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<法人減税>財源「玉虫色」火種に…政府・与党実質合意

毎日新聞 6月13日(金)7時31分配信

 安倍晋三首相が強い意欲を示してきた法人税改革は、13日に素案をまとめる経済財政運営の基本方針「骨太の方針」で、税率引き下げを明記する一方、意見が対立した財源はあいまいな表現にすることで事実上決着した。年末の税制改正論議に向け、政府・与党内に大きな火種を残した。

 法人税の実効税率は現在35.64%(東京都の場合)に上り、経済界からは「25%程度の中国や韓国の企業と競争できない」との不満が強まっていた。これを踏まえて、政府・与党は「20%台を目指す」との方針を打ち出すが、税率を1%引き下げた場合、税収は約4700億円目減りする。税率が30%を切ると税収は3兆円近く減る計算になる。

 しかも日本の財政事情は主要先進国で最悪の水準にあり、財政規律を重んじる自民党税制調査会や財務省は「法人減税には恒久的な代替財源が不可欠」と主張。一方、甘利明経済再生担当相は安倍政権の経済政策「アベノミクス」効果に着目。企業業績の改善などによる法人税などの税収上ぶれ分(実際の税収が予算上の税収見込み額を上回った部分)を活用して減税し、さらなる経済活性化につなげるべきだと訴えてきた。

 骨太の方針取りまとめが目前に迫っても、対立は解消せず、骨太の方針は「恒久財源」の必要性を指摘しながら税収上ぶれ論にも配慮する表現で折り合い、減税積極派と慎重派による「玉虫色」の決着と言える。財源確保策としては赤字企業にも負担を求める外形標準課税の拡充などが検討される見通しだが、経済界の一部で反発も強く、調整は難航が必至。また、政府は年末、消費税率を来年10月に10%に引き上げるかどうかを判断する予定で「家計に増税しながら企業には減税していいのか」との批判が出る可能性がある。【横田愛】

最終更新:6月13日(金)10時4分

毎日新聞

 

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