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いよいよ電力の自由化へ

環境省「平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」によれば、北海道が一番風力発電のポテンシャルが大きい。

しかし、その北海道の電力会社である北海道電力は、北電の送電網が小さいことを理由に560MWまでしか風力発電を受け入れられないとしている。

北海道電力は電源比率でおよそ6%程度までしか太陽光・風力発電を導入できないということになる。

北海道電力は、2012年度に他の電力会社との間で、総発電量の0.1%の電力量を送り出し、9.8%を受け入れている。

総合開発研究機構(NIRA)によれば、ヨーロッパでは北海道電力とほぼ同じ大きさの総発電量を持つデンマークが、すでに20%を超える太陽光・風力の比率になっている。これを可能にしているのが発電量の33.5%の輸出と29.8%の輸入という外部との電力のやり取りだ。

また、総発電量の2.6%を輸出し、0.7%を輸入しているアイルランドのような閉鎖された送電網でも太陽光・風力の比率は10%に達する。

アイルランドと比べても北海道電力の再生可能エネルギー受け入れ比率は低い。

日本国内の電力会社間の連系線の容量を見ていると不思議なことがある。

東北電力と東京電力間の連系線は1262万kWの容量があるはずだが、東京から東北へ電力を送る運用容量は120万kWと、その10分の1に制約されている。

しかし、専門家によれば、この運用容量を超える運用が行われているという。

中国電力と九州電力の間の関門連系線の容量も556万kWなのだが、四国電力から九州電力へ送電する際の運用容量は30万kWと十分の一以下に抑えられている。

しかし、九州電力の新大分火力発電所がダウンした時には中国電力から九州電力へ60万kWを超える送電が行われた。運用容量はどうしたのだろう。

電力会社は「短期的な対応だから」と言い訳をしたようだが。

電力会社間の連系をきちんと見直す必要がある。

これまでの電力連系は、電力会社をはじめとする電力系統利用協議会(ESCJ)という組織が「電力系統利用協議会ルール」というものを作っている。

これを読むと、再生可能エネルギーよりも原発を優先していたり、電力会社間の融通を新電力よりも優先していたり、時代に合わなくなっているところが多々ある。

こうした既存のルールを基に自由化後のルールを決めたのでは意味がない。

そのためにも電力自由化後にどういうルールを適用するのか、非常に大切だ。

そのためには、任意団体と称して財務の内容も活動の内容も公開しない「電事連」とよばれる不可思議な団体が口を出すのをやめさせなければならない。

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