相棒2 警視庁ふたりだけの特命係 2014.06.07

(ヘリコプターの音)
(三浦信輔)どう思う?
(伊丹憲一)同じだな。
頚動脈…。
伊丹さん!建築現場でも女の他殺体が出たそうです。
なに!?一晩で殺しが2件かよ!?何て夜だまったく…!
(中園警視正)発見された2体とも殺害の手口は一緒のようです。
(内村警視長)同一犯の犯行か。
(中園)恐らく。
となるとこれで4人か。
冗談じゃないぞまったく。
(亀山薫)特命係か…。
特別に命令があれば何でもするってか…?だから特命係…ですよね?
(杉下右京)ええ。
ところがちっとも特別な命令なんかありゃしない。
実は特別に命令のない係なんじゃないかって…。
だから特命係…な〜んちゃって。
巷じゃ殺しが大流行。
とうとう4人…女ばかり4人。
捜査一課の連中ちゃんと仕事してるんスかねえ?4人も殺されてめぼしい容疑者も挙がらないようじゃどうしようもないスよね。
今ごろ一課は後悔してますよ。
俺のことを出すんじゃなかったって。
どうしてですか?「どうして」って…俺がいれば…。
犯人が捕まりますか?捕まえますよ。
そうですか。
ま根拠のない自信でもないよりはマシです。
(角田課長)おい特命さん!あ〜!ダメですよ振動させちゃ。
悪い悪い…ヒマか?見りゃわかるでしょ?忙しそうじゃないか。
どれぐらい積み上げるつもりなんだ?これ。
何スか?あのさあ…ちょっと手伝ってもらえる?はい?あ仕事スか?薬物対策課から。
あんまり頼みたくないんだけど人手が足りないんだよ。
背に腹は代えられない…やってくれるか?喜んで!
(角田)場所は世田谷区千歳船橋駅に近い住宅地…。
パークマンションに箕浦喜久子って女が住んでる。
その女のところへ菅原謙次って男が立ち寄るかもしれない。
逃亡中のシャブの売人だ。
女はその愛人。
愛人ったって10人のうちの1人ですからね…。
はい?彼女ですよ。
10人いる愛人のうちの1人でしょ?ここに現れる確率も10分の1ってことじゃないですか。
そうですね。
現れますかねここに。
さあどうですかね。
張り込みを開始してもうひと月以上も経ってますよ?だから?いや…別に。
ひと月だろうがふた月だろうがじっと待つのが張り込みです。
わかってますよそんなことは。
(今宮典子)ただいま!お帰りなさい。
お帰り。
様子はどう?はい?犯人現れた?いいえ。
何かワクワクしちゃうな〜!悪いけど邪魔しないでくれ。
邪魔なんかしてないでしょ。
話しかけないでお仕事中です。
ここ私の家だもん。
ご協力感謝します。
感謝はするけど邪魔されたら困るの!わかってるよ!わかってたら出て!トートートー!まったく最近の女子高生はもう…。
女子高生だけじゃないですけどね。
似てますね…。
よくわかんないですね。
よくわかんねえな…。
いやいや彼女だってそうですよ。
普通のOLでしょ?それがシャブの売人の愛人なんだからどうかしてますよ。
世の中乱れとる!そう思いませんか?・
(典子)ピストル?どうかな見せてくれるかな〜?うん…頼んでみようか。
何をやっとるか。
ねえピストル見せて!チラッとでいいからさ。
見せられるわけないだろうオモチャじゃないんだぞ。
オモチャじゃないから見たいの。
ダメ!もしもしやっぱりダメだって。
何をくつろいでるんだよ出てけ邪魔するなって。
亀山くん。
はい。
ビンゴです。
下で待機してます。
(角田)「よしわかった至急そちらへ向かう」「応援が到着するまで目を離すな。
勝手な行動するなよいいな!」・
(バイクの音)何だこりゃ…?テンコ〜!遊びに行こうぜ〜!
(クラクションの音)・静かに!静かに!・何だよおっさん!
(騒音)バカ!今ダメだってば!テンコ〜!
(騒音)待てこら!
(喜久子)やめて!お願い逃がしてあげて!何すんだよ離せよ!
(菅原)あっ!右京さん!大丈夫ですか!?あ…これ…!?殺しですね。
(菅原)知らねえぞ俺は!関係ねえぞ!
(奥寺美和子)朝倉さん…?ご苦労さまです。
5人目かもしれません。
(朝倉禄郎)第一発見者は刑事?ええ…正確には刑事とシャブの売人ですけど…。
俺たちが到着するまで待ってろと言っただろう。
それはですねご説明しますと…。
言い訳はいいよ。
言い訳じゃなくて説明。
無事に捕まえたからいいが…。
何とか取り押さえました。
俺たちの仕事は結果オーライじゃねえんだよ!ボーッとしてるな!引きあげるぞ!捜査一課の邪魔になるからよ…。
ちょっとねえ…!薫ちゃん…!何だよあの態度は…!ねえ!?まあいいじゃないですか。
ゆっくり帰りましょう。
はい。
やっぱり5人目の犠牲者ですかねぇ?恐らく…。
5人目の犠牲者が出るとしたら今日ですから。
なるほど…えっ今日?どういうことですか?おい…特命係の亀山。
いちいち特命係ってつけるな!検事さんが話を聞きたいそうだ。
検事?…あっ!驚いたな…!お知り合いですか?
(浅倉)ああ。
おいどういう知り合いだ?お前には関係ねえよ。
さっそくだが遺体発見当時の話を聞きたいんだ。
ああだったら俺じゃなくてこちら…こちらが…。
東京地検の浅倉です。
杉下です。
遺体発見当時の状況をお聞きしたいんですが…。
それでは始めてください。
じゃ始めます。
ガイシャの身元がわかりました。
名前は中村江美子年齢は26歳丸坂デパートの紳士服売場に勤務していたようです。
別の場所で殺害されて発見現場に捨てられたものと思われます。
5人目なのか?殺しの手口から見て間違いないかと…。
約3か月の間に5人か…。
何か手がかりになるようなものは今回も発見できなかったのか?今のところは…。
初動捜査に何か問題があるんじゃないのか?ガイシャに接点は?
(伊丹)いえ何も…。
殺された順に国枝悦子23歳彼女は商社勤務のOLです。
若松陽子33歳彼女は主婦。
鈴木美加25歳薬剤師柴田早苗32歳彼女も主婦。
そして今回の中村江美子は先ほどのとおりデパート勤務。
歳も住んでる場所も仕事もまったくバラバラで今のところ有望な接点は見つかっていません。
遺体を捨てた場所も…!
(マイクのハウリング)遺体を捨てた場所も無作為と思われます。
強いて言えばあまり人目につかない場所…河川敷や林の中を選んでいたようですが。
他に何か報告はあるか?天下の警視庁の皆さん…あなた方は一体何人殺されれば気が済むんでしょうか?妙なこと?ええ。
僕がですか?ほら昨夜…。
何か言いましたかねえ?5人目の犠牲者が出るなら今日だって言ったでしょ?〔5人目の犠牲者が出るとしたら今日ですから〕〔なるほど〕ああ…そのことですか。
あれどういう意味ですか?君は切り裂きジャック事件をご存じですか?は?1888年ビクトリア朝時代のロンドンで起こった通り魔殺人事件です。
あああれね…。
8月31日から11月8日までの間に5件の殺人が起きています。
その殺人の起きた日が今回の事件と一致するんですよ。
えっ!?最初の犠牲者が出たのが8月31日。
続いて9月8日に2人目の犠牲者が出ました。
それから9月30日この日は2人殺されましたね。
覚えてますか?あそれは覚えてます。
そして今日…また殺されました。
そのロンドンの切り裂きジャック事件とまったく一緒なんですか?見事に一致してます。
実は9月30日に2人の犠牲者が出たことが引っかかりましてねこの間ちょっと調べてみたんですが予想どおりでした。
なるほどね…。
少なくとも今回の連続殺人犯はロンドンの切り裂きジャック事件を模倣しているように思えます。
模倣している…。
そして真似るからにはそこに何らかのメッセージがある。
メッセージ…。
ええ。
(米沢)あの〜失礼します。
はい?特命係というのはこちらですか?そうですよ。
私鑑識課の米沢と申します。
こんちは。
何スか?あの靴は履き代えてませんよね?ああ「下足痕」ですか。
はい現場にはおふたりの足跡とシャブの売人ですか彼の足跡が残されてるはずですから確認して除外します。
気になる下足痕はありましたか?どうぞ。
あすみません。
ええまあいろいろと…でもあそこは昼間子どもたちが入って遊びますから。
検事がいちいち現場に口出すなっつうんだよな。
検視はそもそも検察官の仕事だってのが野郎の理屈だ。
あの指揮官ヅラが…うっとうしくてしかたねえや!ホントだよしゃしゃり出てこられても迷惑だよな。
迷惑かけて申し訳ないね。
うっとうしければさっさとホシを挙げることだ!浅倉さぁ…今回の連続殺人事件の陣頭指揮をとってるらしいんだ。
ひょっとしてそうじゃないかと思ったの。
あんな最中だったからゆっくり話もできなかったけどな。
何年ぶり?大学以来だから…10年ぶりぐらい?そんなになんねえんじゃねえの?結婚式の案内状をもらったときに電話で話したから7年ぶりぐらいかな?あのときあいつ札幌地検にいてな。
結婚式か…。
ああ…あれは気の毒だったな。
あれ…!?早速いただきました。
大発見だよ薫ちゃん!そうだろう…?どうする?今夜…。
(市村麻衣子)私はまだ仕事が…。
うん…。
5人目と断定していいものでしょうかねぇ?えっ!?だって自分でそう言ってたじゃないですか。
しかしちょっと引っかかります。
引っかかるって!?「切り裂きジャック」!お前らしいな。
浅倉!「ロンドンの切り裂きジャックを真似た犯行」…なるほどおもしろいところに目をつけたな。
お前が発見したんだろうこれ。
いや…発見したのは…こちら。
ン!?その発見を美和子に伝えたのが俺。
美和子は日付の一致はお前が発見したと言ってたぞ。
お前にしては大金星だって。
そのへんの事実関係がうまく伝わってなかったのかな…。
すみません一部省略して美和子に伝えたもんで…。
かまいませんよそんなことは。
紅茶いかがですか?いえけっこう。
この間紹介しましたよね浅倉…大学時代の友人で同じ法学部。
君は法学部ですか。
いけませんか?いいえ…。
野球をやってたもんで…スポーツ特待生。
なるほど。
こいつとは寮も一緒だったんです。
そうですか。
先日はどうも。
こちらこそ。
僕はちょっと出かけます。
ごゆっくりどうぞ。
行ってらっしゃい!杉下右京か…。
愛想ねえだろ?相当の切れ者だそうだな。
切れ者だし変わり者だよ。
ここが警視庁の「陸の孤島」か。
ン?杉下右京は人材の墓場下についた者はことごとく警視庁を去る。
美和子が言ってた。
あのやろうよけいなことをペラペラペラペラ…!彼女は間違いなく性的な暴行は受けていなかったんですよね?受けていません。
性的な暴行を受けていないという点が5人目の犠牲者だという根拠のひとつですから。
殺しの手口…つまりこの切創ですね。
何か鋭利な刃物で頚動脈をバッサリとやった傷が他の4人と一緒です。
それからもうひとつ性的な暴行を受けていないという点その2点からまず間違いなくこの女も同一犯によって殺害されたと判断します。
気になりませんか?この写真。
と言いますと?このスカートです。
スカートですか?どうしてファスナーが半開きなんでしょう?実はこの遺体を最初に見たときレイプされていると思いました。
レイプですか?何しろブラウスの裾が全部出てしまっているでしょ?一見すると乱暴されたように見えませんか?なるほど…言われてみればそのような気もしますが…。
でもされてませんよ。
だから気になるんです。
(浅倉)こうやってると思い出さないか?大学時代…。
思い出す…よくこうして寮の屋上で空を眺めたねえ…。
お前しょっちゅう女人禁制の俺らの寮に忍び込んできたもんな。
あんたたちが引っぱり込んだんでしょ。
よく間違いが起こらなかったな。
(美和子)起こったわよ。
それ以来薫ちゃんと腐れ縁だもん。
そりゃこっちのセリフだよ。
お前たち結婚は?一緒に住んでるんだろ?どうして籍を入れないんだ?だって薫ちゃんにまともにプロポーズされたことないしね。
よそうぜ結婚の話は…。
そっか…。
なあ俺のことなら気にするな。
もう昔のことだ。
なあ…お前今いい女性いないのか?あのとき一生分の愛情を使いきっちまったのかな…。
そうか…。
(浅倉)よそうこの話は。
結婚を約束した女が交通事故で死んだだけの話だ。
この程度の不幸は世の中にザラにある。
まあ…ザラにはないだろうけどな。
俺はいつだってプロポーズの用意はあるぞ!明日にだって籍を入れられる。
ただし仕事は辞めて家庭に入るってのが条件だけどな。
その気はないって言ってるでしょ。
だからプロポーズしないんだよ。
よそうってばこの話は。
そうだな。
おい見ろ…ノーザン・クロス…北十字だ。
(浅倉)クリスマスの夜には地平線にあの十字架が立つ。
あれってさキリストの時代にはまっすぐ立ってたんだってね。
ああ今はちょっと傾いて立つ。
それにしても東京の空は星が少ないよなぁ…。
汚れきってんだよ…街も人も…。
なあ…みんなで懺悔しないか?懺悔?何だそれ?地平線に直立する大きな十字架…あの北十字に懺悔するんだよ。
別に懺悔することなんかないしな。
あっお前あるのかよ?俺は人を殺してきた。
(美和子)えっ?検察官として各地を赴任する間に何人か絞首台に送ってきた。
何だよそういうことかよ。
人間なんて罪深い生き物だよ。
そう思わないか?あのさあ浅倉さん…宗旨変えした?
(3人の笑い声)
(宮部たまき)ありがとうございました。
またよろしくお願いします。
やだ何やってるの?ちょっと星を…。
星?ええ。
星なんか見てどうするの?はい中にどうぞ。
情緒がありませんねぇ…。
風邪ひきますよ。
はいどうぞ。
あなたもたまにはスカートを履きますよね?スカートですか?何よ急に…。
例えばサイズの合わないスカートを無理して履いたりしますか?…は?
(浅倉)サイズが合わない?ええちょっと気になって調べてみたんですが彼女の履いてるこのスカートサイズが合っていないようです。
そもそもファスナーはこれ以上上がりません。
確かですね?はい。
ファスナーの半分しか上がらないようなスカートを履いたりしますか?よほど事情がない限り…。
ですね?いくら何でも好き好んでサイズの合っていないスカートを履く女性はいませんね。
な妙だろ?ああ。
何か重大な痕跡を犯人が彼女のスカートに残して…。
なるほど履き替えさせた!ええ。
その可能性はありますね。
しかし重大な痕跡を残したにせよ何も履き替えさせなくてもいいのでは?はぎ取ってしまえばそれで済むことでしょう。
どうしてわざわざ履き替えさせる手間をかけたんですか?そこに合理的な説明がつきますか?おっしゃるとおりです。
そこが引っかかります。
しかし非常におもしろい発見ではある。
なぜだかわかるか?そう…わからない。
謎だ!その謎を解くのが君たちの仕事だ!以上!
(浅倉)あなたは噂どおりの方でした。
噂?いい噂じゃない。
…でしょうね。
重箱の隅をつつくような真似をする。
よけいなことに首を突っ込む。
そういう性分に生まれついてしまったようで…。
そういう性分だからこそみんなが見過ごしてしまったスカートの一件に気づいた。
差し出がましいことをしました。
とんでもない。
おかげで重要な手がかりをつかめたかもしれない。
だといいんですが。
お見事です。
いいえ…。
他に何か気づいた点はありますか?いえ他には何も…。
そうですか。
しかし何もないということが逆に引っかかります。
…というと?5人もの人間を殺しておきながら犯人はまったくといっていいほど手がかりを残していません。
普通ならそんなことはあり得ません。
例えば…プロフェッショナル。
プロフェッショナル?そう呼べるかもしれませんね。
今回の事件の犯人は…。
殺しのプロ…ですか。
う〜ん共通項ね…。
OL主婦薬剤師主婦デパートガール…。
とりあえず全員女ですね。
それは共通してます。
女性を無差別に狙った犯行ですか。
まああえて言えば…わりとみんな美人ですかね…。
美人ばかりを無差別に狙った犯行ですか。
ほら職業も年齢も身長も体重も何もかも違うでしょ?共通してるのは女ってことだけ。
考え過ぎはどうかと思いますよ。
ご忠告ありがとう。
いえいえ…。
しかし君みたいに考えなさすぎるのもどうかと思いますよ。
ヒマか?ああ…おかげさまで。
女の写真を眺めてるようじゃ相当ヒマだな。
いやこれは連続殺人事件のガイシャですよ。
わかってるよそんなことは!これは捜査一課のヤマだろ?よそのヤマに首を突っ込んでいいのかよ!?だったら俺らにも少し仕事を回してくださいよねえ?この間の張り込み以来全然仕事ないじゃないですか。
少年二課が手伝ってほしいってさ。
援交摘発のおとり捜査だよ。
売春してる女子高生を捕まえるの。
やるだろ?そりゃあまあ…。
…やりますけどね。
何だよその不服そうな返事は!この間みたいに「喜んで!」って言えよ!喜んで…。
もっとガッと言えよ!俺今日一日ヒマしてるからオールバックよろしく〜。
ちなみに顔はキムタクにちょい似って言われてるけどどうかな?それは会ってからのお楽しみ。
あと財政的には余裕があります。
待ってます。
うまいもんですね感心しました。
何が悲しくてナンパの真似ごとしなきゃならないんだか…。
俺はこんなことするために刑事になったんじゃないんだけどな…。
何をするために刑事になったんですか?凶悪犯を捕まえるためにですよ。
今回の連続殺人犯みたいな…。

(電話の音)あきた!もしもし…。
(電話)「もしもし」テツヤです。
「アユミです。
伝言ありがとう」…あっ!お前!あ…!こんにちは…。
何やってんだよ?あ…元気?ああ元気だよ。
ああよかった…。
よかった…?待ち合わせ?そうそう待ち合わせ…。
お前は?…あっ!お前が「アユミ」か!?何やってんだよお前は…。
こんにちは。
コンニチハ〜。
濡れ衣。
じゃあどうして逃げたりしたの?
(警報スプレーの音)何それ!?
(典子)警報スプレー。
あのなあ…わかってんだぞ!アユミって名前で俺と待ち合わせしてたから逃げたんだろ!?何とか言えよ!黙秘権。
何!?弁護士呼んで。
弁護士!?弁護士じゃなくてお父さんとお母さんを呼びますからね。
お父さんもお母さんもいない。
(刑事)えっ!?私家なき子。
見えすいた嘘をつくな!どこが「キムタクにちょい似」だよ。
ちょっと!勝手に人の物に触らないでよ!先生こっちこっち!
(佐伯)はい…。
先生着席。
はい…。
まったく油断も隙もあったもんじゃないですね。
えっ?僕の名刺を持っていたなんて…。
あげたんじゃないんですか?あげるわけないでしょう。
恐らく僕がバスを使ってるときにこっそりくすねたんじゃないですか?バス?風呂…。
「風呂」って言え。
お金を介して彼女と肉体的な関係を持ったことは事実ですね?事実です。
だけど去年のことですよ。
相手は高校生だぞ!そうとわかってりゃやんなかった。
何だその言いぐさは!すみません。
お前な売春してる女子高生の客になったんだぞ。
少しは恥じろ!いやでもね僕は今一切そういうことはしていません。
きっぱりやめました。
足を洗いました!そりゃまたどうして?ここだけの話にしていただけますか?何だ?言ってみろ!今年の初めのころテレクラで知り合った女が…その…。
女がどうしたんだよ!?死んだんですよ。
死んだ!?殺されたんです!穏やかじゃありませんね。
切り裂きジャックって世間で騒いでますよねその犠牲者なんですよ!その記事を新聞で見てから何か恐ろしくなって…!ホントかそれ!?ホントですよ。
確か本名は新聞に載ってたはずですが忘れました。
僕には「サオリ」って名乗ってました。
サオリ?何番目の女性ですか?確か2人目の犠牲者って新聞に書いてあったかな…。
若松陽子33歳。
彼女は確か主婦のはずです。
いよいよ切り裂きジャックでしょうかね。
ロンドンの切り裂きジャックが狙ったのは娼婦ばかりでした。
もしもそれを模倣しているのだとすると…。
残りの4人も陰で売春をしてた…。
そうだとすれば殺された5人の女性に重要な共通項が生まれます。
しかしねぇみんな陰でやってますよね。
テレクラ利用したり中にはデートクラブに在籍してた女もいるかもしれないけどそういう店はそれこそ星の数ですから調べるのは相当ホネですよ。
無駄骨になる確率の方が高い。
無駄骨?ええ。
いいですか刑事の仕事は凶悪犯を捕まえることではありませんよ。
犯人を捕まえるだけならば一般市民にだってできる。
一般市民にも逮捕権がありますからね。
しかし彼らには捜査権はない。
あれこれ調べ回る権利はありません。
捜査権を持っているのは刑事と検察官だけです。
つまり我々の仕事は無駄だと思える捜査をコツコツやること。
無理だと思える調査に骨身を削ることです。
それが刑事の仕事です。
君は心得違いも甚だしいですね。
(男)勘弁してくださいよ。
安心しろ今日は摘発とかそっちの捜査じゃないんだからよ。
刑事さんなら刑事さんって最初に言ってくれりゃいいのに。
そう言ったらここの場所教えてくれないだろ?そりゃそうスけど…。
見覚えない?さあ…何スかこれ?う〜ん尋ね人。
とにかくこれ置いてくからさ仲間内に訊いてみてよ。
蛇の道はヘビ…でしょ?コツコツ捜査…コツコツ捜査…骨身を削ってコツコツ捜査…。

(電話の音)はい特命係!
(電話)「こちら通信指令センターです」はい?「亀山巡査長は…」俺ですけど…。
「電話が入ってます」えっ!?こっち!おう…。
もう遅いよ〜。
急いで来たよ。
どうした?何それ?何やってんの?お前。
だから…暴力。
暴力?お父さん。
あ〜親父に殴られたのか。
そりゃそうだろう親父さんにしてみれば1発や2発殴りたくなって当然だよ。
お前はそれだけのことをしたんだ。
女の子の大事な顔殴る!?傷でも残ってお嫁にいけなくなったらどう責任取るのよ!?俺に言ってどうするんだよ。
お前お嫁にいけなくなるようなことを自分でしたんだぞ?少しはそれを反省しろ!110番に電話して俺を呼び出すなよびっくりするから。
だって電話番号知らないもの。
じゃあ携帯教えるから。
で…何の用だ?お金。
金!?ちょっと貸して!バカお前…。
「ちょっと」って…2千円しかないよ。
足りないよ。
何に使うんだよ?生活費。
生活費!?私家なき子だから。
いいかげんにしろよ。
ホントだよお父さんが「お前の顔なんか見たくない出てけ」って私追い出されちゃったんだもん。
(美和子)正気!?いたって正気。
ここに?そうここに。
その子を?名前は今宮典子通称「テンコ」。
置くの?ほんのしばらくだよ。
何考えてんのよその子の両親には?話したよ。
「腐った性根を叩き直してくれ」って言われた。
マジ!?頼りにされちゃってさ困ったもんだな…。
で?えっ?どこよその子?とりあえず更生施設に送り込んだ。
更生施設?あらいらっしゃい。
お客さまが見えたら「いらっしゃいませ」でしょ?いらっしゃいませ〜!これはどういった趣向ですか?亀山さんから開店までバイトさせてくれって頼まれたの。
亀山くんから?金が欲しけりゃ額に汗して働け…だってさ。
あの刑事さんかなりズレてるね。
またスカートのこと考えてるの?わかりますか。
この間と同じ顔してるもの。
遺体のスカートを履き替えさせたのだとしたらそれはなぜか。
どうにもわかりません。
何か証拠になるものがスカートについちゃったんじゃない?だとしても履き替えさせる必要はない。
浅倉検事の言うとおりはぎ取っておけば済みますよ。
そうね…。
ええ。

(典子)パンツ一丁じゃかわいそうだからじゃない?スカートをはぎ取ったままじゃパンツ丸出しで死んでるわけでしょ?いくら死体でもかわいそうだよ。
女なんだし…。
なるほど…そういう考え方も確かにありますね…。
でしょ?犯人捕まえられそう?典子ちゃん仕込みは終わったし帰った方がいいわよ。
まだ平気だよ。
ダメ!遅くなったら危ないでしょ?はーい…。
なるほど…。
(男)ロイヤルパークの502号室ですね。
すぐに向かわせます。
どうも!大目に見てやるよ。
すみませんね。
だからどのコなんだよ!?大丈夫ですか?言ったらコレってことは…。
大丈夫だよ違う捜査なんだから。
協力してよ。
う〜ん…。
早くしろよ!面倒は勘弁してくださいよ。
わかってる!このコ…。
娼婦ばかりを狙った連続殺人ですか…。
このコは乃木坂のデートクラブに在籍してたようだ。
若松陽子この女性はテレクラを利用して売春してたようです。
5分の2でそう断定するのは早すぎるかもしれませんが。
杉下さんは今回の連続殺人犯がどんな男だと思いますか?男とは限らないんじゃありませんか?えっ?なるほど…いや私としたことがマスコミがこぞって切り裂きジャックなどと騒ぎ立てるものだからすっかり先入観にとらわれてしまった。
検察官失格だな…。
もしも犯人が女ならば5人の被害者が性的な暴行を受けていないことにも合理的な説明がつきます。
例のスカートの謎も女だからこそはぎ取ったままにしておかなかったのではないかと。
パンツ一丁で転がしておくのは忍びなかったんじゃないかって…。
いやこれは俺の意見じゃないよ。
こちらの意見…でもない。
コギャルの意見だ。
コギャル!?
(ノックの音)
(伊丹)失礼します。
何やってんだよ!?そっちこそ何やってんだよちったぁ捜査進んでんのかぁ!?何だとぉ!?
(浅倉)何だ。
いえ夜の捜査会議のときにお知らせしてもよかったんですが早い方がいいかと思いまして。
もったいぶるなよ。
なに!?
(浅倉)いいから早く言え。
例のスカートですけど…。
ああ。
(伊丹)ガイシャが転がってた公園付近の洋品店の店主からあの夜あのスカートを売ったという証言が…。
ホントか!?何聞いてんだよ!?買ったのはどんな人物ですか?あなた一課ですか?警部さんには関係ないでしょ。
いいから言え。
言え!それが女なんですよ。
(浅倉)女…?出ませんよねぇ?ええ。
何ででしょう?さあ。
スカートを売ったって言う人物が現れたんですよ。
証言をもとにモンタージュなり似顔絵なりが出てしかるべきでしょう。
そのとおりですね。
なのになんで出ないんですか?何か理由があるんでしょう。
理由って?確かめましょう。
はい。
ねっ?スカートを…。
あのねおばあちゃん!ハイハイ。
前の刑事さんもあきれて帰っちゃったよ。
何しろばあちゃんそんなんだから。
スカートをですね!あハイハイ。
スカートね。
いやいや…おばあちゃん買うんじゃないの!ね?無理でしょう?これじゃモンタージュが出ないわけだよ。
スカートを買った女の人いたでしょう!ハイハイ。
いくら訊いても無理じゃないすか。
その人どっちから来ました!?どっちって…。
どっちからって…。
うーん…。
あっあれ!え?どれ!?あれあれ!あの車?赤い車?そうそう赤い車。
その人車で来たんですか?そうそう。
車に乗ってね!ズック履いてたよ。
ハハハハハ!ズック…。
お待たせしました。
これです。
どうも。
ズックですね。
ええ。
スニーカーですよ。
おばあちゃんはそんなハイカラな言葉使わないの。
サイズは?22センチです。
これを子どもだと決めつけるのは早すぎましたね。
ええ…。
赤い車に乗ったスニーカーの女か…。
いやぁでも手がかりがそれだけじゃな…。
赤い車とスニーカー。
赤い車と…。
どうしました?…いえ。
当てましょうか?え?身近にそういう女性がいた。
だけどまさか!…彼女が?
(浅倉)おかえり。
来てたのね。
君だったのか。
どうしてこんなことを。
指紋がベッタリだ。
こりゃ決定的な証拠だね。
市村さんを疑ってるんじゃないですよね?疑ってはいませんよ。
確認するだけです。
(浅倉)市村くんに何の用かな。
ちょっと確認したいことが。
確認?いやぁすぐ済むんだよ。
えーと外出中か。
いや…来てない。
あ休みか。
わからん。
携帯もつながらない。
行方不明…ということですか?そういう表現が妥当かどうかはわかりませんが少なくとも無断欠勤です。
彼女に確認って何ですか?どうぞ。
どうもありがとう。
お帰りになるときには声をかけてください。
どうもね!いないみたいですね。
いませんね。
昨日彼女の様子に何か変わったところはありましたか?いや特に気付きませんでしたが…。
とにかく下足痕を確かめてみませんか?ズックないっすね…。
ありました?ビンゴ…!ビンゴ!
(記者たち)部長!進展はありましたか!?有力な容疑者が浮上したというのは本当ですか?調査中だ。
少しだけでも…。
まだ発表の段階にない。
いずれ結果が出たら発表するよ。
失敬。
(記者たち)ひと言だけでもお願いします!おばあちゃん!この人ですか?うん…そうだ。
この人この人。
検察の女が容疑者じゃシャレになんねぇな。
また騒がれるんじゃねぇか?彼女が真犯人なんでしょうかね?さあどうでしょう。
ホシと断定するには証拠がなさすぎる。
現段階でわかっていることは彼女があの夜現場近くの洋品店でスカートを買ったこと。
そしてその足で現場に行き買ったスカートをガイシャに履かせたらしいこと。
それだけだ。
あともう一つ。
女がスカートを買ったという情報が入った途端こつ然と姿を消した。
いずれにしても状況証拠だ。
わかってるよ。
うろちょろしないでもらえないか!!ああ失敬。
悪い癖です。
杉下さん。
あなたには大いに感謝しています。
あなたの鋭い直感と推理のおかげで遅々として進まなかった今度の事件がわずかながらも進展を見せた。
しかしあなたはあくまでもこの事件に関しては部外者です。
節度はわきまえていただきたい。
申し訳ありませんでした。
いやいや…まぁまぁ…。
俺たちも邪魔しようとしてるわけじゃないんだしさ…。
怒るなよお前…!つかぬことをお尋ねしますが。
はい?市村麻衣子さんとは仕事上の関係だけですか?…ちょっと右京さん。
どういう意味ですか?仕事をこえた親しい関係にはなかったんですか?どうしてそんなことを?ただの詮索です。
これも悪い癖。
残念ながらご想像されているような関係にはありませんでした。
これでも公私のけじめはつけているつもりですから。
そうですか。
嘘?ええ。
あるいは何かを隠している。
浅倉がですか?僕は浅倉検事が市村麻衣子さんと親しい関係にあったのではないかと思います。
その根拠は?それとも直感ですか?昼間です。
昼間?我々が市村さんの部屋を訪ねたとき…。
カーテンが閉まっていたせいで部屋は薄暗かった。
浅倉検事がスイッチを押してリビングの明かりをつけました。
ええそれが何か?壁のスイッチは3つあったんですよ。
え?なぜ浅倉検事はあんなふうに的確にリビングの明かりをつけることができたのでしょうね?初めて訪れた部屋ならば決してああはいきません。
多少なりともスイッチのありかを探すでしょうしそれが3つもあれば迷います。
とりあえず順番に押してみてどの明かりがつくか確認したりしませんか?しますね…。
どうも僕には浅倉検事があの部屋を訪れたのが一度や二度とは思えないんですよ。
仕事上だけの付き合いならばそう頻繁に部屋を訪れることもないでしょうし。
男性ならまだしも相手は女性なんですから。
ですからそのことが気になって市村さんとの関係を訊きましたが特別な関係ではないとおっしゃる。
隠したいだけかもしれないでしょ。
はい?男と女の関係だなんてことが公になったら痛くもない腹を探られたりしますからね。
何しろ今市村さんには大きな疑いがもたれてる。
そういう女性と親密な関係だったことが知れたら。
もちろん単にそういうことかもしれませんね。
何でも疑えばいいってもんじゃないでしょ。
疑うのが刑事の仕事でしょ?そりゃそうだけどよ。
俺はあの人みたいに何でもかんでも疑ってかかるようなマネはできねぇな。
確かに薫ちゃんはそういうタイプじゃないよね。
何だよそのもったいぶった言い方は?疑うより信じるタイプだもんね。
刑事としては致命的かもしれないけど。
でも私薫ちゃんのそういうとこ好きよ。
ん?あ?んん?バカ。
好き。
うるさいよ。
ちょっと。
好きって言ってみ。
何珍しいこと言ってんだお前は。
いいから言ってよ。
ね〜好き?やめろってもう!右京さん。
どうしました?市村さんが発見されました。
(レポーター)ただ今車が海から引きあげられたところで自殺なのか他殺なのかまだはっきりした状況はわかりません。
彼女は俺と一緒で母ひとり子ひとり…つまり母子家庭に育った。
それを知ったときから妙にウマが合ってな。
親しくなった。
親しく。
付き合ってた。
杉下右京の言葉を借りれば「仕事をこえた親しいご関係」だ。
だったらあのときなぜそう言わない?彼の訳知り顔がしゃくに障ったのかな。
何か?ブレーキをかけた痕跡はないようです。
そうですか。
じゃあ自殺?捜査員たちもそうではないかと話し合っているようです。
検事はどうして彼女が自殺したとお思いですか?あなたはどうお思いになりますか。
僕よりも検事のほうが彼女をよく知ってらっしゃる。
あなたならきっとこう言うでしょうね。
「スカートの一件で追い詰められて逃げられないと観念し自殺した」。
違いますか?しかし彼女が5人もの女性を殺したという証拠はどこにもない。
それとも何かまた発見でも?彼女は本当に自殺だと思いますか。
え?何言ってるんですか?きちんと自殺と断定されたじゃないですか。
解剖の結果からも特に不審点は見当たらなかったっていうし。
しかし行政解剖ですからね。
現場の状況から事件性は薄いと判断されてそうなりましたが司法解剖していればあるいは何か。
あなたは自殺じゃないと?その可能性は否定できません。
その根拠をお訊きしたい。
靴が見当たらないんですよ。
靴?車の中に靴が。
〔靴がない〕だって彼女靴履いてたじゃないですか。
ええ。
しかしあれはスニーカーです。
彼女は運転するときはいつもスニーカーなんだ。
知ってます。
そのために車の中にいつもスニーカーを一足置いておいた。
おそらく彼女の履いていたのはそのスニーカーでしょう…ならば。
履き替えたほうの靴はどうしたんでしょう?彼女は普段は革靴でしたね。
つまり車の中に履き替えたその靴が残っていないとおかしいんですよ。
車は窓も閉まりドアはロックされていました。
靴が海へ落ちてしまうということは考えられません。
もう一足の靴は一体どこへ消えてしまったんでしょうね?あっ。
ひょっとして彼女は裸足で車に乗ったんでしょうか。
あるいはそういう突拍子もないこともあるかもしれない。
これから死にに行こうとしている人間だから。
僕もそう思います!恐らく彼女は裸足で車に乗りました。
ただし自分で歩いて乗ったのではなくたとえば睡眠薬か何かで眠らされ何者かによって運ばれた…というような具合です。
彼は自殺と見せかけて彼女を殺すつもりです。
普通ならば彼女が裸足ではおかしいですから玄関で靴を一足持ってくるでしょう。
しかし彼はそうしませんでした。
なぜなら彼は車の中にスニーカーがあるのを知っていたからです。
常に車の中にスニーカーが置いてあることを知りなおかつ彼女の部屋に自由に出入りできる人間…。
それがすなわち彼の正体です。
その条件に該当するのは…おそらく私だけでしょうね。
ちょっと待ってくださいよ…。
あなたの推理はいつもおもしろい。
驚かされるし納得もさせられる。
けど…今のはいくら何でも。
一つの可能性を指摘しただけです。
可能性なんかクソ食らえですよ!なにもこんな日に…彼女が死んだこんな日に…。
こいつは前にも愛する女性…結婚を誓い合った女性を亡くしてるんですよ!やめろと言ってるだろ!彼の心中も少しは察してやってくれませんか!疑うだけが能じゃねぇだろ。
今申しあげたことはあくまで憶測です。
失礼しました。
杉下さん。
はい。
憶測だけじゃ何も裁けません。
事件をオモチャにしてるんだよ。
あの人は推理ゲームを楽しんでるだけなんだよ。
お前落ち着けよ。
落ち着くなよ!疑われてるのはお前だぞ。
もっと怒れ!興奮しないの!それにしてもねちょっとひどい。
そうだろ?いや「ちょっと」どころじゃねぇんだよバカ!バカ!ねぇ名誉棄損で訴えちゃえば?ウンウンウン!あ…俺そろそろ行くわ。
ごちそうさま。
うまかった。
もう帰るのかよ?
(典子)ただいま〜。
お帰りなさい。
しっかり働いてきたのかよ!何怒ってんの?ちょっとね…あ…この方ね浅倉さん。
私たちの古い友人。
どうも。
どうも。
何なんだよその挨拶は!ちゃんとした挨拶ができねぇのか最近の女子高生は!うるさいないちいち!じゃ俺行くわ。
あごめんごめん。
気をつけてね。
浅倉お前気にすんな。
お前もな。
おう。
(浅倉)じゃあね。
(美和子)おやすみなさい。
(ドアの開閉の音)あの人…どっかで見たことがあるな。
ねぇお姉さん。
あの人どっかで見たことあるの。
浅倉さん?何だよこれからってときにな。
…何?何?あの人どっかで見たことあるの。
浅倉?何?どこで?…公園だ。
公園?家の近所の公園。
死体が発見された公園だよ。
浅倉を?間違いない。
絶対あの人!いつ?シャブの売人が現れた日。
だから…死体が発見された日。
なんだそりゃそうだよ。
あいつ現場に検視に行ってたんだから。
そうじゃないよ。
だって私が学校から帰ってくる途中だから…まだ死体が発見されるずっと前。
何時ごろ?6時すぎぐらいじゃないかな。
え…?間違いないよ。
(典子)〔死体が発見された公園だよ〕〔6時すぎぐらいじゃないかな…〕おもしろいことがわかりましたよ。
あっ…。
浅倉検事は今年の夏に東京地検に赴任しています。
それ以前はほぼ3年ごとに各地を転々と。
だから何ですか?検察官はみんな大体そうでしょう。
彼が東京に来て間もなく今回の切り裂きジャック事件が発生しています。
もう何も聞きたくありません。
彼の赴任地で…ことごとく殺人事件が発生しています。
しかも殺されたのは全て女性です。
そして全てがお宮入りしてます。
君はたしか浅倉さんが札幌地検時代に婚約者の方を交通事故で亡くされたと言いましたよね。
浅倉さんがそう言ったのですか?資料によると自殺のようですよ。
車ごと海へ落ちたようです。
単なる偶然でしょうかね…。
いい加減にしてくださいよ!何が言いたいんですか?あいつが犯人だとでも言いたいんですか?そんなにあいつを犯人にしたいんですか!?僕は真実が知りたいだけです。
俺を?ああ。
見間違いだろ。
そうだよな。
…信じていいよな?ん?お前を。
特命係なんて窓際に埋もれさせておくのは惜しいな。
え?お前じゃないぞ。
杉下右京だ。
彼の洞察力と粘りはすばらしい。
さすがの俺も脱帽だ。
しかし今回の一件についてはお前の言うとおり推理ゲームにとらわれすぎだ。
まぁ物語としては非常におもしろいがな。
ああ。
すみません特命係は?あああっち。
杉下警部でしょうか?はい。
小包が届いてますよ。
すみません。
ありがとう。
どうも。
僕のこと見たんだってね。
えっ?あれ?テンコの奴何で帰ってねぇんだ?何で?・
(電話の音)はい…あ亀山さん。
…はい。
あいつもどおり帰りましたけど。

(携帯電話の音)こらどこほっつき歩いてんだ!ばっくれてんじゃねぇよテンコだろ?
(浅倉)「僕はねぇ体を売るような女は嫌いなんだよ」君は取り返しのつかない罪を犯したんだよ。
自分が何をしたのかよく思い出してごらん。
浅倉?「僕にははっきり見えてるよ」「君のそのみだらな肉体に巣くう汚れた魂が」「醜いその魂が」「救いようのない魂がね」「君がどんなにその正体を隠そうとしたってムダだ」「僕にはちゃんと見えてるんだから」・
(電話の音)「仮面の下に隠されたおぞましい素顔が」も…もしもし?あぁ帰ってましたか。
携帯にかけてもつながらないので一応かけてみました。
「すみません今ちょっと…」
(浅倉)「破廉恥な素顔がね…」あの…テンコが…。
どうかしましたか?いなくなって…様子が変なんです浅倉と一緒みたいで。
それは間違いありませんか?たぶん…でもどこにいるか…。
それなら芝浦かもしれません。
えっ?とにかく大至急向かってください。
これは賭けです。
しかし一刻を争います。
場所を言いますよ。
(浅倉)「けれど同情の余地はない」「僕は君に罰を与えなければならない」「その罪に見合うだけの罰をね…」いいかい。
女が体を売る罪はねとても重いんだよ。
君が考えている以上にずっとずっと重い。
(浅倉)「だけどもう後悔したって遅い」犯した罪は死をもって償うしかないからね。
僕の母親もね娼婦だったんだよ。
僕は誰の子かもわからない子供だった。
随分いじめられたよ。
僕は母を憎んだ。
殺したいほどに。
そしてねあの日…。
〔坊や。
母ちゃんは?〕〔出かけたか。
おまえの母ちゃん忙しいもんな〕〔…なんだよ母ちゃんと同じところにアザがあるじゃねぇか〕〔やっぱり親子だな〕僕は母親を殺そうと思ったんだ。
そして殺しちゃった。
本当だよ。
「車のブレーキにちょっといたずらしたんだ」「母は山道のカーブを曲がりきれず谷底にまっ逆様に落ちた」「即死だったよ」「もちろん単なる事故として処理された」「僕は見事に母親を殺したんだよ」「僕の母がその罪を死をもって償ったのにほかの娼婦どもがのうのうと生きていていいと思う?」「ねぇ…」
(浅倉)そんな法はない!!「そんなこと許されないよ」苦しませたりしないよ。
ほんの一瞬だから。
(悲鳴)浅倉!何やってんだお前。
何やってんだお前!落ち着いてよ…。
(浅倉)ハハハハハハ!待て待て…。
待て!テンコ…!大丈夫か?浅倉!クソッてめぇ!クソッ!このぉ!ばかやろう!冗談だよ。
何?ちょっとおどかしただけだ。
ふざけんな!お前に俺が逮捕できるか!?何だと?罪状は何だ?殺人未遂か?まぁそれはしかたないな。
しかし俺は徹底的に殺意を否認するぞ。
うまくすれば逮捕監禁と脅迫。
その程度に持ち込めるかもしれん。
お前本当に浅倉か?俺の知ってる浅倉なのか?そうだよ。
大学時代の仲良しの浅倉だよ。
俺を殺人犯で逮捕したけりゃ…証拠持ってこい!浅倉さん。
おっしゃりたいことはそれだけですか?間に合ったようですね。
お望みの証拠をお持ちしましたよ。
何?市村さんから僕のところへ届きました。
麻衣子から?鑑識で調べたところこの血はガイシャのもの。
そして…。
この指紋は浅倉さんあなたのものです。
指紋照合しました。
嘘だ。
いいえ。
これがここにあるわけがない。
なぜですか?なぜって…。
燃やしたならばそれは恐らく彼女のこしらえた偽物だったんじゃないですか?偽物?これはあなたの暴走を止めるための唯一の証拠品です。
命を懸けてでも守らなければならない大切なものです。
彼女ならきっとそうしたでしょう。
俺を…だましたのか?そうじゃありません。
愛したんです。
君を愛したからこそ彼女はそうしたんです。
愛する者の暴走を止めるために彼女はそうしたんです!そうするしかないじゃありませんか。
違いますか?もう全てを話していただけますね?
(浅倉)〔どうしてこんなことを?指紋がベッタリだ〕〔これは決定的な証拠だね〕〔いやそんな野暮なことを訊く前に君には礼を言うべきかな〕〔現場でこれが発見されていたら僕は今ごろ破滅していたからね〕〔これだけしっかり指紋が付いていれば言い逃れしようがない〕〔お願い。
せめて自首して〕〔僕をかばってくれたんじゃないの?〕〔それを証拠に今からでもあなたを捕まえることができるのよ〕〔だったらそうすればいい。
君がそうしたければ〕〔それができないから…せめて自首してってお願いしてるんじゃない〕〔わかってよ私の気持ち〕〔あの日君は僕をつけてたんだね〕〔あなたが誰か女の人と待ち合わせしてるみたいだったから…〕〔あなたは女の人を乗せて走り去ったわ〕
(浅倉)〔それを君は追いかけたんだね〕〔あなたが出てくるのをずっと待ったわ〕〔あなたは1人で出てきた〕
(麻衣子)〔まるで夢を見ているようだった〕〔「何とかしなくちゃいけない」とっさにそう思ったの〕〔夢だよ。
…ね?君は夢を見ていたんだ〕〔夢!?〕〔そう君は嫉妬に駆られてつまらない夢を見ていたんだ〕〔違うわ。
これは現実よ!〕〔ほら!ここにちゃんとあるもの〕〔彼女の血よ。
あなたの指紋だわ〕〔君は興奮しすぎてるよ〕〔ゆっくり酒でも飲んで話そうよ〕その酒に睡眠薬を?いいえ睡眠薬じゃなくて精神安定剤。
僕の常備薬ですから。
いずれにしても口封じのためにあなたは愛する女性を殺した。
本当なのか?浅倉。
今からでもいい嘘だって言ってくれ。
愛した女を殺したのは…2人目だ。
あいつも…娼婦だったんだよ。
陰で体を売るような女だった。
だから俺は結婚する前に殺したんだ。
自殺に見せかけてね。
何の因果か知らないけど愛した女がおふくろみたいな女だった。
だから…。
それ以来ですよ。
仮面をかぶった娼婦どもを殺すようになったのは。
生きていればまた殺します。
生きている限り…俺はあいつらを殺すでしょう。
死ぬまでずっと。
ずっと…殺し続けますよ。
心配しなくていい。
もう終わりですよ。
もう…あなたは誰も殺すことはありません。
ありがとう…。

(たまき)どうもありがとうございました。
お気をつけて。
また星見てるんですか?今夜の星はとても悲しげに見えます。
行きますよ…おっと!ヒヤヒヤしますね。
でしょう?
(せき払い)杉下警部。
はい。
今回は君の活躍で未曾有の凶悪犯を検挙することができた。
警視総監賞どころの騒ぎではないと思う。
そんなもの…。
ん?何だ!ほしくてやったんじゃないですから!誰がやると言った?話は最後まで聞け。
犯人検挙の功績は事実として認めよう。
しかし警察は組織だ。
スタンドプレーヤーなどいらない。
それを認めたら組織が組織として機能しなくなる。
いいか?今後二度と勝手な行動はしないように。
特命係などに我々は何の期待もしていない!それだけだ。
あいつら…。
はい?俺たちよりもヒマみたい。
同感です。
続けましょう。
右京さんですよ。
僕でしたね。
2014/06/07(土) 12:40〜14:35
ABCテレビ1
相棒2 警視庁ふたりだけの特命係[再][字]

「恐怖の切り裂き魔連続殺人!サイズの合わないスカートをはいた女の死体…」

詳細情報
◇出演者
水谷豊、寺脇康文 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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