これって、このニュースだけでは分からんと思うが……。
不可能とされた名刀の地紋再現に成功 奈良・吉野の刀匠、刀剣界最高賞を受賞
2014.6.13 10:52
古代刀剣「七支刀(しちしとう)」(国宝)の復元を手がけた奈良県無形文化財保持者の刀匠、河内國平(くにひら)さん(72)=同県東吉野村=が、現代では不可能とされた鎌倉~室町時代の名刀が持つ地紋「映(うつ)り」の再現に成功、刀剣界最高の「正宗賞」を受賞した。専門家は「不可能とされた現代の材料で再現する技術を持つ唯一の刀匠だ」としている。
まあ、凄いって事は分かると思う。
さて、支那とか韓国のネタばっかりだと胸焼けがするので、偶にはこうちょっとイイ話を。僕も日本刀に詳しいわけじゃ無いんだが。
「映り」は、刀の強度を高めるための特殊な熱処理で発生する、鎌倉から室町時代の名刀にみられた地紋。江戸時代以降には絶え、現代の日本刀の材料「玉鋼(たまはがね)」では、再現不可能とされていた。
日本刀を作る技術というのは、実は鎌倉時代に完成され、現代では衰退の一途を辿っている。
それでも、現代日本でも細々と日本刀は作られ続けている。
そもそも、日本刀と呼ばれる刀剣類は世界でもちょっと珍しい部類の刃物であり、日本固有の鍛治製法によって作られている。
刀剣類は古墳時代から青銅製のものが出土するように古代から作られてきたが、現代の日本刀の形になったのは平安時代末期。反りと呼ばれる片刃の刀剣の形となってそれが主流になった。
まあ、こんな感じの刀剣類を日本刀と呼ぶ訳である。
とはいえ、片刃の刀剣類な結構世界にもある。有名所で、アトラス、ククリ、シミター、サーベル、タルワール、青竜刀辺りか。
なお、日本にも反りの無い刀、忍者刀(実際に忍者が携帯していたかは疑わしいという説もある)や合口など、が存在する。
さて、そんなわけで、現代では余り作られなくなった日本刀だが、そのお陰で製造技術も失われつつある。
その内の1つが「映り」だ。ロストテクノロジーだと言われていた部類の話である。
では、「映り」とは何なのか?
日本刀独特の模様として、「刃紋」と呼ばれる波模様がある。
この刃紋(刃文とも書く)は日本刀独特の模様で、焼き入れの工程で刀身に現れるシロモノである。写真の刃文意外にも色々種類がある様で、そこまで言及するような知識は僕には無いので割愛する。
で、その付近に地斑と「映り」が現れるのだとか。
この白く波形になっているのは「映り」だ。下から刃中、刃紋、地斑、映り、黒帯、となる。
ちなみに、現代の日本刀の製造方法は、古来から伝わる製法とは異なるそうな。幕末以降、新刀の工法が採用され、「映り」を再現するような技法は失われてしまったと言われている。
尤も、美しさだけを追求するようになってしまった現代の刀匠達にとって、刀に性能を求めているかどうかは正直怪しいと思う。
同協会の石井彰・学芸員は「驚くべき画期的な成果。現代の刀匠では、太刀に映りを再現させる技術を持つただ一人ではないか」と評価。河内さんは「刀鍛冶の鎚(つち)を振るようになって半世紀が過ぎようとしているが、ようやく約40年来の夢が実現した。さらに技術を磨き、正宗や一文字に負けない歴史に名を残す名刀を生み出したい」と話している。
だから、日本刀に「映り」が出る製法が分かったところで、それが素晴らしい事と喜ぶべきか否かは、僕としてはちょっと迷うところだな。
美術品としては一級でも、日本刀として一級なのかは不明だからだ。まあ、日本刀は武器としての意義を失って久しいので、美術品としての価値を高めると言う事は、あるべき姿だと言えるのかも知れないが。
とはいえ、このような失われた製法の1つを掘り起こしたということそのものには、敬服の念を抱かざるを得ない。
刀鍛冶そのもののの技術が失われることは、やはり勿体ないと思うので、こうした分野の人々にも頑張って欲しいと思う。