生後３カ月女児　２つの心疾患手術に成功、救命　島根大病院

　島根大病院（島根県出雲市）は１３日、「総動脈幹症」など二つの重い先天性の心疾患を抱えた生後３カ月の女児を救命する手術に成功し、女児が同日退院したと発表した。難手術は計５回を数えた。病院は「同じ症例の手術はこれまで報告されていない」としている。

　執刀した循環器・呼吸器外科（小児心臓外科）の藤本欣史講師（４４）によると、女児は生後すぐの３月、県内の別の医療機関から運ばれ、肺動脈と大動脈が分離せず肺に多く血液が流れる総動脈幹症が見つかった。

　だが４月、動脈を分離させる２回の手術を終えても、なかなか酸素濃度が上がらなかった。調べてみると、本来なら右心房に流れるはずの血液が左心房に行くため体に十分に酸素が行き渡らない、冠静脈の還流異常が見つかった。

　冠静脈の開口部をふさぐなど追加手術が必要になった。度重なる手術の間、体重は約５００グラムしか増えなかったが、今はミルクをたくさん飲む元気な姿を見せているという。

　藤本講師は「手術をして初めて別の疾患が分かった。当初の診断は非常に難しかった」と話した。