2014年6月13日12時30分
自衛隊が武力で他国を守る集団的自衛権が使えるかを話し合う自民、公明両党の協議で、座長を務める自民党の高村正彦副総裁は13日、従来、自衛権を発動するために必要とされてきた3要件の見直し案を公明側に示した。集団的自衛権の行使を認める内容で、公明は党内協議に入る。
高村氏の見直し案は公明側の理解を得る狙いから、従来の憲法解釈との法的整合性を図り、1972年の政府見解の一部を盛り込んでいる。両党が合意すれば、見直し案は集団的自衛権の行使を認める政府の閣議決定案の根幹となる。安倍晋三首相は、与党協議後に高村氏、石破茂幹事長と会談し、22日までの今国会中の閣議決定をめざすよう改めて指示した。
これまでの3要件は、政府答弁書などで①我が国に対する急迫不正の侵害がある②排除のために他の適当な手段がない③必要最小限度の実力行使にとどまる――とされ、すべてを満たしたときに個別的自衛権が発動できるとしていた。
高村氏がこの日示した見直し案は「武力の行使」の3要件と位置づけられた。特に①については72年の政府見解を直接引く形で、日本に加えて他国に対する武力行使も前提に「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある」ことを新たな要件とした。「他国に対する武力攻撃」を加えた点が、集団的自衛権の行使を認めることにあたる。
一方、公明は72年見解にある「根底から覆される」場合を狭く解釈することで、集団的自衛権の行使を朝鮮半島有事など極めて狭い範囲に限って容認できるかどうか検討を始めている。
高村氏は72年見解と同じ文言を見直し案に盛り込むことで、公明の理解を得たい考えだ。協議後、記者団に「この案を両党がたたいて、合意したものを政府の閣議決定案に入れてもらう」と述べた。また、閣議決定には、見直し案に加え、「集団的自衛権の行使を認める」などの文言が別に明記されるとの見通しも示した。公明党の北側一雄副代表は「ちょっと見ただけでも十分でない点がある」として、引き続き党内で議論する考えを明らかにした。
■「安全保障法制整備に関する与党協議」の高村正彦座長(自民党)が公明党に示した武力行使の3要件案
憲法第9条の下において認められる「武力の行使」については、
(1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること
(2)これを排除し、国民の権利を守るために他に適当な手段がないこと
(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
という三要件に該当する場合に限られると解する。
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