美の壺・選「あじさい」 2014.06.01

(テーマ音楽)ああ今日も雨ですかぁ。
梅雨どきはジメジメして気がめいるっていう人多いですよね。
でも僕はねこの季節になるとワクワクしちゃうんです。
なぜかって…ほら。
どうです?きれいでしょう?日本の梅雨を彩るあじさい大好きなんですよ。
庭で育てようと思っていろいろ買ってきたんです。
見て下さい。
雨露にぬれてたたずむ可憐な姿。
ああ初恋のあの人を思い出す…これは失礼。
草刈さんアジサイは日本原産の花なんですよ。
ふ〜ん。
3,000以上もの品種があるんです。
ご存じない美しいアジサイもたくさんあるんじゃないですか?へえ〜未知なる美しさですかぁ。
ゾクゾクしますね。
ご覧下さい。
これ全部アジサイなんです!色も形もバリエーション豊かなアジサイが今人気を集めています。
母の日の贈り物といえばカーネーションが定番でしたが…。
今アジサイを贈るのがトレンド。
カラーも豊富でゴージャス。
西洋アジサイと呼ばれるこれらの品種。
もとは日本原産のアジサイがヨーロッパで品種改良されたものです。
アジサイってこういうピンクとか赤とかもいろいろあって形とかもとてもきれいで初めて見るようなものばかりでとても新鮮でした。
そもそもアジサイは古くは万葉集にも歌われ日本人にずっと愛されてきました。
着物の柄にあしらえば…。
楚々とした可憐さが魅力。
他方懐石料理では…。
6月のお椀はこちら。
そう!アジサイを模したハモです。
更にお椀の蓋裏にもアジサイの蒔絵。
露を帯びた花びらが涼やかですねぇ。
伝統の美から未知の品種まで。
皆さんがまだご存じないアジサイの世界へご案内しましょう。
別名「アジサイ寺」とも呼ばれる鎌倉・明月院です。
境内に咲き誇る3,000株以上ものヒメアジサイ。
どれもが同じ淡いブルーに統一されています。
冴え冴えとした青の世界。
人々はそれを「明月院ブルー」と呼びます。
明月院ブルー1色に6月は染まるわけですね。
やはりこの美しさというのは歴代の住職がねずっと植えられてこられたと。
そのブルーを引き立たせるのが鎌倉特有の「谷戸」と呼ばれる谷あいの地形です。
アジサイの背景が緑に埋め尽くされているのです。
やはり自然のなせる業といいますかね。
(大槻)非常にこの薄い水色にマッチした優しい風情を作り出しているわけですね。
明月院ブルーそれは鎌倉の自然歴史人の手が生み出した青の絶景です。
奥深いアジサイの色の世界は多くの園芸家を魅了しています。
アジサイの魅力はですねやっぱり何といってもこの色の豊富さ。
特にあの色が変わる様は昔から「七変化」と呼ばれてるんですよ。
そのくらい色の変化っていうことはアジサイの魅力の一つだと思うんですね。
今日一つ目の壺は…アジサイの色には不思議がいっぱい。
こちらに並んだ2つのアジサイ。
片方は青もう一方はピンクの花をつけていますが…実は全く同じ品種です。
植える場所とかそういう所によってもこういうふうに青と赤っぽくというふうに変わってきます。
なぜこのような色の違いが生まれるのでしょうか。
もともとアジサイの花には「アントシアニン」と呼ばれる色素が含まれていて土の中にあるアルミニウムが加わると青色になる性質があります。
土壌が酸性だとアルミニウムが多く溶け出しそれが吸収されると色素アントシアニンが反応して青みが増します。
逆に土壌がアルカリ性だとアルミニウムが溶け出さないため赤みを帯びた色になるのです。
今度は時とともに変化するアジサイの色の不思議です。
千葉県の園芸農家。
10年前にオランダから取り寄せたアジサイを改良して珍しい品種を栽培しています。
それがこちら。
まるで貴婦人のようなたたずまいです。
驚くべきは紫や青ピンクなどの色が日がたつごとに刻々と変化することです。
なぜこのような変化が起こるのでしょうか。
実はアジサイの花に見える部分は装飾花。
本当は「がく弁」なのです。
がく弁は葉っぱの一種であるためいわば紅葉のような仕組みで色が変化すると言われています。
ではアジサイの色の七変化をご覧下さい。
「ダヴィンチ」と呼ばれる品種では咲き始めは鮮やかな青。
青の中に紫やピンクがかすかににじんで妖艶さをたたえています。
しかし数週間すると風合いを帯びた色に変わります。
このような段階を「アンティーク」と呼ぶのです。
ではもう一つ。
「ドルチェ」と呼ばれる品種では咲き始めがピンクですが次の段階で何色になると思いますか?草刈さん。
えっ何だろう?青。
(ブザー)ブブー。
残念。
正解は…緑です。
ウソ!更に次の段階では真っ赤に染まってしまうのです。
アンビリーバブル!梅雨時期から咲いた花が秋まであってその間に劇的に変化する。
で最後には真っ赤というか深紅の色に変わるとかそこまで変化が出る花というのはなかなか無いんでまあ最後秋にそういったものを含めて楽しんでもらえたら面白いと思います。
まるで人生のように移ろうアジサイの繊細な色。
その時々のアジサイが見せる美しさ。
一期一会の出会いを楽しむことができます。
ジャ〜ン!これ見て下さい。
「紫陽花」と名付けられた和菓子なんですけどねよく出来てるでしょう?透き通るような色合いがまるで雨にぬれたアジサイそのものじゃないですか。
草刈さん確かに和菓子のアジサイもすてきですけど花にももっと近づいて見て下さい。
個性的な形をしていると思いませんか?あホントだ。
へえこんな形があるんだ。
神奈川県藤沢市にお住まいのアジサイ愛好家のお宅。
これなんかきれいでしょ。
うんすごいきれい。
これは「手まり咲き」ってね手まりのような咲き方をするわけ。
高橋章さんはアジサイ好きが高じてご自宅の庭を100種類以上のアジサイで埋め尽くしてしまいました。
やはりアジサイの花はですね花の形姿。
もう一つアジサイ観賞には楽しみがあります。
これ私の大好きな「紅風車」です。
すてきな名前でしょ。
そうネーミングです。
「紅風車」と名付けられたアジサイ。
確かに丸く大きな花弁が風を受けて回る風車をほうふつとさせます。
アジサイには姿形から連想された叙情あふれる名前が付けられていることが多いのです。
こちら鳥が舞うような姿から「八丈千鳥」と名付けられました。
そして日没にまたたくのは「宵の星」。
極め付きは「銀河の輝き」。
放射状に重なる花弁は夜空に輝く星の流れなのです。
あのアジサイを見ていると花の形と名前それで本当に情景が頭の中にず〜っと浮かんでくる。
それがやはりアジサイの最大の僕は魅力じゃないかなと思ってますね。
今日二つ目の壺は…ではアジサイの豊かな形のバリエーションを見ていきましょう。
おなじみのこんもりと丸く花が密集した咲き方。
「手まり咲き」です。
花が額縁のように周囲を飾るのは「額咲き」。
花弁の形もさまざま。
丸みを帯びて愛らしい「丸弁」。
剣のように細長くシャープな印象の「剣弁」。
縁がギザギザになっている「フリル弁」など。
八重咲きから一重咲きまで色と相まって無限の魅力が楽しめます。
こちらは北鎌倉で毎年恒例になっているアジサイの展示会場です。
展示されているのは愛好家が大切に育てたヤマアジサイの数々。
ヤマアジサイはもともと山間部に自生し山中にひっそりと咲くようなたたずまいが好まれています。
その魅力に取りつかれた大友三夫さんです。
大友さんは北は北海道から南は九州まで全国の山を歩きヤマアジサイに出会ってきました。
大友さんが今年出展した中には山で採取したアジサイがあります。
今回発見した新種です。
青森の山中で遭遇しました。
神秘的な瞬間だったと言います。
ちょうど太陽がサーッと当たってね林の中からチラッと見えたんですよね。
そういう太陽の輝きとか水面の映り具合とか彩りちゅうかね輝きを発見したわけです。
付けた名前は?この花は「渓流の彩り」。
いろいろ考えた末そういう名前になりました。
やっぱりいい花を見たらいい名前をあげたいなとは思いますよね。
一方園芸栽培の世界ではさまざまな形のアジサイが作り出されてきました。
品種改良のエキスパート一江豊一さん。
20年前からあらゆるアジサイを交配させ100種類以上もの新種を世に送り出しています。
花弁の形も花のつき方もどれも他では見たことがないような珍しいものばかりです。
中でも一江さんの最高傑作が2001年に発表されたこちらのアジサイです。
八重咲きの可憐なピンクの花が円を描くように咲いています。
一つ一つの花の形をはっきり際立たせました。
初代の親は八重咲きの「伊豆の華」と大きな花弁の「グランツチョイス」です。
幾代も交配を重ね大きな花弁の八重咲きが誕生しました。
その名も「ダンスパーティー」。
形もくっきりと花一つ一つが踊るようです。
形と名前から思い思いの情景を浮かべるのもアジサイならではの楽しみです。
わあきれいな姿だなこれ。
草刈さん。
へえ。
これは江戸時代にドイツ人医師のシーボルトがヨーロッパに持ち帰ったアジサイのうちの一つなんですよ。
長らく国内では確認されず一時期は「幻のアジサイ」と呼ばれていたんです。
シーボルトは日本のアジサイに「オタクサ」と学名を付けたんですよ。
「オタクサ」ってどんな意味だと思いますか?えっ何だろう?実はシーボルトが愛した女性楠本滝の愛称「お滝さん」から取った名前だったんです。
ふ〜んロマンチックですねぇ。
僕も初恋の人の名前を…駄目!駄目!皆さんもまねしてみて下さい。
まずは和のあしらいから。
北鎌倉にあるミュージアム。
ここでは古民家のたたずまいに合うあしらいをしています。
苔むした庭になじむ器に生けてわびた風情を醸し出します。
そこに秘められた精神とは?長谷川幹晃さんに伺いました。
特にヤマアジサイを和風に生ける場合ですと…そういう形が一番理想的な生け方なんじゃないかなと思ってますけども。
飾らないあるがままの姿こそヤマアジサイの魅力。
更に長谷川さんは欠けた器を使うことで独特の味わいが生まれると言います。
器は平安末期の渥美焼。
およそ半分しか残っていませんが…。
野趣あふれるヤマアジサイにはぴったりでした。
特に欠けたものというのは器が何かを欲してるといいますか…ヤマアジサイとの響き合いというのがあるんじゃないかなというふうに思っています。
今度は洋のあしらい。
フローリストの小林深雪さんにご自宅で教わりました。
使うのは花びらの大きな西洋アジサイ。
まず下準備。
茎を鋭角に切り中の綿を取り出して外側の表皮を削り取ります。
そしてミョウバンを念入りにこすりつけます。
無い時は火であぶります。
生命力を刺激し水揚げを良くして花を長持ちさせるのです。
花器はアジサイと相性が良いガラスのものを使用し花を縁に沿って生けていきます。
ポイントは花の色を隣同士で変えること。
最後に一番お気に入りの花を中心に据えれば…出来上がり。
色のグラデーションがあるためアジサイだけでも単調にならずとても華やかです。
魅力がある花だと思います。
というわけで三つ目の壺は…次は夏にぴったりの大胆なアレンジメント。
小林さんが用意したのは大きな筒のガラス花器。
アジサイの花だけを詰め込んでいきます。
そこに水を注ぐのです。
モニュメントのような水中花の出来上がり。
水に強いアジサイならではの飾り方です。
大胆な発想でアジサイの新しい魅力が引き出されました。
まさに夏に涼を運ぶアレンジメントです。
最後に夏が終わってもアジサイを楽しめる裏技をご紹介しましょう。
フラワーコーディネーターの高橋郁代さん。
高橋さんのおすすめはアジサイで作ったリースです。
まずアジサイの花を細いワイヤーで留め小さな束にします。
その束をブドウのつるを円形にしたものに今度は太めの針金でくくりつけていきます。
交互に色の違いがあるものを取り付けます。
時折ユーカリなどの木の実を交ぜると変化に富んだ深みが出ます。
完成です。
紫が映えるエレガントなリースが出来ました。
更に…。
風通しのいい日陰につるしておけばドライフラワーになって長く楽しむことができるのです。
最初は生できれいな色なんですがだんだんドライになって色がシックな感じになって変わっていくというのが日々見てて楽しいんじゃないかと思うんですけど。
そのままクリスマスの時期ぐらいまでは色がちょっとシックになったぐらいの感じで楽しめると思いますのでクリスマスには向いてると思います。
完成して1年もすればこのように全く違った表情のリースに変わります。
今年はアジサイでクリスマスを迎えるのはいかがですか?さてこれでよしと。
いやね知り合いの花屋さんに教えてもらったんですけどね。
アジサイのすてきなアレンジメント。
こうやって水鉢にアジサイの花を浮かべるとほらさまになるんですよ。
キャンドルを浮かべて火をともせば夕涼みにもぴったりです。
はぁ今夜はアジサイを眺めて一杯いきますかね。
あそうだ!和菓子の「紫陽花」食べるの忘れてた。
草刈さんはやっぱり花よりだんごなんですね。
あ〜これはホントにおいしそうだなこれ。
フフッ。
う〜んうまい!アジサイの季節最高!
(テーマ曲)2014/06/01(日) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
美の壺・選「あじさい」[字]

身近なテーマを中心に、美術鑑賞を3つのツボでわかりやすく指南する新感覚美術番組。今回は「あじさい」。案内役:草刈正雄

詳細情報
番組内容
梅雨を彩るあじさい。日本原産で3000品種もあり、その色や形のバリエーションには目を見張るものがある。“七変化”と呼ばれ、一生のうちに何度も色を変化させていく美とは?「宵の星」、「銀河の輝き」などの名を持つ珍しいあじさいとは?この夏、ちょっとまねしたくなる、あじさいならではの大胆なアレンジメントとは?日本人に身近なようで、あまり知られていないあじさいの美を堪能する。
出演者
【出演】草刈正雄,【語り】礒野佑子

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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