仏学者ピケティ氏:福祉国家抱える北欧での所得格差拡大を警告
6月13日(ブルームバーグ):世界でも有数の平等主義の社会を誇る北欧諸国。しかし、パリ経済学院で教授を務め、ベストセラー「Capital in the Twenty-First Century(21世紀の資本論)」の著者である経済学者のトマ・ピケティ氏は、所得格差拡大のペースが加速しているとして警鐘を鳴らした。
ピケティ氏(43)は12日、ヘルシンキで記者団に対し、「所得格差について懸念し始めるのに、米国と同程度に拡大するまで座視する必要はない」と語った。
スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドの各国は第2次世界大戦後、貧富の格差を縮小し、医療や教育といった公共サービスを無料で提供することで社会的結合の強化を図るため、所得移転を活用して福祉国家を建設してきた。
しかし、経済協力開発機構(OECD)は2011年の報告書で、21世紀に入って、北欧とドイツといった伝統的に所得格差が比較的小さい国でも拡大が見られたと指摘。トップ10%の賃金が中間層よりも急ペースで上昇したことが一因だとした。
ピケティ氏は、世界の富の不平等拡大を「このままにしておく必要はない」と主張した上で、「相続時の課税と、不動産や資産に基づく個人の生涯の課税についてバランスを見出さなければならない」と語った。
原題:Piketty Warns Scandinavia of Growing Income InequalityRisk (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ヘルシンキ Kasper Viita kviita1@bloomberg.net;ヘルシンキ Kati Pohjanpalo kpohjanpalo@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Jonas Bergman jbergman@bloomberg.net;Tasneem Hanfi Brogger tbrogger@bloomberg.netTasneem Hanfi Brogger
更新日時: 2014/06/13 16:26 JST