(メイヤー)このラッコの赤ちゃんはビーチに打ち上げられていました。
生後8週以内のオスです。
アメリカカリフォルニア州の沿岸。
ここでは野生のラッコの保護・研究活動が行われています。
研究員のカール・メイヤーはこれまで数百匹のラッコの赤ちゃんを保護してきました。
幼いラッコが母親からはぐれて浜に打ち上げられるケースもありますがこの子の場合年齢と状況から考えて違うようです。
恐らく母親の身に何か起きたかあるいは十分なエサがないために親に捨てられたかのどちらかでしょう。
海にメスの姿はないし母親が子供を呼ぶ鳴き声も聞こえません。
この子はかなり衰弱しています。
水族館に連れて帰り今後の対応を決めなくてはなりません。
幼いラッコを保護し可能な限り野生に戻す世界でも珍しい活動に密着します。
アメリカカリフォルニア州のモントレー湾水族館。
年間200万人近い人々が訪れます。
この水族館には観客の目には触れないもう一つの重要な仕事があります。
巨大な水槽の裏側には海洋生物の研究施設があります。
研究員たちはこのエリアの海洋生物を監視し24時間体制で傷ついた動物を救う試みを行っています。
メイヤーが浜辺で保護したラッコの赤ちゃんが水族館の研究施設に運び込まれました。
かなり体力を消耗しているようです。
処置によって幼いラッコの命が救われるかもしれません。
(獣医師)弱っているが傷はないし状態は悪くないようだ。
かつて保護されたラッコの運命は2とおりでした。
手の施しようのない場合は安楽死の処置が取られ回復した場合はどこかの水族館に引き取られるのです。
しかしこの水族館は3つ目の選択肢を実現させました。
幼いラッコを育てて海に帰すのです。
この赤ちゃんラッコをどうするのか結論はまだ出ていません。
研究施設では通報を受けて週に何度もラッコの保護に向かいます。
これまでに海に戻したラッコの追跡調査も行っています。
もし弱っているようであれば再び捕らえて治療のために連れ帰る事もあります。
この辺りは世界有数のラッコの生息域です。
波のうねる外海や入り江に広がる湿地帯もあります。
この日も母親と離れた幼いラッコが保護されました。
生まれたばかりの小さなメスです。
モントレー湾水族館からおよそ200km南の海岸で発見されました。
水族館が1984年に保護活動を開始して以来501番目に救出されたため501号と名付けられました。
生後およそ3日のメスの赤ちゃんです。
今朝ここに連れてこられました。
状態が安定したらラッコの赤ちゃん用のミルクを哺乳瓶で与えます。
ちゃんと飲めるようになれば生き延びる希望はあります。
しかしこの子は母乳をほとんど飲んでいないので十分に免疫が発達していません。
無事に育ってくれるか心配です。
最悪の場合安楽死させなければいけないかもしれません。
この数時間が501号の生死の分かれ目となります。
もし無事生きられたとしても保護されたラッコが元いた海に戻るのは簡単な事ではありません。
カリフォルニア州のモントレー湾水族館は海洋保護区に面しています。
海洋生物の保護活動には理想的な場所です。
岩場と砂浜が入り組む複雑な海岸線には多種多様な珍しい生き物が住んでいます。
食料が豊富で天敵が限られているためここはラッコにとって恵まれた環境です。
このような場所なら保護されて元気になった幼いラッコをすぐに海に戻せると思うかもしれませんが実際は違います。
ラッコの子供がひとりで生きられるようになるまでには多くの事を学ぶ必要があるのです。
獲物の選び方や食べ方毛繕いなど生きるために必要な知識の多くは生まれつき備わっているものではありません。
幼いラッコは母親から生きるすべを教わります。
研究施設の屋上にラッコのための学習用の水槽があります。
命を取り留めたラッコの子供はここで訓練を受けます。
動物飼育の専門家の助けを借りて幼いラッコは徐々に生きるために必要な事を学んでいきます。
ラッコの世話はかなりの重労働です。
幼いラッコはひとりでは何もできなくて本当に手がかかります。
生まれたばかりの子供は水に浮かぶ事くらいしかできないんです。
毛繕いもエサを探す事も泳いで進む事もできません。
人間の赤ちゃんと同じ。
寝て食べて排泄するだけです。
私たちが何もかもしてやらなくてはなりません。
母親代わりです。
世界でも珍しいラッコの保護研究プログラムは1984年に始まりました。
その年偶然一匹のラッコが保護されたのをきっかけに水族館ではラッコを育てて野生に戻す取り組みを始めました。
前例のない手探りの挑戦でした。
取り組み始めた頃は片ときもラッコから離れられませんでした。
夜も水槽で一緒に眠っていたくらいです。
研究員たちは母親のまねをしました。
ダイビングスーツで海に入り赤ちゃんラッコの毛繕いをしたりエサを与えたりしました。
幼いラッコと私たちは強い絆で結ばれました。
そばをちょっと離れただけでも赤ちゃんラッコが鳴き叫ぶほどでした。
しかしやがて人間との絆が強すぎるのはラッコを野生に戻す上で望ましくない事が分かってきたんです。
人が育てて海に戻したラッコのうち最初の1年を生き抜く事ができたのは僅か10%程度でした。
しかしその状況はあるラッコのおかげで大きく変わります。
2001年一匹のメスのラッコが水族館で出産しましたが子供は死んでしまいました。
研究員はこのメスに保護されたばかりの一匹の赤ちゃんラッコを引き合わせてみました。
すると驚いた事にメスはその赤ちゃんを受け入れ我が子同様に育て始めたのです。
この出来事をきっかけに保護された赤ちゃんラッコを母親代わりのメスに託し育ててもらうという方法が生まれました。
最初に母親代わりを務めたメスは「トゥーラ」と名付けられました。
研究施設ではトゥーラのように子供を育ててくれるメスのラッコを集めました。
その結果10年間で46匹の赤ちゃんが無事成長し海に戻されました。
これらのラッコは人間が育てたラッコよりも野生の能力に優れおよそ3分の2が海での最初の1年を生き抜きました。
現在研究施設では赤ちゃんラッコが人間に慣れすぎないように配慮しています。
真っ黒な上着と溶接工のマスクは人間の姿を隠すためのものです。
(ハザン)全身黒ずくめで視線も合わせないようにしています。
幼いラッコが人間に懐かないようにするためです。
また人間の方もラッコに愛着を持ちすぎないよう距離を保つようにしています。
保護されたばかりのラッコ501号にミルクを与える時間です。
501号の診察が全て終わりました。
反応がよく警戒心があり頭がいい子です。
健康状態も良好ですね。
メイヤーは501号を母親代わりのメスに託したいと考えています。
そうすれば再び海に戻す事ができるかもしれません。
しかしまだ1か月以上隔離して注意深く見守る必要があります。
まずは研究施設が開発したラッコ用の粉ミルクを与える事から始めます。
母乳をほとんど飲んでいない501号は免疫力が低下しています。
保護された赤ちゃんラッコにとってこの時期はとても危険です。
十分に栄養をとり体調が安定するまで数週間かかるでしょう。
固形のものを食べられるようになりある程度自力で泳げるようになったら新しい母親に引き合わす予定です。
野生のラッコの子供は母親のまねをして生きるすべを学びます。
最初のレッスンは食べる事。
ラッコは毎日多くのエネルギーを消費するため食欲旺盛です。
ラッコが好む食べ物の一つがハマグリやアサリなどの二枚貝です。
おなかに載せた石を使って貝を上手に割ります。
幼いラッコがこうした技を習得するまでには長い時間がかかります。
501号が哺乳瓶でミルクを飲み始めてから4週間がたちました。
この日初めて固形の食べ物に挑戦する事になりました。
与えるのは貝を刻んだものです。
メイヤーは501号に貝殻を打ちつける音を何度も聞かせます。
(貝を打つ音)食事の際には必ず貝殻の音を聞かせています。
ゆくゆく母親の行動を見た時にまねしやすくするためです。
今のところ501号はとてもよくやっていて順調に目標を達成しています。
生まれたばかりのラッコは泳ぐ事さえできません。
水面にただ浮かんでいるだけです。
母親がいない分我々がその穴を埋めなければなりません。
ラッコの赤ちゃんの体毛は水に浮きやすく泳げなくても沈む事はありません。
しかし自然界ではそのままでは潮に流されてしまいます。
そこで母親は食べ物を探す間我が子に海藻を巻きつけつなぎ留めておきます。
波の高い外洋に出ていく時は母親は子供を口にくわえて離さないようにします。
一方モントレー湾から30kmほど北エルクホーン湿地帯と呼ばれる入り江には波がほとんどありません。
エサが豊富なこの場所はカリフォルニアでも有数のラッコの楽園です。
メイヤーたちがこれまで保護して野生に帰したラッコは全てこの場所に戻されました。
501号も順調にいけばここで生きていく事になるでしょう。
保護されてから1か月余り501号はまだ新しい母親との対面を果たしていません。
しかし研究員たちから生き抜くために必要な事を徐々に学習しています。
これもその一つ。
ラッコにとって毛繕いは生死に関わる大切な作業です。
毛繕いは食べる事と同じくらい重要な日課です。
赤ちゃんは自分で毛繕いができません。
私たちが代わりにしてやらないと水にぬれて体温が下がり死んでしまいます。
ラッコが冷たい海で体温を保てるのは密度の高い体毛のおかげです。
しかし体毛が汚れるとその効果は失われます。
そのためラッコは常に舌でなめたり水面で回転したりして毛並みを整えます。
しっかりなめる事で外側の毛に膜が張り水をはじきます。
更に体毛の間にたっぷりと空気を含ませる事で断熱と水に浮く効果が得られるのです。
この優れた体毛ゆえにラッコはかつて絶滅の危機に追いやられた事があります。
ラッコは数百年前までアジア北部の太平洋沿岸からアラスカカリフォルニアに至る広大な海域に生息していました。
しかし18世紀の半ばラッコは毛皮目当てに狙われるようになりました。
20世紀の初めにはカリフォルニア周辺のラッコは乱獲によって絶滅したと見なされていました。
その後1938年にカリフォルニア中西部の海岸でラッコの小さな群れが見つかりました。
数はおよそ50匹。
カリフォルニアでの最後の生き残りでした。
現在カリフォルニアの海に住むラッコはその時の50匹の子孫です。
生息数はおよそ2,800匹に増えました。
しかし絶滅の心配がなくなったとは言えません。
なぜならラッコの群れは限られた地域に集まっているためもし船から重油が漏れたり局地的な災害が起きたりすればたちまち減少してしまうからです。
アメリカではラッコは絶滅危惧種保護法で守られています。
幼いメスのラッコ501号が保護されてから58日が経過しました。
体重は6kgを超え元気いっぱいです。
間もなく新しい母親との対面です。
果たして501号は新しい母親に懐き生きるために必要なすべを習得する事ができるのでしょうか。
母親代わりのメスはトゥーラです。
研究施設で初めて自分の子ではないラッコを育てました。
501号はトゥーラの11番目の養子になります。
これから501号を水槽に放しトゥーラと対面させます。
501号は少し人間に慣れ始めているので新しい母親に引き渡すなら今だと思います。
あとは2匹がうまくいくように祈るだけです。
501号が研究施設で別のラッコと接するのは初めてです。
強く警戒しています。
隠れたまま出てこようとしません。
トゥーラの方もあまり相手に関心がないように見えます。
トゥーラはどちらかというと自分からすぐに子供に寄っていくタイプではありません。
相手に慣れるまでに時間がかかりしぶしぶ子育てを受け入れるんです。
今回も焦らずに様子を見る必要があります。
何時間たっても何も起こりません。
501号はまだ自力で食料を取る事ができないため一旦連れ戻す事になりました。
人間の手で世話をし明日また水槽に戻します。
2匹は一日中距離をとったままでした。
しかしあまり悲観的に考えてはいません。
明日に期待しています。
次の朝。
501号を再び水槽に放します。
トゥーラが興味を示しています。
501号はまだ警戒しています。
3日目に入るとトゥーラが行動を起こし始めました。
私たちは遠くから観察しているんですが2匹は明らかに少しずつ距離を縮めています。
まだ親子のようではありませんがうまくいきそうな気がします。
そして5日目。
結果はこのとおりです。
トゥーラは501号を受け入れ501号もトゥーラに身を委ねています。
501号は大きな一歩を踏み出しました。
そしてここからが正念場です。
幼いラッコは生まれてから6か月の間に急速に成長し独り立ちの準備を整えます。
501号も野生にかえるために必要な事をトゥーラからたくさん学ぶ必要があります。
生後2か月を過ぎた501号は自分で食料を食べる練習を始めます。
研究員たちは水槽にアサリなどの貝をまきトゥーラと501号の様子を見守ります。
(ハザン)トゥーラは母親らしい気遣いにあふれています。
貝を食べるお手本を示しながらエサをせがむ501号に分け与えます。
ほのぼのとしたすてきな眺めです。
トゥーラが赤ちゃんラッコを適切に育ててくれるので私たち研究員はほっとしています。
二枚貝の次はより扱うのが難しい生きたカニに挑戦します。
野生のラッコの大好物です。
トゥーラのそばで501号も興味津々です。
熱心にせがみついにトゥーラからカニを奪い取ります。
(501号の鳴き声)カニに鼻をはさまれ早速痛い目に遭いました。
幸いトゥーラがすぐにカニを引き離してくれました。
幼いラッコが一度は経験する失敗です。
次の課題は水に潜る事。
ラッコの食べ物はほとんどが海の底にあるからです。
501号は10日ほどで二枚貝の開け方を習得しましたがまだ水槽の底にある貝を採る事はできません。
水に浮きやすい赤ちゃんの体毛が生え変わり少しずつ水槽の底に近づけるようになりました。
しかし自然界で生き抜くためにはあと数週間で潜りの達人にならなくてはなりません。
モントレー湾でラッコは二枚貝や巻き貝カニや小さな海の生物など60種類以上の生き物をとって食べています。
1つ食べ終えると次の獲物を取りにすぐ海に潜ります。
ラッコの体には厚い脂肪の層がなく冷たい海で体温を保つには膨大なエネルギーが必要です。
そのため毎日体重の25%もの量を食べるという記録もあります。
体重30kgの標準的なラッコの場合アサリ400個分に相当します。
それほどの量を毎日とるのは大変です。
しかも母親は幼い子供も養わなければなりません。
1985年以降アメリカではカリフォルニアに生息するラッコの個体数調査が実施されています。
野生動物の専門家でも波間に浮かぶラッコを数えるのは簡単な事ではありません。
調査の結果ある気になる事実が判明しました。
かつて緩やかに増加してきたラッコの個体数が十数年前から減少に転じている可能性があるのです。
何らかの環境的な要因が懸念されています。
501号がトゥーラと過ごすようになって3か月がたちました。
生後5か月になる501号はトゥーラのおかげで水槽の底から貝を上手に採ってくる事ができるようになりました。
しかし水槽の中でどんなに上手にできても自然界にはたくさんの難題が待ち受けています。
そして避けられない危機もあります。
(ハザン)海に傷ついたラッコの母親と子供がいるとの通報がありました。
状況を確かめに行くところです。
(ハザン)向こうに子供が!どこだ?あっちよ!よし!袋を貸して。
(ハザン)到着した時母親は息絶え赤ちゃんラッコが母親にしがみついて鳴いていました。
母親も引き上げよう。
(ハザン)よしよし。
サメにかまれたの?ひどくね。
ほら。
母親のラッコがサメに襲われその子供が生き延びたケースはこれまでほとんどありません。
(ハザン)この子は無事保護されてアメリカ国内の水族館に引き取られる事になりました。
母親は気の毒でしたが不幸中の幸いです。
ラッコがサメに襲われて死ぬケースは15年前と比べて3.5倍に増加しています。
カリフォルニア沿岸でゾウアザラシの数が増えそれを狙うサメが海岸近くに現れるようになった事が原因の一つと言われています。
更に近年モントレー湾では海洋汚染が進みラッコが病気や死の危険にさらされていると指摘されています。
このオスのラッコは排水溝の近くで好物の貝をあさっています。
貝類は大量の水をろ過しながら栄養分を取り込みます。
工場排水などに含まれる微量の毒物は貝の中に濃縮されてたまります。
ラッコはそうした貝を大量に食べているのです。
501号が保護されて5か月余り。
研究員たちは夜間人けのない水族館にトゥーラと501号を運びました。
展示用の水槽を使って501号に深く潜る練習をさせます。
水槽の深さは4.3m。
トゥーラに伴われて501号は初めて実際の海に近い深さを体験しました。
水族館の水槽で501号に与えられる経験はここまでです。
実際の海はなまやさしい環境ではありません。
研究員たちの努力にもかかわらず海に戻したラッコの5匹に1匹は間もなく死んでしまいます。
研究施設がラッコを救うためにこれほどの時間と労力をかけているのには理由があります。
ラッコが海の生態系において重要な役割を担っているからです。
ラッコが生息しているのはケルプという海藻が豊かに生い茂るカリフォルニア沿岸の海域です。
こうした「海の森」にはアマゾンの熱帯雨林よりも多種多様な生物が暮らしています。
それらの全てが食料や住みかとしてケルプに依存しています。
ラッコはケルプを食い荒らすウニを食べ海の森とそこに暮らす生き物を守る役割を果たしてきました。
ウニを食べる捕食動物は少ないためもしラッコの数が少なくなればウニが増えケルプが食べ尽くされてしまうかもしれません。
1匹でも多くラッコを海に戻す事は自然を守る大きな意義があると研究員たちは考えています。
501号を海に戻す準備は最終段階を迎えました。
501号の体に無線送信機が埋め込まれます。
手術は獣医師によって行われます。
(獣医師)麻酔が効いたようだな。
(看護師)ええ。
海に戻された直後の数週間は特に危険です。
送信機は501号を危険から救うための命綱になります。
3週間後手術の傷も癒え501号は何事もなかったかのように元気に過ごしています。
いよいよ最も困難な挑戦が始まります。
501号は生後2か月でトゥーラに託されおよそ5か月間トゥーラに頼って生きてきました。
トゥーラは母親のように501号に生きるすべを教えました。
しかしトゥーラが501号のもとを離れる時が来ました。
(鳴き声)トゥーラを捜して鳴き続ける501号。
野生のラッコにとって親離れの経験は避けられないものです。
501号が海へ戻る時が来ました。
今日501号をエルクホーン湿地帯に放します。
ここならラッコを追跡調査し何かあった時に対応しやすいからです。
海に放す瞬間はやはりとても緊張します。
最初の2週間が最も危険が多く命を落としやすいんです。
そもそも501号は生まれてすぐに危険な目に遭ってるんです。
12の3!501号はこれから大変な目に遭いすぐには新しい環境に慣れないでしょう。
そう分かっているだけに見送るのは内心つらいですね。
(ハザン)不安はありますが何とか無事に生き延びてくれるよう祈っています。
研究員たちは海に戻した501号の観察を続けています。
経過はあまり思わしくありません。
3日間で501号が口にした食料はほんの僅かでした。
弱っていないかとても心配です。
この3日間食べた量にひどくむらがあり体重も少し落ちているようです。
水深の浅いぬかるみに入り込んだ501号を捕獲して救出する事にしました。
泥だらけの水の中にいるのを見つけました。
姿が見えるのは息継ぎのために水面に上がってきた時だけです。
その一瞬を待ち構えて網ですくう作戦です。
時間がかかると501号が更に消耗してしまいます。
数時間後ようやく網ですくう事ができました。
すぐに研究施設に連れていき健康状態を調べました。
体重が10%ほど減っています。
左上の犬歯が3mmほど欠け何かの感染症にもかかっているようです。
しかし命に別状はありません。
体力を取り戻したらもう一度海に戻す事ができると思います。
およそ1か月後。
元気になった501号を再び海に戻します。
もう一度やり直しです。
健康状態も体重も元に戻りました。
一度目は失敗に終わりましたが501号はきっと初めての海でさまざまな経験を積んだはずです。
そうあってほしいですね。
何より早く食料を十分にとれるようになる事を願っています。
501号の再チャレンジが始まります。
研究員たちは保護したラッコを海に戻すためにこれまで膨大な時間と労力を費やしてきました。
この研究プロジェクトの目標はラッコの数を増やし豊かな海を守る事です。
501号の未来はラッコの保護プログラムの未来にも関わっています。
最終的にこのプロジェクトが成功したと言えるのは海に帰したラッコがきちんと繁殖しラッコの個体数増加に貢献した事を確認した時です。
そうでなければただ単に野生のラッコのエサ場を脅かしているだけとも言えるからです。
このプロジェクトが成功すると確信するまで長い時間がかかりました。
今は確かな手応えがあります。
501号の挑戦は私たち人間の挑戦でもあります。
一匹の小さなラッコを大事に思う気持ちと豊かな海を守りたいという情熱が501号の命をつなぎとめ再び海に帰る日をもたらしました。
501号が海に戻ってからおよそ1年後。
巧みに獲物を取る姿が確認されました。
そしてその傍らには小さな子供がいました。
501号の最初の子供です。
しかし寂しいニュースもあります。
母親代わりを務めたトゥーラが501号が海に戻った数か月後高齢のために亡くなりました。
トゥーラは多くのラッコの赤ちゃんを守った偉大な母親でした。
トゥーラが育んだ命は今501号とその子供に受け継がれています。
象だ。
大きいね。
2014/06/07(土) 19:00〜19:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「ラッコの赤ちゃんを救え!〜“501号”が海に帰る日〜」[二][字]
生後3日で保護された赤ちゃんラッコが水族館で野生に戻るトレーニングを受ける。“養母”のラッコも登場。水に深く潜ることすらできない赤ちゃんは無事、海に戻れるのか。
詳細情報
番組内容
世界有数のラッコの生息地、米カリフォルニア。モントレー湾水族館では母親と分かれた赤ちゃんラッコを保護し、野生に戻す取り組みを行っている。今回のラッコは501番目に保護されたため「501号」と名づけられた。人になつかないよう、顔をマスクで覆った飼育員が世話をする。一方、泳ぎや食料を得る方法など野生で生きるすべを教えるのは子育て経験のあるラッコ。言わば養母だ。苦難続きの半年を追う。(2013年米国)
出演者
【語り】渡辺徹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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