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 8月9日に長崎市である平和祈念式典で、田上富久市長が読み上げる平和宣言の内容を議論する起草委員会の会合が14日、市内で開かれ、市が原案を示した。5月の初会合では安倍政権が進める集団的自衛権の行使容認を懸念する文言を盛り込むよう求める声が上がったが、原案では直接触れられず、委員から不満の声が上がった。

 原案では、被爆者や戦争体験者は憲法の平和理念が揺らぐことを懸念していると指摘。こうした声に耳を傾けるよう政府に求めたが、「集団的自衛権」の文言は盛り込まれなかった。

 委員からは、「理念が揺らぐ、という表現では危機感が足りない」などの声が上がった。被爆者の朝長万左男・長崎原爆病院名誉院長は「集団的自衛権の文言を加えたうえで、憲法の平和理念に言及するべきでは」。長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄(すみてる)会長は「私たちは憲法で守られてきた。再び戦争ができる状況に変わりつつあると懸念している」と話した。

 起草委は田上市長が委員長を務め、被爆者や大学教授ら14人が委員を務める。初会合では、集団的自衛権の行使容認について「戦争につながる」「憲法の危機」などと指摘し、宣言に盛り込むよう求める意見が出た。(山本恭介)