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 妊婦の血液から胎児の染色体異常を検査する新型出生前診断で、異常の疑いを示す陽性と判定された妊婦2人が、確定診断を受けないまま人工妊娠中絶をしていたことがわかった。この検査は、陽性でも実際には異常がない場合があり、健康な胎児が中絶された可能性もある。

 新型出生前診断は、35歳以上の妊婦らを対象にした臨床研究として、昨年4月から始まった。異常がないのに陽性と判定される「偽陽性」が出るため、異常の有無を確定させるには、妊婦の羊水を調べる必要がある。この妊婦2人はいずれも、新型出生前診断を受けた病院とは別の医療機関で中絶していた。

 日本医学会の担当委員長である福嶋義光・信州大教授は「あってはならないこと。検査の意味を正しく理解してもらうため、何らかの対策が必要だ」と話している。