(パトカーのサイレン)
(小野寺恭平)大津市内で発生した郵便局強盗未遂事件の犯人発見。
現在地は坂本161号線を北上中至急応援願います。
離されるなよ。
あっくそー!おいバックバック!
(小野寺貴代)いらっしゃいませ。
(中村ヨリコ)いらっしゃいませ。
どうぞこちらへ。
きゃー!静かにしろ!騒ぐと殺すぞ!お客さまを放してください。
私が人質になりますから。
(小野寺朝子)あっ大おかみ!人質なら若おかみの私が。
いいのよあなたは。
いえ危ないですから。
いいからあなたは!はい。
どうせ条件があるんでしょ。
あなたの要求は何でも聞きますから。
早く私を人質にしなさい!わかったよ。
そんなになりたきゃしてやるよ!あっ!車を用意しろあと現金で500万だ。
1分以内に用意しろ!さもないとこの女を殺すぞ!は…はい!すぐ用意します。
小林行くぞ!
(小林)はい!早くしろ!早く車と金を用意しろ!きゃー!おふくろ!拳銃を捨てろ!この女ぶち殺すぞ!500万円と車のキー用意しました。
はい。
おふくろ大丈夫?ケガなかった?ええまあね。
はあよかったよ。
朝子ありがとな。
君の機転のお陰で助かったよ。
ああ恭平さん怖かったぁ。
朝子ちょっと…。
あいつの取り調べがあるから今晩帰りが遅くなる。
夕飯はいらないから。
ああわかった。
おふくろのこと頼むな。
おふくろじゃあな!頑張って。
それにしても朝子さんあんた随分思い切ったことしたわね。
私が殺されたらどうするつもりだったの!そうですよ!無事だったからよかったようなものの大おかみを見殺しにするようなまねをして!あっちょっと!ああ。
いいえ!私信じてましたから。
恭平さんなら無事お義母さまを助けてくれるって。
そうよね。
ええ!この記事のお陰でうちのホテル1か月先まで予約いっぱいだって。
さすが大おかみよねぇ。
ねえ。
私は若おかみの功績だと思うけど。
大おかみでしょ!何言ってんの!だって大おかみなのよ!ちょっとあんたたち何やってんのよー!こらー!!お客さまのご到着する時間よ。
もたもたしないでお出迎えお出迎えー!いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
(柳沢真理)朝子さん。
ああ!いらっしゃい!あっいらっしゃいませ。
ご予約ありがとうございます。
お待ちしてました。
どうぞどうぞ。
ほんとにホテルの若おかみなんだ。
新聞で見てびっくりしたわよ。
3年前突然ダイビングのインストラクターを辞めてから朝子さん消息わからなくなってたから。
別に行方不明になったわけじゃ…。
純子さん星川さんとのご結婚おめでとうございます。
週刊誌で読みましたよ。
(真理)いまさらおめでとうなんて言われても純子も星川さんも困るわよね。
もう3年も経つんだから。
(奥田朋江)ねえちょっと紹介してよ。
私たち彼女とは初対面なんだから。
ダイビングスクールで私たちの先生だった朝子さん。
朋江と奥田さん。
朋江は純子や私の女子大の同級生。
奥田さんはうちの主人や星川さんと美大の同級生なの。
ああ初めましてよくいらしてくださいました。
(奥田信行)お世話になります。
ねえあなた保険入ってる?え?保険ですか?ちょっとよしなさいよ。
旅行に来てまで商売するの。
この人保険の外交員なの。
ああ。
売れない画家の夫を支えて頑張ってるってわけ。
まあそのうち星川さんより売れるようになるわよ。
なってくれなきゃ困る。
わかってるよ。
俺だって仕事も辞めて背水の陣なんだから。
ひと言私に相談してくれれば学校の先生辞めるなってアドバイスしてあげたのに。
真理さんそれどういう意味?画商として言わせてもらうけど奥田さんの絵は売れると思えない。
下手じゃないけど個性がないわ。
ちょっと真理いくらなんでも言い過ぎじゃない!
(星川英治)売れる売れないは運だよ。
俺はたまたま運がよかっただけで。
(柳沢隆志)そうだよ。
うちの奥さんの言うことなんて気にするなって。
親のやってた画廊を継いだだけで画商としての目なんかあるかどうか。
そうね確かに昔はなかったわね。
だからあなたとなんか結婚したのよ。
ああ…あのそろそろお部屋へどうぞ。
ええと明日以降は三部屋で今夜は二部屋ということでしたけど。
今日は久しぶりに女同士おしゃべりでも楽しもうと思って。
ねっ純子。
(星川純子)ええ。
純子さんどうかした?ちょっと疲れただけ…。
大丈夫ですから。
皆さま本日は当琵琶湖グランドホテルにお越しいただきまことにありがとうございます。
従業員一同心を込めておもてなしをいたします。
どうぞごゆっくりおくつろぎくださいませ。
(拍手)若おかみ武勇伝聞かせてよ。
そんな武勇伝だなんて…。
いやいや…。
大おかみ人質になってる時怖かったろ?大したことありません。
いい度胸してるなぁ。
ここに泊まってる限りは何があっても安心だよ。
まあありがとうございます。
さどうぞ。
ちょっと急いでね。
はい。
あー!あっすみません!
(英治)こっちこそごめん。
星川さん!ああいいですいいです。
ほんとにごめんね。
おかみが食器割っちゃまずかったよね。
アハハ私ねそそっかしいから時々やるんですよ。
フフ。
幸せそうだね。
そう見えます?顔が輝いてる。
ウフ幸せなんだと思います。
星川さんも純子さんと幸せなんでしょ?ずっと君のことが気になってた。
3年前どうして突然俺の前から姿を消したんだ?昔のことはもう忘れました。
俺は一日だって君のことを忘れたことはない。
君が誕生日にプレゼントしてくれた。
今でもアトリエの鍵をつけて使ってる。
答えてくれどうして何も言わず俺の前からいなくなったんだ?・
(ヨリコ)若おかみ!若おかみ!あっ私行かなきゃ。
湖畔で待ってる。
何時になってもいい待ってるから!いえ星川さん!私は…。
若おかみ!はい。
あらま派手にやって…。
はいすみません。
着物が汚れてるとみっともないんで着替えてきてください。
大至急ですよ。
ヨリコさんこれお願いします。
あっあー!ヨリコさんすみません。
やだ若おかみ!これじゃ私のせいじゃんおかみ!きゃー!
(水音)
(純子)助けて…誰か助けて…!うっああ…!純子さん!
(純子)誰か助けて!純子さん落ち着いて落ち着いて!
(純子のせき込み)大丈夫?ええ。
よかった無事で。
朝子さんのお陰だ。
でもどうしてあなたがここに?あいや…。
朝子さんと一緒だったの?え…ねえ純子さん。
誤解しないで星川さんと私は…。
・
(真理)純子!なかなか帰ってこないから来てみれば私が心配したとおりじゃない!真理さんそれどういう意味?自分の胸に訊いてごらんなさいよ!えっ!さあ純子帰りましょ。
純子さん。
構わないでよ!まっどうなさったんですか?まああ…。
朝子!若おかみ!すみません。
妻が湖に落ちたところを朝子さんに助けてもらったんです。
奥さまが湖に!でもなんで若おかみがこんな時間に湖なんかに?えっいえそれは…。
僕がちょっと話をしたいって誘ったんです。
3年ぶりに会って懐かしかったもので。
申し訳ありません。
とにかくどうぞお部屋で。
あとは私たちが。
はい。
若おかみもおやすくないですね。
夫がいる身で男と逢引き…。
朝子さん風邪ひくわよ早く着替えなさい。
ヨリコさん着替え手伝ってあげて。
はい。
まあ何があったか知りませんけど高い着物台無し。
いいから早く手伝ってあげてよ。
早く。
恭平坊ちゃまも何がよくって…。
私は何もやましいことは…。
あらだってこれ今日2枚目…。
(真理)〔なかなか帰ってこないから来てみれば私が心配したとおりじゃないの!〕どういうこと?
(ノック)
(真理)はい。
遅くにごめんなさい。
ちょっと訊きたいことがあって。
私も訊きたいことがあるわ。
さっきは星川さんがいたから訊けなかったけど入って。
失礼します。
あっ純子さん大丈夫?ええ。
純子は訊きにくいと思うから私から訊くけどあなたいつから星川さんと復活したの?えっ!私星川さんとはずっと会ってないわ。
3年ぶりに今日…。
ごまかさないで!純子の命狙ってるのあなたなんでしょ?はっ!命を狙ってる?3週間ほど前純子に脅迫状が届いたの。
脅迫状!ねえほんとなの?これなの。
「親愛なる純子様一ヶ月後のあなたのお葬式には必ず参列させて頂きます」
(朋江)星川さんもてるからどこかの女の嫌がらせだろうと思ったんだけど純子ほんとに命を狙われたのよ。
あっ!今思い出してもぞっとするわ。
誰かが純子の背中を押したの!1週間前も殺されかけたのよ。
そうよね。
私が翻訳したミステリーの出版記念パーティーがあってその帰り…。
脅迫状を受け取った時は私もただの嫌がらせだと思った。
でも無言電話もかかるようになったしこんなことが立て続けに起きるとなんかまいってしまって…。
私は警察に行きなさいって言ったのよ。
でも純子星川さんと関係のある女性の仕業なら彼に迷惑がかかるからって。
確かにそんなことが表沙汰になったらスキャンダルだもの。
そんな時新聞であなたの記事を見たのよ。
もしかして純子さんを襲ったのは私だって?そうよ。
あなた星川さんを取り戻そうと思って。
さっきだって純子のこと湖に突き落としたじゃない!ちょっと待ってよ!何よ!?朝子さんは私を助けてくれたのよ。
星川さんが現れたからよ。
一度は突き落としたものの人が来る気配に慌てて助けたんでしょ!ねえどうして私がそんなことを?星川さんは私にとっては過去のことで皆さんここに来るまでは思い出しもしなかったわよ。
じゃあここ1か月の間三度も東京に行ってるのはなぜ?えっ!そんなことまで調べたの?行ったんでしょ?確かに行ったわよ。
母の三回忌弟の結婚式それに恩師のお葬式それが上京の理由よ。
その機会を利用して純子を。
真理もうよして。
純子は黙っててよ。
朝子さんあなた今幸せじゃないんでしょ?仲居さんが言ってたわ。
ご主人は仕事に忙しくて姑は口うるさい。
その上姑以上に口うるさい仲居頭がいる。
若おかみよく我慢できるなって。
だからあなたは…。
いい加減にして!どうして私が幸せじゃないなんてあなたに言われなきゃいけないの。
私は幸せです!私がそんなことするわけないじゃない。
認めないんならそれでもいいけど純子の身に何かあったら犯人はあなたですって私警察に言うわ。
たばこくれないか。
うん。
ごめんね。
恭平さんせっかくのお休みなのに。
刑事が命を狙われてる人間を放っておくわけにいかないよ。
だけど一体誰が純子さんの命を。
うんご主人の女性関係かもしれないって。
もてるんだろうな売れっ子の画家って。
若おかみ料理長が出来上がった料理から順にパーティー会場に運んでくれって。
うんわかった。
じゃ恭平さん純子さんのことお願いよ。
心配しないで君は自分の仕事頑張れよ。
うんじゃ。
竹生島ってどこですか?えっとですねちょうどあそこの小さい島見えますよねあの辺りですね。
あっそうですか。
きれいね。
きれいですね。
ちょっとすみません。
ちょっとごめんなさい。
すみません。
あれ?うそだろう。
あっ朝子朝子!何々?ごめんごめん純子さんを見失った。
えーどうして!?俺こっち捜してくるから。
じゃ私客室を見てくる。
尚ちゃんこれお願い。
あはい。
もう…。
純子さん。
(ノック)純子さん?
(ノック)純子さん!ああ!朝子純子さんは?純子さん部屋にいるの。
でも鍵がかかってて様子がおかしいの。
私キャプテンに鍵借りてくる。
ああ。
純子さん。
出てろ。
えっでも…。
いいから朝子は出てろって。
えっ。
ねえ純子さん…。
朝子落ち着いて聞けよ。
純子さんは亡くなってる。
えっなぜ…。
ちょっと待てちょっと待て英治さんというのは?純子さんのご主人。
これが置いてあったんだ。
「疲れましたあなたを愛することに」「あなたを愛したことを後悔していません」「ただ疲れただけ眠ります」「夢の中であなたを愛し続けます。
純子」遺書?現場の状況から見て自殺だろうな。
自殺…どうして?
(足音)純子さん!じゃ…あの死体は?
(パトカーのサイレン)ご苦労さまですこっちへ。
(望月)うん。
(カメラのシャッター音)部屋はほんとに密室だったのか?はい。
ドアには確かに鍵がかかってました。
窓は?閉まってました。
これは内側からならこれだけ開けることができますが…。
すみません。
外側からはこうやって閉めることはできますが開けることはできません。
他の女の遺書を持って自殺するわけねえか。
殺しでしょう。
星川純子は遺書に心当たりはないと言ってます。
船が港に着くまでに一応全員から話は聞きました。
星川純子は命を狙われてた?はい。
東京で二度。
それからゆうべも何者かに湖に突き落とされて。
幸い朝子が助けて無事だったんですが。
すると犯人は星川純子の命を狙ってた人間ということになるな。
今度は自殺に見せかけて殺そうとして間違って柳沢真理を殺してしまったんでしょう。
でも真理はどうして純子のコートを着てたんだ?12時半ごろ柳沢真理は星川純子を誘ってデッキに出たそうです。
やっぱり私中に入ってる。
そう私しばらくここで景色見てる。
じゃあ。
純子コート貸して。
なんだか寒くて。
いいわよ。
その後真理は純子のコートを着たままあの部屋へ行き純子に間違われて殺された。
あのお客さまをお帰ししていいでしょうか?皆さんイライラなさってて。
課長一応全員に話を聞きましたし住所氏名は控えてありますから。
ガイシャの連れ以外は帰していいだろう。
はいすみません。
こんな事件が起きると俺たち警察も大変だがお前んとこのホテルも大変だなぁ。
うちがチャーターした遊覧船ですからね。
おふくろのことを思うと…。
うん。
こんなことになってしまってほんとに申し訳ございません。
どうぞお部屋でごゆっくりおくつろぎくださいませ。
でも意外だったわ。
柳沢さんがそんなにショック受けるなんて。
誰が見ても真理と柳沢さんの夫婦仲最悪だったのに。
あいつ妊娠してたんだ。
確かにここ数年俺たち何かぎくしゃくしてたよ。
俺が画家としてダメになったことであいつとの間に溝ができて…。
でも子供が生まれたらまた前のようにうまくいくんじゃないかって。
そう思っていた矢先にこんなことに…。
大津署の望月です。
皆さん小野寺刑事から一応事情を訊かれたと思いますが私のほうからも2〜3質問を。
あのあなたがこの事件の責任者ですか?
(望月)ええそうですが。
私犯人に心当たりがあります。
そのことを小野寺刑事に?いいえ犯人の身内には言えません。
犯人の身内!?朋江よしなさいよ。
あれは真理の勘違いよ。
勘違いかどうか警察に調べてもらえばいいじゃない。
あれは真理の遺言みたいなものなんだから。
望月さん私から言います。
真理さんは私が純子さんの命を狙ってるって思い込んでました。
純子さんの身に何かあったら私が犯人だって。
いやそんなバカな!しかし柳沢真理は何を根拠に若おかみにそんな疑いを?以前私が星川さんとお付き合いをしてたからです。
お料理は一品増やしてちょうだい。
はい。
それからお酒はサービスってことに。
わかりました。
・
(ヨリコ)大おかみ大変です!大変!大おかみ若おかみが警察に。
えっ!俺を捜査から外すんですか!?事情聴取は俺と小林でやるから今日はもういいから帰れそう言っただけだよ。
それは外すってことじゃないですか!朝子は犯人じゃない!俺だってそう思うよ。
でも疑われている以上は調べないわけにはいかんだろう。
いいから今日はもう帰れ。
課長!いいから帰れ。
これは課長命令だ。
柳沢真理は今まであなたが襲われたのはすべて若おかみいや小野寺朝子の仕業だと?私は朝子さんがそんなことをするとは思いませんでしたが真理は思い込みの激しい人ですから。
東京で危ない目にあった日覚えてますか?あはい一応手帳にもつけてあります。
朝子さんが妻を殺そうとするなんてあるはずがない。
じゃあ他に奥さんを殺そうとする人間に心当たりは?いえ。
あんた平成の竹久夢二って言われてるそうですね。
マスコミが勝手に言ってるだけです。
売れっ子の画家で女性にもてるから竹久夢二か…。
奥さんもあんたにぞっこんだ。
命を狙われてるというのに警察に届けなかったのはあんたのスキャンダルを心配したからだそうじゃないかね。
妻には申し訳ないと思ってます。
あの船に例えばあんたの愛人が乗ってたなんてことは?いえ誰も知った人間は…。
(ドアの開く音)若おかみどうもお待たせしました。
さっそくですが最近三度上京したそうですがその日付は覚えてますか?はい。
今月の2日と12日とそれと21です。
全部外れてるな。
はい。
星川純子が襲われたのは5日と19日です。
東京での事件に若おかみは無関係だと証明されました。
今度の事件もあんた忙しく走り回っててとても抜け出す暇はなかった従業員がそう証言してます。
疑いは晴れたんだからもうそんな顔はしないで。
あの主人は?今日はもう帰りました。
私が容疑者になったから捜査から外されたんですね?いやそういうわけじゃあいつ大分カッカしてましたからねあれじゃとても捜査はできないと思って。
あの人刑事の仕事が好きなんです。
俺はホテルの仕事を女房に任せて遊び回ってるような若旦那には絶対なりたくないって。
だから刑事の仕事を選んだんだって。
それに若おかみに惚れた。
それほど仕事の好きな人にこんな思いさせて…。
私妻として失格ですよね。
恭平さん!小野寺お前帰ってなかったのか?はい。
朝子の容疑はすぐに晴れると思ってましたから。
俺朝子を送ったらすぐに捜査に戻ります。
ああ私だったら1人で帰れるから。
ああじゃちょっと話。
課長すぐに戻りますから。
ああ。
恭平さんが怒るのも無理ないわよね。
本当にごめんなさい。
俺は別に怒っちゃいないよ。
ただショックだった。
妻が容疑者になるなんてねぇ。
そんなことじゃない。
君が俺にすべてを打ち明けてくれなかったことがショックだった。
恭平さん星川さんのことは過去のことなのよ。
だったらどうして言ってくれなかったんだよ。
言わないのが礼儀だと思ったの。
礼儀?うん。
ルールっていうか…。
私は過去のことは話さない恭平さんにも訊かないそれが礼儀だって。
だけど俺たちは夫婦なんだから。
夫婦だから言えなかったのよ。
あなたに変な誤解されたくなかったの。
私は恭平さんのことが好きなの今の生活がとっても大切なの。
だからね私は恭平…。
わかったわかったもういい。
行こうなっ。
あっ来た!おい!
(レポーター)若おかみ琵琶湖遊覧船密室殺人事件の容疑者になったってのはほんとですか!?お騒がせして申し訳ありません。
画家の星川英治と不倫関係にあったのは事実ですか!?違います!人質事件の時はニコニコ話してくれたのに都合が悪くなるとだんまりってのはずるいんじゃないですか!?ほんとにごめんなさい!朝子さん。
ああ。
ごめん。
俺のせいで君が疑われるようなことになってしまって。
ああいえ…。
若おかみお戻りになったんですね。
はい。
すみませんでしたご心配おかけして。
私に謝ったりその方とお話するより先にやることがあるんじゃないんですか?えっ?あああの大おかみは?お部屋です。
はい…。
失礼します。
ご心配をおかけして本当に申し訳ございませんでした。
朝子さんホテルで一番大事なのは何だと思う?それは…心を込めたおもてなしだと…。
もちろんそれも大事だけど一番大事なのは信用よ。
うちのホテルの信用はすっかり落ちてしまった。
うちがチャーターした遊覧船で殺人事件が起きた上若おかみが殺人の容疑をかけられたんですもの。
申し訳ございません!誤解しないでねあなたを責めてるんじゃないのよ。
客観的事実を言っただけ。
一度落ちた信用を取り戻すためには今までの二倍も三倍も努力しなくてはわかるわね。
はい。
わかってくれればいいのよ。
今日はもういいからお休みしてちょうだい。
いえいつもどおり働きます。
悪いけど今日はお客さまの前へ出るの遠慮してちょうだい。
マスコミが押しかけたからお客さまの間に噂が広がってね。
ではお客さまの目のふれない所で働きます。
いえ働かせてください。
密室の謎を解く?うん!何言ってんだよ。
事件は俺たち警察に任せて。
私じっとしてられないのよ。
この事件が解決しない限りホテルの汚名は晴れないわ。
刑事としてのあなたの立場だってそれに私の名誉も。
君の気持ちはわかるけどさ…何やってんの?私ねちょっとあの船に行ってくる。
キャプテンにはもう了承をとってあります。
船って?密室の謎が解ければ犯人はわかるんじゃないかって気がするのよ。
だからあの部屋を調べてみたいんです。
わかった君がそこまで言うんだったら付き合うよ。
よかった。
現場100回が刑事の基本だからね。
うん恭平さんが一緒だと心強いもんね。
何たって名警部補だもんね。
行こう早く早く!うそまだ…。
かたい鍵だなぁ。
うーん。
これ一度上げたら相当強い力を入れないとかからないよ。
えっこんなかたいと無理かな?ほら推理小説によくあるじゃない鍵を上げといて雪とか氷とかを挟んで鍵を下ろすとか形状記憶合金を使って…。
雪や氷はこのかたさじゃ無理だし形状記憶合金だったら証拠が残る。
じゃあ鍵の先端に糸を縛ってドアのすき間から出して外から引っ張れば?人に目撃されるおそれがあるのにそんな悠長なことやるかな?ねえとにかく試してみようよ。
恭平さん引っ張って。
よし引っ張るぞ。
ああ…。
ダメだねやっぱり鍵がかたすぎるんだよ。
針金を使ったらどうかしら?針金が通るほどのすき間はないね。
はあ。
ねえ真理さん自身が鍵をかけたんじゃない?真理さんは犯人に刺された後に犯人を追い出して鍵をかけた。
ガイシャはほとんど即死状態だった。
はあそうか。
ドアがダメなら…窓ね。
そっちはなおさら可能性ないって。
たばこの長さぐらいしか開かないんだから。
そっか…。
ああ…。
(物音)どうしたの?鍵がついてる。
犯人の遺留品の可能性があるな。
俺に訊きたいことって何?私が贈ったキーホルダーこの前見せてくれましたよね。
ああ。
今持っていらっしゃいます?それが無くしたみたいなんだ。
無くした。
それいつのことですか?ゆうべ部屋に帰ってみるとポケットになかった。
あの船に落としたのかもしれない。
星川さん真理さんが亡くなった部屋に入りましたか?いや行ってない。
だけどどうしてそんなことを?ああごめんなさい。
私の口からは…。
星川さん突然呼び出して本当にごめんなさい。
じゃ。
待ってくれ。
君と話をする機会なんてもうないかもしれない。
だから3年前の君の気持ち聞かせてほしい。
私星川さんのこと好きでした。
でもあなたの周りには純子さんや他の女の人もいました。
星川さん女性に優しいんですもの私つらかったんですよ。
私は私のことだけを愛してほしかったんです。
あなたへの思いを吹っ切るために東京を出てここに来ました。
そして恭平さんと出会ったんです。
私の最愛の人です。
君にふられたのは自業自得だね。
俺は愛してると言ってくれる女性を拒むことができないから。
困った人ですね。
5歳の時親に捨てられて施設で育った。
子供のころ俺は必死で人に好かれようとした。
周りの人間すべてに愛されたいと願った。
1人の愛じゃ足りなくてもっともっとって…。
まるで地獄に落ちた餓鬼のように愛を欲しがった。
親に捨てられた子供が自分の存在を確認するにはそれしかなかったんだ。
自己弁護だね。
だけどこれだけは信じてくれ。
俺が心から結婚したいと思った女性は君だけだ。
星川さん純子さんが待ってますよ。
じゃ私仕事に戻ります。
若おかみどこにいらしたんですか?もう大変ですよ。
電話がじゃんじゃん鳴って。
電話?いいから来てください。
いいから来てください!はい。
キャンセル料なんてそんなものはええもちろんでございます。
またこちらへおいでになる機会がございましたら当ホテルをご利用くださいませ。
心からお待ち申し上げております。
さっきから予約のキャンセルが次から次。
大おかみの気持ちを思うと私…。
琵琶湖グランドホテルでございますはい…。
皆さん今回のことでは私のせいで皆さんにつらい思いをさせて本当に申し訳ありません。
今私にできることは…あの私にできることは一生懸命頑張るしか…。
あのごめんなさい。
うまく言えません。
皆さんどうか若おかみを責めないでやってください。
彼女は彼女なりに一生懸命やっています。
私は若おかみを信じています。
もちろん皆さんのことも。
お互いに信じ合って誠心誠意サービスに努めればお客さまにもきっとわかっていただけると思います。
当ホテル始まって以来の厳しい状況です。
お互いに一生懸命頑張りましょうお願いします。
大おかみ私たちも大おかみを信じてついて行きます。
そうよねみんな!
(一同)はい!
(拍手)えっ!あのキーホルダー君が星川にあげたもの!?うん。
昨日言うべきだったの。
でも言えなかったのごめんなさい。
やっぱり犯人は星川か署に連絡しなきゃ。
あっ違うのよ。
星川さんに訊いたらね…。
ちょっと待てよ。
星川にあのキーホルダーのこと話したの?もちろん現場に落ちてたなんて言ってないの。
今持ってるかどうか確かめただけ。
ごめん。
で星川は何て?落としたんだろうって。
そんな言い逃れ。
ねえ星川さんそんなに疑われてんの?他の乗客は全員あの一行とは何の関係もないってわかったんだ。
犯人はあの一行の中の誰かだってとこまで絞り込まれてるその中で一番有力なのが星川なんだ。
そんな…。
君が星川をかばう気持ちはわかるけど他の人間には純子さんを殺す動機が出てこない。
星川はなんてったって純子さんの夫だからな。
えっでも夫だから逆に犯人じゃないってこともあるんじゃないのかな。
えっ?ねえ恭平さんおかしいと思わない?例えばよヨリコさんが私の着物を着てたらあなたヨリコさんを私だと思う?ヨリコさん?ないない!でしょ!星川さんが妻の純子さんと真理さんを間違うわけないわよ。
いや普通は間違えなくても状況が普通じゃなかったんだよきっと。
うーんだけど遺書まで用意して密室の現場に自分のキーホルダーを落とすなんて犯人なら絶対にそんなことしないと思うな。
ねえじゃあ君はどう思ってるわけ?うーん…あの三組の夫婦仲良さそうに見えても何だかギクシャクしてたのよね。
奥田さん朋江さん柳沢さんあの3人の中の誰かが星川さんに罪をきせるために星川さんのキーホルダーを盗み出したんじゃないかな?だけどあの3人には今のところ純子さんを殺す動機がないんだよ。
ねえよく調べてきっと何かあるはずよ。
わかった。
課長!あのキーホルダーには星川の指紋しかついていないそうです。
決まりだな犯人は星川で決まりだ。
ちょっと待ってください課長。
星川はあのキーホルダーは落としたんだと。
そんなことは言い逃れだよ。
1億だぞ1億!1億?星川純子は1億の保険に入ってた。
もちろん受取人は夫の星川英治。
それほんとですか?ああ。
普通女房に1億もの保険かけるか?俺のとこなんか500万だよ。
じゃあ星川は保険金目当てに妻の純子の命を狙い結局間違えて柳沢真理を殺してしまった。
そういうことだ!星川を重要参考人で引っ張るぞ。
星川さん柳沢真理さんが殺された件で署までご同行願えますか。
刑事さんそれどういうことですか?奥さんの前でなんですが我々の捜査でご主人はあなたを殺そうとして間違って柳沢真理さんを殺した疑いが濃厚になりましてね。
そんなこと!何か証拠があるんですか?あれを。
はい。
あなたのものに間違いありませんね?はい。
これは一体どこに?柳沢真理さんの殺害現場に落ちてたんです。
星川さん詳しい話は署で。
ちょっと待ってください!何かの間違いです。
主人は人を殺すような人じゃありません。
心配いらないよ純子。
・
(柳沢)星川!お前が真理を殺したのか!?おいどうなんだよ!?柳沢さん落ち着いて!行って!柳沢さん!星川いい加減に吐いたらどうだ!奥さんと間違って殺してしまった柳沢真理さんに悪いと思わないんですか?ねえ星川さんあの部屋をどうやって密室にしたかだけでも教えてくれないかなぁ。
星川さん!ねえ私恭平さんに言ったわよね。
星川さんはあのキーホルダー無くしたんだって。
だからよく調べてって。
1億の保険金の話が出ちゃ疑わざるを得ないよ。
保険金目当てに妻を殺そうとするなんてそんなこと星川さんにできるはずないわよ。
星川の奥さんもそう言ってた。
あの人は人を殺せるような人じゃないって。
彼を知ってる人ならみんなそう言うわよ。
知ってる人じゃなくて愛してる人じゃないのか。
え?君はまだ星川英治を愛してるんだろ?何言ってるのよ。
恭平さん私言ったじゃない。
星川さんのことは過去のことだって。
だけど船でキーホルダーが見つかった時に君はあれが彼のだってすぐに俺に言わなかった。
ねえそのことは昨日謝ったじゃない。
君はあいつをかばおうとしたんだよ。
恭平私の言うことが信じられないの!?信じてないのは君じゃないか!?警察は証拠もないのに犯人扱いするわけはない。
それでも彼が犯人じゃないって言い張るのは君が俺より彼を信じてるから彼を愛してるから!やめて!恭平のバカ!疲れたもう寝る。
恭平…。
若おかみにも困ったもんですよね。
自分の夫より昔の男信じるだなんて。
もしかして恭平坊ちゃまと若おかみ離婚なんてことに…なるかも。
ヨリコさんあなたねぇ。
恭平と朝子さん離婚させたいの?あっいや私は別に…。
あらそうでもそんなふうに思えるわよ。
いやでも結婚して2年にもなるのにまだ後継ぎもできませんしこの際思い切って離婚させてもっとこうぐっと若い二十歳ぐらいの子をもらったほうがこのホテルのためなんじゃ…。
恭平もまだまだ青いわね。
朝子さんの過去に嫉妬するなんて。
いやでもやっぱり過去なんてない女のほうが。
過去があって女は成長するのよ!30過ぎた女に過去の1つや2つ。
はあ。
それに朝子さんも言ってたけどあの星川って人人を殺すような人じゃないわ。
20年以上もおかみをやってる私がそう言うんだから間違いないわ。
そりゃ大おかみの人を見る目は確かですけどだったら誰が?わかんない。
でもあのグループの中で一番うさん臭いのは奥田朋江ね。
(朋江)ねえ星川さんあんなことになっちゃったし画家としてもうおしまいね。
あなたにつきが回ってきたかもよ。
画家はサラリーマンと違うよ。
誰かが抜けたからって俺がその後がまに座れるわけじゃないし。
そうだけどあんたをけなした真理が死んじゃったし。
星川さんだってあんなことになっちゃって。
なんか私たちに運が向いてきたって感じ。
純子さん力を落とさないで。
星川さんの無実はきっと証明されるわよ。
私も信じてる。
でも皮肉ね。
あなたが星川にプレゼントしたキーホルダーがこんな形で星川を…ごめんなさい。
ああ…いえ。
あの1つ訊いてもいいかしら。
純子さんどうして1億もの保険に?朋江が保険の仕事を始めたから勧められて。
ああじゃあ加入したのは星川さんじゃなくて純子さん?私と星川それぞれ1億の保険に入ろうって言い出したのは彼よ。
友だち思いだから星川は。
じゃあ星川さんには不利よね。
でも…。
純子。
柳沢さんまだ?ええ。
まだ船から戻ってないのかな?船?はい。
あいつゆうべは船に泊まったんですよ。
何か大阪の友だちにクルーザーを借りたそうです。
星川がこんなことになって柳沢さんもショックだったのよ。
・
(ヨリコ)若おかみ!はい。
ちょっとよろしいですか?はい。
ちょっと。
ああああ…。
ああお義母さま大丈夫ですか?ヨリコさん誰にも言わないでって言ったのに。
おしゃべり!はい若おかみにだけは知らせておいたほうがいいと思いまして。
ええお義母さますぐに病院にまいりましょう。
大丈夫今お薬飲んだから大丈夫。
この前胃けいれんを起こした時に先生にいただいたお薬が1服残ってたんです。
それでなくっても大おかみのお仕事は大変なのに。
今回のようなことが起きるとまたいつ発作が起きるか。
じゃあ堅田病院でお薬を。
あそうしていただけると。
ああ…。
はい早く。
すぐ行ってまいります。
大おかみ大丈夫ですか?おしゃべり!どうもありがとうございました。
(看護師)どうぞお大事に。
えい!若おかみ!ああごめんなさい。
ほんとにごめんなさい。
ああ…。
恭平さん!ゆうべごめんな。
ああ私のほうこそごめんね。
どうしたんだ?ああそうそう解けたの解けたのよ!え?密室の謎が解けたのよ!ほんとか!?うん。
いい犯人は外から部屋の中にいる真理さんに窓を開けさせたのよ。
ええ?そして…。
窓の外から中にいる真理さんを刺した。
何よ?真理さんはほとんど即死で床に倒れこむ。
あの窓は外から開けることはできなくても閉めることはできるから犯人は窓を閉めてその場から立ち去った。
うんうんなるほどな。
解けてみると意外なほど簡単なトリックだけどそれだけに信憑性があるよ。
でしょ!でもそうなると大変なのよ。
何が?だって犯人は真理さんに窓を開けさせたのよ。
うん。
犯人と真理さんは顔を合わせたわけだから純子さんと間違えたんじゃなくて真理さんだとわかってて殺したのよ。
ああそうか。
この事件最初から間違った方向で捜査されてたのよ。
それが犯人の狙いだったんだよ。
だから星川純子の遺書まで用意して。
ああちくしょう!犯人は純子さんじゃなくて真理さんを憎んでる人間よ。
ということは一番怪しいのは夫の柳沢か。
柳沢真理は資産家の娘なんだろ?うん。
ご両親が亡くなって画廊だけじゃなくて都心にいくつかビルを相続したみたい。
でもねあの夫婦の仲が険悪なのは私が知ってる3年も前からよ。
じゃあいまさら突然殺すっていうのもあれか。
うん。
それに真理さんのおなかには彼の赤ちゃんがいたわけでしょ。
ああ司法解剖の報告書にも妊娠3か月って書いてあった。
ねえ犯人かどうかは別として奥田さん夫妻は真理さんのことをよく思ってなかったと思うの。
えっあの夫婦と柳沢真理との間に何かあったの?うん…ホテルに到着した日にね…。
画商として言わせてもらうけど奥田さんの絵は売れると思えない。
下手じゃないけど個性がないわ。
ちょっと真理いくらなんでも言い過ぎじゃない!きついこと言うなぁ柳沢真理も。
うん私びっくりした。
プライド傷つくわよあんな言い方されると。
だけど柳沢真理を殺したからといって絵が売れるようになるわけでなし。
うんそうなんだけどね。
真理さん純子さんには優しいんだけど朋江さんには何だか冷たいっていうか意地悪っていうかあの2人何かあったんじゃないかな…。
あっごめん朝子もうそろそろ戻らなきゃ。
うん。
あっいけない!私も火葬場行かなきゃ。
今日柳沢真理を荼毘に。
うん葬儀は東京に帰ってするそうだけどね。
なあさっきから気になってたんだけどこれ何?これはね胃の薬…いけない!お義母さんに渡さなきゃヤバ…。
あ…。
遅くなってすみません。
いや朝子さんいらしてくれたんですか。
ええ。
じゃ柳沢さん私は中に。
すみませんでしたお話中。
ああ奥田の絵の売り込みですよ。
私が画廊を引き継ぐことになるんで。
あっあの…すみませんちょっと変なこと訊いていいですか?あの真理さんと朋江さんトラブルっていうか何かありませんでしたか?なんでそんなことを?あっいえ別に朋江さんを疑ってるわけじゃないんですけど。
あの…真理さん純子さんと間違われて殺されたんじゃなくて間違われたように見せかけて殺された。
私そう思ってるんです。
犯人は最初から真理を?ええ。
それじゃ犯人は星川じゃなくて…。
朋江さんが真理を?ああですから別に疑ってるわけではなくてでもその可能性もあるのかなって。
だから2人の間に何かあったのかなって。
あの何かあったんですか?あ…いえ。
そうですか。
星川さんの疑いまだ晴れないの?ああ。
俺はあの密室の謎解き正解だと思うんだけど。
星川が完全黙秘だから。
何も話さないの星川さん。
捜査会議でもね犯人じゃないんならなぜ否定せずに完黙なんだっていう意見が出て。
まあ俺も頑張ったから結局純子さんを狙った線と真理さんを狙った線平行して捜査することになった。
そう。
俺ちょっとおふくろの様子見てくるわ。
そうして私には大丈夫っておっしゃってたけど。
星川さんどうして何にも話さないんだろ…。
入るよ。
・はい。
あれ?何全然元気そうじゃない。
そうよ私が元気じゃなきゃここのホテルどうなるのよ。
朝子がいるでしょ。
そりゃね頑張ってるのはわかるけどねでもまだまだですよおかみとしては。
もうまたそんなこと言う。
恭平あなたの好きなもの買っといたわよ。
ほら。
あっ一式堂の大福!うわ久しぶりいただきます。
ねえ朝子さんの次のことね。
朝子の次?孫。
ああ孫。
刑事の仕事とやかく言うつもりはないけれど子供をつくる暇もないなんてねぇ。
ホホホホ。
笑いごとじゃありませんよ!おふくろ俺ね行くわ。
あっもう帰るの。
お大事に飯まだなのよ。
恭平!うん?あのねえ女の過去にこだわるもんじゃないわよ。
男の度量が下がるわ。
私の見た限りではね朝子さんと星川って人深い関係じゃない。
(パトカーのサイレン)恭平さん。
ああ。
(望月)遺体の確認をお願いします。
(望月)死亡推定時刻は昨夜の10時から12時です。
あなたは奥さんが外へ出かけるのを気がつかなかったんですか?ゆうべ10時ごろに風呂に行くって出ていって。
私のほうはそのまま寝てしまったんです。
いないのに気がついたのは今朝起きてからです。
何か変わったことは?いえ…。
あっそういえばちょっと変でした。
もしもし。
(奥田)9時ごろ電話があったんです。
悪いけどジュース買ってきて。
おっ。
(奥田)戻ってくるとなんだかぼんやり考え込んでいました。
その電話は誰から?会社の同僚からだと。
どういう話をしていたかは?いえ今言ったようにジュースを買いに外に出てましたので…。
奥田…。
俺のせいだ。
俺が朋江さんを殺したようなもんだ。
ゆうべ電話で朋江さんを責めた?俺が悪いんです。
俺があんなこと言ったばっかりに!柳沢さんそう興奮なさらずに順を追って説明してくれますか。
すみません。
実は2年程前真理は朋江さんに勧められて2千万一括払いの保険に入ったんです。
2千万!そりゃ高額ですね。
あいつにとってはそれほどでもなかったんでしょう。
そのまま忘れてたんですが最近になって朋江さんから保険証書をもらってないような気がする。
そう言い出したんです。
じゃ奥田朋江が横領していたわけですか?いやその時はわかりませんでした。
真理はその後何も言わず私もすっかり忘れてたんで。
昨日朝子さんに真理と朋江の間に何かトラブルはなかったかって言われてそれで思い出したんです。
あのでも柳沢さんあの時はそんなことは…。
確信があったわけじゃなかった。
その後東京のオフィスに連絡してその保険会社に問い合わせるように指示すると…。
横領の事実がわかったんですか?ええその保険会社は柳沢真理という顧客はいないとはっきり言ったそうです。
ショックでした。
じゃあゆうべ電話で責めたっていうのはそのことを?言うべきじゃなかった。
でも許せなかった。
船のデッキで真理の遺骨を抱いてるとどうしても我慢ができなくなった。
(柳沢)金のために友だちを殺すなんて!俺は絶対に君を許さない。
明日警察に全部話す。
その電話は何時ごろ?9時ごろだったと思いますが。
正直言って彼女が死んだのは自業自得だっていう気持ちもあります。
でも奥田には申し訳なくて。
友だちの女房を私は死に追いやったわけですから。
課長警視庁の捜査で柳沢の話のウラが取れました。
やはり奥田朋江は柳沢真理の保険金2千万を横領してました。
検視官に話聞いてきました。
司法解剖の結果が出るまではって渋ったんですが体に目立った外傷はなかったそうです。
自殺ですよ奥田朋江は。
ああごちそうさま。
ああ食ったなぁ!やっと事件の解決のめども立ったしこれであの大福あったらなぁ。
えっ?何々?いやいや何でもない。
ねえ。
ん?真理さんを殺したの本当に朋江さんかしら?え?何言ってんだよ。
朋江が真理を殺してなかったら自殺なんかするわけないだろ?朋江さん殺されたっていうことないかな?誰に?真犯人。
真犯人て?うん柳沢さん。
何言ってんの。
柳沢が奥さんを殺したんじゃないって言ったの君じゃないか。
うんそうなんだけどね…。
ねえ柳沢さんを犯人だと仮定してみるわね。
彼は真理さんを純子さんと間違われたと見えるように殺して星川さんに罪をきせた。
星川さんのキーホルダーを現場へ残してね。
で?ところが私から犯人は最初から真理さんを狙ったんではないかって聞かされたの。
はい。
ありがとう。
となると夫である自分にも捜査は向けられるのではないかって考えたの。
それで慌てて朋江さんを犯人にして殺した?そういうこと!それって都合よすぎないか?それにさっきも言ったけど柳沢を最初に消去したの君だよ。
子供ができた真理さんを殺すはずないって。
そうなのよね。
それプラス柳沢には完璧なアリバイがある。
彼は一晩中船にいたんだ。
ねえそれちゃんと調べたの?もちろんだよ。
警察だって無駄に税金を使ってるわけじゃない。
ちゃんとヨットハーバーに行ってウラは取った。
昨日の午後6時ごろ港を出て戻ってきたのは今朝7時だったそうだ。
そっか…。
あの船です。
ああどうもありがとうございました。
痛!問題は動機よね。
なんで柳沢さんは真理さんを殺さなきゃいけなかった?ねえねえ奥さん妊娠したのか?おめでとう。
でも俺の子供かどうかわかんないっすけどね。
何を言ってんだよそんなことないってよ。
名前はずみにしようか思てるんですけどね。
ああ!あっ小野寺恭平お願いします。
急用なんです!「もしもし」あっ恭平さん私今ね…。
うっ!「もしもし朝子」どうした?朝子朝子!
(パトカーのサイレン)朝子…!ああ離してよもう!私をどうするつもり?殺すに決まってるだろう。
やめてって言っても無理よね。
あなた2人も殺してるんですもんね。
どうして俺だとわかった?確信があったわけじゃないわ。
でも気になったから船を調べたのよ。
あんたが気づくかもしれないと思った。
何といってもダイビングのプロだもんな。
だから今朝からずっとあんたを見張ってた。
あなた一昨日の夜湖に船を停泊させたままダイビングで岸まで行って…。
湖畔に呼び出しておいた朋江さんを殺した。
ハハハハハ。
こんなところでダイビングが役に立つと思わなかったよ。
私のせいね私があんな話をしたからあなた朋江さんを犯人にしようとしたんでしょ!?別に責任を感じることはない。
遅かれ早かれあの女を始末しなきゃと思ってた。
どういうこと?あの女は俺をゆすりにかかったんだ。
ゆすり?火葬場で朋江さんと話してたのも。
1千万?人を殺して1千万は安いでしょ。
真理の財産も手に入ることだし。
俺が殺したっていう証拠でもあるのか?私星川さんと真理がどういう関係なのか知ってるの。
真理のおなかの子が星川さんの子だってことも。
それで十分でしょ。
でも朋江さんどうしてそれを知ったの?あの女は真理に横領した2千万を返さないと訴えると脅かされて真理の手足となって動いてたんだ。
手足となって動いてた?あんた何にもわかっちゃいない。
どうせ殺すんだから教えてやるよ。
すべては真理が純子さんを殺そうとしたことから始まったんだ。
えっ!何が友だちだよ表面じゃ心配するふりをして陰じゃ殺そうとしてたんだからな。
じゃ純子さんが東京で命を狙われたのも湖で突き落とされたのも真理さんが?ああ。
でもあなたどうしてそれを?1年ほど前家の電話機に盗聴器をつけたんだ。
盗聴器?あっ!俺と真理とはあんたも知ってのとおり最悪の関係だ。
あいつが何を考えてるのか何をしてるのか盗聴器でも仕掛けなきゃわかりゃしない。
その盗聴器で星川さんと真理さんの関係を知ったのね。
真理は俺との仲がうまくいっていないから相談したいと言っちゃしょっちゅう星川を呼び出しそのうち深い関係になった。
でも真理は星川を愛したわけじゃない。
星川の画家としての名声を愛したんだ。
そんな!そういう女なんだよあいつは。
その証拠に5年前真理は結婚相手に俺を選んだ。
星川より俺のほうが画壇じゃ注目されてたからね。
ところが結婚してから俺は描けなくなった。
逆に星川はいくつも賞を取って今じゃすっかり有名人だ。
信じられない友だちのご主人とそんな…。
俺だってあのテープを聞くまでは信じられなかったよ。
(真理)「あなたの子供ができたの」「私主人と別れて1人で育てるわ」「あなたは純子と別れようなんて思わないで」「友だちを裏切ることなんてできないもの」殊勝な声であいつは言ったよ。
ところがそのころからテープに変なものが録音されるようになった。
変なもの?
(柳沢)最初はテープが壊れたのかと思った。
何の音も入っていないんだ。
(純子)「もしもしどなたですか?もしもし?」純子さんへの無言電話ね。
ああ。
自分だけじゃ足りないと思ったのかあいつ朋江にも…。
(真理)「あんたも純子に無言電話をかけるのよ」「昼も夜もどんどんかけてやるのよ」
(朋江)「わかったわかけるわよ」真理さんそんなことするぐらいなら星川さんのこと純子さんに正直に話せばよかったのに。
プライドの高い女だから友だちの亭主を寝取ったなんて言われたくなかったんだろう。
それともスキャンダルで星川の名声が落ちるのを恐れたのかわからないよ俺には。
でもあいつが純子さんを殺そうとしていたのだけは確かだ。
あいつの留守の間部屋を調べると…。
「あなたを愛したことを後悔していません」「ただ疲れただけ」「眠ります夢の中であなたを愛し続けます」「純子」真理さん前もって純子さんの遺書を用意してた。
そしてあの部屋で純子さんを殺し自殺に見せかけるために遺書を置いた。
真理さんは純子さんを殺すためにこの旅行を計画したのね。
そういうことだ。
純子さんどうしてあなたが?純子さんすべて知ってたの?俺が教えたんだよ。
最初は信じなかったが盗聴テープを聞かせれば信じざるを得ないだろう。
あなたにはわからないでしょうね。
友人とともに裏切られた女の気持ちなんて。
彼から真理の計画を聞いて私愕然とした。
じゃあ真理のおなかの子供は星川の子供なの!?決まってんだろ!あいつは本気で純子さんを殺すつもりだ。
こうなったらあいつの計画を逆手にとって真理を殺すしかない。
どうして頷いたのかわからない。
でも頷いてた。
あとは彼に任せるしかなかった。
あいつはナイフを用意してた。
ホテルの部屋で殺るはずはない。
(柳沢)あいつが自分から予約した遊覧船だと直感した。
船の個室を予約したのも真理さんだわ。
真理は初めからあの部屋で私を自殺に見せかけて殺すつもりだった。
前の晩湖で私を突き落としたのもその布石だったのね。
朝子さんが私の命を狙ってると騒ぎ立てたのも私が誰かに命を狙われてノイローゼ状態で自殺を図ったそういう状況を作りたかったのよ。
きっとそれだけじゃないわ。
真理さん星川さんと私のことを知ってたから純子さんの自殺が偽装だってばれた時には私を犯人にするつもりだったのかも。
たぶんそうね。
朝子さんのホテルを選んだのも真理だから。
それだけの準備をしてあの日真理さんは純子さんを…。
真理に誘われてデッキに出ると真理はほとんど口をきかなかった。
(純子)そしてそれとなく周囲をうかがってる様子だったわ。
チャンスがあったらここで私を突き落とすつもりなのかもしれないそんな気がしたから私…。
やっぱり私中に入ってる。
そう私しばらくここで景色見てる。
じゃあ。
純子コート貸して。
なんだか寒くて。
いいわよ。
ねえ10分後ぐらいに客室に来てくれる?客室?ちょっと純子に相談したいことがあって。
みんなに聞かれたくないから。
10分後に客室に来てって。
(純子)私は真理の言葉を柳沢さんに伝えたわ。
あいつは返り血の用心にコートを借りたんだろう。
そうだったの?私たちは真理さんがあのコートを着てたから純子さんと間違われて殺されたんだって。
コートのこともあの部屋が密室になったことも偶然だった。
部屋が密室になったのも?ああ。
俺は真理の言葉どおり10分後にあの部屋へ行った。
(ノック)
(真理)あなた!あっ!お前どうしてこんな物騒なものを持ってるんだ。
あなたに関係ないでしょ!
(真理)出てってよ出てってよ出てってよ!
(柳沢)そこで殺すこともできたが俺が返り血を浴びる。
だから俺は…。
通路のほうに回って真理さんに窓を開けさせたのね。
あいつは不安になったんだろう。
自分が純子さんを殺すつもりだったのが俺にばれたんじゃないかって。
(柳沢)だから窓ガラスを叩いたらすぐに窓を開けたよ。
俺は真理を刺して奪っといた星川のキーホルダーを投げ込んでその場をあとにした。
星川さんへの復讐?自業自得だろ。
最初に俺を裏切ったのはあいつなんだからな。
純子さん知ってたの?私は…。
でも知ってても止めなかったかもしれない。
どうして?純子さん星川さんのことあんなに愛してるじゃない!朝子さん私があのキーホルダーを見る度にどんな思いがしたと思う?あの人は画家にとって一番大事な神聖な場所であるアトリエの鍵をあなたとの思い出のキーホルダーにつけてたのよ。
あの人の心の中には3年前と変わらずあなたが住んでる!真理のおなかには子供まで!バカね愛しても愛しても愛しがいのない人を私は愛してしまった…!純子さん星川さんきっと自分を責めてるわ。
だからひと言の弁解もしないで純子さんをかばうために何も話さないのよ。
すべて聞かせてやったんだもういいだろう。
ああ!
(パトカーのサイレン)やめて!私が知らせたの朝子さんのご主人に。
バカなことを!関係のない朝子さんまで巻き込むことない!私はもう十分!何が十分だ!自分は手を汚さず俺はあんたのために2人も殺してやったんだ。
こうなったら2人とも殺してやる!やめて!
(純子)やめて!ああ!あー!!あっ純子さん!純子さん!純子さん!!朝子!救急車を救急車だ!あっ恭平純子さん私をかばって!よし大丈夫だしっかりしろよ!純子さん命を取り留めたわ。
俺が…みんな俺が悪かったんだ。
そうね。
でも星川さん警察で何も言わなかった。
自分は無実なのにそのことさえ。
純子さんが関わってるって気づいたからでしょ?純子さんのことをかばってあなた黙ってたのよね。
せめてもの謝罪の気持ちだった。
そんなことで俺の罪が償えるはずはないが…。
純子さんあなたのこと本当に愛してるわよ。
待つよ純子を。
彼女が僕を許してくれるかどうかわからないが。
早く病院に行ってあげて。
んー!恭平さんできたわよ。
お!湯豆腐?好きでしょ。
おお。
はい。
悪いなぁ。
お手柄だもんね。
朝子はこれから仕事あるんだろ?あといいから。
そう?傷大丈夫?大丈夫!イタタタ!痛い痛い!ごめんごめん!じゃ行ってくるね。
はいよいってらっしゃい。
Dialogue:0,1:49:16.12,1:49:18.48,Default,,0000,0000,002014/06/02(月) 13:05〜14:56
ABCテレビ1
温泉若おかみの殺人推理[再][字]
「不倫の汚名をきせられて…琵琶湖クルーザーに女の密室死体 別人の遺書がなぜ!?」
詳細情報
◇出演者
東ちづる、松村雄基、岡田茉莉子、萩原流行 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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