集団的自衛権:発動3要件を提案 与党協議
毎日新聞 2014年06月13日 11時45分
自民党の高村正彦副総裁は13日午前の「安全保障法制の整備に関する与党協議会」で、政府の「自衛権を発動するための3要件」に集団的自衛権の行使を一部容認する文言を追加し、閣議決定の柱とするよう提案した。第1要件の「日本への急迫不正の侵害」を変更し、他国への攻撃であっても1972年の政府見解の示す「国民の権利が根底から覆される」おそれがある場合も行使を容認する内容。公明党の一部容認論に沿ったもので、同党は検討する考えを示した。
自衛権発動の3要件は85年の政府答弁書などに基づき、(1)我が国に対する急迫不正の侵害がある(2)これを排除するために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる−−ことを満たした場合、日本が武力を行使するとしている。政府の従来の憲法9条解釈は個別的自衛権のみの発動を認め、3要件もそれに沿ったものだ。
高村氏はこの日の与党協議で3要件の(1)を変更し、「他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある」場合にも、武力行使を認める案を検討するよう、公明党に求めた。
公明党は政府の72年見解をふまえ「国民の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」に限り、行使を一部容認する方針を固めている。高村氏の提案は72年見解に近い表現を自衛権発動の要件に追加し、行使容認の根拠とすることで、公明党の理解を得る狙いがある。
高村氏は安倍晋三首相が求めている閣議決定の「核心部分」としたい考えも示した。公明党の北側一雄副代表は即答を避け、会合後、記者団に「議論はこれからだ」と述べた。
また高村氏は次回の与党協議で、閣議決定の原案を政府から提示することも求めたが、北側氏は「まだ議論が進んでいない」と難色を示した。
一方、与党協議では政府の15事例のうち、集団的自衛権行使が必要とされる▽強制的な停船検査(臨検)▽米国へ向けた弾道ミサイルの迎撃▽海上交通路(シーレーン)に敷設された機雷の掃海−−などを検討。公明党は「集団的自衛権には当たらない」などと反論。政府にさらに詳細な説明を求めた。【宮島寛、高本耕太】