官兵衛が荒木村重により有岡城に幽閉され既に半年がたっていた。
(九郎右衛門)あの〜。
(見張り)何だ?お酒お持ち致しました。
何!?お〜すまんのう。
ただ見つかるとおとがめがあるのであちらで。
ああ。
(指笛)
(九郎右衛門)土牢はここじゃ。
しかしここに見張りがおって先へは進めぬ。
裏手は見張りの目は届かぬがここに水堀があって泳いで渡らねばならぬ。
(太兵衛)泳いで?
(善助)確かにここの土牢に殿はおられるのだな?恐らく。
・
(善助)殿。
殿!殿。
栗山善助でございます。
(官兵衛)善助…。
殿…。
よくぞご無事で…。
必ずや…必ずやお救い致します。
殿…お体は…。
(又左衛門)何をぶつぶつ言っておる?
(うわごとのまね)
(又左衛門)うわごとか…。
(テーマ音楽)
(久左衛門)毛利は何故動かぬ!?「備えが間に合わぬ。
謀反の兆しがある」などと申して一向に腰を上げぬ!どうなっておるのだ!
(和泉)このままでは兵糧が底をつくのは目に見えておる。
そもそも毛利は兵を出す気がないのでは?
(荒木)毛利は来る!いい加減な事を申すな。
士気に関わる!
(和泉)されど我らが兵を挙げて既に半年。
幾度も毛利を促したにもかかわらず…。
まだ言うか!お許しを!口が過ぎました!殿!
(近習)申し上げます!何だ!?織田の間者を捕らえました。
またか!こやつ下働きを装っておりました。
その面しかとお見せしろ!斬り捨てよ。
(家臣)はっ!来い!
(間者)離せ!皆の者うろたえるな!おのおのの務めに戻れ。
だし。
何じゃそれは!?見せい!
(だし)精のつくものを食べさせ身ぎれいにしないとこのままでは官兵衛様は死んでしまいます。
ならぬ!官兵衛に会う事固く禁じたはずだ。
(職隆)光!光!光!善助からだ。
(お福)お方様いかがなされました?
(光)殿は…生きておられます…。
よくぞ…。
よくぞ…。
官兵衛!
(泣き声)
(松寿丸)えいっ!え〜いっ!えいっ!え〜いっ!
(松寿丸)えいっ!えいっえいっえいっ!おかか様!
(おね)松寿。
(せきこみ)
(松寿丸)半兵衛様!おかか様がお見えです。
(おね)あ…何をしておいでじゃ?
(半兵衛)播磨に戻ります。
播磨へ?無理はおやめなさい。
このまま秀吉様にお会いせずに死ぬ訳にはまいりませぬ。
それがしは軍師。
死ぬのは戦場と決めております。
松寿。
これはわしが長年使ってきた軍配だ。
お主の父に渡してくれ。
嫌でございます!半兵衛様から…。
お主に預ける。
お主の手で父上に渡すのだ。
わしの最後の頼みだ。
よいな?
(秀吉)官兵衛…。
ただいま戻りました。
おお!半兵衛!ハハハハハハハハ。
具合はどうじゃ?もうようなったのか?はい。
ご心配おかけ致しました。
そうか半兵衛!よかったよかった!ハハハハハハハハ。
半兵衛喜べ。
職隆殿からじゃ。
「捕らわれの身…」。
やはり官兵衛は裏切っておりませぬ。
うむ。
ハハハハハハハハハ。
半兵衛よ。
そろそろ誠の事を申してくれぬか?ご安心下さい。
松寿は生きております。
アハハハハハハハハハハハ!生きておった!生きておった!ハハハハハハハハハハハハハハ!菩提山のそれがしの庵にて匿っております。
この事おね様はご存じです。
おねもか!お主ら2人そろって主をだましおって!ハハハハハハハハハハハハハ!あの時上様には松寿を殺すと申し上げるほかありませなんだ。
松寿を殺さず生かすという事は上様の命に逆らうという事。
そして上様の命に逆らってまで松寿を生かしたのは官兵衛を失わぬため。
隠し立てした事お許し下さい。
半兵衛!お主は誠あっぱれな軍師じゃ!ハハハハハハハハハ…。
ありがたきお言葉。
殿何とぞ官兵衛を救い出して下され!分かっておる。
一刻も早く有岡城が落ちればよいのだが…。
毛利の加勢がなければ有岡三木本願寺はいずれ落ちましょう。
その毛利の動きを封じるためには宇喜多を味方につけるのが一番かと。
宇喜多か…どう転ばす?宇喜多は今頃寝返りたくてうずうずしておりましょう。
備前美作の本領安堵で十分。
フッ安い買い物じゃ。
使者は小六殿に任せるがよいと存じます。
何を申すか。
半兵衛せっかく体がようなったんじゃ。
お主が行ってまいれ!それもそうでございますな。
(2人の笑い声)官兵衛!待っておれ!
(水滴の音)
(足音)
(鳴き声)
(又左衛門)玉松!
(玉松)父上!
(又左衛門)ここに来てはならぬと言ってあるだろう!
(玉松)申し訳ありませぬ。
ここは危ないから早く帰りなさい。
…はい。
飯だ。
半兵衛…。
殿…。
半兵衛…何じゃその顔は!お主らしくないぞ!しっかりせえ!半兵衛…死ぬな…。
死んではならん!石田殿…。
(三成)はい。
お主は知恵が回る。
だがそれに頼り過ぎる。
もっと人の心中を察するがよい。
はい!小一郎殿…。
小六殿…。
(小一郎)半兵衛気をしっかり持て!
(蜂須賀)そうじゃ。
お主の辛気くさい説教まだ聞き足りぬぞ!そろそろお別れのようでござる。
半兵衛…何を申すか!お主がいなくなったら…わしはどうすればいいんじゃ?官兵衛がおります…。
これからは…何事も官兵衛をお頼り下され。
秀吉様…。
何じゃ?面白うございました…。
(泣き声)半兵衛…。
天下を…。
分かった…分かった半兵衛!半兵衛…。
半兵衛!
(泣き声)天正7年6月13日。
希代の軍師竹中半兵衛はこの世を去った。
36歳の若さであった。
半兵衛殿!
(お鮮)いかがなされました?
(宇喜多)どういう訳か近頃酒がまずくなった。
お前を抱く気も起きぬ。
フッこのわしがじゃ。
ハハハハハハハハハハハ…。
悪い病に取りつかれたようじゃ。
・
(八郎)えいっ!や〜っ!
(八郎)えいっ!や〜っ!
(宇喜多)八郎の元服までもたぬかもしれぬ。
そんな…。
それゆえわしは決めた。
羽柴秀吉が軍師蜂須賀小六にござりまする。
お主が竹中半兵衛黒田官兵衛の代わりに?はっ!フン!本領安堵は相違ないな?この首に懸けてお約束致す。
お前の首など欲しくもないが今日を限りにわしは毛利を捨て織田につく。
ありがたき幸せ!
(茂吉)荒木様は毛利に見捨てられたのではあるまいか?
(文四郎)見捨てられた?兵を挙げて8か月もなるというのにいまだに援軍は来ない。
荒木様は正気を失っているという噂もある。
正気を…?
(茂吉)降伏を進言なすったご家来衆を手討ちになすったとか…。
(荒木)なぜだ…。
なぜ毛利は来ぬ…。
なぜ来ぬ…。
(善助)九郎右衛門の話では城内は調略を恐れるあまり皆疑心暗鬼になっているようだ。
少しでも怪しいと見なされれば容赦なく殺されるそうだ。
うむ…一刻も早く殿をお救いせねば…。
織田が攻めてくれれば隙も出来るのだが…。
うむ。
(戸が開く音)
(だし)何をなされているのです?土産を選んでおる。
(だし)土産?毛利輝元公への土産じゃ。
毛利?わしは決めた。
このまま待っていてもらちが明かぬ。
わしがじかに毛利を呼んでくる。
そのための土産だ。
おおハハッ。
これもよいのう。
殿が城を出られるという事ですか?そうだ。
わし自ら談判に参る。
さすればいかに腰の重い毛利とてむげにはできまい。
外聞もある。
援軍を出すに相違ない。
(だし)城は囲まれております。
(荒木)危ういのは承知の上だ。
まず船で尼崎城へ行く。
そこから隙を見て毛利のもとへ参る。
(だし)城主が城を抜け出すなど…。
家中の者が聞いたら何と思うか…。
お前や子どもを守るためにはこれしかないのだ。
必ず援軍を連れて戻ってくる。
わしを信じよ。
…分かりました。
無事のお戻りをお待ちしております。
(水滴の音)
(足音)おことも飲め。
遠慮はいらぬ。
飲め!
(せきこみ)情けないやつじゃ。
官兵衛わしにつけ!ハハハハ頑固な男よ。
わしはな信長にだけは死んでも頭を下げぬわ。
わしがじか談判する。
ハハハハハハハ毛利の援軍は来る。
必ず来る。
わしは信長には負けぬ。
まだ死ぬなよ官兵衛。
天正7年9月2日夜。
村重は織田軍の厳重な包囲網をかいくぐりひそかに有岡城を脱出した。
(長秀)これが世界だというのか?
(ロレンソ)はい。
(信盛)世界が丸いとは…。
(お濃)私はいまだに訳が分かりませぬ。
何故人が滑り落ちぬのか…。
(信長)日の本がどこだか分かるか?
(長秀)どこでございまするか?
(ロレンソ)ここにあります島が日の本でございます。
なんと!そんなに小さいのか!
(信長)世界が広いのだ。
はっ…。
我々はここポルトガルから海を渡り2年かけて日の本へ着きました。
2年も!この者たちは死を覚悟してやって来たのだ。
申し上げます。
滝川様がお見えでございます。
(一益)上様!荒木村重が…有岡から逃げました!逃げただと!?何をやっておるのだ!申し訳ございませぬ!よもや城主が城を抜け出すとは…。
(近習)申し上げます。
羽柴様がお見えでございます。
(秀吉)上様お喜び下さい!何だ?宇喜多直家を調略致しました!これで毛利は攻めてはこられませぬ。
(信長)宇喜多を調略しただと?はっ!たわけ!ごもっとも。
わしがいつ宇喜多を調略しろと申した!ごもっとも。
許さぬ!勝手なまねしおって!ごもっとも。
宇喜多の帰参など許さぬ!攻め滅ぼすのだ!ごもっとも!上様…。
(お濃)おやめなさい筑前殿。
今は何を言っても無駄です。
何かございましたか?村重殿が有岡城から逃げたそうです。
村重が?
(足音)
(村次)父上!物見が戻ってまいりました。
どうであった?
(村次)海路を行くのはやはり難しいかと…。
今や瀬戸内の船路は織田の水軍に閉ざされております。
陸は?より難しいと存じます。
仮に織田の囲みを破ったとしてもその先は宇喜多領。
宇喜多は織田に寝返ったとも…。
(村次)また毛利に催促の書状を出してはいかがですか?
(荒木)無駄じゃ。
もはや毛利は来ぬ。
(喊声)天正7年10月15日。
織田軍が有岡城下になだれ込み町を占拠。
城の目前に迫った。
(和泉)お方様!
(だし)いかがした?先ほど織田から使者が参りました。
尼崎におられる殿が速やかに降伏を承知なされば城の者の命は助けるとの事にございます。
誠か?はい。
久左衛門殿が殿を説き伏せに参ります。
降伏はせぬ。
久左衛門にそう伝えよ。
(家臣)お会いしてじかに話された方が…。
(荒木)会わぬ。
追い返せ。
しかし…。
追い返せ!はっ。
わしは負けぬ…。
降伏などせぬ…。
(村次)父上!父上!父上!何故久左衛門に会われぬのですか!?父上!村次…わしは思いついたのだ。
信長に決して負けぬ手だてを。
は?生きる事だ。
わしが生きておる限り信長に負けた事にはならぬ。
何があろうと生きて生きて生き抜いてやる!
(家臣)久左衛門殿は…逃げ申した!久左衛門殿ばかりではありませぬ。
殿が応じぬと知るや皆逃げ去りましてございます。
それでは城に残された者たちは…。
(だし)和泉殿!お先に!ごめん!
(銃声)
(侍女たち)キャ〜!
(水滴の音)もう…この城も終わりだ。
今まですまなかった。
間もなく織田が攻めてくる。
それに乗じて逃げるがよい。
お方様がお命じになった。
お方様は城に残る。
わしも…最後まで戦うつもりじゃ。
息子の玉松だけはうまく逃げてくれればよいのだが。
それが気がかりでならぬ。
わしが…預かろう。
フッ何を言っておる。
誠か?・
(銃声)織田の総攻めが始まりました!行くぞ!はい!
(銃声)
(さと)お方様ここは危のうございます。
この子を頼みます。
お方様は…?頼みましたよ。
お方様…。
(赤ちゃんの泣き声)さあ。
(赤ちゃんの泣き声)
(赤ちゃんの泣き声)行きなさい。
(赤ちゃんの泣き声)
(銃声)
(九郎右衛門)急げ!敵じゃ!こっちだ!
(九郎右衛門)こっちだ。
(九郎右衛門)殿殿!
(善助太兵衛)殿!はっ!ううう…。
殿!殿!あ〜っ!殿…。
善助…。
九郎右衛門…。
太兵衛…。
待っておったぞ…。
あ〜あ…あ…。
(太兵衛)殿いかがなされましたか?生きておる…。
はい!殿は…殿は生きておいでにござります!行くぞ!
(太兵衛)はい!
(秀吉)黒田官兵衛にございます!
(おね)官兵衛殿を手放してはなりませぬぞ!松寿!
(松寿丸)母上!
(右近)上様のお怒りは尋常ではございませぬ!
(一同)キャ〜!
(信長)荒木の一族郎党は根絶やしにするのだ。
信長〜!
(だし)これが裏切りの報い…。
(信長)半兵衛め…死してなおこの信長を手玉に取ったか。
半兵衛殿…。
三木城を攻める秀吉は2km北東にある平井山を本陣としました
半兵衛と官兵衛は兵糧攻めを秀吉に進言します。
三木城の周囲に40余りの砦を築き城を完全に孤立させました。
幾重にも連なった土塁や柵を張り巡らせる徹底ぶりでした。
天正7年。
戦場を離れ療養していた半兵衛は秀吉のもとへ駆けつけます。
そして半兵衛はこの地で36年の生涯を閉じました。
秀吉は人目もはばからず半兵衛の亡骸に取りすがったと伝わっています。
秀吉に忠義を尽くした半兵衛の志は官兵衛が引き継いでいくのです
2014/06/01(日) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
軍師官兵衛(22)「有岡、最後の日」[解][字][デ]
官兵衛(岡田准一)が有岡城に幽閉されて1年が過ぎた。村重(田中哲司)が城を抜けだし、最期が迫る中、善助(濱田岳)ら家臣団は主君を救い出すため城内に突入を図る。
詳細情報
番組内容
劣悪な環境の有岡城の土ろうに1年間幽閉され、官兵衛(岡田准一)は、身も心もぼろぼろになりながら何とか命をつないでいた。一方、死期を悟った半兵衛(谷原章介)は秀吉(竹中直人)と最後の面会を果たすため療養先を引き払う。そんな中、村重(田中哲司)は自ら毛利に援軍を請うため、だし(桐谷美玲)たちを見捨て城を脱け出る。主を失い落城が迫る中、善助(濱田岳)ら黒田家臣団は官兵衛を救うべく城内への突入を敢行する。
出演者
【出演】岡田准一,中谷美紀,谷原章介,内田有紀,春風亭小朝,田中哲司,桐谷美玲,濱田岳,速水もこみち,高橋一生,田中圭,勝野洋,阿知波悟美,ピエール瀧,嘉島典俊,川野太郎,立川三貴,遠藤要ほか
原作・脚本
【作】前川洋一
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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