(小田島克也)奈津美!
(小田島奈津美)何?
(小田島)2階で音がしたんだが見てきてくれないか?えっ?わかった。
(雷鳴)
(リモコンの操作音)「…全焼させた火事でその焼け跡から今日焼死体が発見されました」「遺体は…」
(雷鳴)
(雷鳴)どうして…?さらばだ醜い悪女め。
(雷鳴)嫌だ…何これ!うっ…!あっ…!ああ…!助けて…。
(雷鳴)立花雅彦。
もしもし立花君か?私だ小田島だ。
次の個展の件で打ち合わせしたい。
すぐに来てくれ。
大至急だ。
(雷鳴)
(雷鳴)
(雷鳴)
(木内光義)失礼します。
お疲れさまです。
被害者は?
(林弘太郎)小田島奈津美さん48歳。
こちらの画家小田島克也さんの奥様です。
(林)死因はまだわかりませんが外傷がなく事故病死の可能性があります。
(黒川あゆみ)小田島先生は目がご不自由なんです。
ああ…。
目が不自由で画家…小田島…。
立花君誰?
(立花雅彦)はい刑事さんです。
ですよね?はい。
京都府警捜査一課特別班の木内と申します。
(鬼久保巌)一課長付けの特別班です。
小田島先生の名声に配慮して一課長がよこしたんでしょうね。
盲目の画家と珍しがられて一時もてはやされただけだ。
警察に通報されたのは小田島先生ですか?私です。
立花と申します。
奥様のご遺体を見つけたのは私と黒川君です。
黒川あゆみです。
私たち小田島先生のマネージメントをしております。
近々先生の個展があるらしい。
その打ち合わせに来て遺体を発見された。
(花沢太郎)その打ち合わせ小田島先生からの呼び出しですね?それって急な呼び出しでした?何時頃かわかります?何決めつけてんだ相撲部屋!だって奥さんパジャマ姿じゃないですか。
それに髪も濡れている。
という事は風呂上がりですよね。
人が来るとわかっていてパジャマ姿はありませんよね。
つまり奥さんはその打ち合わせの事を知らなかった。
という事はその打ち合わせは急な打ち合わせ。
他に家の人はいらっしゃらないようですから。
立花さんと黒川さんを呼び出したのは小田島先生ご本人という事になる…。
個展の作品を差し替えようと思い立って黒川君と立花君にご足労を願った。
それがどうした?電話で用件話せますよね?なんでわざわざ家に?何?それが小田島先生のスタイルですから。
私たちどんなご用でもいつもご自宅に伺うようにしてるんです。
今日が特別じゃありません。
ああそうなんですか。
でその呼び出しは何時頃?鑑識さんがまだ作業中だ。
ドスドスホコリを立てるんじゃない相撲部屋!ああどうもすいません。
ねえ小田島先生。
個展から外す作品というのはこれですか?この真ん中から切っちゃってるやつ。
そうだ。
それがどうした?いやあそのなんていうかいかにもこれどうしたの?的な配置だなと思って。
思わず近寄っちゃいますよね。
こういうのがドーンと部屋の真ん中にあったら。
なのに奥さんのご遺体はドア前。
立花さん小田島先生からの呼び出しの時間は?はい…。
9時ちょうどです。
すぐに黒川君と車を飛ばしてこちらに…。
到着したのは何時頃ですか?多分9時40分くらいです。
すると…。
先生が「妻がいないから捜してくれ」とおっしゃった?そしてこのアトリエで遺体を発見した。
あっ!あっ!ああ…!奥様!奥様!大丈夫ですか!?どうした?
(あゆみ)先生!奥様が…!
(小田島)どうした?奈津美!なんだかにおうなあ…。
花沢!花沢?君は花沢というのか?はい。
京都府警捜査一課長付特別班刑事花沢太郎です。
よろしく。
無礼なデブだな。
あれ?どうして私がデブだってわかるんです?あっ!もしかして目が見えているとか。
花沢!すいません。
君が来てからこの部屋の熱量が上がった。
そっちの刑事君が君を相撲部屋って呼んだ。
そうなんですよ。
デブは放射熱がすごいんです。
先生も記憶力すごいですね。
君は私が妻を殺したと言いたいようだが…。
とんでもない!
(小田島)目の見えない私がどうやって殺せるというんだ?そのとおりです。
あっ違った…。
いえあの…失敬。
謝れ相撲部屋!どうもすいませんでした。
あれ?でもなんで殺しだと思われるんです?小田島先生。
さっきにおうと言っただろう。
ああ…それはですね…こっちかな?ったく毎度ペースを乱しやがって!普通太った人っていい人なんですけどね。
世を忍ぶ仮のデブだ。
あの体形にだまされるな。
おい花沢どこ行くんだ?あっ!これこれ。
このにおいです。
冷えてもなお香ばしい小麦のにおい。
あれ?こっちからもにおうな。
あっ!ピザです!木内っちゃんピザです!ミックスかな?あれ?なんか変ですよね木内っちゃん。
ああ両方生焼けだな。
しかもこの状況から見て晩ご飯は食べ終わってますね。
あと片づけもバッチリだ。
先生これは奥さんが?ああ。
そしてそのあと今度はピザとトーストを焼いた?私が焼いた。
小腹がすいたんだ。
ああ先生奇遇ですね。
私もよく小腹がすくんです。
私だけじゃない。
立花君と黒川君にも食べさせてやりたいと思ったんだ。
うん。
でもなんでか両方とも生焼けで終わった。
なんでだろう?
(小田島)何が言いたいんだ?おい君!待ちたまえ!
(あゆみ)先生!まるで見えてるみたいですね。
ええこのお屋敷の中で先生がお一人でやれない事は何ひとつありません。
そんな事が可能なんですか?失明されて30年間家具の配置から絵筆一本の置き方まで同じ場所に1ミリも違わずに奥様がずっと維持されてこられました。
だから先生は何がどこにあるのか手に取るようにおわかりになってらっしゃるんです。
この空間は先生と奥様が血のにじむような努力の末に作り上げられた世界です。
目が見えないのに見えているというか…。
見えないのに見えている…。
先生は全てを見ているんじゃないかと。
心の目心眼で…。
今度は何やってんだ?リモコンを見ておられます。
ええ?小田島先生6月なのに暖房ですか?寒がりですねえ。
それは春先の設定だ。
今は使ってない。
だとしても30度って…。
これ電気代かかるでしょう?刑事っていうのは色んなものを見るんだな。
はい。
それが仕事ですから。
私も若い頃は色んなものを見たがった。
だが見れば見るほど惑わされ真実は見えなくなるものだよ。
へえ〜そうなんですか。
私は画家の仕事の事はよくわかりませんが刑事の場合…。
刑事の場合はなんだ?おい。
言いかけてやめるな。
なんでボリュームがゼロなんですか?小田島先生。
立花君と黒川君が来た時にインターホンの音を聞き逃さないように音量を消したんだ。
ええ!?でもその時はまだ奥さん生きておられたんですよね。
それともその時にはもうすでに奥さんは亡くなっていて先生がご自分で玄関を開けるためにボリュームを下げた?いやうるさいんだったらテレビ自体消せばいいんだよな。
なのに先生はテレビは消さずにボリュームだけをゼロにした。
これなんでだろう?
(小田島)細かいデブだな…。
先生聞こえましたよ。
「体はでかく神経は細かく」が私の信条でしてね。
あれ!?今度はなんだよ?花沢君。
こんなところにバスタオルですよ。
小田島先生!バスタオル?あっ湿ってますね。
髪の毛だ。
長髪です。
っていう事は奥さんのものですね。
伺おう。
それで?奥さんは風呂から上がってここで髪を拭き何かの急用でアトリエに行き亡くなった。
急用か…。
どうしてそんな事がわかる?だってこのソファ布製ですから。
私もよくおふくろに叱られるんですよ。
布製のソファに湿ったバスタオルをかけるんじゃない。
ソファが湿気る!ソファにカビが生える!って。
女性はねそういうところ細かいんですよ。
だけど奥さんはそれをした。
なぜだろう?わからないかい?ええさっぱり。
わかるんですか?先生。
すぐに戻るつもりだったんだろうさ。
なるほど…。
だから何気にここにかけた。
まさか奥さんはそのまま死ぬなんて夢にも思わなかったでしょうから。
だとしたら…何をしにアトリエに行ったんでしょう?奥様は。
絵の具の補充か…アトリエの掃除か…。
またまた…。
せっかくお風呂に入ったのにそのあとで絵の具に触ったり掃除したりはしないでしょう。
まあ先生が奥さんに何か急な用事を言いつけたというのなら話は別ですけど。
あのすみません刑事さん。
さっきから失礼じゃありませんか?奥様は何かの用事でアトリエに行かれてそこで亡くなられた。
先生は奥様の気配が消えたので心配になられて私たちに捜させた。
なんにも不自然じゃありません。
はあ…。
いやでもこうも考えられませんか?小田島先生は奥さんの遺体を発見させるために打ち合わせを口実にして黒川さんたちを呼びつけた。
いやだって…先生の目は発見者になるには不向きですから。
しかし君この目では殺人者にも不向きだよ。
でも先生には心眼がおありになります。
私持ってるんですよ先生の画集。
『心眼の世界』小田島克也。
ハハハッ…!また来てもいいですか?先生。
ああ…歓迎するよ花沢君。
「小田島克也京都府出身」「30歳までは現代印象派の売れない画家」「しかし失明を機に既成概念に囚われない独特の作風で画壇の評価を得て盲目の画家としてマスコミにも取り上げられ一躍有名になる」
(錦織玲子)『心眼の世界』か…。
本当にこれ見えてるみたいねえ。
(権田千夏)違います。
小田島先生は心の目で描いてるんです。
だから見る側にも心の目が必要なんです。
あれ!?何?権田ファンなの?実は私この絵のレプリカ持ってます。
目が見えるから既成概念に囚われる。
見えなくなれば解放される。
物の本質的な形や色がわかる。
芸術は感性だ!絵を見るな!絵を感じろ!!権ちゃんって不思議ちゃんだったんだね。
私じゃありません。
小田島先生の言葉です。
(電話)一課錦織。
わかった…。
殺しで決まりね。
引き続き検視を進めて。
小田島奈津美の血液中からアルカロイド系の猛毒グラトキシンが検出された。
毒?食べ物か飲み物に毒を混ぜて殺した。
毒殺なら目が不自由でも…!課長。
でも木内っちゃんそんな単純な手口じゃ自分がホシだって言ってるようなものですよ。
そのとおり。
事態はもっと複雑よ。
被害者の胃には未消化の夕食が残ってたけどグラトキシンは検出されてない。
食べ物や飲み物には混ぜずに毒を持った。
一体どうやって…?被害者の死亡推定時刻は…。
ゆうべの午後8時から10時の間。
いやもし小田島克也が犯人ならマネジャーたちを呼びつけた午後9時には被害者は死んでたはず。
僕もそう思います。
被害者が死んでないと発見者を呼んでも意味がありませんから。
問題は毒殺のトリックと毒の入手経路ですね。
あと…。
動機だな。
夫唱婦随で30年やってきた夫婦の間に何があったのか…。
小田島克也が犯人だとしての話ですが。
そうね…。
しかし失明してて本当に殺人なんて出来るのか?う〜ん?なんですか?この絵他のに比べて随分タッチが違うわね。
なんていうかこう…のたくってる。
暗澹。
陰々滅々。
(玲子)3年前の作品か。
小田島夫婦の交友関係調べて。
特にこの絵が描かれた3年前徹底的に。
(木内・千夏)はい。
すみません…。
あっ…。
ああっ…!遅い!!すみません!奈津美はもっと早かったぞ。
駄目だ…。
ひらめきが逃げた。
遅いんだ!バカ!!私が…私が先生の目になります!これからは奥様の代わりに精いっぱい私が…。
ここは地獄か?どんな顔でそういう事をしてるんだお前たち女は!!
(チャイム)こんにちは!京都府警の花沢です。
こんにちは。
近くに来たので弁当をお持ちしました。
先生お一人ではご飯の支度とか大変かなと思いまして。
気が利くじゃないか…。
で交番勤務20年の結論から言いますとこの牛煮込み弁当がこの界隈では一番うまいんです。
どうですか?この煮込んでなお失われない肉汁の奇跡。
不思議な男だな。
はい?私ですか?この間はなんて不遜で嫌な奴だろうと思ったが今日は思いの外和ましてくれる。
デブと食べると大概の人は和みますからね。
いや違う。
食事をともにすると警戒心が薄れるからだ。
はい?君が弁当を持ってきたのは私の箸使いを観察するためだ。
君は私の目が本当は見えてるんじゃないかと疑ってるんだろう?図星だったか。
ハハハ…。
はあ…。
奥さんは毒殺でした。
猛毒のグラトキシン。
殺しで決まりです。
そうか。
しかも先生には動機がありますね。
奥さんはマネジャーの立花さんと3年前から浮気を繰り返していた。
あれはたちが悪かった。
先生が見えないのをいい事に…。
(千夏)ひどい…!小田島先生はお二人の事を…?見抜いておられたんじゃないかな?そういうのは絵に出るから。
(画商)その直後に描かれた絵です。
(画商)タイトルは『悪女』。
(小田島)妻の裏切り?無論気づいていたよ。
視覚が失われると他の五感が研ぎ澄まされる。
だが私は知らぬふりを続けた。
私はな自分の心が苦しくのたうつさまを創作に利用した。
『悪女』はそうやって生まれた。
あれは会心の出来だった。
だが不幸な事に私はその絵を見る事が出来ない。
みんな画家が視力を失ったのは不幸だと言う。
だが一番不幸で悔しい事は…それを乗り越えて作り上げた作品が見られないという事だ。
この世で一番見たくてたまらないものが…見られない!いやあの…それがですね…私の上司がですね小田島先生の目が本当に見えないのかどうか花沢確かめろ!って…。
なんだと?あっ…。
そんな失礼なお願い出来ません!って私は言ったんですけどね。
先生どうか眼科の検査を受けて頂けませんでしょうか?お願いします!ハハハ…!利口なふりをしているバカなのかバカを演じている利口なのか…。
断る。
そこをなんとかお願いします!結局そこに行き着いちゃうんですよ。
断る。
下劣な考えは捨てたまえ。
私も知りたいんです。
心眼で人が殺せるかどうか。
ものは言いようだな。
対光反応ないですね。
この機械で検査しましょう。
あっ課長!花沢!何勝手な事してるんだ!しかも私の名前まで勝手に使って!花沢さん気持ちはわかりますけどこういう捜査手法は下手をすれば人権蹂躙になります。
すいません。
でもですね…。
デモもデブもない!あっ先生。
いかがでしたか?小田島克也さんの目。
本当は見えてる?見えてない?どっち?課長!そりゃないでしょう。
ご本人の主張どおり緑内障です。
光も感じない光覚のない状態。
つまり完全な失明状態です。
では。
あっそうですか…。
課長やはりシロです。
失明してる人がどうやって殺しを?無理です。
でも動機はある。
痛っ!いやあ炭水化物っていいっすね!アハハハッ!
(木内菜穂子)何言ってるの。
だからさなんでお前が毎晩混じってるの?ん〜いいじゃないパパ。
花ちゃんと食べると美味しいもの。
(木内かなえ)だよね花ちゃんって本当に美味しそうに食べるもん。
そう?
(木内こずえ)違うよ。
ママの料理が美味しいんだよ。
(菜穂子)なんていい子なの〜!
(木内さちえ)さちえ花ちゃん大好き!うわ〜フワフワ!お相撲さんみたい!ごっつあんです!ハハハッ!こらこらご飯の時は少し静かにしましょうね。
(菜穂子)え?どうした?ママ電気。
(菜穂子)ちょっと待って。
(菜穂子)痛い!ちょっと待って。
停電かな?これ。
(菜穂子)あれ?点かない?
(菜穂子)点かない!あれ?懐中電灯どこ行ったかな。
え?あれ…。
点いた。
すいません。
僕の仕業です。
ですよねえ。
何が?これで謎が解けました。
暗闇のトリック?ええ。
友達の家で実験してみたんです。
夜突然電気が消えて真っ暗になったら人はとっさにどんな行動をとるか。
壁のスイッチをですねパチパチ何度も押すんですよ。
あの夜先生は奥さんに何か用事を言いつけてアトリエに向かわせた。
アトリエの中央にはいかにもどうしたの?的に切り裂いた作品を置き奥さんがそこに行くように誘導した。
そして先生はエアコンテレビ電子レンジトースター家電のスイッチを一斉に入れた。
重要なのはたくさんの電気を一度に使う事です。
ブレーカを落とすために。
そして奥さんはとっさに壁のスイッチを探して押した。
痛っ!先生がそこに猛毒のグラトキシンを塗った毒針を仕掛けた事も知らずに。
痛っ!あっ…!助けて…!
(雷鳴)鑑識に言って奥さんの指先を調べてもらいました。
奥さんの右手人差し指の先にはまさに針でついたような傷がありました。
そしてそこには微量のグラトキシンが付着していました。
小田島先生ならではの暗闇を利用したトリックです。
先生がピザとトーストを焼いたのは小腹がすいたからではなくて先生を裏切っている奥さんを殺すためだったんですね。
心眼の殺しです。
毒針の仕掛けはどこです?お屋敷の外では不自由でしょうからまだお屋敷の中に隠しておられますよね?家宅捜索令状を取ったあとでもいいんですが出来れば今教えて頂いたほうが先生のためにもよいのではないかと。
(拍手)お見事だ。
どうやら君はバカのふりをする利口な男。
ハハッ。
…のつもりでいるらしい。
はい?百歩譲って君の推理どおりだとしよう。
だけど花沢君その毒針を仕掛けたのが私だという証拠はどこに?そういう事言います?反論しよう。
妻に殺意を持ってる誰かがこの家に入り込み毒針の仕掛けをしたという可能性はゼロではない。
そいつは私の鼻先を通り…。
階段を上り2階のアトリエに行ったのかもしれない。
私は失明してる。
侵入は容易い。
ここへきてそういう事言います?君がなんと言おうとピザとトーストは私が小腹がすいたから焼いたんだ。
私は炭水化物が大好きなんだ。
しかし君の言うとおり電力オーバーでブレーカが落ちて生焼けになってしまった。
実にもったいない事をした。
そうだ!なんですか?そういえばあの夜このうちに人の気配がしていた。
そんなむちゃくちゃな事…。
あっ!確かにあの夜ここに誰かがいた。
私の鼻先をかすめて2階のアトリエに上がった気がする。
ああーっ!なんて事だ!犯人は目と鼻の先にいたというのに私はそいつが誰かわからない!実に悔しいよ花沢君。
犯人は目の見えない私の前で私の妻を殺したんだー!ハハハハッ…。
ハハハハハッ…。
ハハハハハハハッ…。
ハハハハハハッ…。
(ため息)黒川さん?黒川あゆみさん。
小田島先生の奥さん殺害の件でお話をお伺いしたいんですが。
(鬼久保)いやあ驚きましたねえ。
小田島先生の奥さんとマネジャーの立花雅彦さんが3年前から不倫関係にあったなんてね。
あなたご存じだった?はい。
いやあ驚きましたね。
そのあなたと小田島先生にも不倫の噂があるなんてね。
出来てるのか?あんたら。
しかもあんたなんかあったらすぐ駆けつけられるように小田島先生から鍵預かってるそうじゃないの。
はい。
「その上にだあんたのいとこは鴨川大学の生物学の研究室に在籍している」「実験でアルカロイド系の毒物を扱う事も多い」「もちろんグラトキシンもだ。
そうだね?」
(あゆみ)「はい」小田島先生は目がご不自由だ。
鍵さえ持っていれば入室は簡単だ。
毒はいとこから手に入れた。
本妻を亡き者にすれば自分が後釜に座れる。
怖いなあんた。
はい。
(鬼久保)はい?
(鬼久保)それはつまり…どういう事かな?私が先生の奥様を…。
奥様を殺しました。
課長!一応筋は通ってる。
けど犯人は小田島先生なんです。
「申し訳ありませんでした」嘘は駄目です!黒川さん!
(鬼久保)一係の取り調べ中だ!邪魔するな相撲部屋!僕のせいでしょ?え?聞いちゃったんでしょ?毒の事。
あの時は亡くなった奥さんの靴かなって思ったんですけどあれあなたの靴だったんですね。
奥さんは毒殺でした。
猛毒のグラトキシン。
先生はあなたを通じて毒を入手した。
あなたは毒の種類を聞いて先生の仕業だと確信してかばうために嘘の供述を…。
違います!私が奥様を殺したんです!何…!?あの家古いですもんね。
ネズミ退治に猫いらずをくれって言われたら手配しちゃいますよね。
だってグラトキシンは猫いらずの材料ですからね。
私が奥様を殺したんです。
グラトキシンを使って奥様を…。
じゃあどうやって奥さんにそれを盛ったって言うんですか?食べ物からは一切検出されていないんですけど。
私が…やりました。
黒川さん。
あなたにかばわれても先生は喜びません。
私が…私が先生の目になります!これからは奥様の代わりに精いっぱい私が…。
ここは地獄か?
(小田島)どんな顔でそういう事をしてるんだ!お前たち女は!先生は暗闇を使って奥さんを殺しました。
暗闇のトリックは先生のプライドだと僕は思います。
それをあなたがかばっても先生は怒るだけですよ。
(嗚咽)じゃあ!お…おい!どこ行くんだ?現場百遍。
聞き込みだ。
任意聴取よね。
ご協力ありがとう。
帰って結構。
課長!
(玲子)この件は一課長の私が預かる!いやほんでやなわしの好きな女優さんが出てきた瞬間に消えてしもたんや。
慌てて表見たらあっちゃもこっちゃもみんな消えてるやんか。
往生したって兄ちゃんほんまに。
停電が…この町内で?そや。
まあ時間は短かったからよかったんやけどな。
送電線になんか雷が落ちたみたいやねん。
そやけどやでわしみたいにドラマが好きやのにそれ見られへん。
それ殺生やでほんま兄ちゃん。
停電…暗闇…。
あっ!うっ…!それで?現場百遍。
聞き込みをかけたんですよ。
それと覚えてらっしゃいます?事件当日の夜は雷がゴロゴロと。
そういえば聞こえたな。
だからどうした?その雷が送電線の近くに落ちましてね。
あの夜この町内が短い時間でしたが停電して真っ暗だったんですよ。
だから何?用件を言いたまえ花沢君。
その停電何時から何時までだと思います?小田島先生。
さあな。
見えない私にはわからんよ。
意味のない事だ。
ところが私には大ありで。
停電は午後9時2分。
先生が立花さんと黒川さんを呼び出した直後。
復旧したのは午後9時38分。
立花さんと黒川さんがここに到着したのが9時40分ですからまさに到着の直前。
2人がここに来た時奥さんのご遺体を除いてはこのアトリエにはなんの異常もなかった。
という事は毒針の仕掛けを取り外し隠すなどの隠蔽工作は立花さんと黒川さんがここに到着するまでに完了していたという事になるんです。
わからんな。
だからなんだというの?つまりですねこの部屋に忍び込んで毒針の仕掛けをした犯人は暗闇のトリックを使って奥さんを殺害したんです。
ところがその直後に犯人も突然の停電に見舞われましてね。
だから真っ暗闇という状況の中犯人は毒針の仕掛けを取り外すなどの隠蔽工作をしなければならなくなってしまったという事なんです。
だから何…!不思議ですよね。
犯人はどうやって予想もしなかった突然の停電の暗闇の中でスムーズに隠蔽工作が出来たんでしょうか?毒針を外すなんて危ない工作を。
答えは一つです。
犯人は真っ暗闇の中でもそれを問題なくやれたんです。
なぜなら彼は暗闇に慣れているから。
暗闇は犯人にとって30年間住み慣れた日常だからです。
雷で…停電…。
犯人は小田島先生あなたです。
あなた以外にあり得ないんです。
あの夜この部屋は2度暗闇になったというのか。
1度目は私が作った闇。
嫌だ…。
2度目は雷で…。
(雷鳴)悪い事は…出来ないもんだなあ。
見えない事が証拠になったか…。
私はよっぽど暗闇に好かれているらしい。
毒針の仕掛けは庭の花壇に植えた。
シャクヤクの花の根っこだ。
指刺さないようにこれ使いたまえ。
ありがとうございます先生。
浮気ぐらいで30年も尽くしてくれた妻を殺すなんてろくでなしだと君は思うだろうなあ。
妻はねきれいな顔をしていたんだよ。
私に見えるのは私を心から愛し全てを捧げてくれた美しく清らかな顔だ。
(小田島の声)しかしそれが裏切りを知ってからどんどん醜くゆがんでいった。
原形をとどめないほど醜くおぞましい顔に…。
私はその顔を消したかった。
消すために殺した。
でも…。
でも?本当は奥さんも先生を裏切る事に苦しみを抱えていたのかもしれません。
奥さんの顔きれいでした。
黒川さんもきれいな顔をしています。
黒川君?打算なく先生に寄り添おうとしている顔です。
本当にきれいな顔です。
もう女の顔はこりごりだよ。
(小田島)しかしもし奇跡が起きてもし一瞬でも目が見えるなら私にはぜひとも見たいものがある。
ご自分の作品ですか?いや。
君の顔だよ。
花沢君。
どんな男なんだ君は。
ただのデブです。
見せてくれないか?どうぞ。
ちょっと痛いです。
「昨夜盲目の画家として知られる小田島克也が妻の奈津美さんを殺害したとして逮捕されました」「小田島容疑者は既成概念に囚われない独自の作風で心眼の世界を描く画家として多くのファンを持ち画壇の評価も得ていました」
(秋葉康祐)お嬢様その絵はいくらしたんですか?大枚叩いて買ったはいいがその殺人犯の絵はいくらで売れるんだ?結局丸損か?ハッ。
(秋葉美由紀)これ私の通帳なんですけどどうしてこんなに減ってるんですか?この通帳のキャッシュカード返してください。
(秋葉)ほら。
もう役に立たんわそんなもん。
泥棒と一緒ですねあなたは。
お前こそ詐欺師じゃないか。
詐欺師?資産家の娘だっていうからお前みたいな世間知らずの役立たずと結婚してやったっていうのに親父の資産なんかほとんど残ってないじゃないか。
あなたが使ってしまったんじゃないですか。
父が持っていた土地を切り売りして。
俺が売って何が悪い?全てお金のために私と結婚したんですね。
他に何がある?愛されたとでも思ったかお嬢様は。
どこの女に入れあげてらっしゃるの?
(秋葉)はあ?知ってますよ。
宝石買ってあげたりマンションを借りてあげたりしてるの。
お前に言われる筋合いはないんだよ。
私は秋葉家の娘です。
あなたが使っているお金は全て秋葉家の…。
知ってるんだぞ俺は!何をですか?お前こそ男に入れあげてるだろうが!毎日いそいそとどこかへ出かけてるようだがいるんだろ?そこに男が。
お前みたいなつまらん女と付き合ってる男の顔が見てみたいよ。
余程のまぬけ面を晒した男なんだろう。
言っとくが離婚なんかしないからな。
する時は秋葉家の資産を全部食い潰した時だ。
ハッ。
ご苦労さまです。
お疲れさまです。
ご苦労さまです。
ご苦労さまです。
ご苦労さまです。
この包丁…おい。
あっすいません。
この包丁が凶器ですか?いえ。
血痕が付着していないんですよ。
凶器ではないと?ええ。
ここに置いてあったそうです。
置いてあった…?それ君の靴?
(鑑識官)いや違います。
だよねえ。
(鑑識官)はい。
(鬼久保)何をやってる!迅速機敏にやれ!!
(刑事たち)はい。
初動捜査が全てを分けるんだ!捜査一課といえば警察の花形だぞ。
俺にいちいち指示されなくても自分で考えて動け!
(刑事たち)はい。
林!
(林)はい。
奥さんを休ませてあげなさい。
ご主人を失ったばかりでショックを受けてらっしゃるだろう。
はい。
申し訳ありません。
ありがとうございます。
いいえ。
随分張り切ってるねあの人。
珍しいな。
おう特別班来てくれたか。
待ってたぞ。
えっ?う〜ん相変わらず立派だなあ花沢。
ハハハハ…。
「花沢」って…。
名字で呼んだな。
林!木内君と花沢君に確認事項を説明してくれ。
はい。
こちらです。
おい相撲部屋こっちだ。
はい…。
えっ?代わりに言ってやった。
ありがとう木内っちゃん。
落ち着いた。
被害者は秋葉康祐。
この家の主人で秋葉経営コンサルティングの社長です。
凶器はそっちのペーパーナイフです。
えっ?奪われたものは?その鏡台の右の開き戸の中に現金が。
そうですよね?奥さん。
(美由紀)はい。
その奥です。
金額は?300万円です。
それがなくなっているんですね?はい…。
すいません…よいしょっと。
宝石類…宝石類は?それには手をつけられていませんでした。
あの…奥さん。
はい。
お出かけだったんですよね?ええ。
どなたかとお会いになってたんですか?いいえそういうわけではありませんけど…。
いやだってきれいな外出着ですしお顔もキラキラ光ってるじゃないですか。
顔?あっ…これラメ入りのフェースパウダーです。
ラメ?
(美由紀)出かける時はいつもつけています。
どちらにお出かけだったんですか?午後7時頃家を出て一乗寺にライトアップを楽しみに…。
それで午後9時頃帰宅しました。
一乗寺のライトアップをですか。
帰ってきたら家の中が荒らされて主人があんな事になっていました…。
大変お気の毒でした。
あの…奥さん一乗寺のライトアップへはお一人で行かれたんですか?はい。
ライトアップが好きなのでいつも一人で行きます。
いいご趣味をお持ちで。
花沢木内ちょっといいか。
はい。
すいません。
すいません。
気をつけろ…。
この現場を見て何か思い当たる事はないか?思い当たる事?
(鬼久保)ああ。
いや特には…。
そうか。
君たちならいち早く気づいてると思ったんだが…。
と言いますと?あいつの現場に似ている。
あいつ?誰の?秋葉康祐を殺害したのは霜村和幸ではないか?
(一同)えっ?霜村和幸?
(鬼久保)そうだ。
(千夏)窃盗の常習犯です。
2か月前に出所し出所後すぐに新たに起きた強盗事件の被疑者として逮捕されましたが証拠不十分で釈放。
あいつがやったのは間違いなかったんだが送検するに至る証拠がなかった。
あと1日俺に取り調べさせれば必ず自白させてやったんだが…。
鬼久保さん随分気合入ってるね。
ですね。
なんででしょう?被害者の奥さんが美人だからだろう。
(花沢・千夏)えっ?
(玲子)どうして秋葉康祐の殺人は霜村だと断定出来るの?手口が全く同じなんだ!2階の鍵をかけ忘れた窓から侵入し台所から持ってきた包丁をリビングと玄関にそれぞれ1本ずつ置き引き出しを引いて中身を全部床にばらまいてから物色する。
盗むのは現金だけで足がつく宝石類には一切手をつけない。
間違いありません。
それまでの霜村の手口と同じです。
霜村の居場所はわかるの?
(鬼久保)林!はい。
先ほど保護司に連絡してみたんですが出所しても挨拶がなく居場所はわからないそうです。
もう調べさせたの?手際がいいのね。
じゃあまず霜村の居場所を捜しましょう。
わかった!霜村のムショ仲間窃盗仲間を当たって居所を捜せ!
(一同)はい。
権田被害者秋葉康祐の怨恨関係を調べて。
木内花沢は霜村の行方を追って。
わかりました。
おい花沢行くぞ。
あれ?花沢は?行っちゃいましたよ。
あいつ…!おう。
(警察官)お疲れさまです。
花沢!ご苦労さまです。
失礼します。
どうぞ。
あっすいません。
ああ木内っちゃん。
何やってるんだよ?あっこれ?この間逮捕した小田島克也の絵。
奥さんが片づけたいっていうから手伝ってんの。
片づけたい?そこに飾ってあったんですけどあんな事件が起きてしまって主人とケンカに…。
ケンカに?なりそうだったので外したかったんです。
どうしてケンカになりそうだったんですか?私はこの絵気に入っていたんですけど殺人犯の絵になってしまったので縁起が悪いだろうって…。
奥さん。
はい。
ゆうべ一乗寺のライトアップを見に行って帰ってきた時びっくりしたでしょう?そりゃもちろん。
主人が床に倒れていましたから。
いやそうじゃなくて玄関で。
玄関?玄関に包丁置いてありましたよね。
ああ…そうでした。
びっくりして心臓が止まるかと思いましたわ。
ですよね。
でも靴はちゃんと隅のほうにきちんと並べるんですね。
ピンクのハイヒール。
はい。
いつお客様がいらしても失礼がないように脱いだらすぐに片づけるのが習慣になってるものですから。
心臓が止まるほど驚いても…。
靴を並べてしまう…。
習慣ってすごいですね。
ええ…すごいですね。
奥さん。
はい。
ハンドバッグは持っていかなかったんですか?ハンドバッグ?ええ。
ライトアップを見に行った時に。
持っていきましたけど。
あれ?ありませんでしたよハンドバッグ。
随分探したんですけどねこの部屋を。
奥さんは帰宅してすぐにご主人の遺体を発見して警察に通報されたんですよね。
その時にハンドバッグがなかったもんですからもしかしたら持っていかなかったのかなと思いまして。
あ…動転してしまってよく覚えてないんですけどこの部屋になかったという事は片づけたんですねきっと。
ほう片づけた。
目の前にご主人の遺体があっても…?ええ。
それは多分…。
習慣で?ええ習慣で。
習慣…。
習慣です。
花沢お前まさかあの奥さんが犯人だと思ってるのか?秋葉康祐ですが関係者は皆秋葉家の資産目当てで美由紀さんと結婚したと言っています。
資産目当て…。
しかも秋葉康祐には入れあげてるホステスがいていくつも高価なプレゼントをしマンションの家賃も支払っています。
夫婦仲よくないって事ね。
鑑識の結果出てる?はい。
どうぞ。
霜村情報は?まだ居所はつかめないそうです。
身柄を早く拘束しないとまた次の事件を起こさないとも限らない。
一刻も早く見つけ出して。
わかりました。
えっ?なんで?あら…。
あっ来ちゃいました。
犯人捕まったんですか?いや〜それがまだなんですがね…。
そうですか。
奥さん。
はい。
どうしてもわからないんです。
何がでしょうか?犯人はどうして包丁を使わなかったんでしょうか?うちの人が帰ってきたら脅かすために玄関にもリビングのテーブルの上にも包丁を置いてあったのに凶器はペーパーナイフですよね。
それはきっとその包丁を取る前に主人が捕まえようとして争いになり犯人は偶然そこにあったペーパーナイフを手にして殺害したんじゃないでしょうか。
そうかもしれませんね。
いやでもそのペーパーナイフなんですけどね昨日うちの鑑識の報告書を読んだら指紋が付いてないと書いてあったんですよ。
フッ…犯人は手袋をしていたんでしょ?他の場所にも指紋はなかったんですよね。
だったら…。
いえ…。
犯人のではなく奥さんの指紋です。
はい?奥さんのペーパーナイフですよね。
だったらなぜ奥さんの指紋が付いていないのか不思議に思いましてね。
あっ…。
わたくしこう見えても几帳面なんです。
使ったらすぐに布で拭くんですの。
ほう几帳面ですか。
ちょっと失礼。
でも奥さんあんまり掃除好きじゃありませんね?ほら。
そこはたまたま掃除するのを忘れただけです。
たまたまですか。
なんですって!?ですから秋葉康祐を殺害した犯人はあの奥さんなんです。
あんた何言ってんの!?でも確かに夫婦仲は最悪ですし…。
花沢が言うように靴やハンドバッグの事それにペーパーナイフに指紋が付いていなかった事などを考えると花沢の言う事も…。
お黙りなさい!3人とも…こっち来て。
あんたたち自分が何言ってるかわかってんの?ですからあの奥さんが…。
現場どうなってたの?霜村の犯行と同じような現場だったんでしょ?手口が全く一緒だったんでしょ?そうです。
じゃあその…子爵の子孫だとかいうお嬢さん奥さんがよ自分で夫を殺したあと霜村がやったように現場を偽装したっていうの?いやあの奥さんにそれは無理です。
世間知らずのお嬢様って感じでしたし…。
だから誰が偽装したの?いやそれは…。
霜村の手口マスコミに公表した?してません。
じゃあ手口知ってんのは誰?えっ!?あっ…!警察関係者って事です…!?あっイテッ…!
(千夏)キャッ!ぐっ…!おっ…!あんたたちの言うように奥さんが犯人だとしたら現場を偽装したのは霜村の手口を知ってる警察関係者。
そういう事になる!あんたたちそれがわかってて奥さんが犯人だなんて言ってんの!?そういうのね軽々しく言うんじゃないの!大変な事なのよ!わかった?はい…。
いやでもあの人…。
(玲子)やめなさいデブ!あっ…。
もう…。
うう〜うう〜うう〜…。
確かに警察関係者が現場を偽装なんてあってはならないですよね。
うん。
それに奥さんにはアリバイがあるんですもんね。
犯行時刻には一乗寺のライトアップを1人で見に行ってた。
でも権ちゃんさ一乗寺のライトアップ1人で見に行ったりする?1人でなんて行きませんよ。
課長じゃあるまいし。
あっ…。
課長じゃあるまいし?
(3人)ねえパパどっか連れてって。
そうよパパ。
たまには出かけなきゃ。
あっねえ今度の日曜嵯峨野に行かない?行く〜!
(3人)行く〜!嵯峨野か。
ほらトロッコ列車もあるしみんなも喜ぶと思うし。
(4人)喜ぶ〜!うるさいんだよ。
行く!トロッコ列車乗る〜!さちえも行く!花ちゃんも行く!だからなんでお前が行くんだよ!いいじゃない。
みんなと行けば楽しいし。
けんちゃんも行く!けんちゃん?けんちゃんって誰?幼稚園のお友達。
さちえの彼氏。
彼氏?う〜んやっぱりそうだよね…。
何が?いや誰かと行くでしょ普通。
一乗寺のライトアップか。
うん。
だったらどうして1人で行ったなんて言うんだろ。
言えない相手と一緒だったんでしょう。
言えない相手…。
男か?うん。
キラキラしてる。
やっぱり男かな?ラメです。
あっ…。
木内っちゃん尾行気づかれてないよね?気づいててあんな楽しそうに歩くか?だよね。
教会?『第九』
(本田幸樹)大きな口で。
『第九』地域のコーラス部だそうだ。
コーラス部?うん。
『第九』あっ木内っちゃん!『第九』鬼久保警部!『第九』
(鬼久保)いや〜すまんすまん。
鬼久保警部コーラス部だったんですか?そうなんだ。
コーラス部だったんですか。
今そう言ったろ。
おい…。
奥さんもですか?
(美由紀)はい。
という事は…。
お二人は前からお知り合いだったんですか?すまない。
実はそうなんだ。
ね?ええ。
「ね?」って…。
つまり現場検証の時もお知り合いだったわけですか?コーラス部の。
実はそうなんだ。
だがそういう事をいちいちベラベラ喋るのも男としてどうかなと思ってね。
すまん…。
じゃあお二人は…?ああそうなんだ。
私と美由紀さんはコーラス部で運命的な出会いをしたんだ。
それはまさに宿命というのか神がくださった最高のプレゼントというのか…。
ね?美由紀さん。
ええ。
花沢木内ちょっと…。
この事は内密にしてもらえないか?愛というものは時と場所も事情も選ばない。
ふいに突然燃え上がる。
これは仕方のない事だ。
実はご主人が亡くなった事件の夜も私と美由紀さんは一緒だったんだ。
事件の夜も?そうなんだ。
じゃあ奥さんは1人で一乗寺のライトアップを見に行ったというわけでは…。
そうだ。
私が一緒だった。
ね?はい。
つまり鬼久保警部が奥さんのアリバイの証言者になると…。
何か?ラメですね。
あっ…ええ。
(林)えっ…?なんすか?いいから来い。
はあ?
(林)コーラス部?そうだ。
本当に前から通ってたのか?ああ…事件がない時は必ず帰りにちょっと教会で歌ってくるわアハハってなんかご機嫌で。
ご機嫌で?はい。
昼休みも飯抜きでちょっと行ってくるわアハハって教会に走って行ってましたよ。
それは鬼久保さんの事ね?誰かと間違ってないね?いやそうですって。
あの人前は筋肉オンリーだったんですけど今じゃコーラス命なんです。
あの人そんなに歌が好きだったのか。
いやそうじゃなくて。
そうじゃなくて?コーラス部にいい人がいるみたいでなんかいつもコーラス部に行く時はウキウキしてて鼻毛切ったり口臭スプレーシュッてやったりしてるんですよ。
シュッて?マジか?マジですよ。
という事はやっぱり…。
何…?鬼久保が…!?不倫って…その奥さんと鬼久保さんがですか?びっくりだけど本人たちがそう言ってる。
事件の夜も一緒だったそうです。
って事は鬼久保が秋葉美由紀のアリバイを証言するって事になるの?そうです。
(ため息)
(林)あっお疲れさまです。
鬼久保。
ちょっといい?なんだい?あなたが秋葉美由紀のアリバイ証言者だそうね?えっ…?恥ずかしながらそのとおりだ。
秋葉康祐が殺害された夜秋葉美由紀は俺と一緒だった。
そう…。
すまない。
美由紀さん…彼女とそのそういう関係になった事については事件解決後改めて報告する。
それなりの覚悟は出来てる。
そのかわりこの事件は必ず俺が解決する。
一刻も早く霜村を見つけ身柄を拘束し俺が取り調べる!しかし現場が霜村の手口と同じというだけで霜村の指紋が残ってるわけでもなく確たる証拠はない!この間の取り調べであいつのやり口はわかってる。
今度こそ俺が取り調べて必ずあいつを自白させる。
あいつが真犯人に間違いはないんだ!わかるだろ?錦織。
こいつが犯人だとわかっていながら送検出来ない悔しさを。
あの時起訴していれば美由紀さんのご主人が殺されるような事はなかったんだ。
悔しいんだよ!だから必ず霜村を逮捕する!この俺が!じゃともかく…霜村の行方ね。
頼むわ。
わかった。
任してくれ。
(電話)はい錦織。
なんですって…!?もう一度言って!そう…。
わかったわ。
ありがとう。
(パトカーのサイレン)すいません何度も。
(美由紀)なんでしょうか?あの…奥さんと鬼久保警部はそういったご関係という事で間違いはありませんよね?はあ?それ一体どういう意味でしょうか?まだ私の事を疑ってらっしゃるの?あなた方の上司である鬼久保警部さんが私のアリバイを証明してくださったんじゃないんですか?そうですよね。
まあそれはそれとしてあのもう一度現場のほうを調べさせて頂きたいんですがよろしいでしょうか?どうぞ。
ああどうもすいません。
失礼します。
えーっと奥さん!はい。
ちょっといいですか?盗まれたお金はどこにしまってあったんでしたっけ?ここです。
ちょっと失礼。
この化粧セットの奥ですね?
(美由紀)ええ。
うーん…。
ああー!キラキラしてる。
これラメですね?あっええ…。
あっ…どうしよう手に付いちゃった。
ごめんなさい。
すぐにおしぼりを。
奥さん!あっはい。
この手にラメが付いたという事はこの中に入れておいたお札にもラメが付着しているかもしれない。
お札にラメ…?ええ。
(玲子)女の家?ありがとう。
霜村の女の家がわかったわ。
霜村の女…?鬼久保警部家宅捜索令状が出たらすぐに向かって。
家宅捜索…!?何を捜すんだ?あの凶器のペーパーナイフは現場に落ちていたしあとは…。
盗んだ金よ。
盗んだ金!?金なんかどれも一緒だろ。
ナンバーでも控えていたのか?ラメが付いてるはずなの。
ラメ…?あのキラキラしてるやつか?
(林)そうです。
秋葉美由紀が盗まれた金を隠してた場所には化粧道具が一緒に入ってて辺りにラメがこぼれてた。
とすると一緒に入ってた札にもラメが付着してるはず。
なるほど。
じゃあその霜村の女の家にラメの付いた札があれば霜村の逮捕状は取れるそういう事か?そのとおり!ああわかった。
(パトカーのサイレン)
(鬼久保)行くぞ!はい!ラメの付着した札束だ。
捜せ!
(一同)はい!リビングと台所から始めろ!
(一同)はい!まだか?林こっちの部屋調べてみろ。
いちいち細かい事指示させるな。
はい!林手を抜くな。
一つずつくまなく調べるんだ。
例えばそこの鏡台とかその引き出しとか。
よく調べろ!はい!ありました!何!?100万円です!
(鬼久保)その札束にラメは付着してるか?
(林)光ってます!よくやった林。
これで霜村に逮捕状が取れる。
秋葉康祐を殺害したのは霜村だ!
(一同)はい!鬼久保さん。
なんだデブ。
何しに来た?特別班に用はない。
もうラメが付着した札束見つけた。
残念ながら犯人が盗んだ札束にはラメなんか付いてなかったんです。
何を言ってるんだ。
現にここに…。
ラメを引き出しにばらまいたのは僕です。
何…?僕がやりました。
お前が…?つまり犯人が金を盗んだ時ラメはばらまかれていなかったんです。
だから一万円札にラメは付いてないんです。
おうおうおう…。
おうじゃあなんでここにラメの付いた100万円がある?鬼久保さんが入れたからです。
バカな事言うな!デブ!俺がそんな事するはずがないだろ!見苦しいわよ鬼久保!
(鬼久保)錦織…。
この部屋は霜村の女の部屋でもなんでもない。
うちの女性警察官の部屋を借りたのよ。
何…!?しかも隠しカメラをつけてある。
あなたがやった事は全て録画されてるわ。
なんだと…!?あなたが鏡台の引き出しに100万円を隠す姿が隠しカメラに録画されてるわ。
(玲子)証拠がどうこうなんてみっともない事言ってないでさっさと自首しなさい。
(鬼久保)バカを言うな!そういう話は霜村を見つけてからにしろ!あいつを逮捕して取り調べれば必ず犯行を自白する!往生際が悪いわね。
権田言ってやりなさい!はい!昨日鹿ケ谷川で死体が発見され検視したところ2週間前の落雷で亡くなっている事がわかりました。
2週間前…?あの停電の日です。
停電…?
(千夏)川沿いを歩いていた男が雷に打たれ即死。
昨日鹿ケ谷川の下流で発見されました。
それがどうした…?その遺体は霜村和幸でした。
(千夏)ですから霜村は2週間前のあの停電の日落雷で亡くなっていたんです。
つまり秋葉康祐が殺害された時もう霜村は亡くなってた。
霜村に秋葉康祐を殺す事は出来ないんです。
鬼久保さんが秋葉康祐の殺害現場を偽装したんですね?霜村和幸に罪を被せるために…。
ハハ…。
あなた。
ああ?
(刺す音)うっ…!お前…。
秋葉美由紀はご主人を殺害したあと鬼久保さんに助けを求める電話をした。
(美由紀)もうどうしていいかわからないの。
助けてください鬼久保さん。
鬼久保さんは秋葉美由紀の一大事なのですぐに秋葉家に駆けつけた。
(美由紀)本当にごめんなさい。
あなたしか頼れる人がいなくて…。
(鬼久保)わかってますよ美由紀さん。
そして鬼久保さんは現場を偽装するよう指示を出した。
その返り血がついた洋服を外出用に着替えてください。
そして出かける時と同じような化粧をしてください。
それから外出用の靴を玄関に並べておいてください。
どういう事でしょうか?このわたくし鬼久保が美由紀さんあなたをお守り致します。
鬼久保さんがわたくしを…?鬼久保さん…。
霜村和幸の犯行に見せかけるため2階の窓を開け…。
引き出しの中身を床にばらまき…。
台所から包丁を2本取り出し玄関とリビングに置いた。
これでよろしいでしょうか?美由紀さん…。
はい。
きれいです。
あ…。
鬼久保さんったら…。
(鬼久保)美由紀さんのような純粋な人があんな男のために逮捕される事はないからな。
俺が彼女を守ってあげたかった。
心からそう思った。
京都府警のベテラン刑事が色恋に惑わされるなんて…呆れたもんね。
(鬼久保)林!な…なんすか?手錠だ。
お前がかけろ。
林!林…。
おい相撲部屋。
はい。
いつ俺が共犯だと気づいた?たった今です。
たった今…?鬼久保さんが現場を偽装したなんて最後の最後まで間違いならいいと願ってました。
残念です。
そうか…。
だからデブは嫌いだ。
ハハハ…ハハハハ…。
(玲子)バカな事やったわね。
うん…バカな事やった。
(玲子)なんで?俺はよあんたに負けて現場の最高峰である捜査一課長の座をつかめなかった。
だったらこれからどうする?何を目指せばいい?なんも見えなかった。
だったらこれから愛する人とささやかな幸せを育むのもいいかなと思ってさ。
それが秋葉美由紀…。
運命だと思ったんだ。
だから偽装を?残念だ。
これで年末に美由紀さんと一緒に『第九』を歌えなくなった。
夢だったんだが…。
もう一つ残念な知らせがあるの。
残念な知らせ…?あっちは梅雨明けしたみたいよ。
本当に?うん30度ぐらいあるみたい。
うわ暑いね。
(美由紀)水着を選んで。
いろいろ持ってきたから。
秋葉美由紀さん秋葉康祐殺害事件について詳しい話を聞かせて頂きます。
署までご同行願います。
残念でしたね奥さん。
色仕掛けで刑事をだましても駄目なんです。
警察は鬼久保さんだけではありません。
鬼久保のドジが…。
役立たずなんだから。
ドジ…。
(玲子)バカねえ。
フッフッフッフ…。
ハハハハハハ…。
(笑い声)何確認してんだ?さあ…。
課長どこに行ったんだろうな?本部長室です。
なんか大事な決め事があるとか言ってた。
えっ?大事な決め事?なんだろうなぁ?なんか一係の係長の席が空白になったのでその後任を決めてるんじゃないですか。
ああ…あっそうなんだ。
ハハハハ…。
あっ課長!えっ?違った。
あー!うん?よせよ花沢。
あっ帰ってきた本当に。
課長が帰ってくる…。
課長!え〜っと…。
はい。
花沢。
えっ僕ですか!?えぇっ!?いやいやいやいや…。
そりゃ一番年長ですけど。
えっ…?あんたこの間のコンビニ強盗の報告書まだでしょ?さっさと出しなさい。
はい。
以上。
えっ以上!?何?あいえ…。
まあまあ木内っちゃん…。
人生七転び八起き。
僕のようなデブでも立派にちゃんと人生を生き抜いてるんですから。
明日に向かって頑張りましょう。
ねえ木内っちゃん。
木内っちゃん!2014/06/05(木) 19:04〜20:54
ABCテレビ1
[終]刑事110キロ 最終回2時間SP[字]
目の不自由な画家(柄本明)に妻殺しの容疑が!?花沢(石塚英彦)は、暗闇を利用した驚きの殺人トリックを暴いていく!さらに、花沢の仲間が共犯である可能性が浮上し!?
詳細情報
◇番組内容
“心眼”の画家・小田島克也(柄本明)の妻が、アトリエで殺された。第一発見者は、小田島のマネージャーである黒川あゆみ(遠藤久美子)。現場を見た花沢太郎(石塚英彦)は、エアコンの設定温度や生焼けのピザなど、不自然な状況を次々と指摘する。
◇番組内容2
光を失った画家・小田島の、暗闇を利用した驚愕の殺人トリックとは…!
さらには、その小田島の画を購入していた資産家・秋葉家の令嬢、美由紀(川島なお美)が、夫を殺害されたと通報してきた。この殺人の影には、花沢の仲間の誰かが関わっている可能性が浮上し…!?
◇出演者
花沢太郎…石塚英彦
木内光義…中村俊介
権田千夏…星野真里
鬼久保巌…石丸謙二郎
林弘太郎…陳内将
木内菜穂子…井上和香
錦織玲子…高畑淳子
【ゲスト】
小田島克也…柄本明
秋葉美由紀…川島なお美
黒川あゆみ…遠藤久美子
◇脚本
森下直/石原武龍
◇監督
猪原達三
◇音楽
【音楽】
沢田完
【主題歌】
ウルフルズ『ヒーロー』(ワーナーミュージック・ジャパン)
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】井土隆(テレビ朝日)
【プロデューサー】川島誠史(テレビ朝日)、河瀬光(東映)、榎本美華(東映)
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/110kg/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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