鹿児島県大隅半島にある港町志布志市。
名前の由来は天智天皇。
かつてこの地を訪問した際主人やその使いから布を献上され大いに感激し志ある町と呼んだと言われています。
8年前の市町村合併で日本一「志」が多い役所も誕生。
しかし現実は鹿児島市までの鉄道はなく車で2時間の距離。
1日数本走るバスが町の足です。
少子化と高齢化も進み商店街はシャッターばかりが目立っています。
お待たせでした。
これ三昧の方ですね。
そんな町が今年一杯の丼ぶりづくりに沸きました。
丼ぶりの名は地元で水揚げされる天然の鱧の天ぷら。
背白ちりめんというシラスとウニを混ぜたご飯で食べる。
全てが黒潮注ぐ志布志湾で育まれた絶品ご当地グルメです。
志布志市志布志町志布志にある志布志支所という事で今現在観光面そして物産面で切り込み隊長として活躍して頂いている田浦さんにPR隊長をお願いするところとなったところであります。
(本田市長)よろしくお願いします。
(田浦さん)ありがとうございます。
(拍手)市長から日本一「志」の多い観光大使に任命された田浦天志さん45歳。
壮大な任務を命ぜられました。
光栄にまたありがたく存じます。
本当にありがとうございます。
自分の町が好きでなくてはいけないっていう事なんです。
その事を一番体現しているのが彼なんですよね。
最大の任務は特産の鱧の全国PR。
志布志湾三昧丼でグルメグランプリに挑みました。
丼ぶり完成まで6か月の日々。
本場京都。
老舗料亭の門も叩きます。
厳しい現実に直面。
鱧天うにめし贅沢な丼ぶり入っております!いらっしゃいませ!鱧天うにめしばっちり入っております!たっぷり入っております!今週の『日本!食紀行』は天然の鱧で町おこし。
鹿児島県志布志市の絶品ハモ丼ぶりに学びます。
志布志市の山間地にある小さな郵便局。
田浦さんの本職はここの局長です。
さっき言っとったやつ…。
小さいとはいえど全国にあるおよそ2000の局のグループでサービスと営業成績が2年連続2位となった実績を持っています。
(スタッフ)おはようございます。
おはようございます。
(スタッフ)よろしくお願いします。
今日は「しぶしの玉手箱」しぶ玉会議があります。
鱧が今から全国に売り出すような仕掛けをですね…。
これは全くの趣味の延長です。
予算はわずか。
活動資金は手弁当。
生まれ育った町の活性化だけが願いです。
ちょっと思いがあればどんどんどんどん話を…。
(田浦さん)鱧で戦いを挑んでるわけですけれども志布志でしか食べられないものをやっぱり…取り組んだ方がいいんじゃないかというお話も…。
市の職員やボランティアも団結。
土地柄にちなみ名前は黒潮隊と決まりました。
しかし鹿児島には食習慣のない鱧。
いったい何故鱧なのでしょうか?鹿児島県志布志市。
午後4時漁の時間です。
漁は底引き網。
志布志湾の深海60メートルに網を仕掛け時速3キロの速度で6時間引っ張ります。
鱧自体はかなり前からいるんですけども戦前もしくは戦後その辺で獲れよったというのは聞いとったんですよ。
鱧漁は夜通しの仕事。
志布志では年間におよそ40トンが水揚げされています。
漁に出てから13時間。
こちらが今日の収穫。
今日ちょっと少なかったな。
(スタッフ)少ない?ああ。
志布志の漁業は明治時代に始まりかつては鹿児島県や宮崎への鮮魚配給基地として大切な役割を担っていました。
しかし鱧を食べる人はほとんどいませんでした。
鱧は大体ね最初からやっぱ京都だったよ。
大概80パーセント行きよったでしょ。
15〜16年ぐらい前はですね鱧が浜値で大体4000円から5000円してた。
それが100円を切るような値段になってですね…。
相場急落の原因は淡路や瀬戸内海産の台頭。
高齢化も深刻さを増します。
働く人の半分以上が60歳を超えました。
漁業を守っていくには地産地消が必要不可欠となったのです。
そんな中漁協がある機械を導入。
鱧の骨切り機です。
500本もあるといわれる鱧の小骨を砕き誰でも簡単に調理できるようにしました。
満を持して挑むグルメ大会。
しかし侮れません。
養殖ブリの生産量が日本一の長島町に錦江湾のかんぱちなど多くが日本一の食材を抱えています。
かつお節の生産量が日本一の枕崎市は2年連続で優勝しその恩恵にあずかりました。
今まで並んでなかった飲食店がお客さんが20人とか30人とか並ばれるって事はもうかつてなかった事です。
そして今年全国展開へ。
勝てば食の町ともてはやされ負ければ振り向きもされない。
それが現実です。
丼ぶりづくりは佳境に差しかかっていました。
「来て来て」ばかりじゃいけませんので来て頂いた上で美味しいものを提供できるような準備も必要だと。
調理の担当は田浦さんの母久子さん71歳。
志布志がにぎわって活気のある町になってほしいな。
私も元気でおります。
死んじゃおれんです。
はははは…。
死んじゃおれんです。
この日が20回目の試食会。
今回は鱧に特製のあんをかけてみる事に。
塩こしょうとかシソの香りがした方がまだいいのかなと…。
味が全体的に薄かったかなっていう感じですかね。
薄かったです。
薄いしもうちょっとこれも…。
2月。
鱧料理の本場京都。
ここは創業1576年の老舗料亭。
夏目漱石や正岡子規も好んだという伝統の味を持っています。
本物の味を知りたい田浦さん。
(田浦さん)おはようございます。
失礼します。
(田浦さん)志布志から参りました田浦と申します。
ああそうですか。
商工会の理事をしております。
本日はありがとうございます。
ありがとうございます。
お忙しいところお時間頂きありがとうございます。
私平八茶屋の園部と申します。
どうぞよろしく。
今日はいろいろと学ばせて頂きたいと思います。
よろしくお願いします。
基本的に京都では夏の料理なんですよね。
ですからどういうものがいいのかおっしゃって頂いて…出来る事はさせて頂くという…。
持ち込んだ志布志産の鱧。
しかしこれは2日前に水揚げされたもの。
我々は大体このぐらいの鱧を落としにしたり例えば加工したりという風なものになりますのでね。
京都では鱧の重さによって用途を使い分けていました。
そして骨切り。
(園部さん)だからそこまで包丁が入れられるかどうかという事がまず鱧料理の基本ですね。
7〜8年そういう調理に携わって包丁さばきが出来て初めてこの仕事が出来る。
今ほんで鱧の落としを今そこでしますんで…。
鱧の落とし。
素材が新鮮なら湯の中で花のように広がるはずですが…。
(園部さん)ちょっと違うねやっぱり。
このレベルやったら魚屋でもちょっと出せない。
今のレベルでも駄目です。
(田浦さん)駄目?うん。
(田浦さん)魚屋さんにも出せない…。
(園部さん)うん。
はい…。
なるでしょう。
それなりの技術を持った方がね。
(スタッフ)素材としては…。
まず素材が新鮮でなければなんぼ技術があっても駄目です。
鱧は鮮度が命。
産地の強みを全く生かしきれていませんでした。
(園部さん)これから食習慣にして頂くにはやっぱり何十年という…。
(田浦さん)文化を作らなくちゃ…。
(園部さん)そうですね。
せっかく志布志の鱧が獲れるんやったら志布志の方に食べてもらうという文化ですかね…。
食文化を育てていくのも一つでしょうね。
(鳥の鳴き声)
(久子さん)おはようございます。
(田浦さん)おはようございます。
お願いします。
おー大漁や。
獲れたての鱧を出荷用に下ごしらえしている女性たち。
40年以上ここで働いています。
田浦さん加工場に来るのはこの日が初めて。
活動を通して漁業を支えてきた人たちのありがたさを知ったのです。
6か月の時を経てようやく丼ぶりが完成。
全て志布志湾の新鮮な素材。
鱧は昆布といりこの出汁をかけうまみを引き出しました。
さらに釜揚げにしたシラスと獲れたてそのままのウニが磯の風味を際立てています。
あ!美味しい。
(田浦さん)美味しいですかね?うん美味しい。
格段にうまくなったかも…。
うん。
漁協のおばちゃんたちが寒い中で鱧を開いてですよね…冷たい水にさらされながら頑張ってくれてますので私たちは…出来る事は明日勝つ事ですので。
(田浦さん)鱧のためにも必要です。
グランプリの冠っていうのはですね…。
関わる人が多いほどみんなが恩恵を受けますので。
鹿児島県で最も大きなグルメの祭典。
黒豚のカレーにキビナゴのラーメンなど鹿児島ならではの食材が13の地域から集まりました。
(田浦さん)うにめしに鱧天。
このような贅沢な丼ぶりはございません!ご飯は温まったから…。
ご飯もらえます?厨房を仕切る久子さん。
黒潮隊員20人。
目標販売数は2000食。
あの加工場の女性たちも応援に駆け付けました。
うにめしに釜揚げちりめんが入って鱧がのってます。
天ぷらが。
美味しいですよ。
ところが序盤大きく遅れを取ってしまいます。
最も人が集まっていたブース。
はい!ありがとうございます!ありがとうございます!美味しかった!美味しかった?美味しい頂きましたー!ありがとうございます!東シナ海阿久根の海の恵み。
タカエビという名の特産を使った丼ぶりタカエビ丼が好評を博しました。
これがあっという間に完売。
バンザーイ!はいすいません。
お待たせしました。
ありがとうございます。
よろしくお願いします。
中間成績1位の長島町。
とっても美味しいです。
絶対負けない自信があります。
自信の裏にあるのは日本一のブリの存在。
地元の人たちの協力を得て極上の素材を用意してきました。
これは呼びかけしかないので一生懸命声をからして。
っていうかもうのどつぶしてもいいので。
(田浦さん)お客様いらっしゃいませ!鱧の天ぷらとうにめしたっぷり入っておりまーす!いらっしゃいませー!黒潮隊のメンバーが秘策を投入。
実は志布志は過去の大会で優勝した実績を持っています。
昔取った杵柄。
効果はすぐに表れました。
グランプリとか準グランプリとか貼ってるんですからなんか…食べてみたいなと思って今並んでます。
そして終了間際…。
ありがとうございましたー!
(拍手)完売です。
ありがとうございましたー!
(拍手)それでは第4回商店街グルメNo.1決定戦。
グランプリに輝いたのは…。
(ドラムロール)志布志中央商店街!よっしゃー!やったー!よっしゃー!あなたは第4回商店街グルメNo.1決定戦Show‐1グルメグランプリにおいて地方および本大会を通して…。
(泣き声)ありがとうございました!ああよかった。
志布志の活性化を託された一杯の丼ぶり。
この丼ぶりには志布志で暮らす人々の思いが詰まっています。
(田浦さん)漁業者の皆さんたちの苦労が報われるように鹿児島県や志布志市で鱧を食べる文化というのを発信していきたいと思います。
本当の戦いはここからです。
これが預かってきたレシピ…。
レシピですね。
はい。
わかりました。
レシピを飲食店に公開。
店々のやっぱりプライドもありますんでね同じもん作っちゃあれですけどもまあ似たような形で…。
少しずつやっぱり味が違った方が店の特徴が出ていいのかなと思いますね。
(和太鼓の音)
(本田市長)鱧の味は間違いなく保証される味でございますので…。
目標が形になってきました。
鱧の振る舞い汁無料配布しております!よろしければ食べてください!あとすごいでかい。
はいありがとうございます!これと鱧が…。
飲食店からはハモタル丼にハモカツバーガーなどが出店。
レシピを公開したものの三昧丼と同じ物を作る店舗はありませんでした。
一番人気はハモカツバーガー。
なんかさくってしてなんかふわっとして…。
全然鱧とか知らなくて。
最近こういうなんかあの…鱧のイベントとか…地元で鱧の料理とか出たりして鱧って美味しいんだなと思って…。
いらっしゃいませー!ここでは鱧のリゾットを販売。
はいどうぞ!ありがとうございます!こちらの女性商店街でイタリアンカフェを経営しています。
ほとんどお客様が来られないっていう…。
(佐野さん)丼ぶりとかそういう枠からちょっと外れて鱧料理が提供できたらいいのかな…。
意を決して作ったのが鱧のリゾット。
これが人気メニューになるのです。
鱧のリゾット。
客がまばらだった店に人が集まり始めました。
生臭さとか全然なくって美味しいです。
鱧の町と呼ばれる日を目指す志布志市。
本格的なシーズンはこれからです。
次回の『日本!食紀行』は高知県土佐清水市。
濃厚なコクとうまみを出す宗田節に学びます。
2014/06/01(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本!食紀行[字]
ご当地グルメ日本一に輝いた、鹿児島県・志布志湾の絶品ハモ丼!天然ハモの天ぷら&新鮮うに&釜揚げしらすに、特製の出汁をかけていただきます。大人気の秘密とは!?
詳細情報
◇番組内容
志布志では今まさに、ハモを使った町おこしが行われています。関西では高級食材のハモ。地元でも消費すべきと機運が高まり、飲食店を中心に普及活動が始まりました。まずはご当地グルメ大会の優勝を目指し、市や商工会、漁協などでプロジェクトチームを結成。
◇番組内容2
試食会や京都老舗料亭の訪問など、ハモプロジェクトを立ち上げた人々に密着、ハモが食文化になる過程を伝えます。
◇番組内容3
日本全国各地の「食」を通して、地域の歴史や文化、人々の英知や営みを学び、温かいコミュニティーなどを四季折々の美しい風景とともに描き出す教育ドキュメンタリー番組です。
◇ナレーション
岩