STAP細胞:論文ではあり得ない染色体 研究員ら解析
毎日新聞 2014年06月11日 19時43分(最終更新 06月11日 23時49分)
理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーらが公開しているSTAP細胞の複数の遺伝子データに、STAP論文に書かれた作製法ではあり得ない染色体異常があることが、理研統合生命医科学研究センターの遠藤高帆(たかほ)上級研究員らの解析で分かった。見つかった特徴は、既存の万能細胞「胚性幹細胞(ES細胞)」に多く見られるため、専門家の間では「STAP細胞は存在せず、ES細胞だった可能性も出てきた」との声が上がっている。
論文では生後1週間のマウスから取り出したリンパ球を使い、STAP細胞を作製したと説明している。だが解析では、8番染色体が通常(2本1組)より1本多く3本ある「トリソミー」と呼ばれる状態だった。8番染色体がトリソミーのマウスは胎児の段階で死んでしまい、生まれてこないため、生きたマウスを使ったとする論文の記述と矛盾する。
一方、長期培養するES細胞では、8番染色体のトリソミーが生じやすい。菅野純夫・東京大教授(ゲノム医科学)は「解析結果を信じるならば、生きたマウスから作ったとは考えにくく、ES細胞をSTAP細胞として使った可能性もある」と話す。
これまでに、STAP細胞から作ったSTAP幹細胞の分析で、元のマウスと異なる不自然な特徴が指摘されているが、小保方氏側は「詳細はSTAP幹細胞を樹立した若山照彦氏(現・山梨大教授)に聞いてほしい」と反論していた。一方、STAP細胞は基本的に小保方氏が1人で作製していたとされる。小保方氏の代理人、三木秀夫弁護士は取材に「主治医より『静養に努めること』と指示を受けている」として回答しなかった。【須田桃子】