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コラム:デフレ脱却で始まる「アベノミクス現実相場」=武者陵司氏

2014年 06月 12日 17:10 JST
 
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加えて、デフレの最大の原因だった超円高が大きく修正され、再び過度の円高状態に戻る気配はない。中銀の貨幣発行速度、貿易収支、実質長期金利といった為替水準を決定する主要因のいずれもが完璧に円安ベクトルでそろっている。

悲観論者はいまだに日銀の「2%インフレ目標」達成に疑問を呈しているようだが、これらの証拠を見れば、「デフレ脱却宣言」はもはや時間の問題と言ってよいだろう。

<賃上げの好循環スタートへ>

では、デフレ下とデフレ後で、日本経済をとりまく景色はどのように変わるのだろうか。劇的な変化、言い換えればデフレ脱却後の「成長のけん引役」は主に二つ存在すると考える。

ひとつは、日本企業のグローバル展開確立による付加価値創造。もうひとつは、ライフスタイル向上がもたらす豊かな国内需要の創造である。後者は、労働分配率の上昇と実質賃金の増加が推進役となる。そして需要創造の先には、これまで国内に閉じこもっていたサービス産業の中からもグローバルな競争力を持つセクターが多数育つ可能性がある。観光業などはその代表例となろう。

振り返れば、これまでのデフレ下における最大の被害者は労働者とサービス産業だった。持続的な物価下落は労働者への所得配分、サービス産業に対する資源配分を著しく損ね、需要を抑制し続けたのである。

先進主要国の賃金・物価・生産性の推移を比較すれば、デフレに陥った1997年以降の日本の異常性は一目瞭然だ。海外の常識に照らせば、物価上昇率よりも賃金上昇率は大きく(生活水準の向上)、生産性の伸びよりも賃金上昇率が大きくなる(単位労働コストの上昇)はずなのに、日本では97年頃を境にすべてが逆さまになっている。労働生産性は伸びているのに、賃金は下落を続け、またその下落率は物価の落ち込みよりも大きい。

もとよりその最大の理由は、デフレ下で売価とコストの持続的な引き下げを余儀なくされた企業が労働者にしわ寄せをしたことだ。そして、その背景には、売価下落の引き金を引いた超円高があった。   続く...

 
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 6月12日、武者リサーチの武者陵司代表は、デフレ脱却宣言は時間の問題であり、年末に向けてドル110円・日経平均2万円を目指すアベノミクス現実相場が始まると予想。提供写真(2014年 ロイター)
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*統計に基づく世論調査ではありません。

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