上方落語の会「いらちの愛宕詣り」桂紅雀、「ハンカチ」笑福亭瓶太 2014.06.06

ご機嫌いかがですか?落語作家の小佐田定雄です。
今日の「上方落語の会」は笑福亭瓶太さんと桂紅雀さんの2席をお楽しみ頂きます。
そして前回に引き続きましてすばらしいゲストをお招きしてます。
タレントの河島あみるさんです。
よろしくお願い致します。
つかぬ事を伺いますがあんた自分の家で落語会やってんて?そんな大層な事じゃないんですけれどもね実は実家が奈良でカフェーをやってましてうちの母が落語大好きなのでそのカフェーで落語会を開かせてもらったんです。
どんな方出はりました?桂南光さんですとか文枝さんですとか鶴瓶さんも出て下さいました。
ぜいたくですよねそう考えると。
今日はその鶴瓶さんのお弟子さんの瓶太さんと南光師匠の弟弟子の紅雀さんが出はるんですけどもこの2人はそのカフェーには?まだなんです。
是非またお願いしたいです。
じゃあ今日聞いて頂いてOKかどうか。
行けるんやったら私マネージャーします。
よろしくお願いします。
楽しみです。
というところで桂紅雀さんの「いらちの愛宕詣り」からお聞き下さい。
ではどうぞ。

(拍手)え〜人にはそれぞれ性格というものがある訳でございますがこれが直そうと思てもなかなか直らないところがあったりなんかする訳です。
私事で恐縮なんですが私大変細かい事が気になる質でございましてね。
またこの細かい事が気になる私にですねあおるような事を発言する嫁というものが存在しておりましてね。
何やかんやあおってくる訳でございますね。
この間もそうでございます。
大体嫁はんは仕事をしておりますんでね私は大体夜だったり昼からの仕事でございますからうちにおりますわ。
ほな嫁はんが出かける時に私に言うんです。
「今日は何?」って聞かれるんですね。
スケジュール貼ってあるんで見てほしいんですけれどもそれは見ずにそういう事を聞く訳ですね。
で私が「今日は何もないねん」と言うたら嫁はんがこのあとに言うのが「今日も仕事ないのん?」と言うんです。
この「も」という言葉に私イライラっとするんでございますね。
でまあチョイチョイうち帰ってきてまだ嫁はんが起きてる時なんかありますわね。
そんな時にもイライラとさしてくれる訳ですね。
私が気分よく仕事を終えてうちに帰ってまいりまして「今日はええお客さんやったわ」てな事を明るい声で嫁はんに言いますとね嫁はんが言う訳です。
「今日はウケたん?」って言うんです。
そこは「も」やろと。
腹立つんですね。
こういう事がイライラとするんです。
こういう人間はそういう人にイライラさせるような人に出会うようでございましてね。
私この間ある喫茶店に入らせて頂いたんです難波で。
その入らせて頂いた時間がちょうど10時ぐらいだったんです。
入らせて頂きましてメニューを女の子が持ってきてくれたんで見せて頂いたらこれモーニングのメニューだったんですね。
モーニングいわゆる朝の時間にやってるメニューなんですけれどもね。
モーニングしか書いてないんです。
喫茶店へ行った事のない方にモーニングの説明をさせて頂きますとモーニングと申しますのは例えばトーストゆで卵ちょっと気の利いた所ではサラダ。
でコーヒーなんかがついてきてとてもリーズナブルなお値段で提供してるというのがモーニングですわね。
ところが私残念ながらこの喫茶店に入る前に実は地元の喫茶店に1回行っておりましてそこでモーニングを食べてきてたんです。
こういう間の悪い事というのは結構あるもんですからね。
ここにモーニングしか書いてないメニューですから困りましてね。
これ頼めないです。
そらそうです。
私ここの喫茶店でモーニングを頼んでしまいますと私はその日一日モーニングモーニングちゅう事になってしまいますんで。
2回もモーニング迎えてられませんのでねしかたがないんで女の店員さんに「えらいすいません。
私実は地元の喫茶店でモーニング食べてきてるんで普通のメニューを頂けませんか?」と私言うたんですね。
ほんならその若い女の子…二十歳そこそこの子かな?私に言わはったんですね。
「ちょっとお高いけど大丈夫ですか?」。
言わはったんです。
これイライラっとしませんか?私ものすごく腹立ったんです。
「何を!?」と。
彼女は私の財布が危ないだろうと言うてるんです。
「モーニングよりも高いぞ」と。
「普通のメニューで持ってこられたらあなた払えないんじゃないの?」というなめた事を言われた訳です。
私の半分ぐらいしか生きてない女の子にこんななめた口を言われてもうね腹立ちます。
そこで私が引いて「おねえちゃんほなモーニングで」って言えますか?こんなかっこ悪い事言えないですね。
男としてこれはいけません。
私の財布も言うておりました。
「やったろやないか!やったろやないか!」いうて言うとるんでございます。
ビクンビクン動いてるんでございます。
ですから私おねえちゃんにはっきり言うたったんです。
「大丈夫ですよ!大丈夫ですよ!」いうてね3回言うたったんです。
ほんなら女の子は「分かりました」いうてすごすごと下がっていってほんで普通のメニューを持ってきてくれたんですね。
私そのメニューを見てびっくり致しました。
なんと普通のコーヒー1杯がモーニングの倍の値段してたんでございますね。
なんという店だと思いまして。
ふだんそこモーニングは350円なのに普通のコーヒーが600円するんでございます。
なんちゅう値段設定やと。
えらい事になったと私正直思いました。
私の財布も言うてました。
「大丈夫かな?」て言うてるんです。
えらい事になったな思てね。
せやけど引くに引けません。
私も男でございます。
おねえちゃんにはっきり言うてやりました。
「おねえちゃんおねえちゃんほなモーニングで!」。
はっきり言うてしもたんでございますけれども。
悲しい事この上なかったんですがね。
性格ちゅうのは直らんもんでね。
この細かい性格も直らんのですが。
大体そういう性格というのが極端になりますというと話のネタになる訳でございますがね。
「こんちは!こんちは!こんちは!」。
「にぎやかな男が入ってきたな。
ほんまにもう。
こっち入らんかいな」。
「へえ!入れさせてもらいま」。
「『入れさせてもらいま』やないで。
ほんまにもう。
バタバタバタバタと。
相変わらずお前さんいらちやな」。
「そうなん。
私ねいわゆるところのいらちなんで」。
「『いわゆるところのいらち』て…。
正真正銘のいらちやないか。
気が急くねやろ?」。
「急きまんねん。
何でも先先思うんです。
ええ。
朝起きまっしゃろ。
朝起きてね…ねえ!ねえ!分かってますか?朝起きて朝飯食うてるというような事ではわたいとても気がおさまりまへんねや。
ですさかいねわたい朝起きましたらすぐにその日の晩飯を食べまんねん」。
「訳が分からんなお前は。
ほな晩になったらどないすんねん」。
「次の日の朝飯を食べます」。
「ようそんな事言うてるで。
あのな気が先へ先へ走るのは悪いこっちゃないけれどもなそうせかせかイライラしてたんでは自分の気を狭うしてるように思うで」。
「そない思いまんねやけどねこれ直りまへんのや性分ですからな」。
「どやな?神信心でもしたら」。
「へっ?神さんよろしい?」。
「ああ。
神信心をさせてもうたらな自然と心が落ち着くとしたもんや」。
「あさよか。
そんな事知りまへんがな。
ええ事教えてもうた。
さいなら」。
「あこれこれこれこれ!ほんまにいらちやなお前さん。
どこ行くか分かってはんのかい?」。
「それ聞くのコロッと忘れてまんねやがな。
あんたの知ってる所でどっか手ごろな神さんありますか?」。
「『手ごろな神さん』ちゅうのはおかしいがな。
まあ京都に住んでる者の得でなちょっと表へ出て西の方を見てみなはれ。
高いお山があるやろ。
はいはい戻っといなはれ。
あの頂上に愛宕さんという神さんがあるな」。
「愛宕さん。
それは何でっか?いらち専門の神さんで?」。
「そんなもんがどこにあんねんな。
大体は火よけ魔よけに霊験あらたかな神さんとしとる」。
「そんなんでよろしい?」。
「ああ。
何でも構いやせんねや。
ちょっと行きにくいぐらいの方が御利益があるとしたもんや。
そこに通ったらええねや」。
「さよか。
えらいすんまへん。
おおきにありがとう。
さいなら」。
「あこれこれこれこれ!ほんまにいらちやなお前。
言うといたげるけどな愛宕山というお山はかなり高いお山やで。
これから行ったんでは日が暮れてしまうやも分からんさかいに明日の朝早うに起きて一番に行きなはれ。
ええか?それから言うといてあげるで。
神信心というのはな1回行っただけで御利益があるというもんやないで。
何べんも何べんも通わせてもうて自然と心が落ち着くとしたもんやよってにな」。
「分かりましてございます。
おおきにありがとうさいなら。
くう〜!ありがたいやないかいな。
わいのいらちを神さんが直してくれるやなんて。
ええ話聞いたでほんまに。
嬶嬶嬶!」。
「カラスかいなこの人は。
あんたどないしなはった?」。
「いや違うねん。
今甚兵衛はんとこ行ってきたらなわいのいらちを神さんが直してくれるちゅうええ話聞いたがな。
ほんでなどこ行こういう事になったら愛宕山ちゅう所なかなり高いお山やけれどもなあそこに愛宕さんちゅう神さんがあるさかい行ってこいちゅう事になったんよ。
ところが今から行ったんでは日が暮れてしまうやも分からんさかいになとりあえず今日は寝てな明日の朝早うに起きて一番に行けと。
こういう事やったんや。
とりあえず今日はする事ないし寝よか」。
「『寝よか』ってあんた気楽な人やな。
『寝よか』ってまだお昼ちょっと回ったとこだっせ。
寝られますかいな」。
「ああまだちょっと表明るいね。
雨戸を閉めぇ」。
「なんぼ雨戸閉めたかて表明いやないかいな。
ほんまにもう気楽な人やな。
せやけどなあんた神信心するちゅうたらなもう寝んと気のおさまらん質やねんさかいとりあえず今日のところは寝なはれ寝なはれ寝なはれ」とええ奥さんでございました。
ご亭主が神信心するのを喜びまして早速に寝かしにかかった訳でございます。
明くる朝早うにご亭主起こしにかかってなはる。
「ちょっとあんた起きなはれ。
ぼちぼち夜明けだっせ。
あんた起きなはれ」。
「ああ〜。
あっ!嬶えらいこっちゃ!火事か!?」。
「あんた何を言うてなはる。
あんた朝起きたらいつもそれやないか。
『火事か!?』『ケンカか!?』て。
あんた江戸っ子やないねやさかいになほんまに。
神さん詣りさしてもらうのんと違うのんか?」。
「それコロッと忘れてた。
さいなら」。
「あこれこれこれこれ!ふんどし一丁で表へ出てどこ行きなはんねんあんた!不細工な人やな。
着物ぐらい着ていかないかんやないかい。
戻っといなはれ。
ほんでな顔洗ってから行かないかんのやで。
『うがい手水に身を清め』いいますねんさかいにな。
早い事顔を洗いますのあんた。
いやいや顔を洗いますの。
たんすの引き出し開けて何をしてなはんね?えっ何?『顔を洗おうと思て水を探してます』。
それはいらちとは違うんと違うか?あんたそれ。
ちょっと考えたら分かるやろがな。
井戸端へ行きなはれ井戸端へ。
ほんで総楊枝で口もすすぎますの総楊枝で。
総楊枝で!竹ぼうき振り上げて何してなはんねんあんた!そんな大きなもんが口の中入るのんかいな。
戻っといなはれほんまに。
手拭いで顔拭きなはれ。
猫を捕まえて何してなはんね!」。
「はっ!これ猫や。
手拭いやと思た」。
「何を言うてなはる。
あんたほんまにいらちやねんさかいにな。
とりあえずあんたお昼はどないしなはんねん?さよか。
それやったらなここにお弁当をこしらえてあるさかいになこれを風呂敷にくるんで首へくくりつけて早い事行っといなはれ!」。
「行ってきます!ありがたいやないかいな。
何やかんや言いながらわしが神信心するの喜んで朝早うから起こしにかかってくれてるちゅうのがうれしいがな。
あ〜ありがたいこっちゃ」。
(息を吸い込む音)「はあ〜。
えらいもんやな〜!朝の空気てあんねんな。
朝と夜でこない空気が違うとは思わなんだな。
朝の空気ええ香りやな。
おなかいっぱいに吸い込んどかないかんで。
あお日さん今起きはったとこやな。
お日さんおはようございます!今日からね神信心さしてもらいまんのんで今日も一日よろしゅうお頼申しま。
あっあんたの分もお詣りしときますさかいになひとつ今日も一日よろしゅうお頼申しま。
ありがたいこっちゃでほんまにな。
こうやってどんどんと歩いてるというと愛宕さんが近づいてくると思うで。
わあわあわあ!ぎょうさん人が増えてきたがな!これ愛宕さんが近づいてきたんと違うか?ちょっと聞いてみたろ。
あのえらいすんまへん。
ちょっとお尋ねしま」。
「はいはい」。
「ここ愛宕さんですか?」。
「いえいえ天神さんです」。
「いや…ここ愛宕さんですか?」。
「いやいや天神さんです」。
「はあ…。
あの〜天神さんという愛宕さん?」。
「そんなもんがどこにありまんねん。
ええ?何でんのんあんた。
愛宕さん行こうと思て向こうから歩いてきて…。
不細工な人やなあんたは。
あのねあんた西行かんならんの東に来てまんねやで。
えらい間違いしてまんがな。
戻っていきなはれ」。
「えっ!何でっか!?西行かんならんの東へ来てましたん?あんた慌て者やな」。
「いやあんたが慌て者やがな。
早い事戻っていきなはれ」。
「ええ行ってきます。
どんならんでほんまに。
わし西行かんならんのに東へ行ってどないすんねんな。
きょとの慌て者ちゅうのはこのこっちゃでほんまにな。
今来た道どんどん戻っていけちゅうてなはったな。
どんどん戻っていったらええねんけどな。
わあわあわあ〜!わあ〜!うちの長屋によう似た長屋に出てきたな。
まあ大抵長屋の造りってのは似たようなもんやけれどもな。
それにしたかてよう似たぁるでほんまに。
うわっ!前で立ち話してる女うちの嫁はんによう似たぁるな。
人間な世間には3人似てる人があるちゅうさかいにな。
それにしたかてよう似たぁる。
前で一緒にしゃべってる女よっさんの嫁はんにそっくりや。
こない似てはったら一遍連れてきて会わしたらないかんな」。
「あの…ちょっとちょっと」。
「は?」。
「『は?』やないの。
向こうからブツブツブツブツ言うて歩いてくる人あんたのとこの人と違うか?」。
「うちのな朝早うから愛宕さんへお詣りするちゅうて出ていったきりなん…。
うちのやないかいなほんまに!あんたもう行ってきたんか?」。
「おお嬶か」。
「何を言うてなはんねん。
早い事行きなはれ!」。
「行ってきます。
どんならんでほんまに。
似たぁる似たぁる思たらほんまもんやないかいな。
なんぼ似たぁってもほんまもんには会わされへんで。
まあしかしこうやってどんどんと歩いてるというと近づいてくるはずや。
どんどんと行けちゅうてなはったな。
どんどんと行ったら…。
あれ?えらい事したぞ。
えらい事したぞ。
どこへ行くねや?どこへ行くか忘れてしもたるがな。
ほんまにどんならんで。
どんどんと行ったら…天神さんは今間違うたとこなんや。
あれ?どこ行こうと思てたんやろな?困ったな。
わしゃいらちのほかに忘れも持ってんのかいな。
これどんならんで。
ちょっと聞いてみたろ。
あのえらいすんまへん。
ちょっとお尋ねします」。
「はいはい」。
「私はどこへ行くんでしょう?」。
「へ?」。
「私はどこ行くんでしょう?」。
「あんたにこやかな顔でけったいな事聞きまんな。
そんな事分かりまへん」。
「いや〜『分からん』て…。
察しつきまへんか?」。
「つきまっかいなそんなもんが。
どういうこった?」。
「違うんです。
どっから説明したらええかな?わたいいらちでんねん」。
「はあ…あんたいらち」。
「いらちなんです。
先先思うんです。
朝起きまっしゃろ。
朝飯食うてるというような事ではとても気がおさまりまへんさかいにわたい朝起きたらすぐにその日の晩飯を食べるという人間です」。
「知りまへんがなそんな事。
どういうこった?」。
「ほんでねこのままでいかんでちゅうて自分の気を狭うしてるいうてね神さん詣りさせてもうたら心落ち着くちゅう事になってねとりあえず愛宕さんちゅうええとこがあるさかい愛宕さん行ってこいとこういう話になりましたんや」。
「はあ〜さよか。
ほなあんた愛宕さんへ行こうと思てなはる」。
「フフフフフ…。
知ってんねや」。
「あんたが今言いなはったんやろ。
気楽な人やなほんまに。
愛宕さんやったらよろし。
これずっとまっすぐ行きなはれ。
大きな鳥居が見えてきますわ。
それくぐったら山の中の一本道。
登り急ですけれどもな一生懸命登んなはれ」。
「さよか。
すんまへんでした。
おおきにどうも。
親切な人と巡り合えたもんやで。
おっほんに大きな鳥居やな。
これをくぐったら山の中の…。
うわ〜高い山やな。
これ一生懸命登らないかんで。
よっとさのこらさのどっこいさのこらさ。
よっとさのこらさのどっこいさのこらさ。
よっとさのこらさのどっこいさのこらさ。
よっとさのこらさのどっこいさのこらさ。
よっとさのこらさのどっこいさのこらさ。
よっとさのこらさのどっこいさのこらさ。
よっとさのこらさのどっこいさのこらさ。
よっとさの…こらさの…どっこいさの…こらさ…。
はあはあはあはあ…。
よっとさのこらさのどっこいさの…。
はあ〜!」。
「へたばってしもてはるがな。
これ!しっかりしなはれ!」。
「あ〜びっくりした!おおきにありがとう。
ちょっとへばってしまいました。
ここどこですか?」。
「『ここどこですか』てここ愛宕さんでっせ」。
「えっ愛宕さん!うわっ!あんた愛宕さん?」。
「アホな事言いはんな。
こんな愛宕さんどこにいてまんねん。
正面のお社です」。
「あさよか。
えらいすいまへんでした。
うわ〜親切な人が多いなほんまにな。
あら〜上へ上がってくるとぎょうさんの人やな。
今日はいらちが多いと見えるな。
ほんまにな。
あこれか正面の社。
愛宕さん来てまっせ!愛宕さん!来てるよ!誰も出てけえへんのかいな?あなるほど。
これ鳴らさなあかんねや。
ゴンガラゴンゴンガラゴンと。
愛宕さん来てまっせ!愛宕さん!出てけえへんの?何や出てけえへんかった。
気ぃ利かんな。
…。
やらしいなあんた!分かった!分かった!出すもん出さんもんやさかい出てきまへんねやろ。
やらしい人やな。
分かってまんがな。
うちの嬶ええ嬶でっせ。
このお財布の中にあんたのおさい銭とおろうそく代とわたいの小遣いも入れてくれてまんねやがな。
ええ嬶でっしゃろ。
よう気ぃ付きまんねやがな。
これから入れさせてもらいま。
よっとせっと」。
(かしわ手)「あっ!今聞いてました?愛宕さん。
あのねあんたのおさい銭とおろうそく代よろしいねんけどわたいの小遣いは返しとくんなはれ。
いやそれ一緒に入ってまんねんけど。
見えとんのにな。
取られへん。
ちょっと愛宕さん!取ったら取った者のもんってあかんでそれあんた。
こら!愛宕!泥棒〜!」。
「あんた何を言うてなはるさっきから。
大きな声で」。
「いや『大きな声で』てね…愛宕に小遣い取られましたんや」。
「あんたが勝手に放り込みましたんやろがな。
よろし。
あげときなはれ」。
「『あげときなはれ』てあんた愛宕とグルか?」。
「何を言うてる。
愛宕さんとグルになったりしますかいな。
あげときなはれ。
神さんにおさい銭あげといたらまた敷居の下から返ってくるちいいまんねん。
ええ話がおまっしゃろがな。
あげときなはれ」。
「分かりました。
あげときますわ。
愛宕さん聞いてまっか?今のおさい銭あげときます。
あげときますけどねちょっと多めに入ってまんねや。
分かってまっか?恐らく10回分は入ってると思いますけどね先払いしてまんねやさかい11回は通わせてもらいまっせ。
分かってまっか?それから言うとかなあかんわ。
私いらちを直してもらわんがために来てまんねん。
そやのにあんた何べんも何べんも何べんも何べんも何べんも通うたあげくに『おまえのいらちは直らん』てそんな事言われたら困りまっせ。
分かってまっか?聞いてんの?出てけえへんかった。
気ぃ利かんな。
ラッパ吹きぃ!ほんまにもう。
こんなん食ろとけ!プゥ!ハハハ…さいなら」。
「なんちゅう人やあの人。
最後屁かましていかはったで」。
「ハッハッ!いや〜神信心って気持ちのええもんやな。
心洗われるようやな。
たまらんなほんまに。
うわっ行きは登りやと思たけど帰りは下りや。
これはきっと早いと思うで。
よっとせ!あっもう着いてもうた。
ありがたいな〜。
あっお日さんあんな上へ上がってはるがな。
お日さんこんちは!あんたの分お詣りすんの忘れてました。
えらいすんまへんでした。
明日またお詣りさせてもらいま。
お日さんがあんな上に上がってんねやがな。
そら腹も減るわいな。
どこぞで…。
うちの嬶やっぱりええ嬶やな。
なんちゅうたかて『あんたおなか減ったらいかんさかいにお弁当こしらえてあるさかいに風呂敷にくるんで持っていきなはれ』ちゅうて。
ええ嬶やで。
ここに持たしてくれてんねやがな。
どっか…。
ここの床几借りたろ。
えらいすんまへん!」。
「はあはあ何でっか?」。
「ここの床几借りれまっか?」。
「どうぞゆっくり腰掛けておくんなされ。
お茶どうですか?」。
「いえいえお茶結構です。
わたい弁当食べる時は茶飲まん性分だんね。
このとおりちゃんと風呂敷に弁当包んでね…」。
「なるほどね。
あんたの風呂敷はそれちょっと変わってますな」。
「そうなんです。
うちの風呂敷ちょっと変わってまんねんで。
ひもが2本ついてね真っ赤いけでね…。
ひもが2本ついて…。
これはうちの嬶の腰巻きですね」。
「はあお宅んとこは何ですか?腰巻きで弁当をくるむというような家系ですか?」。
「アホな事言いなはんな。
これは単純なる間違いです。
せやけどわたいこんな事気にしまへんねん。
このとおりちゃんと弁当がね…」。
「はあなるほどね。
あんたの弁当はそれ枕によう似てますな」。
「何を言うてんねん。
なんぼうちの弁当が大きいいうたかて。
枕ですねこれは。
あ〜これは枕です」。
「どうぞおあがり」。
「食べられますかいな!嫌になってきたで。
おおきにありがとう!さいなら!ちょっと待ちや。
おい何か?わしは箱枕を嬶の腰巻きでくるんで首へくくりつけて京都の町なかあっち行ったりこっち行ったり…。
恥ずかしい目に遭わしやがってほんまにもう!前々からあの嫁はんはろくなもんやないと思てたけれどもな今日という今日は堪忍袋の緒が切れたぞ。
亭主にこのような恥辱を与えて平気でいてるとはほんまに!帰ったらえらい目に遭わしたる!あの女だけはほんまにもう!おい嬶!今戻った!」。
「お帰りやす」。
「お帰りやすもクソもあるか!」。
「痛い痛い!ちょっと待ちな…」。
「待ちなもクソもあるか!」。
「痛い!ちょっと待ちなはれ。
そういう声は隣の竹さんと違いますか?」。
「竹さんもクソも…」。
「あんた隣のおよしさん!?」。
ダ〜ッ!自分のうちへ飛んで帰りよって自分の嫁はんの前へビタ〜ッと手をつかえよって…。
「ただいまはえらい失礼を致しました」。
(拍手)桂紅雀さんの「いらちの愛宕詣り」でございました。
どないでした?ぴったりでしたね。
あんな旦那は嫌だと思いながら見入ってたんですけれども。
弁護のために言いますけどもあいつはああいう男です。
そのままでしたか。
あのとおりです。
でも最後にはお嫁さんのおちゃめな部分が出ててねそこがよかったです。
結構でございました。
というところでさて続きましては笑福亭瓶太さんの登場です。
出し物は「ハンカチ」です。

(拍手)ありがとうございます。
たくさんご来場頂きまして誠にありがとうございます。
私の方もおつきあい下さい。
まあ私の事どう見えてるか分かりませんけどなかなかいいでしょう?
(拍手)ハハハハハハ!すいません。
出てくるなりこんな話。
何が言いたいってちょっと日に焼けたりしましてね。
笑う事はものすごく体にいいという。
これもうお医者さんがよう言うてはるんですけど今日の皆様方はですよこれものすごくお得なんですよ。
笑いはりますから「ハハハハハ!」いうてね。
必ず笑う時は息を吐いて笑うんで「ハハハハハハ!」。
ほんで…。
「ハハハハハハ!」。
あんまり吸うて笑う人ないねん。
「へえ〜っ!」…ってね。
必ず吐いて笑いはります。
すると血行がよくなる。
酸素が行き渡って。
だから笑う事にはマイナス効果がないという事なんで女性なんかシワが増えるから嫌や言うけどあんなん真っ赤なうそです。
シワは笑う前と笑った後数は同じです。
ええええ。
でもやっぱり本当に笑う事がいいそうです。
適度な運動とおいしい食事。
腹八分目なんていいましてね。
これがいいそうでございます。
私ももう結婚しまして20年ちょっとになるんですけどもね今日現在今朝家出てくるまでは嫁はんがいてくれてます。
今晩辺りどうか分からないというね。
そういう緊張感がいいですね。
ハハハハハハ!ねえ。
悲しい時ありますよ。
向こうもそんなつもりやないのに夜中帰ってきたらねドアのチェーン掛かってんねん。
あれ近所に恥ずかしいで。
ガチャンガチャンガチャン。
「開けてぇ〜。
開けてぇ〜」いうてね。
そんな時こそ嫁はんが「かぁ〜!」。
あれね皆さんこれから考えて下さい。
いびきガ〜っと聞こえてる時は言うても効果ないで。
「開けて」言うて「かぁ〜!」と重なったらあかんねん。
「かぁ〜!」と吸う時に「開けてぇ」。
悲しい経験ですな。
まあ新婚時代やったらねうちはそうでもなかったんですけども新婚っていうのはやっぱり甘いですね。
ご主人帰るまでなんぼ遅くても奥さんが三つ指突いて「お帰り」…。
「ただいま。
今日も無事に帰れたよ」。
「ありがとう」。
チュッ!ねえ。
恥ずかしなってきましたな。
「行ってらっしゃい」も朝でも奥さんご主人が軽く「行ってくるで」って言うただけで奥から台所を新婚の時はね泳ぐように出てきて「行ってらっしゃい。
忘れてるぅ」。
チュッ!10年もたったら「行ってくるで!」て叫んでんのに3回ぐらい言うたあとに「まだおったんか」。
今日はちょっとそういう20年ほどたったご夫婦のお話を聞いて頂きます。
寝てるご主人を起こすとこから始まるんですけども…。
「ちょっともういつまで寝てんのほんまにもう。
ええ?息子たちがそれぞれ独立してくれて大学行ってやっと2人の時間が出来たかと思たのに!ほんまに。
休みの日いうたら寝てるかゴルフ行ってるかばっかりやないの。
アホみたいな顔して…。
起きい!ちょっと起きい!起きい!」。
「痛い痛い痛い!蹴るな!ほんまにお前。
今お前それ足で…。
それ腕か!何やねん!」。
「『何やねん』やないわよ。
今日は何の日や思てんの」。
「ゴミの日か?」。
「何を言うてんのよ。
今日は11月22日」。
「はあ!勤労感謝の日の前夜祭」。
「そんなもんあるかいな!ほんまにもう!違うわよ。
今日は私の誕生日」。
「まだあったん?」。
「ひどい事を言うわ!ほんまにな!新婚の時はちゃんと誕生日プレゼントくれてたのに」。
「そらお前がいかんねやないか」。
「何でよ!?」。
「『何で』てお前が給料日の直前に生まれてくるさかいにいかんねやないかい」。
「アホな事言わんといてよ!もう!なにも私は高価なもんが欲しい言うてんのやないの。
気持ちやの。
気持ち!」。
「その気持ちがカバンの中もつくえの中も探したけれど見つからないのよ」。
「何か聴いた事ある歌みたいに!あなた初めて私に誕生日プレゼントくれたん覚えてる?高校3年の時やったわ。
うれしかった。
『俺お金ないからこんなもんしかあげられへんねん』言うてかわいらしいネズミちゃんのハンカチくれたやないの。
私今でもあれ大事に使てんのよ」。
「いつまで使てんねんな。
ええ加減に捨てえよ。
この間見たらネズミが色あせてドブネズミみたいになってたがな」。
「それぐらいうれしかった言うてんのよ!あ〜あいつからかなこんな男になってしもたんは」。
「あ〜あいつからかなこんな女になってしもたんは」。
「どういう意味よ!」。
「そういう意味やないかいな。
お前高校の時きゃしゃでかわいらしい女の子やったのにどんどんどんどんバージョンアップしてからに。
この間風呂から出てきたらトドみたいな体になってたやないかい」。
「そんなんお互いやないの!あんたかて何やの!高校の時はサッカー部のキャプテンで髪の毛が風にフワ〜ッとなびいてかっこよかったのに…どんどんどんどんはげ上がってからに!このコンドルの墓参り!」。
「コンドル…!お前コンドルの墓参り見たんか!これはなヘディングやり過ぎた後遺症や!」。
「そんなしょうもない言い訳聞きたないねや。
今日という今日は言わしてもらうわ。
もうだいぶ前の話やけどなあんたの上着のポケットクリーニング出そう思て何か入ってたらあかん思て手ぇ入れたらバーのレシートが出てきたんやわほんまにな。
バーのレシート細こう書いてあるわ。
行った人数やら時間やら。
2人夜中の2時。
『これ誰と行ったん!?』て聞いたら『京やんと2人で行った』。
京やんいうたらあんたの同級生やろがな。
50にもなるおっさんがカシスオレンジ何杯も飲むんか!?カルーアミルクお代わりすんのんか!?」。
「京やんはあんなんが好きやさかいな」。
「あんた今顎触ったな。
あんたうそつく時必ず顎触んねや。
あの時かてそうやがな。
『誰と行ったんや』言うたら『京やんと2人で行った』いうて顎触りながら言うてたんや。
もっと前の事やわ。
つきおうてた時にあんたの部屋の掃除しに行って布団も干しといてあげよ思て枕上げたらピアスが出てきたん。
『このピアス誰のん!?』言うたら『京やんのピアスや』。
訳の分からん事ばっかり言うてるがな!」。
「どないしたらええねや!?」。
「やめて。
その『どないしたらええねん』言うて。
ほんまにな。
あんた言い訳もできてへんねん。
そやから言うてるやないの。
長い間私ほったらかしにしといて誕生日の日にハンカチ一枚プレゼントしてくれても罰が当たれへんのと違うの!?」。
「そない四十いくつになってハンカチが欲しいんかいな」。
「私はハンカチが欲しいの。
ハンカチが欲しいの!」。
「うるさいなほんまにもう!ちょっと散歩に行ってくるわ」。
「逃げる気ぃか〜!」。
「やかましいわほんまにな!何やねん!四十いくつになってそないハンカチが欲しいんかいな。
女っちゅうのは訳分からんわほんまに!」。
「おい辰ちゃん!」。
「何や!京やん!」。
「えらい怒ってんなお前。
どないしたんや?」。
「すまんすまん。
今家で嫁はんとケンカしてきたんや」。
「正子ちゃんかいな。
ええ?かわいらしい子やがな。
高校時代は俺らのアイドルやったんやで。
誰と結婚すんねやろ思てたら辰ちゃんお前やがな。
料理もうまいし気ぃもよう付くし羨ましいわ」。
「ほなお前にやるわ。
持って帰ってくれほんまにな。
のしつけてやるいうねん」。
「そんな事言いないな。
お前みたいなわがままな男にずっとついてきてくれてんねやで。
心の底で感謝したり尊敬してんのと違うんか?」。
「あの女に感謝!?尊敬!?する訳ないわ!」。
「何やしてるように見えんねんけどな。
そんなんはええわ。
ちょっとなこのチラシ見てくれ」。
「何やねんこれ。
うん?『妻に愛を叫ぶコンテスト』?何やねんこれ?」。
「このごろ商店街が不景気でな何かして盛り上がろういう事で今日は11月22日。
いい夫婦の日やろ?そやから商店街の真ん中の広場に特設ステージ作ってやなその上から日頃嫁はんに言われへん事を旦那に言うてもらうという事をしたんやけどな1人ドタキャンが出てしもうたんや。
悪いけどな辰ちゃんちょっと代わりに出てくれへんか?」。
「お前アホとちゃうか?俺今嫁はんと大ゲンカしてきてんぞ。
嫁はんのええ事言えるか!ほんまに!悪口やったら2日でも3日でも言うたるわ。
ほんまに」。
「頼むわ」。
「あかんいうねん」。
「おい辰ちゃん。
俺今までお前の頼み皆聞いてきたで。
飲んだ事ないカシスオレンジ正子ちゃんの前で『おいしい』言うたで。
『カルーアミルク大好きや』言うたがな。
お前忘れたんか!お前のために俺ピアス穴開けたがな!」。
(笑い)「それとこれとは話が別やがな」。
「頼むわ!なあ出てえな。
出てくれたらなタダとは言えへんで。
優勝したら豪華な着物セットがもらえんねや。
ビリでもハンカチセットや」。
「えっ!?ハンカチセットか!出る出る!」。
「出てくれるか!よかったわ。
もう始まってんねや。
こっち来てこっち!このテントが控え室でなその向こうがステージになってんねや。
えっと辰ちゃんのエントリーナンバーがこれ10番やろ。
今7番の人がやってる。
次の次の次や」。
「ほなもうすぐやないかい」。
「ほなしっかり頼むで!」。
「言うだけ言うて行きやがんのや。
ほんまにな。
えらいコンテスト出るはめになってしもた。
ここステージか。
一体どんな事…。
司会の人が何か言うてるわ」。
「それでは続きましてエントリーナンバー7番の方にご登場頂きます。
どうぞ!」。
「こんにちは」。
「奥さんは今日どちらにいらっしゃいますか?」。
「その前におります」。
「ではあの奥さんに向かって大きな声で愛を叫んで下さい。
どうぞ!」。
「愛!」。
(笑い)「ハハハハハハ…。
趣旨のお分かりでない方が出てこられたようでございます。
続きましてエントリーナンバー8番の方でございます。
新婚さんでございますか。
どうぞ」。
「こんにちは」。
「奥様は今日はどちらにいらっしゃいますか?」。
「前におります」。
「かわいらしい奥さんですね。
ではあの奥さんに向かって愛を叫んで下さい。
どうぞ」。
「ごはんがおいしいのは君のおかげ。
シーツが白いのも君のおかげ。
お空が青いのも君のおかげ。
愛してるよ〜!」。
「寒〜っ!うわ〜新婚やからあんな事言えんねやがな。
今だけやでほんまに」。
「続きましてエントリーナンバー9番の方です。
こちらはもう結婚40年というベテランの方でございます。
こんにちは」。
「ハッハッハッハ。
こんにちは」。
「奥様は今日はどちらにいらっしゃいますか?」。
「目の前にいております」。
「ではあの奥さんに向かって大きな声で愛を叫んで下さい。
どうぞ!」。
「サチ子どうして君はそんなに僕の好みに生まれてきたんだい?」。
「何言うてんねやこの人」。
「お巡りさん。
サチ子を逮捕して下さい。
なぜなら私のハートを盗んだんです!」。
「大丈夫か?」。
「そうだ。
明日は目医者さんに行こう。
なぜならサチ子しか見えない!」。
「違う病院行った方がええで」。
「サチ子サチ子サチ子〜!」。
「下手くそやな〜!もうあかんあかん!あかんわ!京やんに頼まれたけどこんなん出んの嫌嫌。
やめやめやめ!」。
「続きましてエントリーナンバー10番の方でございます。
地元よりご参加頂きました山本辰夫さんでございます。
急きょ参加して下さいました。
山本さんどうぞ!」。
「山本さん出番です。
順番です。
どうぞ!」。
「皆様山本さんがお出になるのを嫌がっておられます。
ご協力下さい。
私がせ〜のと申しましたら大きな手拍子で山本コールをお願い致します。
それではまいります。
せ〜の!山本!ほら山本!」。
(手拍子)「奥の方!山本!ほら山本」。
(手拍子)「山本さんがお出になられました。
大きな拍手〜!」。
(拍手)本当にご協力ありがとうございます。
「山本さんどうぞ!」。
「それではうちの妻のええところを言います。
カモシカのようなすらっとした脚。
白魚のような細い指先。
ハーフのような彫りの深い顔だち。
しおらしいところといいどこをとっても大好きだよ〜!こんな事ばっかり言うてたらしまいには顎の皮むけてしまうわ。
今のはうそでした。
ほんまの事を言います!カモシカのような脚やないです。
ナウマンゾウです。
白魚のような指やない。
雷魚みたいです。
ハーフのような顔だちやない。
場末のニューハーフです。
しおらしいところもないしこっちがひと言文句言うたらボロカス言い返してきよる〜!」。
「けどな俺お前がおらな寂しい。
そらケンカもようする。
そやけど夫婦漫才みたいや思て楽しんでんねん。
俺このごろよう思う。
お前より先死にたいて。
俺だけ長生きしてもなお前がおらなおもろない。
そやからお前も長生きせえよ。
以上!」。
(拍手)「ただいま」。
「どこ行ってたんよ!」。
「散歩やがな」。
「散歩?散歩?何歩歩いてんねや!あんた昼から出ていってもう日が暮れてるやないの!そないにこのうちが嫌いなんか!私とおるのが嫌なんか!」。
「そんな怒りないな。
ええ?」。
「そらな私の脚はナウマンゾウです!雷魚みたいな指してます!場末のニューハーフで悪かったわね!」。
「ええ?お…お前あの会場に来てたんか?」。
「何の会場よ?」。
「妻に愛を叫ぶコンテストや」。
「そんなしょうもないとこ行くかいな。
けんどあんたが出ていってからなケーブルテレビつけたら商店街からの中継が流れてたんやわ!」。
「ほんまか…。
流れんねやったら流れる言うといてくれ。
ほなお前あれ最後まで見たんか?」。
「そんなもん恥ずかしいて見れるかいな」。
「見てへんの?」。
「私もあんたと同じ事思てたわよ。
いてくれな困る。
夫婦ゲンカも夫婦漫才みたいに楽しんでたんよ」。
「見てへんのか。
ちょっと待ってよ。
お前に渡したいもんがあんねや。
これこれこれ!おい着物セットや。
まさか優勝するとは思わなんだ。
誕生日プレゼントや。
取っとけ」。
(すすり泣き)
(泣き声)「おっ泣いてる泣いてる!おい!うれしいんか?」。
「うれしい。
うれしい!うれしいけど…」。
「うれしいけど?うれしいけどってまだお前ほかに何か文句あるんか?」。
「うれしいけどな今はこんな着物セットより涙拭くハンカチが欲しい」。
(拍手)笑福亭瓶太さんの「ハンカチ」でございました。
あの「ハンカチ」という作品なんですけれども落語の台本の公募で選ばれたものなんですか。
そうなんですよ。
上方落語協会が2008年から上方落語台本大賞いうのを始めまして2009年2年目に入選した作品なんです。
へえ〜。
作者が小堀裕之さんっていう方。
どっかで聞いた事ない?これね2丁拳銃て漫才さんがいてますな。
はい。
あのボケの方です。
あの方が書かれた作品なんですよ。
意外ですね〜。
いいでしょう?でもものすごく新鮮な感じがして面白かったです。
書きません?今募集中やで。
今もまた…。
第7回の台本を募集してますんで是非とも。
でも自分が作った作品を実際プロの落語家さんたちが演じて下さるっていうのはたまらなくうれしいでしょうね。
私もたまらないです。
プロですから…。
言うたら永遠に残る訳やからね。
そうか。
私もこの大賞に書きたいぐらい。
プロでもいいんですか?賞金欲しいから。
そっちでしたか。
どうですか?今日聞いて頂きまして何か全体の落語に対するご感想というのがありましたら。
もともと大好きだったんですけれどもやっぱり生の落語っていいですよね。
人情ばなしも滑稽ばなしもそうなんですけど出てくる人たちの距離感がものすごく近いじゃないですか。
今ではなかなか感じられない温かみみたいなものがあってものすご〜く温かい気持ちになりますね。
そうですね。
便利な世の中になったけどその分また失ったものもあるという。
むちゃむちゃええ事言うてるな。
ほんまですか?結構な事でございます。
ありがとうございます。
今日は本当におつきあいありがとうございました。
楽しかったです。
それでは皆さんまた「上方落語の会」お目にかかります。
ではさよなら。
2014/06/06(金) 15:15〜16:00
NHK総合1・神戸
上方落語の会「いらちの愛宕詣り」桂紅雀、「ハンカチ」笑福亭瓶太[字]

▽「いらちの愛宕詣り」桂紅雀、「ハンカチ」笑福亭瓶太▽NHK上方落語の会(26年5月8日)から▽ゲスト:河島あみる(タレント)、ご案内:小佐田定雄(落語作家)

詳細情報
番組内容
NHK上方落語の会から桂紅雀の「いらちの愛宕詣り」と笑福亭瓶太の「ハンカチ」をゲストの河島あみるをまじえてお送りする。▽いらちの愛宕詣り:愛宕山に登るとご利益があると聞いたせっかちで慌て者の男。翌朝早くに愛宕山へ出発するが…▽ハンカチ:結婚して20年の男が夫婦喧嘩の末、表へ飛び出し親友に出会う。商店街のイベント『妻に愛を叫ぶコンテスト』に出てほしいと頼まれるが…▽ご案内:小佐田定雄(落語作家)
出演者
【出演】桂紅雀、笑福亭瓶太【ゲスト】河島あみる【案内】小佐田定雄
キーワード1
落語

ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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