安倍首相:法人税「数年間で20%台に」 財源明記せず

毎日新聞 2014年06月13日 21時31分(最終更新 06月14日 00時42分)

経済財政諮問会議を終えた(手前から)麻生太郎副総理兼財務・金融担当相と安倍晋三首相、甘利明経済再生担当相=首相官邸で2014年6月13日午後6時21分、藤井太郎撮影
経済財政諮問会議を終えた(手前から)麻生太郎副総理兼財務・金融担当相と安倍晋三首相、甘利明経済再生担当相=首相官邸で2014年6月13日午後6時21分、藤井太郎撮影

 安倍晋三首相は13日、法人税の実効税率(現在は約35%)について「数年間で20%台に引き下げることを目指す」と述べ、来年度から段階的に引き下げる方針を表明した。ただ、意見が分かれる減税財源については判断を先送りした。同日夕に開かれた政府の経済財政諮問会議では、法人税改革や、人口減少対策などを柱とした経済財政運営の基本方針「骨太の方針」の素案を決定。月末の閣議決定を目指す。

 首相は記者団に対し、「法人税は成長志向型に変わる。雇用を確保し、国民生活の向上につなげていきたい」と強調した。

 骨太素案では、実効税率引き下げの財源について「課税ベース(課税対象)の拡大等による恒久財源の確保をする」とし、財政規律を重視する自民党税制調査会や財務省の主張を反映させた。一方で、「アベノミクスの効果により日本経済がデフレを脱却し構造的に改善しつつあることを含め」検討する方針も盛り込んだ。景気回復による税収増への期待感を示し、税収の上ぶれ分を減税財源に充てるよう主張する甘利明・経済再生担当相らに配慮した形で、財源の議論は棚上げした。

 日本経済については「もはやデフレ状況ではない」とした上で、今後の課題として▽消費増税後の景気持ち直し▽経済の好循環の拡大▽人口急減・高齢化▽財政健全化−−の4点を指摘。人口減少問題では、2020年をめどに流れを変える改革を実行するとし、「50年後に1億人程度の安定した人口構造の保持を目指す」と明記した。省庁横断で取り組むために、司令塔機能を持つ本部を設置する。

 「子どもへの資源配分を大幅拡充する」として少子化対策の拡充を掲げ、仕事と子育て・介護の両立を進める企業への支援を行うとした。規制改革では、国家戦略特区について15年度までの2年間を集中取り組み期間に位置づける。

 財政健全化では、政策経費を国の借金なしにまかなえるかを示す「基礎的財政収支」を20年度に黒字化する目標を堅持。そのために、社会保障費などで「聖域なき見直しを行う」と訴えた。【小倉祥徳】

最新写真特集