プロフェッショナル 仕事の流儀 本田圭佑SP2014(1)密着 世界一への道 2014.06.02

奇跡?う〜ん…。
あるんかなとも思う一方…僕は奇跡はないと言い切りたいですね。
という意味は…。
奇跡を起こすのはあくまでも自分の行動だと思うんで。
偶然ではないので。
いかにも「奇跡」と呼ぶと何か偶然で物事が起こったかのような言い方じゃないですか。
でも違う。
そこは必然だったと考えるべきだと思うんですね。
その男は神頼みや運任せを嫌う。
自ら流した汗で己の人生を切り開いてきた。
(実況)ブラジルに運ぶペナルティキック!全てはこの左足!運命のペナルティ!
(歓声)日本中の期待を背負い4年に1度の大舞台に挑む。
熱き戦い。
その全てが明らかになる。

(主題歌)ワールドカップを間近に控え新天地に挑んだ。
待っていたのはかつてない試練。
極度の不振にあえぐビッグクラブ。
名門再建の切り札という重責を果たせるか。
エースナンバーを背負うその覚悟。
世界一を目指す不屈の男の戦い。
今から遡る事1年半前。
ワールドカップ出場がまだ決まっていなかった去年1月。
本田はつかの間のオフを石垣島で過ごしていた。
そこにケニアから招いた2人の客人。
世界屈指の長距離ランナーと10日間にわたってみっちり走り込むという。
よ〜いスタート。
本田は幼い頃から走るのが得意ではなかった。
日本代表のエースに成長した今なおそれは変わらない。
合宿初日。
本田はついていくのがやっとだった。
本田が名前を挙げたのは世界の頂点に君臨するサッカー選手たち。
本田には彼らを乗り越えて成し遂げたい壮大な夢がある。
小学校の卒業アルバム。
将来の夢をこう記した。
その途方もない夢をかなえるチャンスが巡ってきたのは24歳の時。
(実況)仕掛ける…数的優位をつくる。
本田だ!チャンスになった!日本先制点!
(実況)揺れる球だ!決まった〜!前回のFIFAワールドカップ。
本田は最高の輝きを放った。
外国人に当たり負けしない屈強なフィジカル。
そして卓越したテクニック。
2得点の活躍で日本をベスト16へと導いた。
その後もロシアリーグでチームの中心選手として活躍。
ビッグクラブから注目を集める存在へと成り上がった。
だが2年前の秋。
ある課題を突きつけられる。
猛暑に体力を奪われた本田はミスを連発した。
「勝負どころでバテている選手が世界一になれるはずがない」。
それがこの合宿を張ると決めた理由だった。
石垣島合宿3日目。
この日は陸上競技場で400m走を繰り返す。
世界屈指のランナーにどこまでついていく事ができるか。
相手がペースを上げ始めた。
1周目より4秒も速い。
(男性)69707172…。
本田は無類の負けず嫌い。
必死に二人に食らいつく。
限界はとうに超えている。
いきます。
よ〜いスタート!だがその顔には笑みさえ浮かんだ。
(男性)616263…。
最終周プロにも劣らない記録を出した。
自らの弱点から決して目を背けない。
揺るぎない信念がある。
本田の一日はまだ終わらない。
ゴールの枠に3本連続で当てるまで帰らないというゲームを始めた。
極限まで疲れた状態でどれだけ正確に蹴る事ができるか。
40分経過。
既に170本を蹴った。
うおっ!この日蹴った本数は実に213本に上った。
合宿を始めて1週間。
本田にある変化が起きていた。
合宿が終わりにさしかかったこの日。
本田は島の人たちにプレゼントを用意していた。
近っ。
カメラ近っ!
(拍手)島の子供たちを集めて即席のサッカー教室を行うという。
本田の本気の指導が始まった。
雨がどしゃ降りになってきた。
(子供たち)こんにちは〜!小さい子供が相手だろうと本田が手を抜く事はない。
石垣島合宿から1か月。
スペインで所属チームのキャンプに参加していた本田から思いがけない連絡が入った。
練習中に左足首を痛め病院で治療を受けているという。
合宿の成果を試そうというやさきに起きたまさかのケガだった。
それから3か月本田は長いトンネルに入り込んでいた。
所属するロシアのチームに戻ったものの足首に次いで太ももを痛め試合を欠場する事が多くなっていた。
それでも本田は一人黙々とトレーニングを続けていた。
チーム練習がオフの日も休む事なく走り続ける。
そんな本田にメディアは好奇のまなざしを注ぐようになっていた。
それから1か月後。
(実況)運命のペナルティ!
(歓声)日本代表に復帰した本田はエースとしてワールドカップ出場を手繰り寄せた。
そして世界一への試金石となるワールドカップ前哨戦に乗り込んだ。
だが本田の目論見は早々に崩れ去る。
(実況)本田に任せる!シュート打ちました。
ブラジルのエースとの差は歴然。
仕事をほとんどさせてもらえなかった。
試合後。
本田はベンチからしばらく立ち上がろうとしなかった。
次のイタリア戦は同点のまま終盤にもつれ込む接戦となった。
だが勝負どころで本田は試合を決められない。
(実況)シュートが来た〜!世界一がまだまだ遠い事を思い知らされた。
(インタビュアー)お疲れさまでした。
そんな本田に熱い視線を送る人物がいた。
一流選手の移籍を数多く手がけてきた…目に留めたのはゲーム終盤までイタリアを苦しめた本田の体力。
(実況)エリアの中には4人います。
課題克服のために走り続けてきた日々は決して無駄ではなかった。
ブロンゼッティの情報はある人物へともたらされた。
アドリアーノ・ガリアーニ。
ACミランはイタリアリーグ優勝18回ヨーロッパチャンピオン7回という輝かしい実績を誇るビッグクラブだ。
移籍市場が開くとミランはロシア側と交渉を開始。
7月末には早くも移籍確実と報じられた。
だがその2か月後。
本田はまだロシアにいた。
移籍交渉は土壇場で決裂。
契約切れになる冬まで足止めを食らう事になった。
鬼気迫る雰囲気で常に練習に取り組んできた本田。
(笑い声)その本田が仲間とふざけ合うという意外な光景も見られた。
更にふとした時に見せる表情は心なしか沈んでいるように見えた。
本田は腐ってはいなかった。
それどころか新たな課題克服に着手しているという。
本田の最大の武器は強烈な左足。
だがコンフェデレーションズカップではそれをことごとく封じられた。
右足をどう生かすか。
それ以外のバリエーションはないか。
一人イメージトレーニングを繰り返す。
11月。
その成果を試す絶好の機会が訪れた。
世界ランキング5位強豪ベルギーとの親善試合。
同点で迎えた後半8分だった。
本田が値千金の勝ち越しゴール。
代表では初となる右足での得点だった。
自ら課題を見いだしそれを克服する事で長所に変える。
それが世界一を目指す本田の戦い方だ。
(取材者)お疲れさまです。
12月。
ロシアのチームでの最後の試合を終えた本田を訪ねた。
…僕は思います。
それから間もなく。
ACミランは本田の獲得を正式に発表した。
背番号はエースナンバーの10。
本田への期待がそこに表れていた。
ACミランへの移籍をかなえた本田。
背番号10は本田自らが要求したものだという。
背番号に秘めた覚悟をインタビューで明かした。
「番号なんてプレーする上で関係ない」という人もいるかもしれないですけどミランほどの歴史があるクラブでは番号の重みというのはやはりあって少なくとも歴代の10番がつけた選手というのは僕自身知ってましたしそれをなおかつしかも自分が好きな番号で背負ってプレーしてみたいというのは移籍する時やっぱりすぐ思いましたね。
ええ。
当然ながら批判をされたくなかったり重圧を背負いたくなければやはり行動しない事が一番なんですね。
でもそういうのは好きじゃないしやはりハラハラドキドキしてたいしそれが悔しい時があろうと常に挑戦者でありたい。
それが自分らしくあるために重要な事だしどうせサッカーをやるんであればそういう刺激のある10番でなおかつビッグクラブでプレーしてみたいという方が自分の中では大きかったですね。
だが自ら求めた背番号10が本田をかつてない泥沼へと引きずり込んでいく事になる。
イタリア行きを目前に控えた去年暮れ。
本田は宮古島で合宿を行っていた。
島には季節の変わり目を告げる「カジマー」と呼ばれる荒々しい風が吹いていた。
冬の移籍はシーズン途中でチームに加わるため周囲になじめず実力を発揮しにくいとされる。
ましてやワールドカップは半年後。
新天地で調子を落とせばサッカー人生を大きく狂わせかねない。
だがこの機会を物にできなければ世界一など夢のまた夢だ。
本田はこれまでも自らをあえて厳しい環境に置く事で進化を遂げてきた。
21歳で渡ったオランダで「役立たずの日本人」と罵られた。
だが折れずにシュートを打ち続けゴールハンターへと生まれ変わった。
23歳の時ロシアへ移籍。
激しい当たりに苦しめられた。
そこでも戦いの中で日本人離れした体の強さを手に入れた。
イタリアではどのような試練が待ち受けているのか。
(ホイッスル)OK?OKかな?今年1月。
その日がやって来た。
本田はイタリアミラノに降り立った。
ACミランは世界中にファンを持つ人気クラブだ。
その10番を初めて背負うアジア人は大きな注目を集めた。
翌朝から目まぐるしい日々が始まった。
世界で最も厳しいとされるメディカルチェック。
3年前膝を手術した本田の検査は5時間にも及んだ。
夜はクラブ幹部との夕食会。
トレーニングを1日休めば取り戻すのに3〜4日かかるという本田にとって異例の事態が続いていた。
そして迎えた入団会見。
スター選手だけに用いられてきたエグゼクティブルームが用意された。
ホンダフィーバーは異様な盛り上がりを見せつつあった。
あまりの注目度の高さにチームは特別に練習を公開した。
各国の一流選手をそろえたビッグクラブの名に恥じない陣容。
トレーニングを十分に積めていない本田は別メニューでの調整となった。
だが本田の加入を待ちわびていたアレグリ監督。
早々に攻撃練習に加わるよう命じた。
周囲のけん騒をよそに本田は淡々と練習をこなしていた。
その日の夜。
本田が胸の内を明かした。
脳裏にあったのは2日前に観戦したACミランの試合。
目にしたのは名門らしからぬサッカーだった。
目を疑いたくなるようなイージーミス。
味方同士サポートする姿勢も見られない。
リーグ前半戦を終えて20チーム中13位。
監督の解任もうわさされるほど最悪の状況だった。
背番号10を背負う本田に「名門再建」というとてつもない期待がのしかかっていた。
その週末。
本田は早くもデビューの時を迎えようとしていた。
この日もチームは格下相手に前半だけで3失点。
苦しい試合展開となった。
本田はACミランの一員として初めてピッチに立った。
積極的に動いてはパスの受け手となり停滞していた攻撃を活性化させる。
だがゴールは遠かった。
僅か数cmの差でポストに嫌われた。
チームは格下相手に屈辱的な敗北を喫した。
このクラブの10番を背負う者に「惜しかった」という言葉は許されない。
ミラノへの帰り道。
チームは沈鬱な空気に包まれていた。
翌朝「ホンダデビュー」という話題が吹っ飛ぶほどの事態がチームに起きようとしていた。
本田の獲得を希望したとされる監督が早々にチームを追われる事になった。
結果を出す事ができなければ切り捨てられる非情な世界。
「救世主」と期待され10番を背負う本田もまた決して例外ではない。
2日後本田の運命を左右する男がミラノに降り立った。
かつてACミランで10番を背負った英雄クラレンス・セードルフ37歳。
古巣の監督に就任するとすぐさま改革に着手した。
誰かを背負っていれば鬼にタッチされても助かるという一風変わったゲーム。
選手たちにチームワークを植え付けようという意図が見て取れた。
そして丁寧にパスをつなぐ事を徹底した。
週末。
新体制になってチームは生まれ変わったのか。
10番を背負う本田にはチームをけん引する責任がある。
本田は司令塔としてパス回しに絡みチャンスをつくり出していく。
だがギリギリのところで呼吸が合わない。
後半になると本田の運動量は目に見えて低下した。
入団騒動の中でのトレーニング不足が響いていると思われた。
本田は途中交代を命じられた。
翌日新聞はそろって本田にチーム最低点をつけた。
歓迎ムードから一転。
逆風が吹き始めていた。
この日のチーム練習は休み。
だが本田は志願して自主トレに臨むという。
向かったのは練習場の隅に設けられた特別なグラウンド。
足元は深さ数十cmの砂。
体に高い負荷をかけてコンディションを上げていく。
リーグ戦2試合を終えていまだノーゴールノーアシスト。
自らを最高の状態にして臨まなければこのチームを引っ張っていく事などできない。
努力は裏切らないと信じ今日までやってきた。
だが自分は本当に世界一にたどりつけるのか。
1月末。
本田にとって重要な岐路となる試合が近づいていた。
チームの勝利に貢献できない背番号10など存在する意義はない。
(ホイッスル)だがこの日もゴールは遠かった。
容赦なくブーイングが降り注ぐ。
(ブーイング)このままでは完全に信頼を失いかねない。
リードされて迎えた試合終盤。
コーナーキックのチャンスが訪れた。
だが強風にあおられてボールはラインを割った。
そして残り1分。
同点で再びコーナーキックのチャンスが舞い込んだ。
(歓声)研ぎ澄ませたキックは味方にピタリと合った。
チームの勝利に初めて貢献。
崖っぷちで踏みとどまった。

(主題歌)未知の領域に足を踏み入れてから1か月。
本田は苦しみながらも一歩先へと進もうとしていた。
待望のリーグ戦初ゴールが生まれたのはそれから2か月後の事だった。
(歓声)2014/06/02(月) 22:00〜23:15
NHK総合1・神戸
プロフェッショナル 仕事の流儀 本田圭佑SP2014(1)密着 世界一への道[解][字]

W杯に挑むサッカー日本代表のエース・本田圭佑に密着。極秘の石垣島合宿、ACミラン移籍舞台裏など、知られざる闘いが明らかになる。2週連続SPの初回73分拡大版。

詳細情報
番組内容
W杯に挑むサッカー日本代表のエース・本田圭佑に密着。2週連続スペシャルの第1弾。名門・ACミランに移籍したものの、待ち受けていたのは茨の道だった。本田が直面した壁とはどんなものだったのか。コンディションを上げるための砂上トレーニングなど、滅多に立ち入ることが許されない練習場での撮影に成功。本田本人から唯一密着を認められたカメラだから撮ることができた濃密な取材で描く。73分拡大版。
出演者
【出演】本田圭佑,【語り】橋本さとし

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
スポーツ – サッカー
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:19095(0x4A97)