性同一性障害:学校に相談606人 文科省初調査
毎日新聞 2014年06月13日 20時14分(最終更新 06月13日 20時44分)
「性同一性障害」であると悩み、学校に相談している児童生徒が全国で606人いることが文部科学省の調査で分かった。この障害に関する文科省の調査は初めて。本人が自認する性別の制服着用を認めるなど特別な配慮をしている事例は6割にとどまった。同省は今後、専門家の意見を聞いた上で、対応・指導に生かせる資料を年度内に作成する。
調査は昨年4〜12月、各都道府県教委を通じて、全ての国公私立の小中学校、高校、特別支援学校を対象に実施した。学校が把握した事例だけのため、実際に同障害に悩んでいる児童生徒は606人より多いとみられるが「実数は不明」(児童生徒課)という。
606人のうち、257人が医療機関で受診し、165人が性同一性障害と診断された。戸籍上は男性だが「女性」を自認する児童生徒は237人(約4割)。戸籍上が女性で「男性」を自認するのは366人(約6割)。学年・学校種別では小学1・2年26人▽同3・4年27人▽同5・6年40人▽中学110人▽高校403人。
学校による特別な配慮の内訳(複数選択)は、トイレ(職員トイレの利用を認めるなど)41%▽更衣室(保健室や多目的トイレでの着替え)35%▽制服(自認する性別の制服着用)31%−−のほか、自認する性に合った通称名を使う事例もあった。配慮していない理由は今回の調査では聞いていないが、同課は「子供の方が配慮を求めていないケースもあれば、対応に悩んでいる学校もある。専門家の意見を聞き、対応を検討したい」と話している。【三木陽介】
【ことば】性同一性障害
身体的な性別と心理的な性別が一致せず、強い違和感に苦しむ疾患。2004年に施行された特例法は、複数の医師に基づく診断が必要としている。精神科的な治療だけでは改善は困難とされ、多くが男性・女性ホルモンの投与を受けている。成人は条件を満たせば戸籍の性別変更が認められる。