シベリア抑留資料、記憶遺産候補に選定 東寺百合文書も
日本ユネスコ国内委員会は12日、世界各地の貴重な歴史資料を保護する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「記憶遺産」への登録を目指し、京都府立総合資料館が所蔵する国宝「東寺百合文書(ひゃくごうもんじょ)」と京都府舞鶴市のシベリア抑留、引き揚げ関連資料の2件を正式に申請すると発表した。近くユネスコ本部(パリ)に結果を伝え、早ければ来年5月ごろにも登録の可否が決まる。
舞鶴市の舞鶴引揚記念館が所蔵するシベリア抑留関連資料は、過酷な収容所生活を樹皮に記した「白樺日誌」や、抑留者を待った「岸壁の母」の手紙など約570点。手紙や絵画などの多様さや十分な保存環境のほか、姉妹都市のロシア・ナホトカ市の協力を得るなど広く重要性が認識されている点を評価した。
東寺百合文書は、奈良から江戸時代にかけての古文書約2万5千点。足利義満の直筆や織田信長の「天下布武」の印が入った文書などを含む。1000年以上にわたる優れた記録であるだけでなく、デジタル化が完了していることも理由に挙げた。
記憶遺産は2年に1度、1カ国2件まで審査される。
申請は団体や個人が自由にでき、今回は奈良県の奈良人権文化財団と京都市の崇仁自治連合会の共同による「全国水平社創立宣言」、鹿児島県の特攻隊員の遺書も申請された。
このため、ユネスコ本部が2件に絞り込むよう求めていた。
【 2014年06月12日 23時51分 】