フェイスブックの広告主はこれまでユーザーの「いいね」に基づき広告ターゲットを絞り込んでいた。今後はユーザーのウェブ閲覧履歴の利用が可能になる Agence France-Presse/Getty Images
米交流サイト(SNS)大手フェイスブックは、ターゲティング広告に利用する情報の範囲を拡大し、利用者のインターネット閲覧傾向に関するデータも含める方針だ。
この変更は米国時間12日朝に正式発表する。広告ターゲットを絞り込む効率を高めるため、利用者のウェブ閲覧履歴を近く広告主と共有する。
フェイスブックはコードを用いて利用者のコンピューターからウェブ閲覧履歴を収集するほか、利用者がダウンロードしたモバイルアプリに関する情報も取得する。従来はこうした情報をセキュリティー上の目的にのみ使用すると述べていた。
広報担当者によると、同社は方針変更に先立ち米連邦取引委員会(FTC)と、国際本部を置くアイルランドの情報保護当局の助言を求めた。ただ変更前にこれら当局の承認を得る義務はなかったとしている。
同社で広告商品マーケティングを担当するブライアン・ボランド氏によると、こうしたデータ利用は他のウェブサイトやソーシャルメディア企業が広く採用している。
広告主はこれまで、利用者の関心に基づき広告対象を絞り込むことが可能だった。関心は利用者自身がフェイスブック上で特定のページに「いいね」ボタンを押すことや、趣味や好きな音楽を掲載することによって分かる。広告主はまた、フェイスブックがアクシオムやデータロジックスなど外部のデータ会社から受け取る情報を利用することもできた。こうした「提携先の」データも関心に基づくターゲットの絞り込みに使えるが、フェイスブック自身は情報収集していなかった。
ボランド氏によると、情報の範囲を増やすことで、個々の利用者の「関心」として把握される事柄の数は増える可能性が高い。より対象を絞った広告をより多くのユーザーに送ることが可能になり、例えばボーリング関連のサイトを定期的に閲覧するが、フェイスブック上でボーリング関連のコンテンツに「いいね」を押していないユーザーにも、今後はボーリング関連の広告が表示されることになる。
利用者はウェブ閲覧履歴の利用を阻止することも可能だ。フェイスブックでは、ターゲティング広告への利用を希望しない利用者にネット広告業界の自主規制団体、デジタル広告連合(DAA)への連絡を呼びかける。
またフェイスブックは特定の広告が表示される理由を利用者が確認できる機能を追加する。
さらに「アド・プリファレンス」という新たなツールによって、利用者はフェイスブックがターゲティング広告に利用する情報を変更できるようになる。