障害者就労事業で不正請求5億円余6月12日 17時52分
障害者の就労を支援する事業を巡り、国や自治体からの給付金を不正に受け取る事業所が相次ぎ、被害額は30を超える自治体で合わせて5億1000万円余りに上ることがNHKの取材で分かりました。
専門家は「第三者が事業所を評価する仕組み作りが必要だ」と指摘しています。
障害者の就労を支援する事業は、平成18年の障害者自立支援法で定められました。
自治体の指定を受けた事業所が、作業や訓練を通じて障害者の一般企業などへの就労を後押しするのがねらいで、事業所は障害者の人数や利用日数に応じて、国や自治体から一日一人当たり数千円の給付金を受け取ることができます。しかし、障害者の人数や日数を実態より多く見せかけるなどして、給付金を不正に受け取るケースが相次ぎ、NHKがすべての都道府県と、指定の権限を持つ政令指定都市などに取材したところ、全国の38の自治体で少なくとも55の事業所が、不正の発覚によって指定を取り消され、この5年間の不正請求の額は5億1000万円余りに上ることが分かりました。指定を取り消された事業者の内訳は、株式会社などの営利企業が21と最も多く、次いでNPO法人が18、社会福祉法人が2などとなっています。
事業所の数はおととし10月の時点で合わせて1万1000余りと、この5年ほどで5倍以上に増えていて、背景には給付金目当てで新規に参入する企業も増えていることがあるとみられます。
全国的な不正請求の件数や金額が明らかになったのは初めてで、障害者の就労支援に詳しい埼玉県立大学の朝日雅也教授は「障害者を受け入れる事業所の数を増やすことが優先され、質的な問題が後回しにされた結果であり、想定を超えた事態が発生している。行政による監査や指導を徹底するとともに、事業所の質を第三者が評価する仕組み作りが必要だ」と指摘しています。
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