集団的自衛権:武力行使に新3要件 与党協議

毎日新聞 2014年06月13日 11時45分(最終更新 06月13日 13時37分)

 ◇自民提案 閣議決定の「核心部分」

 自民党の高村正彦副総裁は13日午前の「安全保障法制の整備に関する与党協議会」で、政府の「自衛権を発動する3要件」に集団的自衛権の行使を一部容認する文言を追加し、閣議決定の柱とするよう提案した。他国への攻撃であっても1972年政府見解の示す「国民の権利が根底から覆される」おそれがある場合も行使を容認。公明党の一部容認論に沿ったもので、同党は検討する考えを示した。

 従来の3要件は、(1)我が国への急迫不正の侵害がある(2)これを排除するために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる−−ことを満たした場合、武力を行使できる。政府の現在の憲法9条解釈は個別的自衛権のみの発動を認めており、3要件もそれに沿ったものだ。

 高村氏は与党協議で従来の第1要件を変更し、「他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある」場合も、武力行使を認めるよう提案した。

 公明党は72年見解の「国民の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」に限り、集団的自衛権の行使を一部容認する方針。高村氏の提案はこれに近い表現で理解を得る狙いだ。ただ、自民党関係者は「おそれ」の表現で拡大解釈の余地が広がると示唆した。

 高村氏は新3要件を閣議決定の「核心部分」としたいとしたが、公明党の北側一雄副代表は会合後、記者団に「議論はこれからだ」と述べた。高村氏は17日の次回協議で閣議決定原案を議論することも求めたが、北側氏は難色を示した。

 また公明党は▽強制的な停船検査(臨検)▽米国への弾道ミサイルの迎撃▽シーレーンの機雷掃海−−などの事例が「集団的自衛権に当たらない」などと反論した。

 安倍晋三首相は協議後に高村氏、石破茂自民党幹事長と首相官邸で会談し、今国会中の閣議決定に全力を挙げるよう重ねて指示した。【宮島寛、高本耕太】

 ◇自民党の高村正彦副総裁が示した集団的自衛権の行使を認める新たな「武力行使の3要件」

(1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと、または他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること

(2)これを排除し、国民の権利を守るために他に適当な手段がないこと

(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

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