個人の趣向をdisるのはよくないと思います! というネット女子に帰りの会で責められそうな話題ですね。でも個人の趣向なんて普段から無意識にdisられているのに、記事にすると怒るのはなんでなんだろうね。
要は「俺とお前巡り合えたことマジ感謝」的な歌が嫌だっていうことなんだけど、ハードメタルやクラシック好きなんてブログで言及がないだけで、その辺いつも言われていると思うんだけどな。
「ロックってうるさいだけで、音楽とは思えない(笑)」
「バンドでコピー? やって何になるの(笑)」
「クラシック聞くと必ず眠くなっちゃうんだよね(笑)」
「ボーカロイドとかキモイ(笑)」
「ジャズ聞くの? オッサレー(笑)」
「ヒップホップとかDQNじゃん。カッコワリー(笑)」
「クラブハウス? DJがレコードきゅっきゅって奴でしょ(笑)」
「トランスってあのパラパラ踊る奴だよね(笑)」
「演歌好き? ダッサー(笑)」
「ホーミー? 何それ? 知らないんですけど(笑)」
モンゴル国ホーミー Arvan Tavnii sar khoomei - YouTube
いやホーミーかっこいいじゃん*1って話じゃない。 自分が好きなものをdisられたら気分が悪いのは誰だって一緒だと思う。でも、マイナーな音楽を聴く人は必ずこの道を通っていると思う。「音楽は何を聞きますか?」という質問が好きじゃない。「民族系」とか言うと説明を求められて「コンドルは飛んでいく、とか」と言っても「ふーん、マニアックだね」とか明らかに興味ないコメントで終わって「そっちが聞いてきたのに何たることだ!」という経験から「興味があれば何でも聞くよ」と答えるようにしている。誰かの大好きは誰かの大嫌い。上記の記事が市民権を得ていないボーカロイドやヴィジュアル系*2をdisっていたら何人が「個人の好き好きじゃん!」って注意したかな。その辺は気になる。誰かの嫌いや「は?」は華麗にスルーが基本だと思っていたんだけどな。
というわけで基本的に音楽に好き嫌いはないんだけど、たまに曲はともかく歌詞が残念だろ! というのは結構ある。どんなに愚痴っても大体が「たかだか歌詞に怒らないの」という反応なのですが勇気が出ました。ちょっと愚痴ります。以下「批判というdisは聞きたくない」「たかだか歌詞を深読みしてバカじゃないの?」という人は離れてください。
それはGIRL NEXT DOORの「七つの文字」。ラジオで流れてきたのを数回聞いたけど、こんなに許せないのはあんまりない。リリックを赤入れしたいというかなんで周りはこれでOKだしたのか問い詰めたい、小一時間ほど。
疑惑の歌詞はこちらから見てください。
「遠距離恋愛の気持ちを歌った女の子の気持ち」らしいですが、実体験だろうがなんだろうが歌詞として微妙すぎる。一番の台無しワードが「カフェラテ」。なんで男の車にカフェラテなんだよ。せめて缶コーヒーにしようよ。「だって彼氏*3は本当にカフェラテ好きなんだもん!」と言われても、売り物にする歌詞なんだからさ。自分の経験より世間的な捉え方を持ってこないとダメじゃん。いくらカフェラテ男子が増えたとはいえ、まだまだ「空想上の男は黙ってブラック一択」なんだよ。大塚愛の「Strawberry Jam」も甘党彼氏に甘える歌なんだけど、視覚だけでなく嗅覚や情景に訴える仕組みが成立していて甘党であることが効果的に使われている。それに比べて、何故「カフェラテ」でなければいけないのかサッパリ理由がわからない。「ドリンク」とかぼかしてあればわかるんだけど、「カフェラテ」ってはっきり明言しているってことは「カフェラテ」に深い意味があるって考えたほうが自然なんだけど、たぶん文脈的に深い意味はない。
あとサビの部分。車で来たんだから君は運転してるんだよね? 「優しい瞳見つめてほしい」ってそれ脇見運転じゃん! 普通事故るよね! 脇見運転推奨歌ですか!! そして極めつけが「会いたかったよが言葉にできない」とあるけれど、なんで? というところ。せめて何で言えないのか説明してくれ! さすがに共感するには情報が足りない! ドキがムネムネしていたの? それとも遠距離はやっぱり無理って別れ話でも切り出そうとしていたの? カフェラテの部分とか削って心理描写してー!
そもそも売り物の歌詞って難しい。思いついた言葉を並べればいいってものでもなく、きちんと配置や韻も考えないといけない。「だって実際感じたことを書いたんだもん!」というのはわかるけど、一応売り物にする歌なんだよ? 大衆の共感を得ないといけないんだよ? 自分の独りよがりな感性じゃダメなんだよ。「他の人が聞いたらどう思うかな」「この言葉じゃ足りないかな」とかいろいろ考えて言葉を選ばないと。
一応この歌の説明として「リアルな恋愛観」*4が背景にあるって言っているけど、リアルというよりただの日記だと思う。そりゃ日記だからリアルになるだろうさ、現実に思ったことしか書いていないんだから。でも、個人の体験を共有するためには説得力が大事で、この歌詞に欠けているのは「何でそう思ったの?」というところだと思う。正直遠距離恋愛は長いことした身だけど、「会いたかったよ」が言えなかった心理がわからない。作詞者が聞き手に共有を求めていないから、バックボーンを想像させてもらえない。つまり「メロディのついた日記の読み上げ」じゃんとしか思えない。「わかる人だけわかってください」ということなんだろうか。ああなんてケータイ小説的。そんなのお金払って聞くならまだしも、公共の電波で流さないでくださいよ。
一応ボーカルの子の単独初作詞ということで「じゃあ他はどうなんだろう。これは初めてだったから仕方がない」と思って少し単独作詞を覗いてみたけれど、「どうして任せようと思ったのか」という感想しかなかった。今となっては何も言えないけれども……。
あと最近アニメ化した名前を言ってはいけない歌の歌詞もかなりイライラするけど、名前を出すとすげぇのが召喚されちゃうから言わない。それともアレも某ジャンルみたいに「歌という名前の進化した何か」なんだろうか。その辺も言及するとモーニングスターぶん回す集団がやってくるからこの辺にしておく。