プロ野球「ロッテ対DeNA」をお伝えしました美しいピンクの翼フラミンゴ。
アフリカのとある湖に大集結します。
その数なんと…湖が突然ピンク色に染まります。
大集結の理由は食べ物。
フラミンゴだけが独占できる豊かな食べ物のおかげで「楽園」が生まれたんです。
しかしフラミンゴを狙う恐ろしい天敵も現れます。
そしてある日巣が空っぽに。
フラミンゴは楽園を捨て灼熱の砂漠へと行進を始めたんです。
まだ飛べないヒナたちは100キロもの長い道のりを歩かなくてはなりません。
小さな命を試練が襲います。
フラミンゴ謎の大行進。
壮絶な旅の果てに何が待っているんでしょうか。
(テーマ音楽)アフリカ南部ボツワナ共和国に広がるマカディカディ低地。
5月。
雨のほとんど降らない乾季が始まっています。
群れで移動する動物たちを発見。
どこへ行くんでしょう?おや?シマウマが前足で穴を掘っています。
水を飲み始めました。
動物たちはわずかに残る水を探して草原を歩き続け乾いた季節をしのぎます。
10月。
半年にわたって続いた乾季も終盤。
乾燥は極限に達し命を落とすものも現れます。
生きものにとって最も過酷な季節です。
ここはマカディカディ低地の西側。
東へ向けて移動すると草原は次第に少なくなり白い地面が目立ってきます。
この白い物の正体は塩です。
大量の塩は一体どこからやって来たんでしょうか。
1万年ほど前までこの一帯は塩を含んだ巨大な湖でした。
その後気候変動により徐々に水が干上がっていきました。
そして低地の東側一番低い場所に大量の塩が残されたんです。
こうして東と西で大きく変わるマカディカディ低地独特の環境が生まれました。
11月。
雨季の到来です。
(雷鳴)大粒の雨が乾ききった大地を潤していきます。
低地に降る雨は年間450ミリ。
そのほとんどが11月から3月までの雨季に降ります。
西側の草原です。
あちこちに池が出来ています。
シマウマたちが水辺に集います。
数百頭はいるでしょうか。
緑あふれる待ちに待った季節です。
低地の東側塩の大地はどうなっているでしょうか。
こちらの風景も一変。
巨大な湖が現れました。
雨が多い年には秋田県ほどの大きさの湖が現れます。
塩分濃度は最大で海水の4倍近く。
巨大な塩の湖です。
そんな塩の湖にやって来るものがいます。
画面の真ん中ピンクの雲海のように見えるもの。
フラミンゴの群れです。
その数なんと30万羽。
不思議なことに雨が少ない年は訪れず大きな塩の湖が出来た時だけ集まってくるんです。
ここには2種類のフラミンゴがやって来ます。
これはコフラミンゴ。
フラミンゴの中では一番小さく大きさは80センチほど。
こちらはオオフラミンゴ。
コフラミンゴの倍ほどの大きさです。
フラミンゴたちはアフリカ各地からやって来ます。
中には1,000キロも離れた海岸から飛んで来るフラミンゴもいるといいます。
なぜフラミンゴは真水ではなくこんなに塩辛い水で出来た「塩の湖」を目指してやって来るんでしょう?その答えは独特の食べ物にあります。
フラミンゴが一斉に食事を始めました。
食べているのはこの藻。
塩分の多い水を好む「藍藻」と呼ばれるプランクトンです。
フラミンゴたちは塩の湖で大発生するプランクトンを食べるために遠路はるばる集まってきていたんです。
それにしても食べる時塩水を一緒に飲んでしまわないんでしょうか。
よく見るとくちばしの先端付近だけを水につけなでるように動かしています。
このくちばしに秘密が隠されているんです。
くちばしは大きく途中で「く」の字に曲がった独特の形をしています。
そして上下のくちばしの周りには細かい毛がくしのように密集して生えています。
中には膨らませたり縮めたりできる特殊な舌が収まっています。
この不思議なくちばしをどう使うのかというとまず舌を奥に引っ込めると同時にくちばしを開きプランクトンを含んだ水を吸い込みます。
そして舌を膨らませながらくちばしを閉じることで隙間から水だけを押し出しプランクトンを漉しとります。
この仕組みで塩水をほとんど飲まずにプランクトンだけを食べることができるんです。
こんなくちばしを持っているのはフラミンゴだけ。
こうして他の生きものが食べられない食べ物を独り占めし塩の湖を「楽園」に変えたんです。
ちょっと待った!来ましたねヒゲじい。
はい。
フラミンゴたちが塩水を飲まない仕組みは分かりました。
でも周りは全部塩水ですよね。
水を全く飲まなくても平気なんですかね?ごもっとも。
フラミンゴももちろん真水を飲まなくてはいけません。
しかもこのフラミンゴを見て下さい。
あら何か毛がゴワゴワしてますぞ。
はい。
塩などで汚れてしまったんです。
こうした汚れも真水で洗うしかありません。
そのためには…。
おや飛びましたな。
一体どこへ行くんでしょうか。
思い出して下さい。
マカディカディ低地は雨季になるとあちこちに池が出来ていましたよね。
あシマウマがいた場所ですね。
覚えていますよ。
フラミンゴは時折そうした場所に行って真水で体を洗ったり水を飲んだりするんです。
あ〜なるほどねぇ。
フラミンゴは時には何百キロも離れた土地まで真水を求めて飛んで行きます。
お〜体洗ってますな。
さしずめフラミンゴの銭湯通いというところでしょうか。
でもねヒゲじいこういう水辺には天敵がたくさん潜んでいるんですよ。
うん?まさかこのサルですかな?はい。
アヌビスヒヒです。
フラミンゴを狙っています。
うわ〜大変だ!フラミンゴたち早く逃げて逃げて!あ〜…あれれ?どうして飛ばないんでしょう?実はフラミンゴは長い助走が必要ですぐには飛び立てません。
ヒヒはそれを知っていて水辺に集まっているフラミンゴを襲うんです。
う〜んなんとずる賢い。
ヒヒだけにひひひひひどい!…なんてね。
あららら!うわ〜!あ〜捕まってしまった!こうして真水の周りにやって来て命を落とすフラミンゴが多いんです。
いやぁそりゃ大変だ。
せっかく塩の湖で「見ん事」食べ物を取れたフラ「ミンゴ」なのに真水が必要なばっかりに天敵にやられてしまうとは。
それはどう「塩」もないことなんでしょうかね。
第2章ではフラミンゴの知られざる子育てを紹介します。
ヒナはなんとミルクを飲んで育ちます。
皆さんフラミンゴのミルクって何色だと思いますか?フラミンゴが生息しているのはアフリカだけではありません。
ヨーロッパや南米など世界各地の塩の湖でフラミンゴの楽園を築き上げています。
そんなフラミンゴは全部で6種類。
共通する特徴といえばもちろんピンクや赤の鮮やかな色です。
その美しい色の秘密を動物園で聞いてきました。
フラミンゴの飼育を担当する武山栄治さんです。
なんと食べ物でフラミンゴが赤くなっていたんです!何を食べているんでしょうか?食べ物に含まれるカロテノイドという色素がフラミンゴを赤く染めていたんです。
でも野生でフラミンゴが食べていたプランクトンは緑色でしたよね。
実はこの緑色のプランクトンにもカロテノイドはたっぷり含まれています。
色の鮮やかさはフラミンゴの健康状態を示すバロメーター。
そのため子孫を残す時体の色が重要な役割を果たします。
色の濃い個体ほどモテると言われているんです。
繁殖期になるとフラミンゴは羽を大きく広げ鮮やかな赤い部分を相手に見せつけます。
情熱的な求愛ダンスです。
フラミンゴの赤やピンク美しいだけじゃなかったんですね。
12月。
フラミンゴたちはどうしているでしょうか。
岸から20キロほど離れた中州に集まっていました。
フラミンゴたちはこの時期子育てを始めています。
天敵を避けるためこうした中州に巣を作ります。
巣は泥で出来ています。
画面の茶色い部分分かりますか?まるで木の切り株のよう。
あ卵も生まれていますね。
巣は地面から30センチほど高く作られています。
もし湖の水位が上がってもこれなら心配いりませんよね。
暑さ対策にも効果絶大。
泥に含まれる水分が蒸発する事で熱が奪われるため巣の中が涼しくなります。
炎天下でも周囲の気温より数度低く保たれるんです。
メスが産む卵は一つだけ。
天敵に襲われる心配がないのでたくさん産む必要はありません。
卵がかえるまでの1か月間大切に温めます。
ふ化した後の子育てもフラミンゴならでは。
あヒナが顔を出しました。
かわいいですね。
でもまだ体は赤くありません。
それもそのはず。
赤ちゃんは親から特別なミルクをもらうことで少しずつ赤くなっていくんです。
これがそのミルク。
ほら赤いですよね。
食べ物のプランクトンに含まれるあのカロテノイドの色です。
「フラミンゴミルク」と呼ばれています。
フラミンゴミルクは栄養たっぷり。
なんとお母さんだけでなくお父さんも与えることができるんですよ。
おや?立ち上がろうとしています。
巣で過ごすのはふ化して10日ほど。
その後少しずつ巣から離れて歩き回るようになります。
でも巣の外はカンカン照りの大地。
たまらず日陰を作ってくれる親のもとに隠れます。
自分で飛べるようになるまでおよそ3か月。
ヒナたちは親からたっぷり愛情を注がれすくすく育っていきます。
マカディカディ低地では多い年には3万羽ものヒナが生まれます。
空から見ると親子の集団はまるで巨大な島のようです。
この時期ここはまさにフラミンゴの楽園なんですね。
季節は巡って5月。
再び乾季が始まっています。
低地の西側ではシマウマたちが少しでも水のある場所へ移動を始めます。
次の雨が降るのは半年も先のことです。
フラミンゴたちがいた中州の周りも水がほとんど干上がっています。
様子が変です。
巣はもぬけの殻。
あれほどたくさんいたのに一体どこに消えてしまったんでしょう?いましたいました!少し離れた場所で1か所に集まっています。
ヒナたちです。
随分大きくなりましたね。
それにしてもここで何をしているんでしょうか?びっくりすることが起きました。
突然群れが一つの方向に向かって移動を始めたんです。
どこへ向かおうとしているんでしょうか?目指しているのは湖の北。
ちょっと先回りしてみましょう。
巣からおよそ100キロ。
まだ水が残っている場所があります。
川の河口付近です。
あ親鳥たち!飛ぶことのできる親鳥たちはここで食べ物と水にありつけます。
でもまだ飛べないヒナたちはひたすら歩くしかありません。
親鳥はそんなヒナのために水場とヒナのもとを何度も往復し自分の子供を捜してはフラミンゴミルクを与えます。
楽園から一変。
ヒナたちは生きるため100キロの道のりを進みます。
第3章ではヒナの大行進が続きます。
襲いかかる数々の試練。
果たしてヒナたちは無事に水場までたどりつけるんでしょうか。
突然ですがここで「ダーウィンNEWS」です。
5月半ば。
私近田は鹿児島県奄美群島の喜界島を訪ねました。
何をしに来たかといいますとこちら!「蝶に超注意!」。
そうです。
あるすごいチョウを探しに来たんです。
子供たちがみんな虫とり網持って何か捕まえてます。
みんな何とってんの?アサギマダラ?ホントに?あ捕まえてる捕まえてる。
いたいたいた!これこそ目的のチョウアサギマダラ。
きれいですね〜。
大きさはアゲハチョウほど。
マーキングして飛ばす?羽に場所や日付などの情報を書いて飛ばしチョウがどこまで飛ぶのか調べようというんです。
「マーキング調査」と呼ばれます。
実はこのアサギマダラ海を越えてはるかな旅をする「渡りチョウ」なんです。
1980年に始まった調査によって春は南から北へ秋は北から南へと日本列島縦断の大移動をすることが分かってきました。
しかし多くの謎が残されています。
そもそも何のために渡るのか?そしてこの広い海をどうやって越えていくのか?そこで私も…。
マーキングをしてみたいと思います。
喜界島を示す「キカイ」。
そしてもちろん「ダーウィン」と書きました。
じゃみんな手のひらに乗せよう。
今年番組では謎に包まれたアサギマダラの旅を追いかけます。
羽に文字が書かれたアサギマダラを見つけたら皆さんも是非番組宛てにご連絡下さい。
お待ちしています!100キロの道のりを進むフラミンゴたち。
親は交代でヒナのもとに戻り水場まで導きます。
懸命に歩き続けるヒナたち。
その道のりはかなり過酷です。
何しろここはもともと湖。
足元はぬかるんでいます。
足をとられ思うように前に進めないんです。
特に体の小さいヒナはついていくのが精いっぱい。
集団から遅れるものも出てきました。
体にぶら下がった大きな丸い塊。
泥が固まったものです。
この泥は塩を大量に含んでいるためベトベトしていて体に付くとなかなか離れません。
まるで大きなおもりを付けられているかのよう。
動けなくなり命を落とすヒナもいます。
命懸けの大行進。
ヒナたちは数週間にわたって歩き続けます。
乾燥は更に進みフラミンゴたちの楽園だった湖は再び見渡す限りの塩の大地へと戻りました。
大行進の目的地。
湖の北のわずかに残った水場です。
親鳥たちに交じってヒナたちの姿がありました。
100キロの道のりを歩き続けとうとうここまでたどりついたんです。
ヒナたちの次の目標は飛べるようになること。
ここでその準備を整えます。
6月。
マカディカディ低地の乾燥は一層厳しくなります。
水場の水も間もなくかれてしまいます。
でも大丈夫。
ヒナたちは見違えるように成長し自分で飛べるようになっていました。
そして旅立ちの時。
遠く数百キロ離れた海辺までの長い旅です。
塩の大地につかの間現れる幻の湖。
他の生きものを寄せつけない厳しい環境をフラミンゴたちは巧みに利用してきました。
自ら築き上げた「楽園」。
これからも湖が現れる度に美しいピンク色で染め上げることでしょう。
2014/05/31(土) 17:32〜18:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「アフリカ フラミンゴが謎の大行進!」[字][再]
フラミンゴが30万羽も集まり、子育てするアフリカの湖。だがある日、巣が空っぽに!移動を始めたのだ。ヒナたちは100キロもの道のりを歩き続ける。謎の大行進に密着
詳細情報
番組内容
アフリカで雨季にだけ現れる“幻の湖”。そこに30万羽ものフラミンゴが集まる。目的は大発生するプランクトン。フラミンゴだけが独占できる特別な食べものだ。やがて子育てが始まり、無数のヒナが育つ。ピンクに染まる湖は、まさにフラミンゴの楽園だ。だがある日、巣が空っぽに!フラミンゴが移動を始めたのだ。ヒナは100キロもの道のりを歩き続ける。壮絶な旅の果てに何があるのか?感動のドラマに密着!【歌】平原綾香
出演者
【語り】首藤奈知子,龍田直樹,豊嶋真千子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
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