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 日本の造幣局(大阪市)が、海外の貨幣製造を相次いで受注している。今年は東南アジアにある小国ブルネイの記念貨幣を製造。電子マネーなどに押されて国内向けの製造枚数が減るなか、製造スタッフの高い技術力を武器に、ビジネスとして軌道に乗せることを狙う。

■「節目」狙い記念貨幣受注

 「ぜひ日本との外交樹立30周年を記念する貨幣を造りませんか」

 昨年2月、ブルネイの首都・バンダルスリブガワン郊外にある財務省のビルの一室。造幣局海外業務課の小松雅彦さん(41)は、同国の通貨金融庁幹部2人にゆっくりとした英語で「プレゼン」した。同国はこれまで、記念貨幣の製造はシンガポールの造幣当局に発注していた。

 美しい山の風景がカラーで描かれた「日本・ニュージーランド友好記念銀貨幣」、見る角度で色が変わる「IMF・世界銀行年次総会記念銀貨幣」――。造幣局が手がけた貨幣を手に取った幹部から、「ビューティフル」と声が漏れた。半年後、「日本ブルネイ外交関係樹立30周年記念銀貨幣」5500枚の受注が決まり、今年製造した。

 貨幣にあるボルキア国王の自筆署名には、直径0・1ミリに満たない「点」がある。ブルネイ側からは「ここは表現できなくても仕方がない」と言われていたが、造幣局の精密な鋳型で実現。国王の肖像画も鮮やかにカラー印刷された。ブルネイの担当者は、「これまでの貨幣で一番良い出来だ」と喜んだという。

 ブルネイは人口約40万人の小国だが、石油と天然ガスに恵まれて財政は潤っているうえ、王室は日本の皇室とも交流がある。小松さんは外務省などから、日本と国交がある国がいつ「節目の年」を迎えるかといった情報を集めており、ブルネイは2012年から注目していたという。