C型肝炎治療の現状と今後の動向について ~今、患者はどうすればよいのか~

2014-03-03

皆さんこんにちは、

C型肝炎経験者です。患者としての長年の治療経験と学習をもとに、患者の皆さんの相談に応じています。皆さんからいろいろ相談がありますが、C型肝炎の病気の本質や肝がん発症との関係などが充分皆さんに伝わっていない部分があるようです。ましてや、日進月歩の治療の情報はリアルタイムに正しく伝わっているとは云えないようです。日常の仕事や雑事で病気のことを調べるとか、新情報に接することができない事情の方も多いのではないかと推察しております。

そこで、よくある質問に対する一般的なお答えになるかもしれないと思い、私の知り得た情報を「C型肝炎治療の現状と今後の動向」~今、C型肝炎患者はどうすればよいのか~と題して、患者目線で纏めましたので、「皆さんの声」欄に投稿させて頂きます。ここのところ、この病気の治療は目覚ましい革新が進行していまして、目が離せません。患者個人にとっては、最新の医療情報を踏まえて、将来の新薬の動向も視野に入れて自分のベスト治療を考えなければならない状況になって来ました。この投稿がいささかでも皆さんの今後の治療のご参考になれば幸いです。

平成26年3月3日  投稿者:SS

「C型肝炎治療の現状と今後の動向」
~今、C型肝炎患者はどうすればよいのか~

投稿者:SS

◎C型肝炎治療の基本と背景について

まず、基本として、私達患者が治療を受ける上で大事なことは、肝臓病の専門医と相談の上、その個人にとって最新のベスト治療をすることです。最近の治療法の進歩は、速く、且つ目覚ましいものがあります。それだけに、病院間格差や一般内科医と肝臓専門医の最新知識の格差ができやすいとも云えます。患者の立場で云えば、病院・医師の選択も医療の内で、結果を左右する大変重要な第一ステップであります。
(関心のある方は→全国の専門病院・専門医一覧 をご覧下さい。)

次に、日本における最新の治療の基本は「C型肝炎治療のガイドライン」でありますが、最新版2013年第2版は、昨年11月に日本肝臓学会よりのホームページに発表されています。本文は74頁で、医療用語も多く、一般患者が読むには少し骨が折れますが、関心のある方は読んでみてください。
(→「2013年C型肝炎治療のガイドライン(第2版)」)

更には、続々開発される新薬の認可に伴って、治療の目標や方法は日進月歩で変化しています。医療本に書いてあることは、この進歩に追いついていないことも多く、最新の治療法は更に進んでいます。患者としては、最新の医療情報を知ると共に、新薬の治験などの将来動向も視野に入れて治療法を選択することが求められています。主治医に任せきりではなく、患者自身も最新の知識を身につけ、将来動向も含めて、その時点でのベスト治療を受けることが大事です。

◎C型肝炎治療の現状と今後の動向について

〇新しい治療法、第二世代3剤治療法が平成25年12月6日より適用実施され、同時に国の医療助成制度の適用も認可されま した。これに伴い、現在は第一選択治療として、ペグインターフェロン・ リバビリン(ペグ・リバ)+シメプレビル3 剤治療が推奨されています。 難治型(1型・高ウイルス量)患者にとっては、現状では、抗ウイルス療法として、まずこの治療を選択するのが基本です。

☆シメプレビルは1日に1錠で、この薬そのものの副作用は殆ど無いとされています。
ビリルビンが上昇することがあるが治ると云われています。但し、副作用はペグ・リバ治療と同等であり、これに留 意しなければなりません。

☆3ケ月3剤の後、+3ケ月ペグ・ リバ2剤で治療を継続する。合計6ケ月治療です。
期待効果は、初回治療の患者及び前回ペグ・ リバ治療で再燃の患者は著効率90%、前回ペグ・ リバ治療で無効の患 者は50% と云われています。

〇今年の夏から秋には、飲み薬のみの画期的新薬の認可が見込まれ、期待されています。

☆ブリストルマイヤー ズ製の経口薬「ダクラタスビル」と「アスナプレビル」です。 国内初のインターフェロンフリー療法 です。
著効率は高く、副作用は殆どないと云われています。インターフェロンを使わない内服薬2剤のみで治療できます。患者にとって負担が軽くて済みます。 今後、状況によって、この経口新薬が一気に広がる可能性があります。

*対象は、難治型である1型高ウイルスの肝炎・ 肝硬変患者です。
*著効率は80%~90%の高率が期待されています。副作用としてALTが上がることがあります。
*患者の遺伝子検査などで、変異株について事前検査は可能でありますが、可能な病院は限られています。
*変異株による耐性の問題は未知のことが多く、解明はこれからで、対処法もはっきり示されていません。

〇上記の経口新薬のみでなく、続々新経口薬が治験中であり、将来の認可が期待されています。
(興味のある方は→〝続々登場する新薬一覧表″をご覧ください。)

◎C型肝炎患者は、今どのように治療法を選択すればよいのか?

〇「今開始すべきか」、「次を待つべきか」、思案中の方からいくつかの相談を受けています。勿論、患者個人の諸々の 状況によりその答えは違ってきますが、難治型(1型・高ウイルス量の患者)について、次に治療の選択肢を述べ、ご参考に供したいと思います。

  1. 先ず、過去にペグ・リバ治療で“再燃”した患者又は初回治療患者は、シメプレビルの治療効果は著効率は約90%ですので、できるだけ早く、この3剤併用治療の開始をお薦めします。ペグ・リバ治療より著効率は高いが、副作用はペグ・リバ治療と同等です。副作用が忍容できそうであれば、この療法を受けるのが第一選択肢です。(血球、ヘモグロビン、血小板などの忍容性は医師により、自覚症状は耐えられるかどうかは患者個人の判断で決めることになります。)。初回治療の患者は、副作用は未知数なので、まずやってみることです。その後は主治医示唆にしたがって対処すればよろしいかと思います。できれば遺伝子検査などを受け、一定に予測をもって、専門医の指針によりこの治療に挑戦されることをお薦めします。
  2. ペグ・リバ治療経験者で“無効”だった患者は、できれば、患者個人の詳細な遺伝子検査を受け、専門医の診断によりこの治療を行うか、次の新薬を待つかを判断し、選択すべきでしょう。(一般的には著効率は50%程度で、他に比べ高いとは云えません。)
  3. 諸般の事情でシメプレビル治療ができない患者は当面、少量長期インターフェロン治療肝庇護療法(強力ミノファーゲンC注射・ ウルソ服用・ 瀉血等)で肝炎を抑えながら今年秋に認可見込みの経口新薬を待って治療することとなります。この新薬の著効率は高く、副作用は少なく、高齢でも適用可能と云われています。但し、この新薬を待っている間に肝炎や肝硬変の進行・重症化はあり得るし、肝がん発症のリスクもあります。新薬の著効率の期待値は高いのですが、ウイルスの変異耐性(効かなくなる)問題は残っています。

〇長年にわたるC型慢性肝炎・肝硬変患者、特に高齢者はいつ肝がんが発生しても不思議ではないので、一日でも早い治療が基本です。主治医と相談して、今一度、血液検査や遺伝子検査結果を評価し、且つ、自分の過去のペグ・リバ治療などの副作用に耐える力を予想し、シメプレビル治療ができそうであれば、この治療を開始することをお勧めします。もし、シメプレビル治療が必ずしも奏功しなくても、次の新薬治療はできますので、まずは、前向きにトライするという考えも一案です。しかし、事前検討で、シメプレビル治療が極めて困難という結論になれば、将来の経口新薬を待つことになります。いずれにしても、今シメプレビル治療を開始するのも、経口新薬を待つのも、夫々に、上述のメリットとデメリット(リスク)があることを十分納得の上で、「今ですか?」、「待ちますか?」、どちらを優先するかは最終的にはあなた自身の判断次第です。(以上)


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