東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 速報ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

集団的自衛権 72年見解転換 行使3要件 自民提示

2014年6月13日 13時58分

写真

 安全保障法制の見直しをめぐり、自民、公明両党は十三日午前、国会内で六回目の協議を開いた。座長の高村正彦自民党副総裁は「他国に対する武力攻撃が発生し、(日本の)国民の生命、自由などが根底から覆されるおそれがある」場合には、集団的自衛権行使が認められるとする憲法解釈変更の私案を示した。集団的自衛権行使は認められないとした一九七二年の政府見解から大きく転換しており、公明党は難色を示した。

 「たたき台」と題した高村氏の私案は三要件で構成。自衛権行使が認められるのは「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」と定義した七二年の政府見解を独自に解釈した。

 政府はこれまで自衛権の発動を、日本に対する急迫、不正の侵害があった場合の個別的自衛権に限定していた。高村私案は、他国に対する武力攻撃が発生した場合でも「わが国の存立が脅かされるおそれがある」とし、それを排除するための集団的自衛権は行使可能とした。公明党は、高村氏の私案と過去の政府見解に論理的な整合性があるかどうか慎重に検討する。

 会合で、高村氏は私案を「閣議決定案の核心部分に当たる」と説明。一方、副座長の北側一雄公明党副代表は「十分でない点がある」と指摘した。

 北側氏は、党内で集団的自衛権の限定容認論が浮上していることを踏まえ「憲法解釈の見直しが一切だめだとは言わない。(だが)限界はあり、それを超える場合は憲法改正手続きをとるのが法治国家として当然だ」とも述べた。

 高村氏は、行使容認の閣議決定案を十七日の次回協議で示すよう政府側に要求。北側氏は「もう少し時間がかかる」と反発し、両党間で引き続き調整することにした。安倍晋三首相は十三日昼、官邸で高村氏、自民党の石破茂幹事長と会談。高村氏の私案について「その線でやってもらいたい」と説明。閣議決定時期に関しては「今国会の会期内にできるよう全力を尽くしてほしい」と求めた。

 <1972年見解> 田中角栄内閣が1972年、自衛権に関して示した。「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」には「自国の平和と安全を維持しその存立を全うする」ために自衛権の発動は許されるとした。一方で「平和主義を基本原則とする憲法が、自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない」とも明記。自衛権行使が認められるのは「必要最小限度の範囲にとどまるべきもの」とし武力で他国を守る集団的自衛権は憲法上認められないとした。その後の歴代政権もこの見解を維持してきた。

(東京新聞)

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo