東京に行った日は大雨でした。電車が遅れたり、うんと久しぶりの満員電車でとってもくたびれたりした。でも、親族の行事があったり、沢山の友人と会えたり、美味しいものを食べたりして、それはそれで楽しい時間を過ごしたの。でも実は、そのあいだずーっと、歯が痛かった。
出発の前日、ミルクセーキを見つけて嬉しくて3袋も買った。あれは実に美味しい。それをパリパリ食べていたら、嫌な音がして詰め物がとれてしまった。悔しくてそのあと全部食べたけれど、痛くて痛くて、主人に教えてもらった「歯が痛くなくなるツボ」をぎゅうぎゅう押しながら出掛けたのでした。
帰ってきてからもご用事が続いて、きのう奈良に鍼治療に行った。1ヶ月に一度、主人と友人の車に乗せてもらって向かう。主人と先生は同級生で幼なじみだし、私のことも学生のころから可愛がってくれている。それに痛いところも必ず一緒に治してくれると知っているから、怖がりの私も何にもこわくないの。
治療はひとりずつ順番で、待っている2人、また人が交代して違う2人の時間になる。まるでゲームのようだな、と思う。全員終わって、4人で少しお喋りする。外では鶯が鳴いていて、気持ちいい風が吹いていた。
けれど、ふと気がついてしまった。
「あのね、歯がいたいの」
「歯は、仕方ないねえ」
僕も通っているよ、と先生が言うので心底がっかりした。何でも治してくれる先生なら歯も治せる気がするんだもの。
「明日、行かなくちゃだめかしら。。」
「早い方がいいだろうね」
あーあ。。と思ってしょんぼりしていると、
「そういえば歯医者さんにきいたのだけど、歯を抜こうとして顎の骨がついてきたことがあるらしいよ」
3人とも固まった。先生は慌てて、「もちろん、ちょっとだろうけどね」という。顎の骨がちょっとついてくるなんて!!だめだ、そんなことになっては耐えられない。舌で歯をさわりながら、何とかならないかしらと祈るような気持ちでいました。
ところが、今朝。
お仕事が終わって相手の方とお喋りをしていたら、美味しいお茶とお菓子が出てきた。それを頂いた瞬間に、歯が割れてしまった。(・・!!!)どうしよう、この場を切り抜けなくっちゃ・・・
と思っていたら、背中にいっぱい汗をかいて目が覚めました。お水を飲んでから、舌でおそるおそる歯をさわるとちゃんとあって、心底安心しました。隣で主人が、やすらかな寝息をたてているあいだに、意を決して歯医者さんに電話をかけました。
治療は、あっという間でした。でも、途中ずっと(麻酔の注射が痛かったらどうしよう、それに顎の骨がとれたら・・・)とぎゅっと緊張しどおしでした。
「歯が3分の1割れてしまっていますから、そこをとりますね」
と言われたときには、(これはもう、だめだ・・・)と泣きそうになったけれど、耐えられるくらいで終わったから、本当にほっとしました。それから綺麗に治してもらって、ちょっと誇らしいくらいの気持ちで先生にお礼を言いました。診察室を出ようとして、ふと気になって振り返ると、先生のお机には、私の歯がまだありました。しばらく考えたけれど、どうしても何だか気になって、お会計のときに先生にその歯を持って帰っていいかしらと出来るだけ控えめにお願いしました。先生は笑って快諾して下さり、
「はい、どうぞ!」
とこんなに可愛いケースにいれて下さいました。
乳歯を抜いた子どもに、このケースにいれて渡すそうです。きっとこのピンクのひもを首からネックレスみたいに下げて大事に持って帰るのね。素敵なアイディア!!!
なんだかとっても嬉しくて、大切にもって帰りました。主人に自慢したけれど、中身は怖がって見てくれなくて、「そんなの歯の棺だ」と言うばかりでちょっと残念。。でも、いいの!!ああ、歯が痛くないって素晴らしい!!!