(2014年6月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
国際サッカー連盟(FIFA)がお届けするサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会へようこそ――。FIFAはコーポレートガバナンス(企業統治)の大惨事でありながら、地球上最も成功した多国籍組織にも数えられる組織だ。
FIFAの縁故主義、経営トップの硬直性、腐敗と、英国版のフットボール(サッカー)を全世界に広める(そしてアメリカンフットボールを圧倒する)うえで成し遂げた偉業とのコントラストには目を見張るものがある。この対比は、FIFAはとてつもなく大きな強みと、甚だしい弱みの双方を持つことを浮き彫りにしている。
世界のスポーツ界を征服したFIFA
スイス・チューリッヒにある国際サッカー連盟(FIFA)本部のロゴを磨く女性〔AFPBB News〕
2022年のW杯開催権を猛烈に暑いカタールに与えた決断は、FIFAの矛盾を極限まで試した。この選択は今や、「最高指導者」(FIFAのアヤトラのような職務説明)として5期目に意欲を見せるゼップ・ブラッター会長(78歳)にさえ見限られている。
FIFAが改革できなければ、多くのものが失われるだろう。
FIFAに関して興味深いことは、無責任な運営を行い、組織の指導者と株主に最も近い存在である各サッカー連盟との間に甚だしい利益相反関係(場合によっては腐敗)があるスイスの非政府組織(NGO)がこれほど見事な成果を上げてきたことだ。
コンサルティング会社ATカーニーによると、サッカーは2009年に世界のスポーツイベント市場(金額ベース)の43%を獲得した。アメリカンフットボールは13%、野球は12%で、サッカーの方が急速に成長しているという。欧州の試合のテレビ放映のおかげで、サッカーは米国人の意識にも浸透し始めた。
市場に売り込むより優れた商品を持つという点で、FIFAは恵まれていた。サッカーはアメリカンフットボールの複雑な戦略と頭をぶつけ合う暴力よりも優美な競技で、公園や学校でプレーしやすい。アマチュアサッカーの身近さは、プロサッカーを強くする助けになる。
だが、それでは十分な説明にならない。バスケットボールと野球も気軽にプレーされているし、ベネズエラのような国々は、超過利潤を得ようとする縁故主義によって絶対確実な商品(この場合は石油とガスの生産)さえ台無しになり得ることを示した。サッカーがこれと同じように呪われてもおかしくなかった。
FIFAが持つ2つの競争優位
FIFAが今までこの運命を避けてこられたのは、米国のスポーツ団体に対して2つの競争上の優位を持っているからだ。
1つ目は、サッカーが統合されていることだ。連盟を通じてアマチュアサッカーとプロサッカーが一体化されているのだ。イタリア1部リーグ(セリエA)やドイツ1部リーグ(ブンデスリーガ)などのプロサッカーリーグは大きな力を持ち、その所属クラブは裕福だが、全国大会を支配しているわけではない。