イッピン「素朴で温か ふだん使いの美〜栃木 益子焼〜」 2014.06.08

さあ皆さんお待ちかね!登場するのは日本生まれのイッピン。
優れた技が生み出す珠玉の宝。
きょうはどんな技が飛び出すのか?のんびりとした午後のひととき。
素朴でほっこりした器がコーヒータイムにぴったりですね。
かわいい!すご〜い。
そんな器が大好き!すてき〜。
この器は栃木県で作られている益子焼。
ぬくもりの感じられるおしゃれで柔らかな雰囲気が女性を中心に大人気。
きょうのイッピンは暮らしを彩るふだん使いの器益子焼です。
栃木県益子町。
400を超える窯元が集まっています。
山あいにあるカフェーを訪ねた豊田さん。
ちょっと気になるコーヒーカップに出会いました。
手になじむ感じがしてすごく好きな形です。
益子焼の色合いとか厚みのあるデザインとかは結構前から好きでした。
どういう感性の人が作っているのか実際お話してみたいと思います。
あっ工房がありますよ!訪ねたのは森に囲まれた1軒の工房。
すいません。
今注目の陶芸家の一人です。
足で動かしてるんですね。
そうなんですよ。
すごい〜。
今は何を作ってるんですか?今は椀を。
ずっと益子で生まれ育ってって感じですか?ううん出身は広島で。
全然遠い所だ。
益子の蹴りろくろに憧れて。
へぇ〜。
すご〜い。
足で蹴って回す「蹴ろくろ」。
電動式のろくろとは違い回る速さにむらが出ます。
田尾さんは蹴ろくろが生み出す器の微妙な表情を大切にしてきました。
田尾さんの仕事は土づくりから始まります。
そのままでは粘土にならないので不純物を取り除き自分だけの土を作ります。
益子の土は比較的砂が多いためざらっとした野性味のある味わいを出すことができます。
私もやっぱり料理がおいしく見える器を探していて田尾さんのこれとか煮物を入れたらすごくおいしそうです。
わりとシンプルなので。
シンプルだから料理が主役にもなりますね。
器もすてきだし。
使いやすい器を作る。
そこにはどんな技があるのでしょうか?田尾さんが用意したのは厚みが異なる2種類の器。
これとこれってどっちが軽い感じだと…?2つの器の大きさはほぼ同じ。
左は厚みがありぽっちゃりとした形。
右は薄くスッキリ。
さてこの2つどっちが軽いと思いますか?ぱっと持ち上げた時にすっと持ち上がります。
そうなんですね。
重く見えるのに。
そうなんです。
こっちのほうが軽いですよね。
実際はどうなのか。
まず薄い器の重さを量ってみると。
263です。
そして厚い器。
あ〜!一緒なのに。
不思議。
なんと2つは同じ重さだったんです!切ってみます。
その秘密は一体どこにあるのでしょうか?器の厚さを比べてみます。
軽く感じる方は厚みが均一。
重く感じる方は底に向かって厚みを増している事が分かります。
実は重さの感じ方の違いは重心の位置と関係がありました。
軽く感じる方は重心が器のほぼ中央にあります。
一方重く感じる方は重心がより下にあり持ち上げる時に指にかかる力が大きくなるのです。
これが重く感じる理由でした。
日常の器として使ってもらうのが焼き物屋冥利に尽きるから「使いやすいですよね」って言われるのが一番うれしいかな。
ぽってりとした厚みが魅力の益子焼。
使いやすく仕上げる工夫がありました。
ファッションの街東京・原宿。
ここでも益子焼は注目を集めています。
おしゃれな洋服や雑貨を扱うセレクトショップ。
販売を始めた2年前から若者を中心に人気だといいます。
やっぱり色とかデザインが…何て言うんですかね…。
今見てもモダン?同じ形でデザインのはずでも少しずつ顔が違いますよね。
やはり皆自分の好きな一つを見つけたいという気持ちの方が多かったようでとても人気で好評を頂きました。
モダンで豊かな色彩。
そこに益子焼のもう一つの魅力があります。
焼き物は水漏れを防ぎ色を付けるために釉薬をかけて焼きます。
益子にも地元で手に入る木の灰や鉱物金属などを混ぜたたくさんの釉薬が伝わってきました。
ここでちょっとクイズ。
3種類の木の灰を材料にした釉薬。
どんな色に仕上がるんでしょうか。
正解はご覧のとおり。
灰によってこんなに表情が変わるんですね。
更に複雑な色を出す技も伝わっています。
益子を代表する窯元の三代目。
この窯は益子焼を一躍有名にした人間国宝の濱田庄司が大正時代に開きました。
以来ここでは斬新な色を作るためにさまざまな試みを行っています。
伝統を踏まえつつ華やかな色と模様を多用したデザインが特徴。
それが東京のセレクトショップの目に留まりました。
丁寧に作る手づくりの工芸というそこは大事にしたいなという感じはありますね。
現代的な造形とかデザインのセンスも取り入れたいなと思ってます。
ここにはある珍しい技法が。
これが濱田窯の塩窯ですね。
しおがま?塩と何か関係があるんでしょうか?これが塩ですね。
天然の粗塩で海水塩ですね。
一体塩を使って何をするんでしょうか。
窯の温度が1300℃になった時こうして塩を投げ込みます。
塩窯で焼くとご覧のとおり!こんなに複雑な色や模様が現れます。
塩の働きで細かい凹凸が現れます。
ゆずの実の表面のように見えることから「ゆず肌」と呼ばれます。
塩窯の器ならではの美しさです。
土肌と塩の感じが非常にいいですね。
塩を入れることでより変化に富んだ色になります。
ちょっとゆず肌になって。
しかも場所によってさまざまな発色の変わりもありますしそういうことも含めて非常に面白い窯ですね。
益子焼の歴史は幕末に遡ります。
江戸に近いことから器の産地として発展。
特に大型の水瓶や壺が多く作られました。
益子焼の名前を全国に知らしめたのが陶芸家の濱田庄司です。
素朴な生活雑器に心ひかれた庄司は大正13年益子に移り住みます。
そして仲間と共に生活用具の中に美を見いだす「民芸運動」と呼ばれる活動を行ったのです。
彼らの活躍により益子焼は世界的に名を轟かせイギリスを中心に海外の人々をも引き付けました。
益子焼に引かれ外国からこの町にやってくる人もいます。
ハービー・ヤングさんはアメリカ・カリフォルニアの出身。
30年前益子に窯をひらき作品を作り続けています。
ヤングさんの作品。
益子焼らしい土の質感を生かした温かい作風です。
益子の生活焼き物生活は面白い。
すばらしいと思いましたから思い切り頑張りましたね。
私の作品を見たら「この器は益子焼じゃないですか」と思ってほしいです。
次に訪ねたのは…。
よいしょ。
おっ見えてきた。
この秋オープンしたばかりの話題のショールーム。
おしゃれだな。
こんにちは。
はじめまして。
いらっしゃいませ。
豊田エリーと申します。
よろしくお願いします。
わ〜!ずらりと並んでいるのは大きな鉢。
あれ?どれも底に穴があけられていますが。
実はこれ今人気の陶器製の手洗い鉢なんです。
レストランなどで見かけることも多いですが最近では個人の住宅に取り付ける人が増えています。
これなんかは金物が付くんですけどね。
金物が見えるのが嫌という方のために…。
おしゃれ!こういう金物カバーが。
そうなんですか。
値段は3〜4万円。
オーダーメイドで大きさや色形なども思うがままです。
作者が400人。
400人!窯元が400人いますので自分の色を出そうと人とは違うものを作りたいところもある。
手洗い鉢は直径35センチ以上ある大きな焼き物。
さてそこにどんな技があるんでしょうか。
手洗い鉢を作る職人の一人を訪ねました。
伝統工芸士の…あっ大きいのがありますね。
あちら乾かしてるところですか?そうですね。
乾かしてます。
この道47年。
益子伝統の大きな壺や大皿を手がけてきました。
大皿を作る技術を生かして6年ほど前から手洗い鉢も作るようになりました。
まずは粘土を適当な大きさに練り上げます。
すごい。
出来上がりです。
こうなるんですね。
小さいものと大きいものを作るので何がいちばん違いがありますか?まず力が全然違いますね。
そうなんですね。
あと芯を出すのが結構難しいんですよね大きいのは。
「芯を出す」とは一体どういうことなんでしょう?ろくろを回転させた時粘土とろくろの中心が合わないと器は歪んでしまいます。
水と泥をつけた手で粘土を中心に寄せていきます。
赤い丸が回転するろくろの中心。
これが「芯が出た」状態。
もし芯を出さないとどうなるんでしょうか?大塚さんにあえて芯を出さずに作ってもらいました。
大きく歪んで形になりません。
こうなるともう直すことができません。
大塚さん芯が出ると粘土をどんどん高くしていきます。
一体なぜなんでしょうか。
大きな陶器を作る場合まず粘土を筒状に高く盛り上げます。
すごい手品みたい。
難しいんですか。
器の外側に指を力強く押しつけ粘土を上に持ち上げ高くしています。
この時同時に右手は内側からも力を加え一定の厚みを作ります。
今度は真上から見てみましょう。
粘土は一度横に広げてしまうと厚みを持たせることができません。
そのためこうして持ち上げながら厚みを作っていきます。
厚みを決めると一気に横に広げ鉢の形に整えます。
これが長年培ってきた大型の陶器を作る技。
こちらで薬掛けをするんです。
手洗い鉢の仕上げ釉薬を掛けるところを見せてもらいました。
これがそうですか?下地の透明釉なんですけど。
これをまず全体にかけるわけですね。
最初にベーズとなる釉薬に器をくぐらせます。
薬を流すわけですね。
これが黒釉ですね。
黒釉…。
益子に伝わる「流し掛け」。
ひしゃくで釉薬を大胆に掛け模様を作る技法です。
一発勝負。
そうですね。
すごい。
これは糠青磁といって益子では青磁釉とも。
さらにその上から仕上げの釉薬で全体をひたします。
この鉢を焼くと鮮やかな緑がかった青と黒の模様が浮かび上がります。
これはよく焼けたほうですよね。
きれいですねえ。
違いますねえ!これは予測もできないんですよね。
そうですね。
出来上がりを見てこうなったんだって。
大きいものを作るのは大塚さんにとってどんな意味がありますか?大きいものっていうのはやっぱし夢ですよね。
フフフフ少年心を?うんやっぱし…そうですよね。
それに挑戦する形ですね。
挑戦っていう意味があるんですね。
そうですね。
受け継がれてきた高い技術あっての新しい形です。
・益子のとある古民家。

(クラシック)地元の窯元が主催するコンサートが開かれました。
会場のあちこちに益子焼が。
テーマは音楽と陶器のコラボレーション。

(ピアノ)ピアニストの手が映る不思議なオブジェ。
陶器のフレームに布を張ってできたスクリーンです。
作ったのは…栗谷さんは陶器の可能性を広げる作品づくりに取り組んできました。
おじゃまします。
(栗谷)こんにちは。
こんにちは。
よろしくお願いします。
よろしくお願いしま〜す。
栗谷さん?はいそうです。
(2人)よろしくお願いします。
いろいろ面白いものを作ってるとうかがってやってきました。
あまりふつうの感じのものは作ってないんですけど。
何かちょっと面白いものを集めて。
面白いですね。
この部屋にはそんな栗谷さんの作品がずらりと並べられています。
このランプもかわいい。
木になってるんですね。
そうですね。
なんとなく植物っぽいイメージがあるので。
ちょっときのこっぽい感じもあったり。
木だったり。
作品はどれも暮らしの中で使えるものばかり。
テーブルや椅子も陶器で作ってしまいました。
陶器だけに他の鉄とかプラスチックとかそういうものにない魅力とか温かみみたいなものが…。
ありますね。
あっ!よく見たら…スピーカー?そうなんです。
これパッと見て飾りというかタペストリーっぽい感じですけど。
実は映像を映すスクリーンでもあるんですよね。
え〜!白い泥を塗って焼いた板を何枚も並べたスクリーン。
あえて表面をざらざらとした質感に仕上げました。
こんな感じで画面が。
あ…。
わぁ。
なんか昔の映画館に来て古い映像を見てる気分。
陶器の端の方のくすんでるところとかがいい感じに浮かび上がってますね。
いい感じですよね。
はい。
普通の映像も面白く。
面白いですね。
雰囲気が出る。
アートの一部みたいになりますね。
映像も。
面白そう。
私完全にこのセット置きたいです。
ぜひ!益子焼の魅力まだまだ尽きることはありません。
こっちは渋めのデザインがそろってますね。
わぁ。
見てるだけでわくわくしますね。
うんでもやっぱり益子に来てみて作家さんたちが本当に好きで楽しんでやっていて。
お話を伺ってからまた見ると一つ一つすごく愛着も出て私も焼き物がますます好きになってホントよかったです。
伝統にこだわることなく新しい可能性を追い求めてきた益子焼。
肩ひじを張らないふだん使いの温かさがあふれています!2014/06/08(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「素朴で温か ふだん使いの美〜栃木 益子焼〜」[字]

ほっこり温かな魅力が満載の益子焼が、女性を中心に人気上昇中。作っているのは栃木県益子町。豊田エリーが、個性豊かな焼き物を作る職人たちを訪ね、そのワザを堪能する。

詳細情報
番組内容
ほっこり温かな魅力が満載の益子焼。午後のコーヒータイムにぴったりで、若い女性を中心に人気上昇中。流行のファッションで全国展開するセレクトショップでも取り扱われている。栃木・益子町は、400を超える窯元が集まる東日本有数の陶器の産地。今回は豊田エリーが、おしゃれで使いやすい器を作る女性陶芸家や、モダンで色彩豊かな焼き物で知られる老舗の窯元、流行の手洗い鉢を手がけるベテラン職人などを訪ね、ワザを堪能。
出演者
【リポーター】豊田エリー,【語り】平野義和

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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