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 3日に公表された公的年金の財政検証(5年に一度、政府によって行われる年金の健康診断)では、積立金の運用利回りが名目5~6%で続くという見通しの甘いシナリオを除くと、給付額が現役世代の手取り収入の5割を切る(現在は6割強)などといった切実な数字が明らかになった。年金問題の本質は何か。経済学で読み解いてみよう。

 僕が子どもの頃、祖母は保険料を支払っていないのに、年金を受け取っていた。「おばあちゃんの年金はお父さんたちの保険料で賄い、お父さんたちの年金は彰彦たち次の世代の保険料で賄うんだ」と父から聞いて「ふうん」と思った記憶がある。

 「ネズミ講とどこが違うの」。「ネズミ講は人口が有限ならば、どこかで終わって最後のほうの人が損してしまうけれども、年金は常に次の世代がいるから終わりがないんだ」。これが年金の賦課方式だと分かったのはずっと後のことだ。