熱弁をふるった海江田氏(左)だったが、日本維新の会の石原慎太郎氏はそっちのけで水をくんでいた

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熱弁をふるった海江田氏(左)だったが、日本維新の会の石原慎太郎氏はそっちのけで水をくんでいた

 民主党内で、海江田万里代表の交代論が再浮上してきた。11日に行われた安倍晋三首相との党首討論で存在感を発揮できず、新聞各紙に酷評されたのだ。集団的自衛権と歴史認識問題を絡めて安倍首相を批判していたが、その理屈は中国政府とうり二つで、党内の閣僚経験者も「安保世代の左派みたいだった」とあきれ果てている。

 党首討論翌日(12日)の新聞各紙の海江田評は痛烈だった。読売と産経が「海江田代表は不発」「海江田氏攻め、首相余裕の対応」と報じただけでなく、安倍政権に厳しい朝日までが「迫りきれぬ海江田氏」と突き放した。

 それも当然、海江田氏は日本の平和と安全をどう守るかという具体策も示さずに、「自衛隊が血を流すことがある」などと感情的反対論ばかり展開したのだ。

 加えて、海江田氏は、安倍首相が集団的自衛権の行使容認を目指す「本当の目的」として「(米国と)イコールパートナーシップ(対等な関係)になって、自由に靖国神社に行かせてもらいたい。先の太平洋戦争の問題についても、一切その歴史をひっくり返そうとしている」と指摘したのだ。

 これは、中国政府が安倍政権を批判する論理とよく似ている。

 例えば、中国外務省の華春瑩報道官は先月15日、定例記者会見で「(日本の集団的自衛権の行使容認は)歴史的要因もあり、日本の軍事領域での動向が地域の安全環境に影響するのは必至だ」と述べている。

 漢詩をそらんじる中国通の海江田氏だけに、中国政府の見解と重なってしまったのだろうか。

 海江田氏の代表任期は来年9月だが、昨年夏の参院選で惨敗した直後、1年以内に「目に見える成果を挙げる」と訴えて続投した経緯がある。

 このため、党内には「海江田氏が党員やサポーターに(1年間の)成果を説明すべきだ」(中堅議員)との意見がわき上がってきており、今後、「海江田降ろし」の動きが加速しそうだ。