産品のPRに徹したところ火がついた。1万円の寄付でおよそ8000円控除されるので、実質2000円で買い物できる点が人気のようです」と話す。

 ふるさとチョイスには県内35の全市町村が特産品を掲載して寄付を呼びかけている。天童市は9月以降、クレジット決済を始める準備も進めており、さらなる申し込み増を狙う。【戸嶋誠司】

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