【ニューヨーク=共同】国連は13日、イラン制裁違反を調べる安全保障理事会の専門家パネルの年次報告書を公表し、日本の東レ製の炭素繊維が中国からイランに向け出荷されたものの、イラン到着前に第三国で差し押さえられていたことを明らかにした。
炭素繊維は民生用にも使われるが、ウラン濃縮用の高性能遠心分離機に不可欠とされ、一定以上の品質のものは安保理決議に基づき輸出が禁じられている。日本の炭素繊維は高品質で知られ、イランが核開発のため入手を試みた可能性がある。
報告書は、遠心分離機の回転胴を製造するためイランが依然、高品質の炭素繊維の調達努力を続けていると分析。関係者は「日本は工作機械なども含め技術力に優れ、今後もイランが第三国を通じて日本製品調達を試みる可能性がある」と警告している。
報告書などによると、東レから中国へは適正な手続きで輸出されたが、2012年後半、7200キロがイランに転売され、船で輸送された。
押収された書類では、荷受人は個人名になっている。だが、記載されていた住所などは国連の制裁対象に指定されている企業の事務所と一致。この企業はイラン革命防衛隊とつながるとされる。
イラン、東レ