東京は雨交じりの天気でしたが歌舞伎座には…そのお目当ては…今回の見どころをご紹介しましょう。
まずは小野小町を巡る5人の歌人たちの恋模様を描いた舞踊…豪華な顔ぶれでお送りします。
続いては歌舞伎俳優が素踊で魅せる勇壮な舞踊…そして花形俳優の長男2人による…俳優祭でしか見られない趣向と配役が見ものです。
なんとあのゆるキャラも出演しました。
俳優が売り手となる恒例の模擬店も大にぎわい。
現場の様子を片山千恵子アナウンサーがリポートします。
俳優祭のもようを丸ごとお伝えします。
こんにちは片山千恵子です。
東京歌舞伎座にやって来ました。
第37回俳優祭のもようを今日はたっぷりお楽しみ頂きます。
俳優祭は昭和32年に第1回が開かれ…歌舞伎や新派の俳優が所属する日本俳優協会が主催しています。
貴重な公演です。
俳優自らが考えた演出や豪華な配役で観客を楽しませてきました。
白雪が千倍も万倍もあの千倍も万倍も千倍も万倍も千倍も万倍も器量よし?くどい。
(笑い)ふだんの公演とは一味違った趣向を楽しめる歌舞伎の夢舞台なのです。
俳優祭への思いを日本俳優協会会長の坂田藤十郎さんに伺いました。
俳優祭というのはまあどう言いましょうか。
非常にお客様と我々の輪。
そういうものを大事にしようというのでお客様といい意味の近づきみたいなものがあればいいなといって始まったんですよね。
お客様と非常に近くなって輪を広げようという。
それは始まった時から変わりませんね。
坂田藤十郎さんにお話を伺いました。
まず初めにご覧頂くのは舞踊…登場するのは平安歌人の六歌仙。
俳優祭ならではの豪華な顔ぶれが見どころです。
なお今回は…そちらも併せてお楽しみ下さい。
(拍手)
(柝の音)ここに僧正遍照の昔は花の良峰と嵯峨の官居に通い路の思いの麓に着き給うこれは僧正遍照と申す智識にてそうろうが身にまといたる色衣未来永劫仏罰を。
受けなばうけよ玉椿落ちての末は芥とも是非に小町に対面と立ち寄り給うを局たち誰ぞと思えば僧正様。
お取次を申したくも。
小町様は御奥にて。
御つれづれのおなぐさみ。
お歌合せの一間の内。
御対面なら又。
(皆々)重ねて。
(小町)色みれどうつろうものは世の中の。
左のたもうは我が仇人。
(小町)人の心の花にぞありける。
心やさしの歌人やなあ。
僧正垢離の数珠の緒につなぎとめよと手をひいてこれへこれへと招かるる小町はいともしとやかに歌には名をも上げ御簾をかかげて含む笑みの眉僧正様にも今日もまた。
春咲く樹々の花盛りはてし渚の眺め良く
(観客)京屋!京屋!夏は青葉の秋くれば
(観客)京屋!雁なら知るに散りもすれ冬の凩などかせん白きを赤きと云わざりしぞ善悪邪正は心の現世迷えば煩悩悟れば菩提情というを知れぞかし仏も仮に夜叉という得道あれや僧正と行かんとするを押しとどめあわれ智識の御身にて。
恋い詫び給うははしたなし。
他者の見る目も候えば。
はやはや御寺へ。
帰らせ給え。
(皆々)僧正様。
ひかえる袖を打ち払い打ち払い花咲くとうわべも見えぬ茨かな。
小町の方を見かえり見かえり御法の庭にぞ帰らるる
(拍手)
(観客)京屋!小町は跡を打ち見やり悲しと思う心根を衣紋に含むばかりにて局引き連れ入り給う
(拍手)
(拍手)
(太鼓と柝の音)
(拍手)届かぬながらねらい来て行くをやらじとコレ待ったあだ憎くらしい何じゃいなお清所の暗紛れ晩にやいのと耳に口さあさあおいでなされませ。
さあさあさあこちらへおいでなされませ。
むべ山風の嵐ほどぞっと身にしむうれしさも秋の草木かしおしおとおいでなされませ。
こっちへおいでなされませ。
独り寝よとは男づら鮑の貝の片便り情けないではあろまいか
(拍手)寄るを突き退けコリャどうじゃ
(観客)中村屋!鼻の障子へたまさかに根深のかおるあだつきは時候違えの鰒汁で独りばかりか盛りかえを強いつけられぬ御馳走はそもそも御辞儀は仕らぬ是を思えば少将が九十九よくよ思い詰め
(観客)中村屋!傘をかたげて丸木橋おっと危ねえすでの事鼻緒は切れて片足はちんがちがちがおお冷た
(観客)中村屋!その通い路も君ゆえに衣は泥にあかつきのすごすご帰る憂き思いならぬながらも我が恋は末摘花の名代を突きつけられて恥ずかしい地下の女御の口ぐせに
(観客)待ってました!富士や浅間の煙はおろか衛士の焚く火は沢辺の螢焼くや藻塩で身を焦がすそうじゃえ合縁奇縁は味なもの片時忘るるひまもなくいっせつ体もやる気になったわいなそうかいな
(拍手)花の嵐の色の邪魔寄るをこなたへ遣戸口中殿さしてぞ
(観客)中村屋!
(拍手)
(拍手)
(柝の音)あずさ弓引けば元末
(拍手)我が方へ寄るとぞまさる恋の道しのぶのみだれ限りなき野にも山にも春がすみ立つ名厭わじさりとてはなびき給えとゆうしでの神に誠を明石潟幾夜か通う浦々千鳥啼いて濡れなん涙の雨にのううつつなの人じゃえ今宵扇のその約束を忍ぶ心の細殿に月の扇の御簾洩れてかおりもゆかし七重八重九重かざす誰が花扇閨の扇の絵空事あらうたての御事やと払えどなおも放れじと引かるる袖を振り切る手には
(拍手)思いの丈心あまりて言葉なく詠み人知らずと帰らるる詠み人知らずと帰らるる
(柝の音)
(観客)音羽屋!
(拍手)
(柝の音)
(拍手)
(拍手)
(柝の音)我が庵は芝居のたつみ常磐町しかも浮世を離れ里
(拍手)世事で丸めて浮気でこねて小町桜の詠に倦かぬ彼奴にうつかり眉毛をよまれ法師法師は啄木鳥の
(イヨ〜ッ)素見ぞめきで帰らりょか
(ヨオ〜ッ)わしは瓢箪浮く身じゃけれど主は鯰の取り所ぬらりくらりと今日も亦浮れ浮れて来りけるもしやと簾を他処ながら喜撰の花香茶の給仕波立つ胸を
(観客)萬屋!押撫でてしまりなけれど鉢巻を幾度しめて水馴棹ぬれて見たさに手を取って小野の夕立縁の時雨化粧の窓の手をくんでどう見直して胴ぶるいアもし。
今日の御見の初昔悪性と聞いて此の胸が朧の月や松の蔭何故惚れさしたコレ姉へ自惚れすぎた悪洒落な賤が伏屋へ糸取るよりもぬしの心がそれそれ取りにくいエゝさりとは機嫌気づまも不断から酔うたお客の扱ひは見馴れ聞き馴れ目顔で悟る粋を通した其あとはコレひぞり言粋と言はれて浮いた同士
(イヨ〜ッ)ヤレ色の世界に出家を遂げるヤレヤレヤレヤレこまかにちょぼくれ愚僧が住家は京の巽世を宇治山とや人は言うなりちゃちゃくちゃ茶園の咄す濃茶の縁の橋姫夕べの口舌の袖の移り香花橘の小島が崎より一散走りに走って戻れば内の嬶が悋気の角文字牛も涎を流るる川瀬の内へ戻って我から焦る蛍を集め手管の学問唐も大和も廓の恋路が山吹流しの水に照添ふ朝日のお山誰でも彼でも二世の契は平等院とや去とは是はうるせえこんだに帰命頂礼どら如来来世は生を黒牡丹おのが庵へ帰り行く我が里さしてぞ
(柝の音)
(拍手と柝の音)
(柝の音)
(拍手)
(三味線)言の葉に和らぐ国と神代より名に大伴黒主と小町桜の色映えてめでたき御代の歌合わせ蒔かなくに何を種とて浮き草の
(柝の音)
(拍手)歌盗人の小野小町何を種とて浮草の詠ぜし歌は正しく古歌。
その疑いを解く由もなき身の悲しさ八百万の神々を誓いに立て真偽を糺すは是なる草紙を洗うが明白。
染めにし筆も浮草の流れて消ゆる夕霞花の打衣掛烏帽子めぐらす袖や波がえりややこれは。
誠を照らす鏡山イザ立ち寄っての詠み歌こそ正しく調伏。
なんと。
訴人有って疾くより知る。
何と是でもあらごうか。
サァそれは。
サァ。
サァ。
サァ。
サァ。
(両人)サァサァサァ。
何と相違はあるまいがな。
流石は小町よく見出した。
我こそは中納言家持が嫡男天下を望む大伴黒主。
間近く寄って面像拝み奉れェ。
扨てこそな。
此上は我より成敗覚悟いたせ。
それ。
浜の真砂はつきしなく栄うる国の風俗と六歌仙とて雲井の空に高き誉れぞ舞踊「六歌仙容彩」をご覧頂きました。
続いては舞踊「楠公」です。
さっそうとした素踊をお楽しみ下さい。
(拍手)
(柝の音)一張の弓の勢いは
(観客)成駒屋!
(拍手)月心に中り三尺の剣の光は霜腰に在り
(観客)成駒屋!
(拍手)頃は皐月の末つ方楠判官正成は君の仰せを蒙りて一族郎党五百余騎今日を最後と九重の都を後に手束弓
(拍手)駒をば暫し桜井の宿に止めて青葉蔭嫡子帯刀正行を近く召して申しけるは如何に正行聞き候へ獅子は我児を千仭の谷へ落として気合を見るとかやまして汝は十一才父が教えを忘れなよ抑今度の合戦は天下分目の晴れ軍父は兵庫に討死と心を決して候うぞ汝はこれよりふるさとへ疾々帰れと促せば形見に与う恩賜の刀正行これを押し戴き泣く泣く帰る後影見送る父は鎧の袖に伝う涙や郭公声を残して西東別れてこそは下りけれ
(拍手)
(太鼓)
(柝の音)
(拍手)
(拍手)
(拍手)敵と味方の鬨の声箙の音におどろきて沖ののちりちりぱっと海陸一度に振動し射出す征矢は秋の木の葉打合う太刀は電光石火
(拍手)むれ松原の樹がくれに菊水の旗ひるがえし楠判官正成と
(拍手)名乗って戦う決死の勇将五十万騎の真中へ駈け入り駈け入り三時に亘る合戦に
(拍手)人馬の息を休めけり
(拍手)
(拍手)
(拍手)斯かる所へ左馬頭新手を代えて立ち向かう
(拍手)正成兄弟物ともせず或は引組み或は蹴散らし一歩も退かず戦いしは実に忠臣の鑑ぞと美名を末世に残しけり
(拍手)舞踊「楠公」をご覧頂きました。
さあ皆さんお待ちかね模擬店の時間です。
俳優が売り手となりお客さんを迎えます。
いいですか?NHKの片山と申します。
お疲れさまです。
大忙しですね。
大忙しです。
ちょっと熱いです。
かなり売れ行きもよく。
おかげさまでありがとうございます。
こうやって直接会える機会僕たち少ないんでね。
これがもう唯一の楽しみなんでホントにお客様と一緒に楽しんでます。
大忙しですね。
そうですね。
でも…はい。
ありがとうございます。
どんな思いで迎えましたか?ありがとうございます。
ありがとうございます。
今回新しい歌舞伎座での俳優祭なんですがどんな思いで迎えてらっしゃいます?皆さんホントに楽しんでいられて僕たちも…翫雀さんNHKの片山です。
はい。
はい?売れ行きどうですか?売れ行きはいがでしょう?何かよく分からない。
ぐっちゃぐちゃですよ。
ハハハ。
フハハハ。
ありがとうございました〜。
こうやってできるのねめったにない事ですから。
久しぶりにこれ歌舞伎座出来て初めてやる事なんで位置も分かんなくてみんな戸惑ってますけどね。
ありがとうございます。
すいません大忙しのところ…。
いいえ。
ありがとうございます。
スパークリングワインいかがですか〜?ありがとうございます。
手締めます。
いよ〜!
(一本締め)
(一同)ありがとうございます。
歌舞伎座内には20以上のお店が並びあちこちで威勢のいい声が響いていました。
どうですか?売れ行き。
売れ行きよりも何よりもね…うれしいです。
模擬店では俳優祭名物の売り場があります。
それがこちら…歌舞伎俳優の押隈をオークションで入札できるとあって毎回人気を集めています。
ほかにも俳優自ら描いた水彩画やイラストなども販売されじゃんけんで購入者が決まります。
(又五郎)え〜っと吉右衛門さんの絵!
(客)ちょうちょう!ちょうちょう。
ではこれは…。
(高麗蔵)はい。
私と。
じゃんけんぽい!グーの方。
おめでとうございます。
キャ〜やった〜!待ったかいがありました。
よかったよかった。
画廊も大人気ですね。
はいおかげさまで。
早いうちに売約済みが…。
フフフ。
でも今回この新しくなった歌舞伎座で初めての俳優祭なのでお客様がどういうふうに動くかがねなかなか分からないんですけどももう考えながらみんなで動いてますけども。
又五郎さんにとってもやっぱり初めてのこの新しい歌舞伎座での俳優祭というのはちょっと特別ですか?そうですね。
見て下さい。
行列その先には…海老蔵さんですよ〜。
このTシャツですよね?そうですね。
あっ後ろもすてきな…。
売れ行きどうですか?売れ行きは上々だと思います。
おにいさんのおかげでホントに感謝しかないです。
今回右近さん自らデザインされ…。
見せて下さい。
背中の方はそうですね。
デザインのポイントどんなとこですか?そのまんまでございますね。
毎回販売される俳優祭オリジナルTシャツも人気です。
お願いします。
今日を逃したら買えないよ!もう二度と買えません。
今日だけ買えるのは!俳優祭での売り上げの一部は東日本大震災復興支援へと寄付されます。
(一同)ありがとうございました。
皆様のおかげで完売致しました。
ありがとうございました。
(團子)ありがとうございました〜。
今回初めての俳優祭いかがですか?普通の舞台とは違いますか?もちろん緊張はします。
諸先輩方にお会いさせて頂くのが一番緊張するのでやっぱりもう何ともホントに…。
完売すごいですね。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
ふだんは品切れ続出の商品なんですけれども俳優祭という事でちょっと入荷数多めに致しまして。
はい結構です。
お飲み物は?お弁当。
ありがとうございます。
一家そろっていかがですか?やっぱり今度新しい歌舞伎座で配置が変わったのでどうなるか心配だったんですけどもいい具合に進んでいるんで…。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
ファンと俳優との交流のひとときは大いに盛り上がりました。
仕事して。
仕事中じゃないの?いいの?一方同じ頃舞台で繰り広げられたのは演芸会。
俳優たちによる落語や唄が披露されました。
なぞなぞを出して遊んでたという思い出がございます。
お芝居で一番短い芝居は何だと思いますか?これは「平家女護島」鬼界ヶ島の場でございます。
なぜなら俊寛
(瞬間)で終わると。
(拍手)ありがとうございます。
「ご褒美に何か買って?」。
「始まりやがったな」。
そして俳優祭恒例中村歌江さんたちによるきらびやかな舞踊ショー。
大きな喝采を浴びていました。
(司会)それではこのあとも俳優祭を皆様どうぞお楽しみ下さい。
それではごきげんよう。
さようなら。
(拍手)大いに盛り上がった模擬店の様子お伝えしました。
最後にご覧頂くのは…出演されます尾上菊五郎さんそして中村吉右衛門さんにお話を伺いました。
よろしくお願い致します。
今回俳優祭新しい歌舞伎座になっての初めての俳優祭になりますけれどもどんな思いで迎えてらっしゃいますか?今日は俳優祭で楽しもうという事でございますのでね私ども和気あいあいと楽しくこの第1回目の新しくなった歌舞伎座の俳優祭をやっていこうかなと思ってるんですけど…。
吉右衛門さんはいかがですか?俳優祭というのはもともとお客様との交流を楽しむものでございましてそれがいろいろ発展してきたものでございますので今回もお客様とご一緒に楽しめたらいいなと思っております。
やっぱりいつもの公演とは一味違います?全然違います。
気が楽ですそりゃ。
お祭りですから。
「鈴ヶ森」なんですが俳優祭ならではという事で…。
子どもが大人の役をやって私どもが周りに出るという天地会と申しますかねそういうご趣向でございますので…。
どんなところが見どころでしょう?それが分かってくれるかなって…。
それがちょっと心配ですけども…。
見てる方はもう「え〜っ!」と驚くんではないでしょうか。
「あ〜あ〜あれだ」っていうふうにおっしゃって下さればねいいんですけど。
「あれ一体何だ?」って…。
お二人ありがとうございました。
とんでもございません。
尾上菊五郎さん中村吉右衛門さんにお話を伺いました。
それでは「鈴ヶ森錦繍雲駕」ご覧頂きましょう。
舞台は東海道品川に程近い鈴ヶ森。
お尋ね者の白井権八を捕らえようとしてあの手この手で絡んでくるのは豪華な顔ぶれです。
「鈴ヶ森」ならではの演出もお楽しみに。
脚本は市川染五郎さんによる俳優祭のオリジナルです。
ご覧下さい。
(拍手と柝の音)お〜!何と夜が短くなったものだ。
さっき日がくれたと思ったらもう五つだ。
歌舞伎座には間に合うかな?ああ。
俺たちの商売は夜が書き入れだからな。
俳優祭に来てる方たちもたんと持っているぜ。
こういう内にもいい鴨がかかりそうな…。
(皆々)ものだなァ。
(拍手)ここに居たかここに居たか。
おお和尚か。
何ぞうめえ仕事でもあるのか?いやな今川崎でな何でも鎌倉の飛脚とかで為替の金三百両持った奴がこっちの方へ向かったがまだここは通らねえかい?そんな奴ァ通らねえがまあ一本道だ今にやって来るにちげえねえ。
あ〜それにしても和尚元気そうで何よりだな。
(拍手)みんなにも心配かけたがまた来月からどうか世話になるんでよろしくお願い致します。
(拍手)まあ今日はめでてぇ俳優祭だ。
俺たちもいいおこぼれにあずかろうぜ。
それじゃここで…。
(皆々)がんばれがんばれ!エッサッサ!エッサッサ!エッサッサ!エッサッサ!エッサッサ!エッサッサ!もしお安くしておきますから駕に乗ってやって下さいまし。
何だ駕だ?飛脚が駕に乗って道中がなるものか。
そりゃそうでもございましょうが二本の足で歩くより四本の足でかつがれた方が早うございます。
どうか乗っておくんなせぇ。
いやいやそのようなものはいらぬいらぬ。
いやでもおうでも乗せにゃァ置かねえんだ。
それとも酒手を茲へ出し頼むと云うなら通してやらあ。
そうそうここはね地獄の二丁目っていうのよ!一丁目じゃないんだからね!ぐずぐず云わずと身ぐるみぬいで…。
(皆々)置いていけ。
さてはわい等は物取りよナ。
この街道は物騒と聞いて合点の一人旅。
ゑこそあかさじ出直せ出直せ。
…と云って逃げるのだ。
ええやかましい!早いとこやっちまいやがれ!
(拍手と笑い)いや…。
このようななりにされては江戸へは行かれずまた国もとへも帰られず進退此処に極まったな。
(拍手)ヘイヘイもし雲助様へお願いがございます。
どうか私をお仲間に入れて下さいまし。
仲間にしてやらねえものでもねえが何かツルはあるか?そのツルともうしますのは?俺たちの仲間に入る金のことよ。
そのようなものは持っておりませぬ。
ツルがなけりゃ仲間に入れることは出来ねえ。
ちょっとお待ち下さいまし。
今…。
ちょっとお待ち下さいまし。
さあこれを読んで下さいまし。
なんだこりゃ?手紙じゃねえか。
こりゃ読めねえや。
ちょっと和尚読んでくれ。
読んでくれ読んでくれ。
おいみんなもよく聞いているんだぞ。
何だ?え〜「飛札を持って申し入れ候。
しからばいかなる意趣に候や。
国許に於いて本庄助太夫を討って立ち退き候曲者は白井兵左衛門が伜白井権八と申すもの江戸表に出府致し候に付きお取り押さえ下されたくこの段申し入れ候。
江戸表役人中へ国許役人中」。
そうしてこれが金のツルというのは一体どういう訳だ?はい。
その白井権八と申す侍を捕まえて奉行所へ差し出せば金になるとの事でございます。
そうしてその男の物腰格好年の頃はいくつぐれえだ?はいえ〜さようでござ…あっ!本日お誕生日を迎えられた歌舞伎役者の松本金太郎に生き写しだそうでございます。
そいつは豪儀な話だがなんぞ目印はあるのか?その侍の紋所が丸に井の字でございます。
それじゃあ丸に井の字なんだな。
丸に井の字だとよ〜!そうかそうか。
そんならここで…。
(皆々)がんばれがんばれ。
そんならここでがんばれがんばれ!
(拍手)お約束の場所へ着きましてござります。
どうぞお降りなすっておくんなさいまし。
(観客)高麗屋!見れば辺りは浜辺のようじゃな。
へい。
昼間は安房上総が浮絵のように見えるいい景色のところでございます。
お約束の駄賃をお願い致します。
さようであった。
しばらく待て。
へいありがとうございやす。
(笑い)ヘヘッありがとうございます。
どうもありがとう…。
何だい!何だ二朱かい。
二朱ばかりで夜夜半汗水流して駕なんぞかつぐものか!欲しきゃ手前に…くれてやらあ。
おっもったいねえ。
それじゃあこれは俺が貰っておこう。
俺たちの駕に乗ったからにゃ持ってる物はありったけ…。
身ぐるみ残らず…。
(両人)置いてゆけ!さてはわいら物取りよな。
何だ物取りだ物取りたあ何のことだ!あっいて!
(皆々)おうおうどうした?どうした?これはこれはお侍様。
あの者が無法なことを致しましてさぞお腹が立ちましょうが。
これがほんのかったい棒うちとやら。
どうぞご了簡なすって下さいまし。
(皆々)やや丸に井の字だ!待て!待て待て待〜て!
(観客)高麗屋!身が紋所が丸に井の字ならその方共は何と致す。
おお酒手を…。
(皆々)ねだるのだ!何と!おたずねものの…。
(皆々)白井権八!や!たたんじまえ!お〜合点だ!おっ。
あ〜痛たたた!
(観客)高麗屋!
(拍手)
(観客)金太郎かっこいい!
(笑い)
(拍手)やっこの野郎め!見っけ!ほっよっ!
(笑い)うわ〜!やっ!
(拍手と笑い)
(拍手)ほっ!
(拍手)た〜っ!
(拍手)
(観客)高麗屋!
(拍手)ああっ!
(笑い)数が合わねえ!
(拍手)あっ弟。
(笑い)最初はグーじゃんけんぽい。
あいこでしょい。
(笑い)最初はグーじゃんけんぽい。
(笑い)最初はグーじゃんけんぽいあいこでしょい。
あ〜あ〜。
(笑い)やられた〜!やられたぞ〜!
(拍手)
(拍手と笑い)
(拍手)
(拍手と笑い)
(拍手)あ〜!あ〜!何でこうなっちゃうのよ!あっあっあ〜っ!
(拍手)
(鳴子の音)
(鳴子の音)
(観客)大和屋!
(鳴子の音)
(拍手)しめたぞ!
(皆々)しめたか!しめたぞ!
(皆々)しめたか!しめたぞしめたぞ…!
(皆々)しめたかしめたか…!しめられた!
(拍手)
(笑い)
(拍手)
(拍手)危ねえことな。
ああ〜!鼻鼻鼻…。
(拍手)
(拍手)うわっ!あっああ…。
うわっああ…。
あ〜!あっ…。
あっあっああ…。
(拍手)
(「ハッピーバースデートゥユー」)
(拍手)
(「ハッピーバースデートゥユー」)
(拍手)うわ〜!ハハハッ…!
(両人)うわ〜!
(拍手)
(拍手)
(拍手)うわ〜!
(笑い)
(拍手)
(拍手)
(拍手)
(拍手)
(観客)お誕生日おめでとう!
(拍手)あっ!ああ…。
よっ!
(笑い)
(両人)うあっああ…。
(拍手)
(笑い)
(拍手)
(拍手)
(皆々)うわ〜うわ〜!
(観客)高麗屋!
(観客)高麗屋!お若えの待たっせえやし。
待てとお止めなされしは拙者がことでござるよな。
左様さマァお刀をお納めなせえやし。
(観客)高麗屋!
(観客)音羽屋!こぶしもにぶき生マ兵法お恥ずかしゅう存じまする。
してどれからどれへお通りでごぜえやす。
勝手存ぜぬ東路へ中国筋よりはるばると一人旅とかあなどって無礼過言の雲助共雉子も啼かずば撃たれまいに益ねえ殺生致してござる。
ハテ大丈夫往来端に犬の餌食。
決して口外は致しませぬお気遣えなせえやすな。
そこ許の御家名聞かぬその前に名乗る拙者が姓名は因州の産にして当時浪人白井権八と申す者。
スリャ若えのに権八様とな。
シテそこ許の御家名は。
問われて何のと名乗るほどの町人でもごぜえやせぬ。
江戸で噂の花川戸幡随院の長兵衛というけちな野郎でごぜえます。
(拍手)あの幡随院の。
おっとどっこい何の役にも立たねえ奴だが弱え奴ならよけて通し強え奴なら向う面はばかりながら達師のはしくれ阿波座鴉は難波潟藪鶯は京育ち吉原雀を羽交えにつけ江戸で男と立てられた男の中の男一匹いつでも尋ねてごぜえやし陰膳すえて…。
(観客)音羽屋!待って居りやす。
(拍手)御親切なるそのお詞。
こりゃおめえさんのじゃごぜえやせんか。
「飛札を以て申入候然らば如何なる意趣に候や国許に於ておじ本庄助太夫を討って立退き候…」。
ちょっとお見せなせえ。
ハテまあお見せなせえやし。
なになに「国許に於て本庄助太夫を討って立退き候曲者は白井兵左衛門が伜」…。
権八さんの苗字も確か。
やあ!これでこれで何にも白井氏。
武士も及ばぬ。
水にうつりし人影は!エイッ!まちゃあがれ。
(長兵衛)そいつも正しく。
彼等が同類。
切っておしめえなせえやし。
あ〜っ!あ〜っ!あっぱれ手の内。
長兵衛どの。
権八つぁん。
あ〜っ!ゆるりと江戸で。
(観客)高麗屋!
(両人)逢いやしょう。
(拍手)
(拍手)
(拍手)「鈴ヶ森錦繍雲駕」ご覧頂きました。
ここまで第37回俳優祭のもようをお伝えして参りました。
皆さんお楽しみ頂けましたか?早くも次回の開催が楽しみですね。
それではこの辺りで失礼します。
2014/06/07(土) 12:30〜14:55
NHKEテレ1大阪
熱演!爆笑!歌舞伎の夢舞台 第37回「俳優祭」[多][字]
数年に一度、歌舞伎俳優ほかによるファン感謝デー「第37回俳優祭」(3月27日・歌舞伎座)の模様を、ファンの熱気に満ちた現場のリポートとともにお届けします。
詳細情報
番組内容
「六歌仙容彩」(ろっかせんすがたのいろどり)人間国宝から花形俳優まで夢の共演。▽素踊り「楠公」(なんこう)総勢30余名の素顔の俳優たちによる迫力ある群舞。▽「鈴ヶ森錦繍雲駕」(すずがもりにしきのくもかご)思いがけない配役と抱腹絶倒のアドリブが飛び出す俳優祭ならではの一幕。▽幕間は、人気歌舞伎俳優がお店の売り子を勤める模擬店をレポート。活気あふれるファンと俳優のふれあいをお伝えします。
出演者
【出演】坂田藤十郎,尾上松緑,中村芝雀,中村勘九郎,尾上菊之助,中村七之助,市川染五郎,中村時蔵,市川海老蔵,坂東玉三郎,竹本葵太夫,鶴澤寿治郎,清元延寿太夫,清元美治郎,杵屋巳津也,杵屋巳太郎ほか
ジャンル :
劇場/公演 – 歌舞伎・古典
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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