(テーマ音楽)
(掛け声)
茨城県美浦村。
サラブレッドのトレーニング・センターです
広大な敷地で2,000頭が調教を重ねています
皐月賞天皇賞日本ダービー。
大きなレースが続く春は最も活気づく季節です
出走間近の訓練追い切り。
本番に近い速さで仕上げにかかっていました
春霞の向こうは筑波山。
手前は霞ヶ浦です
湖の南に広がる美浦村阿見町稲敷市の一帯は昭和の初めから干拓されてきた水田と牧場が点在しています
ここ美浦村の田んぼには馬が休む敷きわらを堆肥にしてすき込んでいます
敷きわらの堆肥は根を強くしうまみのある米が出来ると言います
首都圏からおよそ70km。
トレーニング・センターの周りにはさまざまな役割を担う牧場が40余りあります
その一つ地元では珍しい生産育成牧場
栗山英樹さんです。
競走馬の9割以上が北海道で産まれる中ふるさとから名馬をと祖父の代からサラブレッドを育てています
去年の春産まれた1歳馬です。
体が小さいため人を乗せる事はできません
今は放牧場を自由に走り回り筋肉を強くしていきます
こちらは2歳馬。
体格もがっしりしてきました
栗山さんが将来を期待する美しい葦毛の馬。
既にデビューしている兄弟馬は地方競馬で6勝しています
ちょっと大丈夫かな?大丈夫ですよ慣れてますから。
いや〜そうかそうか。
やっぱり馬の目ってすごいですね。
かわいい。
そうですね。
きれいな目してますよね。
競走馬としてよく走るかどうかっていうのはこう見て分かるもんですか?やっぱり…産まれた瞬間ですかね一番ピンとくるのはね。
どういうところが良さそうだなと?
(栗山)まず筋肉…姿ですよね産まれた時の。
形が?
(栗山)はいそれが一番。
これは産まれた時骨格もあるし期待はしてますね。
2歳のこの春から栗山さん自らが乗って基礎体力を養っています
栗山さんには忘れられない瞬間があります
ここで産まれた馬が「第56回日本ダービー」を制しました
育てた祖父と父の誇らしい姿
心が震えたあの時の思いが3代目としての原動力です
調教のあとには刈り取ったばかりの新鮮な牧草を与えます
(草刈り機の音)
栗山さんはビタミンが豊富で消化の良い牧草イタリアンライグラスの種をまきました
(草刈り機の音)
食欲が落ちた時も新鮮な牧草は香りが良く好んで口にします
まず元気である事が。
明日も調教ができるかなとね。
無事に一日が終わってくれればそれでいいのかなっていう感じですね。
毎日毎日の積み重ねっていうか。
大切に育ててきたサラブレッド。
秋までにデビューさせたいと考えています
昭和30年代まで霞ヶ浦の船着き場では物資を積んだ荷馬車が盛んに行き交っていました
あちこちにある馬頭観音。
人々は馬が亡くなった時家族のように悲しんで手厚く弔いました
お稲荷さんだけど馬と関連があるのかしら?ここにあると聞いたんですけど…。
あらら。
こちらはお稲荷さんでこちらなんだな。
あ〜馬がいるよ。
勝馬神社です。
平安時代この辺りでは役人が乗る馬を育てその健康を願っていたと言われています
へ〜。
使ったてい鉄だね。
随分使い古した。
これ奉納したんだろうか。
今も騎手や調教師馬主などが競走馬の無事を祈っています
朝6時から昼までのトレーニング時間が終わりました
馬たちはおよそ100あるきゅう舎にそれぞれ戻り休息を取ります
調教師から依頼を受けてやって来た人がいます。
馬専門にマッサージを施す山縣眞紀子さんです
おはようございます。
おはようございます先生。
今日はお願いします。
はい。
どんなでしょうか?エクセルシオールっていう馬で先週新潟競馬に出走したんですけれども。
2週間後に競馬になります。
京都に出張なんでちょっと疲れ残したくないんで。
分かりました。
是非お願いします。
山縣さんは中央競馬会の学校で講師を務めた事もあり月に延べ50頭余りの世話をしています
はいはい。
大丈夫。
大丈夫大丈夫。
大丈夫!
自分の匂いを嗅がせる事は挨拶を意味します。
これで馬を安心させます
お尻の筋肉を押すと馬が反応しました。
走る時大きな負担のかかる筋肉です
一時間ほどたつと…
かつてさまざまな馬術大会で優勝してきた山縣さん。
馬を乗りこなす事しか考えませんでした。
しかし50歳の頃アメリカオハイオ州で馬をマッサージする技術に出会い人と馬との新しいつながり方に魅せられました
馬にお返しをしてあげられる。
恩返しとまでは言わない。
私が乗ってた馬はもうみんな若い時の馬はもうとっくに亡くなってるのでその馬に恩返しはできないけれども少しでも過酷な状況にある馬たちをほっとさせてあげられる時間が作り出せたらそれは馬に対して少しずつですけど私的には恩返しをしてるつもりかなと思ってます。
(池上)やっぱりやって頂いてちょっとスムーズになったように見えますね。
(山縣)そうですかよかった。
うん!大丈夫そうですね。
そうですね。
傷ついた馬が再起を図る牧場があります
馬のリハビリに使うウォーキング・マシーン。
レースでは1トン近くの力が脚にかかります
この馬は右前脚の腱が腫れてやって来ました
休んでばかりで運動不足が続くとおなかを壊すため一日40分だけ歩かせます
預かっている馬は20頭。
走る事が宿命のサラブレッドはこうした牧場を最後に頼ってきます
牧場長の村上雄三さんです。
16の時はジョッキーに憧れていました
沢山の敷きわらに空気を含ませてふかふかの寝床を作ります
(鼻息)
体力を消耗した馬を熟睡させるための工夫です
村上さんが最も気にかけている馬がいます。
7か月前にやって来たエメラルスピード。
6歳です
白い右前脚を蹴り上げ18回のレースに出走してきました。
しかしひづめが薄くなりその右前脚を痛めてしまいました
村上さんは朝一番必ず脚に触れて熱や張り痛みがないかを見ます
どんなに安定している時でも「今日はまあ大丈夫だろう」は通用しないですし。
必ず馬の脚は熱があるのか痛みはどうなのかっていうのは毎日必ず朝も確認して終わる時も確認して。
その辺はもうほんと根気強く人間がしっかりやってあげないと駄目なところですね。
エメラルスピードのリハビリ記録です。
毎日僅かずつ歩きながら回復に努めてきました
手綱を持って小さく回る円周運動。
ウォーキング・マシーン。
少し動いてはひづめを冷やさなければならない状態でした
そして6か月後人を乗せる事ができ速歩の距離を伸ばしていきました
馬の状態に一喜一憂しながら7か月がたちました
脚を痛がらなくなりひづめは以前のように厚くなってきました
もう一日中一緒にいるのでまあ切っても切り離せないというのが馬と自分の関係なんだろうなって思います。
まあ…嫌な時もありますけどいい時もあります。
いい時はやっぱりここで故障した馬が来て出て行く時に長いつきあいになった馬であればあるほどさみしいなとは思うんですけど「もう帰ってくんなよ」って「ここには帰ってくんな」って送り出した時がこの仕事やっててよかったなちゃんと送り返してあげれたなと思うところですね。
馬場を駆ける日はもうすぐです
よしOK。
終わり。
よし。
5月半ばの日曜中央競馬の開催日です
東京競馬場へ鍛え抜かれたサラブレッド114頭が晴れの舞台に向かいます
リハビリに励んできたエメラルスピードが駆け足に挑む事になりました
大丈夫だと思います。
出るよ。
よしよし。
大丈夫だ大丈夫だよ。
最初はゆっくりと脚を慣らし少しずつスピードを上げていきます
おうおうおう。
おうおうおう。
そうだ。
そうだ。
OK!グッドグッドグッド!
(テーマ音楽)
馬と共に明日へ駆ける道です
(テーマ音楽)2014/06/07(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「駿馬(しゅんめ)いちずに〜茨城県 霞ヶ浦南部〜」[字]
茨城県・霞ヶ浦の南は、日本中央競馬会のトレーニングセンターを中心に、およそ40の牧場が集まります。「生産牧場」や「休養牧場」など、競走馬と生きる人々を訪ねます。
詳細情報
番組内容
茨城県・霞ヶ浦の南に広がる美浦村、阿見町、稲敷市。かつては農耕や運搬など、人々は馬とともに暮らしてきました。昭和53年、美浦村に日本中央競馬会のトレーニングセンターができ、周辺にはおよそ40の牧場が集まっています。生まれた時から手塩にかけ育てる「生産牧場」。怪我や病気からの再生を請け負う「休養牧場」。そして厳しい調教で疲れた競走馬の体をもみほぐす人。サラブレッドに魅せられ、支える人々を訪ねる旅。
出演者
【語り】国井雅比古
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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