シリーズ世界遺産100「エッセンのツォルフェライン炭鉱遺産〜ドイツ〜」 2014.06.01

(テーマ音楽)ひっそりとたたずむ炭鉱跡。
実はここは20世紀近代デザイン発祥の地です。
ドイツ西部の街エッセン。
ここにドイツを工業大国に押し上げる原動力となった炭鉱があります。
世界遺産…19世紀末から20世紀にかけて世界一の石炭採掘量を誇りました。
ここは運ばれてきた石をトロッコから取り出す作業場。
トロッコと石の重さは合計2t。
当時一般的な炭鉱では石を取り出すためにこの重い入れ物を手作業でひっくり返していました。
しかしツォルフェラインでは専用のコンベヤーが設計され一日6万台のトロッコが自動でひっくり返されていたのです。
多くの時間と労力が必要とされていた作業がここでは機械によって効率的に行われました。
掘り出された石には石炭と不純物が混じっているのでここで洗います。
水の中で揺らす事で重い不純物は沈み軽い石炭だけを回収できるのです。
こうした徹底した合理性の追求でドイツは工業大国にのし上がっていきました。
しかしその後起こった第1次世界大戦でドイツは敗戦。
復興に向けた石炭増産のためツォルフェラインは改築されます。
建築を担当したシュップとクレマーは建築コストを抑えるため徹底して無駄を省いていきました。
当時建物には装飾が付き物でしたが全て排除します。
それまでデザインとして一般的だった三角屋根は取り払われシンプルな四角い建物になりました。
当時開発されたばかりの鉄筋コンクリートを用いる事で従来よりずっと窓を広くする事ができたのです。
その結果労働環境も格段によくなりました。
実用性を追求した新しい建築デザインは世界中で評価され現代のオフィスビルの原型になっていきました。
その後もツォルフェラインは建築デザインの代表であり続け50冊以上の写真集も出版されています。
今もたくさんの写真家が訪れますが目当ては炭鉱の夜の姿です。
鉄骨とパイプが作り出す造形美。
極限までシンプルに研ぎ澄まされた建築は美しさをも生み出したのです。
第2次世界大戦後石炭から石油へのエネルギー革命により炭鉱は1986年に閉山しました。
しかし役割を終えた今でもここは近代デザインの聖地として人々を魅了し続けているのです。
さあ皆さんお待ちかね!登場するのは2014/06/01(日) 04:25〜04:30
NHK総合1・神戸
シリーズ世界遺産100「エッセンのツォルフェライン炭鉱遺産〜ドイツ〜」[字]

世界を変えた近代デザイン ▽文化遺産 ▽炭鉱が近代デザインの聖地に。実用性を追求した新しい建築デザインが世界中で評価され、現代のオフィスビルの原型となった。

詳細情報
番組内容
ドイツの「エッセンのツォルフェライン炭鉱遺産」は、2001年に世界文化遺産に登録された。ツォルフェライン炭鉱は、19世紀末から20世紀にかけて世界一の石炭採掘量を誇り、ドイツを工業大国に押し上げる原動力となった。実用性を追求したその新しい建築デザインは、世界中で評価され、現代のオフィスビルの原型となった。1986年に閉山したが、近代デザインの聖地として人々を魅了し続けている。
出演者
【語り】松平定知
音楽
【音楽】久石譲

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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