June 12, 2014
保全生態学者のシバニ・バラ(Shivani Bhalla)氏が、母国ケニアでの保護活動の功績を称えられ、ナショナルジオグラフィック協会のエマージング探検家に指名された。
バラ氏はケニアで人とライオンの共存を推し進めるNPOエワソ・ライオンズ(Ewaso Lions)を創設し、エグゼクティブ・ディレクターを務めている。
ケニアではライオンが数多くの脅威にさらされており、生息数は2千頭を下回っている。バラ氏のチームは、北部のサンブル地方で保護活動を行っている。
◆なぜケニアでライオンが激減しているのでしょうか?
彼らの生息場所が失われているからです。十分な獲物を見つけられず、家畜を襲うようになりました。家畜を失って腹を立てた地元住民が、ライオンを撃ち殺し、槍で突き、時には毒殺します。
バラ氏はケニアで人とライオンの共存を推し進めるNPOエワソ・ライオンズ(Ewaso Lions)を創設し、エグゼクティブ・ディレクターを務めている。
ケニアではライオンが数多くの脅威にさらされており、生息数は2千頭を下回っている。バラ氏のチームは、北部のサンブル地方で保護活動を行っている。
◆なぜケニアでライオンが激減しているのでしょうか?
彼らの生息場所が失われているからです。十分な獲物を見つけられず、家畜を襲うようになりました。家畜を失って腹を立てた地元住民が、ライオンを撃ち殺し、槍で突き、時には毒殺します。
◆ケニアではライオンが法的に保護されているはずでは?
はい。しかし法律を施行するのは困難で、役人をそこら中に立たせるわけにいきません。ライオンのせいで全てを失った人に、殺さないよう説得するのは非常に難しいことです。
◆それでは、どのように人々を説得するのですか?
私たちの素晴らしいチームには地元の年長者、戦士、女性が含まれ、家畜が殺されると迅速に対応します。まず人々を落ち着かせ、何が起こったか彼らの話をじっくりと聞きます。それからライオンの重要性について話をします。
この地域では1980年代にサイが全滅し、子供たちはサイを見たことがありません。だからこそライオンには姿を消してほしくないと年長者たちは語りかけます。また彼らに家畜を守る方法を教え、対立を減らすことがライオンの命を守ると諭します。
◆サンブル族は遊牧民族です。ライオンから家畜を守るのは難しいのでは?
はい、特に夜は。ですから囲いの中で家畜と過ごすよう働きかけて、捕食者が頻繁に現れる場所へ家畜を連れて行かないよう指導します。また見張り役に年上の子供たちや部族の戦士を送ることも勧めています。
◆2010年1月に立ち上げたプログラム、ウォーリアー・ウォッチ(Warrior Watch)の反応はいかがですか?
とても順調です。プログラムに参加する戦士の数は17人に増えました。地域住民のライオンに対する許容度が増して、戦士たちはより多くの社会的権限を与えられるようになったと感じています。また彼らは対立を鎮めるだけでなく、GPSを使って多くの観察データを記録してくれます。
当初、ライオンを保護する手助けの見返りに何がほしいかと尋ねると、彼らは読み書きを習いたいと言いました。そこで日曜学校を始めました。今では、全員読み書きができます。
去年の8月から、ライオンの母を意味する「ママ・シンバ」と呼ばれる女性のための新しいプログラムを毎週土曜日に開いています。男性よりも随分早く読み書きを覚えました。現在、彼女たちをサンブル国立保護区まで連れて行って保護活動の訓練をしています。
◆「ライオン・キッズ・キャンプ(Lion Kids Camp)」を通して子供たちが活動に関わる重要性は何ですか?
私にとってそのプログラムが最も重要です。なぜなら、子どもたちこそ未来のリーダーであり野生動物保護活動家だからです。
◆長期的にケニアのライオンを保護するには何が必要ですか?
ライオンが危機に瀕していることを人々がもっと理解しなければなりません。また、保護活動家、コミュニティー、観光業界の協力も必要です。より適切な土地利用を計画し、定住地を明確に定め、野生動物の通り道を守り、そして過度の放牧を避ける必要があります。
◆世界中でライオン以外の動物にも応用できる、あなたの活動から得られた教訓は?
私たちの活動は、ライオンの保護に地域住民を巻き込んだことで成功しました。保護活動家がたびたび犯す間違いは、地域住民と一緒になって草の根的な活動をしないことです。
◆人間とライオンは共存できるとお考えですか?
はい。サンブルでは人々がライオンと顔なじみになり、まるで人間の仲間のように彼らについて語ります。ほとんどに名前が付いているくらいです。
◆人々のライオンに対する新たな興味がほかの動物にも及んでいますか?
はい、確実に。多くの人がほかの野生動物について知ろうとしています。私たちはライオンだけではなく、ほかの肉食動物についても話をします。
◆あなたにとって一番の挑戦は?
サンブルは日々刻々と変化しています。予測が困難です。安全が問題となることもあります。開発が急速に進んでいることも気がかりです。新たな道路が次々と建設され、ライオンを含む多くの動物が殺されています。
◆野生動物保護における観光の役割は?
サンブルは素晴らしい観光地です。私たちは観光業にも携わっていて、これまでにライオンを理解する国立保護区の警備員を20人育成しました。そのプログラムは「ライオン・ウォッチ(Lion Watch)」と呼ばれ、観光客が撮った写真をアップロードして彼らが保護活動に関わることも進めています。
PHOTOGRAPH BY ROBIN MOORE, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE