自前の稚魚が採れなくなって日本がしたことは中国・台湾からニホンウナギ、さらにヨーロッパウナギ、アメリカウナギ、最近では東南アジアのウナギの稚魚まで大量輸入して、それぞれの資源存続を危うくしただけです。水産先進国としてニホンウナギの完全養殖に近づきつつはありますが、野生資源保護には全く無策でした。
今年はニホンウナギ稚魚がすこしだけ多めに取れました。それでマスメディアはは蒲焼きの値段が下がるとはしゃぎました。漁業資源の持続性が疑われるクロマグロの幼魚と合わせて第422回「幼魚豊漁で失われる水産資源、異を唱えぬ鈍感報道」で批判した通りです。
報道の姿勢が読者・視聴者にベースを置くのは常識です。それが「ウナギ消費者」で良かったのは資源がこんなに細くなる前の話です。絶滅危惧種に指定された段階では、当然ながらどうやって保護していくのかを考える視点に転換すべきです。主要メディア横並びで保護を求める国際的な世論の高まりや国際的な取引規制を心配して、日本がどうすべきか論じないのはあまりに異様です。
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