Updated: Tokyo  2014/06/13 22:28  |  New York  2014/06/13 09:28  |  London  2014/06/13 14:28
 

安倍首相:法人実効税率を来年度から引き下げ-数年で20%台へ

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  6月13日(ブルームバーグ):安倍晋三首相は13日午後、官邸で記者会見し、法人実効税率を来年度から数年間で20%台に引き下げる方針を表明した。アベノミクスの第3の矢となる成長戦略の柱として月末に政府が策定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に明記する。詳細は年末の来年度税制改正で検討する。

安倍首相は法人実効税率について「数年間で税率を20%台に引き下げることを目指し、来年度から開始する。財源もしっかりと確保する」と発表。「骨太の方針に明記し、明確なメッセージを出していきたい」と述べるとともに、「日本の法人税は成長志向型に変わる。雇用を確保し、国民生活の向上につなげていきたい」と語った。

現行の法人実効税率は35.64%。諮問会議の民間議員は税率を10%引き下げ、アジア近隣諸国並みの25%程度にするよう提言した。これに対し、財務省は税率1%につき約4700億円の税収減につながるとし、難色を示していたが、「20%台」という玉虫色の表現で決着した。

菅義偉官房長官は同日の定例会見で「数年間」との表現について「できるだけ早い方がいいと思う。財源の手当てなど必要な検討が整い次第という形になる」との見解を示した。

安倍首相は9日の国会答弁で「経済の成長を進めていく上で、来年度から法人税の引き下げに着手していく」との方針をすでに表明。これを受け、政府・与党間で詰めの調整が行われていた。この日の会見に先立ち、安倍首相は麻生太郎財務相、甘利明経済再生相、野田毅自民党税調会長らと会談し、最終決断した。

13日夜の経済財政諮問会議では提示された骨太方針の素案では法人税改革について「法人実効税率を国際的にそん色のない水準に引き下げる」とした上で、「数年で20%台まで引き下げることを目指す。この引き下げは来年度から開始する」と記した。

くすぶる財源問題

財源は政府の2020年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化目標との整合性を念頭に、「課税ベースの拡大による恒久財源を確保し、年末に向けて議論を進め、具体案を得る」としている。

財務省や自民税調は財源について租税特別措置や外形標準課税などの見直しによる課税ベース拡大で捻出した恒久財源の確保を掲げている。一方で、甘利再生相や諮問会議の民間議員はアベノミクス効果による税収の上振れ分を充てるよう求めている。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストはブルームバーグ・ニュースに対し、財政赤字が急増している中で「代替財源確保は当然の前提だ」とした上で、「成長に伴う増収で税収を埋めるのはよくない。期待先行で不確実な財源だ」と指摘する。

また、黒田東彦日銀総裁も同日の金融政策決定会合後の記者会見で、法人減税について「恒久減税については恒久的な財源の措置が必要だ」と発言。さらに、「持続可能な財政構造を確立することは財政にとって重要であるだけでなく、日本経済が持続的な成長を達成していく上で必須の前提だ」と述べた。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net;東京 岩本正明 miwamoto4@bloomberg.net;東京 高橋舞子 mtakahashi61@bloomberg.net

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net;東京 岩本正明 miwamoto4@bloomberg.net;東京 高橋舞子 mtakahashi61@bloomberg.net記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net中川寛之, 谷合謙三

更新日時: 2014/06/13 20:06 JST

 
 
 
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