私はプールの小さな話をきっかけに、全てを悟ったように感じた。調べてみると、2010年の韓国政府のデータでは、韓国の小学校のプール設置率は1.3%(日本は84%)、中学は0.9%(日本は64%)となっている。ついでに体育館の設置に関しては、韓国の小学校は68%(日本は94%)、中学校は75%(日本は89%)であることがわかった。
考えてみれば、私たちは距離的にも文化的にも近い韓国人、中国人が、日々どんな学生生活を送っているのかについて、ほとんど何も知らない。両国の政治経済のニュースがこれほど大量に報道されているにもかかわらず、だ。
身近な日常生活に関することは、韓国人や中国人と結婚し、地元に密着して生活し、子どもを現地校にでも通わせていなければ、知る機会はない。日系企業の駐在員として、独立した経営者として、何年、いや何十年とその地で働いていても、「その国のコミュニティの一員」にならなければ、知らないことは山ほどある。自分はその道のプロだと思っていても、基本的なことであればあるほど、実は盲点になる……。筆者はそんなことに思い至った。
筆者はこの韓国の話から、以前取材した中国人の女性との会話を思い出した。昨年、私は著書『中国人の誤解 日本人の誤解』の取材のため、中国人の日常生活について取材して歩いていた。
給食はなく自宅に帰って昼食を食べた
想像以上に貧しかった中国の子どもたち
筆者は韓国よりもずっと長い間中国を取材してきたので、中国についてはもう少し詳しいつもりでいたが、彼らの日常生活について、改めて根掘り葉掘り聞く機会はほとんどなかった。「取材以前」の話のように思えて、いちいち聞けなかったからだ。だから、中国人の学生時代について知るにつれ、「えーっ? そうなの?」と驚くことが何度かあった。