Updated: Tokyo  2014/06/13 21:06  |  New York  2014/06/13 08:06  |  London  2014/06/13 13:06
 

黒田日銀総裁:恒久減税は恒久的な財源が必要なのは当然-法人減税

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  6月13日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は13日午後の定例記者会見で、安倍首相が表明した法人減税について「恒久減税については恒久的な財源の措置が必要」との見方を示した。

法人税減税が経済に与える影響について「法人税減税の部分だけ取った場合、それが設備投資や研究・開発への投資を促進し、経済成長にとってプラスになるだろうという分析結果は一般的に認められている」としながらも、「他方で、その部分だけとってみるというのは、現実の政策としてはない」と述べた。

その上で、「財政赤字が拡大したらどうするかとか、あるいは財政赤字が拡大しないように代替財源を例えば具体的に何かの税を増税するとか、歳出をカットすることになれば、そちらの影響も勘案しないといけない」と指摘。「それら全体として勘案した場合にどういうふうになるのかは、そう簡単ではない」と語った。

財源については「恒久減税については恒久的な財源の措置が必要であるというのは当然だ」と指摘。巨大な赤字を抱える財政の再建についても「持続可能な財政構造を確立することは財政にとって重要であるだけでなく、日本経済が持続的な成長を達成していく上で必須の前提だ。これは国全体として取り組みべき課題だ」と語った。

安倍晋三首相は13日午後、官邸で記者会見し、法人実効税率について「数年間で税率を20%台に引き下げることを目指し、来年度から開始する。財源もしっかりと確保する」と発表した。

15年になったらやめるということない

日銀が量的・質的金融緩和について、今年末までしかマネタリーベース残高の見通しを示していないことについて、目標が達成されるまでは、15年1月以降も現在の資産買い入れを続けていくのか、という質問も出た。

総裁は「カレンダーで何月までと決まっているのではなく、オープンエンドで、あくまで2%の物価目標の実現、そしてそれを安定的に持続するため必要な時点まで続けることに変わりはない」と指摘。「15年になったら2%に達してないのに、あるいは安定的に持続する状況になってないのに量的・質的緩和をやめるということはない」と述べた。

白井さゆり審議委員は5月29日の講演で、消費者物価指数(除く生鮮食品)前年比について、2016年度までの「見通し期間の終盤にかけて2%に達している可能性が高い」として、目標達成の時期が日銀の中心的な見通しより1年程度、後ずれするとの見方を示した。黒田総裁の会見では、その場合でも追加緩和は必要ないのか、という質問が出た。

目標達成が後ずれなら追加緩和か

総裁はこれに対し、日銀政策委員の太宗の見方として「16年度までの見通し期間の中盤ごろ、15年度を中心とした時期に、物価目標である2%に達する可能性が高い」との見通しをあらためて示した上で、「今申し上げたように幅はある」と指摘。

その上で、「そういった見通しと違った、上振れでも下振れでも、上下双方向のリスクが出てくれば、当然、ちゅうちょなく政策についての調整を行う。この点についても、政策委員の方々の考え方は大方一致していると思っている」と述べた。

黒田総裁はじめ日銀幹部が最近、潜在成長率引き上げの重要性を繰り返し表明していることについて、潜在成長率が上がらないと物価が上がらないと日銀が考え始めたのではないか、という声が市場では聞かれるがどうか、という質問も出た。

総裁は「それは間違った見方だ」と指摘。「私どもは成長率が下がると物価目標が達成できないとは考えていない。あくまでも量的・質的金融緩和を着実に推進することによって、2%の物価目標は達成できるとみている」と述べた。

一方で、「物価上昇率は2%を達成するが、実質成長率は低いままだというのは好ましくない」と指摘。「予想以上のスピードで労働需給がタイトになり、GDPギャップが縮小してきているので、中長期的にみて成長率を高めていくための政府、民間の努力は極めて重要だ」と述べた。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net淡路毅, 持田譲二

更新日時: 2014/06/13 18:12 JST

 
 
 
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