【辞書】関数 `f(x)` の意味と、 `y`の値

そもそも、「関数」とはどういう意味でしょうか。
中学校で一次関数、高校では二次関数を始め様々な関数を学びますが、
実は「関数」という言葉の意味があいまいになっている方も多いのではないでしょうか。
このページでは、「関数」というものについて、わかりやすく解説します。
関数とは、値を変換するルール

ずばり答えから入ると、「関数」とは、「値を変換するルール」と言い換えることができます。
例えば、一次関数 `y = 2x +1` は、
1という値を3に変換する
2という値を5に変換する
3という値を7に変換する
・・・
というように、値を変換するルールだと言い換えることができます。
ちなみにこの例では、変換された後の値( `y` の値)が分かれば、
逆算して元の値( `x` の値)を定めることができます。
`x`の値1つに対して、変換後の `y` の値が1つずつ対応しているので、これを「1対1の対応」と言います。
次に、二次関数の例を見てみましょう。
二次関数 `y = x^2` は、値を次のように変換します。
1という値を1に変換する
2という値を4に変換する
-2という値を4に変換する
・・・
これも、値を変換するルールだと言い換えられます。
ここでさっきの一次関数と違うのは、2と-2のどちらを入れても4に変換されているということです。
言い換えると、「変換された結果が4である」という情報だけでは、
元の値が2なのか、-2なのか、見分けることはできないのです。
いくつかの`x` の値から同じ結果 `y` が得られることから、これを「多対1の対応」と言います。
関数ではないもの

右の図は、 `y^2 = x` のグラフです。
このグラフは、例えば `x = 4` のとき、 `y = 2, -2` の2つの可能性があります。
このように、値を入れても、変換結果が1つに定まらないものは、
「関数」とは言いません。
`x`の値1つに対して、変換後の `y` の値が複数対応しているので、
これを「1対多の対応」と言います。
ちなみに、詳しくは触れませんが、「多対多の対応」もあります。
例えば、 `x^2 +y^2 = 1` (円の方程式)などが挙げられます。
これも、「関数」とは呼びません。
「関数」とは、値を別の値に変換するルールである。
変換結果が一つに定まらないものは、「関数」とは言わない。
「値を変換するルール」といちいち書くのは面倒なので、 `f(x)` と書く

さて、これまで、「関数とは値を変換するルール」という話をしてきました。
これをいちいち書くのは面倒だと思いませんか?
何回も使うものは、全世界共通の省略記号があった方が便利です。
そこで、「変換する元の値」を `x` と書き、「変換するルール」を `f(x)` と書くことにしました。
これを使うと、例えば「2という値を変換した結果」は「 `f(2)` 」と非常に短く表せます。
なので、もし「 `f(2) = 4` 」などと書いてあったら、頭の中で
「2という値をこのルールに従って変換したら4になるんだな」と思ってください。
`f(x)` でもまだ長いので、`y` と置く

人間、慣れてくるとどんどん楽をしたくなるもので、`f(x)` と書くのも面倒になることがあります。
`x = 1` のとき `f(x) = 3`
これですら面倒に感じた人が、「`y = f(x)` と置けばいいじゃないか」と考えました。
これなら、
`x = 1` のとき `y = 3`
と表せます。
みなさんは、これを見たら、頭の中で
「1という値を `f(x)` というルールに従って変換したら3という値になり、それを `y` と置いているんだな」
と思ってください。
「関数の値」とは、「ある値をルールに従って変換した結果」のこと。
変換結果を `y` と置くので、「関数の値」と「 `y` の値」は同じ意味。
ちなみに、`f(x)` の「f」は、関数の英訳である「function(ファンクション)」の頭文字です。
世界共通の方が便利なのでみんな `f(x)` を使いますが、特に何でもかまいません。
また、1つの問題で複数の関数が出てくるときは、
出てきた順に `f(x), g(x), h(x)` などと表すことが多いです。